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SDGs ― よくある質問

プレスリリース 16-009-J 2016年01月01日

 

 

「持続可能な開発」とは何ですか。

  • 「持続可能な開発」は、将来の世代がそのニーズを満たせる能力を損なうことなしに、現在のニーズを満たす開発と定義されています。
  • 持続可能な開発には、人間と地球にとって包摂的、持続可能かつレジリエントな未来の構築に向けた協調的な取り組みが必要です。
  • 持続可能な開発を達成するためには、経済成長、社会的包摂、環境保護という3つの核となる要素の調和が欠かせません。これらの要素は相互に関連し、そのすべてが個人と社会の安寧にとって不可欠だからです。
  • あらゆる形態とあらゆる面の貧困をなくすことは、持続可能な開発の必須要件です。これを達成するためには、持続可能で包摂的かつ公平な経済成長を推進し、すべての人々のためにより多くの機会を作り出し、格差を縮め、基本的な生活水準を高め、公平な社会開発と包摂を促進するとともに、天然資源と生態系の統合的かつ持続可能な管理を推進しなければなりません。

「持続可能な開発目標」とは何ですか。

  • 193の国連加盟国は2015年9月、ニューヨークの国連本部で開催された「持続可能な開発サミット」で、新たな持続可能な開発アジェンダ「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」を正式に採択しました。このアジェンダには17の目標と169のターゲットが盛り込まれています。すべての目標とターゲットの一覧は、下記でご覧になれます。
     http://www.un.org/sustainabledevelopment/sustainable–development–goals/

 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、下記でご覧になれます。
  https://sustainabledevelopment.un.org/post2015/transformingourworld

  • この普遍的、統合的かつ革新的なアジェンダは、今後15年間で貧困に終止符を打ち、より持続可能な世界を構築するための行動に拍車をかけることをねらいとしています。このアジェンダは、2000年に採択され、これまで15年にわたる開発への取り組みの指針となってきたミレニアム開発目標(MDGs)の成果を土台としています。MDGsは、グローバルな目標の設定により、数百万人を貧困から救出できることを証明しました。
  • この新たな目標は、野心的で大胆な持続可能な開発アジェンダを構成するものです。このアジェンダは経済成長、社会的包摂、環境保護という、相互に関連する持続可能な開発の諸要素に焦点を絞っています。
  • 持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットは、グローバルな性質を有し、普遍的に適用可能なものとなっていますが、それと同時に、各国の国情、能力、開発水準の違いを考慮するとともに、国内の政策や優先課題も尊重しています。SDGsはそれぞれ独立しているわけではないため、統合的な対応が必要となります。
  • SDGsは、すべてのステークホルダーと人々の声を取り込んだ、3年間にわたる透明な参加型プロセスの成果です。これまで、193の加盟国が持続可能な開発の優先課題に合意したことはありません。全世界の市民社会や企業、国会議員その他の主体もSDGsを支持しています。国連加盟国は2012年6月、リオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)で、一連のSDGs策定のプロセスを立ち上げるという決定を下しています。

持続可能な開発目標はいつスタートし、いつ終わるのですか。

  • 持続可能な開発目標(SDGs)は2016年1月1日にスタートし、2030年12月31日までに達成される予定です。しかし、既存の国際協定に基づき設定されたターゲットの中には、これより早く達成すべきものもあります。

持続可能な開発目標に法的拘束力はありますか。

  • いいえ。持続可能な開発目標(SDGs)に法的拘束力はありません。
  • とはいえ、各国は17の目標の達成に当事者意識を持って取り組むとともに、そのための国内枠組を確立することが期待されています。
  • SDGsの実施と成否は、各国が独自に策定する持続可能な開発関連の政策、計画、プログラムにかかっています。
  • 今後15年間のSDGsとターゲットの達成に向けた進捗状況に関し、国内、地域、グローバルのレベルでフォローアップと検証を行う主たる責任は、各国にあります。
  • 国内レベルで進捗状況を監視するためには、良質かつアクセス可能な適時のデータ収集や、地域的なフォローアップと検証が必要となります。

