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原子力安全に関するハイレベル会合、開催

2011年09月26日

潘基文(パン・ギムン)事務総長の呼びかけによる「原子力安全及び核セキュリティに関する国連ハイレベル会合」が9月22日、ニューヨークの国連本部で開催されました。潘事務総長とアルナセル第66回国連総会議長のもとで全体会合が開かれ、2人の挨拶に続いて国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長のビデオ・メッセージが紹介されました。ウィーンのIAEA本部では、同時期に年次総会が開催されていたため、天野氏はハイレベル会合に出席することができなかったからです。

ウィーンのIAEA本部で行われた会議では、原子力安全を推進するための行動計画が採択されたところでした。この計画は、福島第一原発のような大規模な原発事故を未然に防ぐためには、世界の総力を挙げる必要があるとし、安全性の相互評価体制などを盛り込んだ12項目からなっています。天野事務局長は度々この計画に言及し、原発を「人類として可能な限り安全にし、かつ可能な限り早急にそうする責務がある」と訴えました。

天野事務局長に続き、6カ国の代表がアルファベット順に演説しました。ブラジルとフランスにつづいて登壇したのが日本の野田佳彦総理大臣です。野田総理はまず次のように述べました。

「東京電力福島第一原発の事故は、人類が原子力にどのようにかかわっていくべきかという深淵な問いを我々に改めて投げかけています」

総理は世界中からの温かい支援に感謝の意を表し、事故処理の経過について簡単に説明し、「関係者のひたむきな努力によって、事故は着実に収束に向かっています」と会場に伝えました。

津波への備えに過信があったこと、事後対応に手間取って貴重な時間を失ったことなどを認めつつも、そのような「過ち」から有用な「教訓」が導かれたと述べました。そして、その教訓をもとに日本の原発を「世界最高水準」の安全性に高め、同時に再生可能エネルギーの利用を拡大することで、皆が安心できるエネルギー政策を進めることを約束しました。

「エネルギーは、経済の『血液』であり、日常生活の基盤です。広くは、人類の平和と繁栄を左右します。我々の世代だけでなく、子々孫々の幸福の礎石です」野田総理はエネルギー利用への積極的な姿勢を示すことで話を終えました。

野田総理につづいてカザフスタン、韓国、ウクライナの各首脳が演説し、その後は2つの分科会で討論が行われました。日本は第1分化会に参加し、玄葉光一郎外相がその共同議長を務めました。

その後再び全体会議が開かれ、分科会の報告の後に潘事務総長による総括と閉会の挨拶がありました。核エネルギーへの信頼回復、IAEAの行動計画の推進、国際的な枠組みの強化、原子力安全と核セキュリティの連結、緊急時への備え。5つの重点課題を挙げて事務総長は閉会を宣言しました。

同日、潘事務総長は会合についての声明を発表し、次のように述べました:

「原子力事故の影響は国境を超えます。これは地球規模の課題であり、地球規模の対応を要求します。人々を十分に守るためには、強力な国際的コンセンサスと行動、そして強力で国際的な安全基準が必要です。皆様からのメッセージは一つであり、はっきりしています。すなわち「今まで通り」ではだめなのです。状況を正すことはわれわれ全員の利害にかかわることです。今日の会合の成功を足場に、われわれは原子力安全と緊急時への備えの強化に向けて、引き続き大きな成果を挙げることができることを確信しています」

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潘事務総長のハイレベル会合での締めくくりの挨拶はこちら

野田佳彦総理大臣の演説はこちら(首相官邸ホームページへ)
(本文中の野田総理の発言個所は同ホームページからの引用です)

「原子力安全および核セキュリティに関するハイレベル会合」で演説する野田佳彦総理大臣(9月22日)© UN Photo/Rick Bajornas
国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長はビデオ・メッセージで会合に参加し、IAEA主導の原子力安全の「行動計画」を紹介したFile Photo)© UN Photo/Mark Garten
ハイレベル会合で野田総理の直前に演説したのはフランスのサルコジ大統領(9月22日)© UN Photo/Emilie Traub
全体会合の後に参加者は2つの分科会に分かれ、日本の玄葉光一郎外務大臣が一方の共同議長を務めた(9月22日)© UN Photo/JC McIIwaine
分科会の報告を受け、閉会の挨拶を行う潘事務総長(9月22日)© UN Photo/JC McIIwaine