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今年は国際高齢者年

1999年02月11日

世界人口の高齢化   

1999国際高齢者年の準備

国際高齢者年ロゴマーク

 国連総会は、「人類の高齢化と、これによって、次世紀における地球的な平和および発展を目指すことをはじめとする社会的、経済的、文化的および精神的試みにおいて、成熟した態度および能力がもたらされる期待を認識し」、1999年を国際高齢者年(”International Year of Older Persons”)とすることを決定した(国連総会決議47/5、「高齢化に関する宣言」)

 長寿が20世紀における偉大な成果の一つであることは間違いない。1950年から2000年にかけて、出生率と死亡率の低下によって生み出される状況により、平均寿命は20年延びるものと見られている。しかし世界人口の高齢化は、特に高齢者の経済的・社会的安全の保護について、一般市民と政策立案者に前例のない課題を突き付けている。

 人口構成のシフトにより、数世代のうちに、60歳以上の高齢者の割合は、現在の14人に1人から、4人に1人へと急速に上昇している。世界人口の高齢化は、各国で異なる時期に始まり、異なるペースで進んでいる。例えば、経済協力開発機構(OECD)諸国では、2030年までに高齢者の割合が3人に1人に達すると見られる。これに対し、アフリカ諸国における人口構成の変化は、21世紀の遅い時期になってから生じるものと見られている。

 高齢者の権利と安全を確保するため、高齢化に関する国連プログラムは、各国政府、国連専門機関、非政府機関(NGO)および民間セクターとのパートナーシップにより、この人口シフトに有効に対処する方策を検討中である。

 個々の経験を通じて明らかになっているとおり、数字上の年齢と機能的年齢は異なっている。70歳や80歳になっても生産的に働く人もいれば、これより早く引退する人もいる。こうした違いはあるものの、次のことは確かである。

  •  高齢者の割合は、OECD諸国および経済体制移行国において最も高くなっているが、世界の高齢者人口の急増(1990年の5億人から2050年には約15億人)は、主としてアジアをはじめとする開発途上国で生じることになる。2025年までに、世界の高齢者人口の72%に当たる8億5800万人は、開発途上国で生活しているものと見られる。2030年までに、世界の高齢者の四分の三以上が工業地域に住むことになるとみられるが、アジアがその半数以上、中国だけでもその四分の一以上を占めるものと予測される。

  •  今日、世界の人口の10人に1人近くが60歳以上の高齢者であるとみられており、そのうち女性は3億200万人、男性は2億4700万人と推定される。最近の世界銀行の調査によれば、その4人に1人は75歳以上であり、また75歳以上の人口の三分の二は女性である。

  •  世界の80歳を越える女性のうち、61%は先進地域に居住している。しかし2025年までに、その大半は開発途上地域に居住することになる。

  •  現在、女性高齢者の44%がアジアに、6%がアフリカに、7%がラテンアメリカに住んでいるが、残りの43%はすべて先進地域に住んでいる。

  •  出生率がより急激に低下していることもあり、高齢化は開発途上地域において急速に進んでいる。これらの国々は特に、十分な所得、住宅および医療、ならびに、高齢者の参加と独立を確保するために、高齢者向け政策を策定する必要性に迫られるであろう。

女性高齢者の現状

 世界中で、女性の寿命は男性よりも長くなっている。男女の差が最も大きいのは、東欧、バルト三国および中央アジアである。例えば、ロシア女性の寿命は男性よりも12年長い。先進地域および中央アジアでは、女性の平均寿命が男性よりも6-8年長くなっている。しかし、ほとんどの開発途上地域では、その差が比較的小さい。アフリカ女性の寿命は男性を3年上回っているが、南アジアでは、男女の平均寿命が同じである。