持続可能な開発目標の根本的な要素は何ですか。

  • SDGsとターゲットは今後15年間にわたり、人間、地球、豊かさ、平和、パートナーシップという大きな重要性を備えた領域に関する行動を促すことになります。
  • 人間あらゆる形態と次元の貧困に終止符を打つとともに、すべての人々が尊厳と平等、そして健全な環境の中で、その潜在能力を発揮できるようにすること。
  • 地球  持続可能な消費と生産、天然資源の持続可能な管理、気候変動への緊急対応などを通じ、地球の劣化を防ぐことにより、現在と将来の世代のニーズを支えられるようにすること。
  • 豊かさ  すべての人々が豊かで充実した生活を送れるようにするとともに、自然と調和した経済と社会、技術の進歩を確保すること。
  • 平和 恐怖や暴力のない、平和で公正かつ包摂的な社会を育てること。平和がなければ持続可能な開発は不可能であり、持続可能な開発がなければ平和も実現できないからです。
  • パートナーシップ – グローバルな連帯強化の精神に基づき、特に最も貧しく、弱い立場に置かれた人々のニーズを注視しながら、すべての国々、すべてのステークホルダー、そしてすべての人々の参加により、持続可能な開発に向けたグローバル・パートナーシップの再活性化を通じて、2030アジェンダの実施に必要な手段を結集すること。

市民社会は、新たな持続可能な開発アジェンダの交渉プロセスに参加しました。その最終文書への貢献はどのように定量化できますか。

  • 持続可能な開発目標(SDGs)の交渉プロセスには、市民社会をはじめ、民間セクターや市町村長などのステークホルダーも、これまでになく多数参加しました。
  • 市民社会とその他のステークホルダーは交渉期間中、政府代表に直接的な働きかけを行うことができました。
  • 多くの若者も当初から、ソーシャルメディア・プラットフォームを通じて参加しました。国連の「マイ・ワールド」調査には、全世界から延べ700万人を超える参加がありましたが、参加者全体の約75%は30歳未満の若者でした。

持続可能な開発目標は、どのように実施に移されるのですか。

  • 第3回開発資金国際会議で採択されたアディスアベバ行動目標は、2030アジェンダの実施を裏づける具体的な政策と行動を定めました。
  • その実施と成功は、持続可能な開発に向けた国内的な政策、計画、プログラムに依存しており、各国が主導することになります。持続可能な開発目標(SDGs)は、各国の計画をそのグローバルな約束と整合させる羅針盤の役割を果たします。
  • 各国が当事者意識を持って持続可能な開発戦略を主導するためには、資源動員と資金調達の戦略が必要となります。
  • 政府や市民社会、民間セクターその他、すべてのステークホルダーが2030アジェンダの実現に貢献することを期待されています。
  • グローバルなレベルでパートナーシップを再び活性化し、各国による取り組みを支援する必要があります。このことは2030アジェンダでも認識されています。
  • マルチステークホルダー型のパートナーシップは、2030アジェンダを中心にすべてのステークホルダーの結集を図る戦略の重要な要素として認識されています。

持続可能な開発目標は、どのように監視されるのですか。

  • グローバルなレベルでは、17の持続可能な開発目標(SDGs)と169のターゲットは、一連のグローバルな指標を用いて監視、検証されます。このグローバル指標の枠組は、SDGs指標に関する機関間・専門家グループ(IAEA-SDGs)が策定し、2016年3月に国連統計委員会で合意される予定です。これを受け、経済社会理事会と総会がこれら指標を採択します。
  • SDGsとターゲットに関する進捗状況の監視に役立てるため、各国政府もそれぞれ、国内的な指標を策定することになっています。
  • 加盟国の統計責任者は、各ターゲットにつき2つずつの指標を設けるための作業を続けています。ターゲット全体につき、約300の指標が設けられる予定です。しかし、分野横断的な問題に取り組むターゲットもあるため、指標の総数はこれより少なくなる可能性があります。
  • フォローアップと検証のプロセスは、事務総長が作成する年次SDGs進捗状況報告書を参考に進められます。
  • 「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム」の年次会合は、グローバル・レベルでのSDGs達成に向けた進捗状況の検証に中心的な役割を果たします。