 女性高齢者の割合は着実に上昇している。先進地域では、1995年に、60歳以上の女性が女性人口全体の20%を越えているものとみられている。男性についてこの割合は15%である。2025年までに、先進地域における女性高齢者の女性人口全体に対する割合は、平均で27%に達するものと見られる。男性高齢者も、男性人口全体の22%を占めることになる。2025年までに、60歳以上の女性高齢者の割合は、東アジア、東南アジア、ラテンアメリカ・カリブおよび北アフリカで、それぞれ2倍近くに増えるものと見られている。

 女性高齢者は、家事と育児への関与、家庭での責任によるキャリアの中断、訓練・教育への投資不足、労働者としての差別と収入の低い職業等、様々な理由により、男性高齢者よりも貧しくなる可能性が高い。もう一つの理由としては、特に開発途上国において、所得と年金収入を失う寡婦の割合が高くなっていることがあげられる。

 経済的安定を確保することは、あらゆる年齢層の女性にとって不可欠である。しかし上述の理由により、これは高齢者の女性にとって特に死活的な問題となっている。

 地域別人口データによれば、75歳以上の人口の男女別内訳は、以下のように推計される。

先進国 男性 女性
1995年 20,343 40,796
2030年 44,559 74,068
2050年 59,079 71,912
開発途上国 1995年 96,837 129,747
2030年 44,559 74,068
2050年 203,210 272,078
後開発途上国 1995年 2,088 2,608
2030年 7,359 9,218
2050年 19,302 23,441
*単位:千人

 

国連の対応-高齢者のための原則

 1990年、国連総会は10月1日を「国際高齢者の日」(“International Day of Older Persons”)に指定した。1991年、総会は「高齢者のための国連原則」(“United Nations Principle for Older Persons”)(決議46/91)を採択し、各国政府に対して、これをできる限り国家プログラムに組み入れるよう促した。

 この原則は、以下のような多くの分野で行動を求めるものとなっている。

  • 独立-高齢者は、食糧、水、住居、衣服、医療、労働およびその他の所得創出機会、教育、訓練、ならびに、安全な環境での生活に対するアクセスを有するべきである。
  • 参加-高齢者は、地域での生活に引き続き統合され、その福祉に影響する政策策定に積極的に参加すべきである。
  • 保護-高齢者の社会・法律サービスおよび医療へのアクセスを確保することにより、最適レベルの身体的、精神的および感情的福祉を達成できるようにすべきである。その際、高齢者の尊厳、信条、ニーズおよびプライバシーも完全に尊重すべきである。
  • 自己達成-高齢者の教育的、文化的、精神的および娯楽的資源に対するアクセスを確保し、その潜在的能力を完全に開発できるようにすべきである。
  • 尊厳-高齢者は、尊厳と安全の中で生活でき、搾取および身体的あるいは精神的虐待を免れ、かつ、年齢、性別および人種的あるいは民族的出自に関係なく公正に扱われるべきである。

すべての世代のための社会をめざして-1999
国際高齢者年の準備

 世界人口の高齢化が「政府、非政府機関および民間団体にとって、前例のない緊急の政策・プログラム課題である」ことを認識し、国連総会(決議47/5)は、1999年を「国際高齢者年」とすることを決定した。

 高齢化は開発途上地域でより急速に進んでおり、国際社会はさらに、各国政府に対し、「総合開発戦略の一環として」、高齢者のための政策およびプログラムを検討するよう促した。

 各国の政策に関し、同決議に含まれる「高齢化に関する宣言」は、「国民全体」が「老後への備え」に関与すること、および、「老いも若きも、経済、社会および文化の発展において伝統と革新のバランスを図るよう協力すること」を提案している。

 国連事務総長が第50回総会に提出した「1999国際高齢者年の準備および行事に関するプログラムの概念枠組み」(文書50/114)は、今後検討すべき4つの側面と、全般的な目標および統一テーマを定めている。

 概念枠組みの4つの側面は以下のとおり。

  • 高齢者の現状
  • 生涯を通じた個人の発展
  • 世代間の関係
  • 開発と高齢化

 高齢者年の全般的目標は、高齢者のための国連原則を推進し、以下のような高齢者にとっての関心分野に取り組むことである。

  • 独立
  • 参加
  • 保護
  • 自己達成
  • 尊厳

 高齢者年の統一テーマは「すべての世代のための社会をめざして」(“Towards a society for all ages”)である。このテーマは、1995年3月、117ヶ国首脳が出席したコペンハーゲンの世界社会開発サミットで推進された「万人のための社会」という幅広い概念から生まれたものである。

 1995年3月、世界社会開発サミットで採択された「コペンハーゲン行動計画」は、各国政府に対し、特に次のような手段により、高齢者保護のために「特別な努力」を行うよう促している。

  • 老後に向けた貯蓄を奨励するような金融環境を創出すること
  • これまでの自国の発展への貢献を考慮し、退職者が貧困に陥らないようにするための措置およびメカニズムを強化すること
  • 政策およびプログラムの策定、ならびに、あらゆるレベルの政策決定機関への世代を越えた参加を奨励・支援すること。

 高齢者プログラムについては、以下にお問い合わせください。

United Nations Department for Policy Coordination and Sustainable Development
Division for Social Policy and Development
2 UN Plaza
Room DC 2-1358
New York, NY 10017, USA
Tel.: (212) 963-3174
Fax: (212) 963-3062
E-mail: sidorenko@un.org
Internet Homepage: http://www.un.org/DPCSD

 一般情報については、以下にお問い合わせください。

United Nations Department of Public Information
Room S-1040
New York, NY 10017, USA
Tel.: (212) 963-1786 or 963-3771
Fax: (212) 963-1186
E-mail: vasic@un.org
Internet Homepage: http://www.un.org

国連総会の決議全文

 国連総会は1992年10月16日、「高齢化に関する宣言」を採択し、1999年を国際高齢者年に指定した(決議47/5)。以下は、同決議の全文(非公式訳)である。

 総会は、

 高齢化に関する国際行動計画採択10周年に際し、1992年10月15日および16日に国際会議を招集したことを受け、

 本決議付属の「高齢化に関する宣言」(”Proclamation on Ageing”)を採択する。

「高齢化に関する宣言」

 総会は、

 世界中で前例のない高齢化が起こっていることに留意し、

 世界人口の高齢化が、各国政府、非政府機関および民間団体にとって、高齢者のニーズとその人的資源としての潜在的能力に十分な取り組みが行われることを確保するうえで、前例のない緊急な政策・プログラム課題であることを意識し、

 また開発途上地域における高齢化が、先進世界で起こった高齢化よりもはるかに急速に進んでいることを意識し、

 社会の人口構造における革命的変化が、社会による物事の進め方の根本的変革を必要とするものであることを自覚し、

 今後10年間に、高齢化に対処するためのパートナーシップ、実際的イニシアチブおよび資源が拡大するであろうことを楽観し、

 経済、社会および文化の発展に高齢者がますます貢献していることを歓迎し、

 また高齢化に関する国連プログラムへの幅広い参加を歓迎し、

 高齢化は生涯を通じたプロセスであり、老後への備えは、子どもの時期に始まり、生涯を通して継続しなければならないことを認識し、

 また高齢者は、可能な限り最高レベルの健康を希望し、これを達成する資格を有していることを認識し、

 さらに、年を取るにつれ、包括的なコミュニティーおよび家庭の保護が必要になる人々がいることを認識し、

 1982年12月3日の決議37/51によって総会が支持を表明した「高齢化に関する国際行動計画」、および、1991年12月16日の総会決議46/91に付属する「高齢者のための国連原則」を再確認し、