    SDGsの実施手段は、第3回開発資金国際会議の成果文書「アディスアベバ行動目標」の指針に従って監視、検証し、持続可能な開発のための2030アジェンダの支援に向けた資金の実効的な動員を確保します。

持続可能な開発のための2030アジェンダの実施には、どれだけの費用がかかりますか。

  • 持続可能な開発アジェンダの達成に向けた資金の動員方法を含む実施手段は、この新たなアジェンダの中心的な特長となっています。
  • 持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、先進国、途上国の双方で多額の投資が必要となります。アジェンダ実施のためには、膨大な資金を動員しなければならず、その金額は数兆ドルに上ります。
  • しかし、この資金はすでに存在しています。世界には、新たなアジェンダに資金を供給できる貯蓄が十分すぎるほどあるからです。いかにして投資を持続可能な開発に資する方向に誘導するかという問題は、私たちの目標を達成するうえで極めて重要となります。
  • 官民双方で国内的、国内的資金源を活用する必要があります。
  • 後発開発途上国をはじめ、最も困窮した国々が持続可能な開発を達成するためには、政府開発援助(ODA)が引き続き必要となります。

気候変動は持続可能な開発とどのように関係しているのですか。

  • 気候変動はすでに、公衆衛生や食料と水の安定確保、移住、平和と安全に影響を与えています。気候変動を野放しにすれば、数十年かけて私たちが達成した開発面の成果は台無しになり、それ以上の前進は不可能となってしまいます。
  • 持続可能な開発への投資は、温室効果ガス排出量の削減と気候に対するレジリエンス向上を通じ、気候変動対策にも役立ちます。
  • その逆に、気候変動対策も持続可能な開発を推進します。
  • 気候変動への取り組みと持続可能な開発の促進は、表裏一体の形でお互いを補強します。持続可能な開発は気候変動対策なしに達成できません。その一方で、SDGsには、気候変動の主因に取り組む目標が多く含まれています。

2015年に新たな目標が採択されたのはなぜですか。

  • 2000年に発足したミレニアム開発目標(MDGs)は、2015年を達成期限としていました。国際社会は2010年、MDGsの後継枠組の検討を開始しました。
  • 2012年の「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)で各国は、一連の持続可能な開発目標を策定し、検討と適切な行動を促すため、オープン・ワーキンググループを設置することに合意しました。
  • リオ+20の後数カ月以内に、国連加盟国は今後のアジェンダを1つに絞ることに合意しました。それが、持続可能な開発目標に基づく持続可能な開発アジェンダでした。
  • 2014年7月、オープン・ワーキンググループは1年を超える交渉の末、17の持続可能な開発目標(SDGs)に関する提言を出しました。
  • 2015年8月初旬、193の国連加盟国は、新たなアジェンダの最終文書「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に関する合意に達しました。
  • 加盟国は2015年9月25日から27日にかけ、ニューヨークで開催された国連サミットで、SDGsを核とする新たな持続可能な開発アジェンダを採択しました。

極めて特定的だったミレニアム開発目標に比べ、持続可能な開発目標の範囲がこれほど幅広くなっているのはなぜですか。

  • ミレニアム開発目標(MDGs)は8つで、ターゲットが21項目だったのに対し、持続可能な開発目標(SDGs)は17あり、ターゲットも169項目と多数に上ります。今日の世界に存在する課題の複雑さが、幅広い問題を取り扱う必要性を生んでいるからです。また、単に目に見える兆候だけでなく、問題の根本的原因に取り組むことも欠かせません。
  • SDGsは、193の加盟国が関与した交渉プロセスの成果であり、このプロセスには、市民社会をはじめ、これまでになく多数のステークホルダーも参加しました。幅広い利益や観点が反映されているのはこのためです。これに対し、MDGsは専門家グループが非公開で策定したという経緯があります。
  • SDGsが幅広い範囲をカバーしているのは、経済成長、社会的包摂、環境保護という、相互に関連する諸要素に取り組んでいるためでもあります。MDGsは主として、社会的な課題に焦点を絞っていました。
  • MDGsが開発途上国、特に最貧国を対象としていたのに対し、SDGsは先進国、途上国を問わず、すべての国々を対象としています。