 開発、人権、人口、雇用、教育、保健、住宅、家族、障害および女性の地位向上の文脈において高齢化に取り組む多くの国連活動に留意し、

 行動計画実施に固有の課題を検討し、

 1992-2001年の10年間における高齢化に関する実際的戦略の必要性を認識し、

1 国際社会に以下を促すものとする。
  1. 「高齢化に関する国際行動計画」の実施を促進すること
  2. 「高齢者のための国連原則」を広く普及すること
  3. 2001年に向けた高齢化に関する地球的目標達成のための実際的戦略を支援すること
  4. データ収集、調査、訓練、技術協力および高齢化に関する情報交換の改善により、政策オプションを明確化しようとする、事務局の継続的努力を支援すること
  5. 権限ある国連の組織および機関の通常プログラムで高齢化への取り組みが十分に行われること、ならびに、配置転換によって十分な資源が割り当てられることを確保すること
  6. 各国政府、専門機関および国連機関、非政府機関、ならびに民間セクターの間のパートナーシップを含め、国連プログラム内部における高齢化に関する幅広い実際的パートナーシップを支援すること
  7. 開発途上国の高齢化への対応を支援する手段として、高齢化のための信託基金を強化すること
  8. 援助国と被援助国に対し、その開発プログラムに高齢者を含めることを奨励すること
  9. 人権、家族、人口、女性の地位向上、犯罪防止、青年の分野における近い将来の行事、および、提案中の世界社会開発サミットを含め、今後の主要行事で高齢化を重視すること
  10. 報道機関に対し、10月1日の「国際高齢者の日」祝賀、および、高齢者のための国連原則普及を含め、高齢化および関連問題に関する啓発活動に中心的な役割を果たすよう奨励すること
  11. 生涯を通じた健全な加齢、所得創出、および、新たな形態の生産的加齢に関するものを含め、高齢化に関するプログラムおよびプロジェクトに関する地域内・地域間の協力および資源交流を促進すること
  12. 人口学的現象としてだけではなく、大きな将来性を備えた社会的、経済的および文化的現象として捉えることもできる人類の高齢化に対応するため、現在緊急に必要とされている人的・物的資源を提供すること

 

2 また、以下を目指すために、各国の文化および国情の文脈において、高齢化に関する国家イニシアチブの支援を促すものとする。
  1. 高齢者向けの適切な国家政策およびプログラムが、総合開発戦略の一環として捉えられること
  2. 政府、ボランティア・セクターおよび民間団体の役割を強化する政策が拡大・支援されること
  3. 政府機関と非政府機関が、プライマリー・ヘルスケア、健康増進および高齢者向け自助プログラムの発展に向けて協力すること
  4. 高齢者が、社会の負担としてではなく、社会への貢献者として捉えられること
  5. 国民全体が老後に対する備えに関与すること
  6. 老いも若きも、経済、社会および文化の発展における伝統と革新のバランスを図るよう協力すること
  7. 女性高齢者の特性、ニーズおよび能力に応じた政策およびプログラムが策定されること
  8. 女性高齢者が、その見逃されがちな経済および社会福祉への貢献について、十分な支援を受けること
  9. 男性高齢者が、生計を支える時期には疎んじられがちな社会的、文化的および感情的能力の養成を奨励されること
  10. 高齢者が関与するプログラムおよびプロジェクトの策定および実施において、コミュニティーの認識と参加が奨励されること
  11. 家族が保護の提供において支援を受け、すべての家族構成員が保護提供に協力することが奨励されること
  12. 地方自治体が、高齢者、企業、市民団体その他と協力して、家庭およびコミュニティーにおける各年齢層の統合を維持する新たな方法を模索すること
  13. 決定立案者と研究者が、行動指向の研究実施において協力すること
  14. 政策立案者が、望ましいが達成不可能な目標ではなく、具体的な機会に注意と資源を集中させること
  15. 2001年に向けた高齢化に関する地球的目標達成のための戦略と関連して、できる限り国際協力が拡大されること

 

3 人類の高齢化と、これによって、次世紀における地球的な平和および発展を目指すことをはじめとする社会的、経済的、文化的および精神的試みにおいて、成熟した態度および能力がもたらされる期待を認識し、1999年を、1998-1999年度通常プログラム予算と自発的拠出金によって支援される「国際高齢者年」に指定する。