持続可能な開発目標はミレニアム開発目標とどのように違うのですか。

  • 17の持続可能な開発目標(SDGs)は169のターゲットを伴い、貧困の根本的原因と、すべての人々に利益をもたらす開発の普遍的必要性に取り組むことにより、広さと深さの両面でミレニアム開発目標(MDGs)を上回っています。SDGsは経済成長、社会的包摂、環境保護という持続可能な開発の3つの面をすべてカバーしています。
  • 新たなグローバル目標は、MDGsの成果と勢いを土台としつつ、不平等や経済成長、働きがいのあるきちんとした仕事、都市と人間居住、工業化、海洋、生態系、エネルギー、気候変動、持続可能な消費と生産、平和と正義に取り組むという意欲から、さらに幅広い分野を対象とするものになっています。
  • SDGsは普遍的であり、すべての国々に適用されるのに対し、MDGsは開発途上国のみにおける対策を意図していました。
  • SDGsの中心的な特長として、実施手段、すなわち資金の動員や、能力の構築とテクノロジー、さらにはデータと制度を特に重視している点が挙げられます。
  • SDGsは、気候変動への対処が持続可能な開発と貧困の根絶に欠かせないことを認識しています。事実、目標13は、気候変動やその影響と闘う緊急対策の推進をねらいとしています。

ミレニアム開発目標はどのような成果をあげたのですか。

  • ミレニアム開発目標(MDGs)は、貧困対策運動として史上最大の成果を上げたほか、新たな持続可能な開発アジェンダの踏み台にもなっています。
  • 貧困と飢餓:ほんの20年前、開発途上地域に住む人々のほぼ半数は、極度の貧困状態で暮らしていました。極度の貧困の中で暮らす人々の数は、1990年の19億人から2015年には8億3,600万人と、半分以下に減少しています。
  • ジェンダーの平等:大半の国々では、小学校の就学者数でジェンダーの平等が達成されています。データが入手できる174カ国のほぼ90%では、ここ20年の間に、学校に通う女児が増えているだけでなく、女性の国会議員の割合も上昇しています。
  • 幼児死亡率:世界全体で見た場合、5歳未満の幼児死亡率は1990年から2015年にかけ、出生数千人当たり90人から43人へと低下しました。
  • 妊産婦の健康:妊産婦死亡率は全世界で45%低下しており、この低下ほとんど2000年以降に生じています。
  • 疾病対策:HIVの新規感染率は2000年から2013年にかけ、約40%低下しました。2000年から2015年までの間に、620万人以上がマラリアによる死亡を免れているほか、結核の予防、診断、治療の取り組みによっても、2000年から2013年までの間に3,700万人の命が救われたものと見られています。
  • 衛生:全世界的に見て、1990年以来、21億人が改良型衛生施設を利用できるようになり、屋外で排便する人々の割合はほぼ半減しています。
  • グローバル・パートナーシップ:先進国による政府開発援助(ODA)は、2000年から2014年までに実質66%の増大を遂げ、1,352億ドルに達しています。

ミレニアム開発目標で積み残された課題は何ですか。

  • 約8億人が依然として極度の貧困の中で生活しており、飢餓に苦しむ人々の数も7億9,500万人に上っています。
  • 2000年から2015年にかけ、学校に通えていない子どもの数はほぼ半減しました。しかし、今でも5,700万人の子どもたちが、初等教育を受ける権利を否定されています。
  • 女性国会議員の割合や女児の就学率など、多くの分野で前進は見られるものの、ジェンダーの不平等は今でも残っています。女性は依然として、就職や経済資産へのアクセス、官民の意思決定への参加で差別を受けています。
  • 最貧層と最富裕層、さらには農村部と都市部の間の経済格差もなくなっていません。20%の最貧世帯に生まれた子どもは、20%の最富裕層の子どもに比べ、発育不良になる確率が2倍以上、学校に通えない確率も4倍に上ります。改良型衛生施設の普及率も、都市部では82%であるのに対し、農村部では50%程度にとどまっています。
  • 1990年から2015年にかけ、5歳未満の幼児死亡率は53%低下しているものの、子どもの死亡は依然として、最貧地域と出生直後の1カ月にますます集中する傾向にあります。

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