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5. 国連は平和の推進のために何をしているか

国連は平和のためにどのような活動をしていますか。

 国連はその活動全体を通じて、平和を推進しています。
 外交と討論の中心として、国連は戦争の代替策、すなわち紛争の平和的解決に向けた枠組を提供しています。国際紛争が発生した場合、国連は緊張を緩和し、交渉を促進するよう努めます。国連は、武力紛争を防止あるいは停止させようとする人々にとっての拠り所となっているのです。
 人権を促進する努力、平和維持活動および国際法体系の整備を通じ、国連は平和を推進しています。国連は紛争が勃発する前にこれを止めるため、予防外交を展開しています。選挙と民主化に対する支援も提供します。経済・社会開発を促進する上で、国連は戦争の根本的原因を排除する活動により、平和の維持を助けます。国連ファミリーのその他の機関とともに、国連は人道援助を提供し、難民を帰還させ、国内インフラの修復を助け、復興を促進しています。


国連は兵器の拡散を防ぐために何をしていますか。

 より安全な世界で平和と開発を推進しようとする国連の努力において、軍縮は中心的な位置を占めています。軍縮問題を取り扱う傘下の機関を通じ、また、国際的な交渉機関を支援することにより、国連は規範の確立と、軍縮に関する多角的原則の強化に努めています。各国は国連を通じ、お互いに対する信頼を醸成し、合意の遵守を検証する手段を得ています。
 国連の支援により、軍縮会議などでの多国間交渉は核不拡散条約、包括的核実験禁止条約、非核地帯を設立する条約など、幅広い合意を達成しました。加えて、大量破壊兵器の抑制を助けるため、数多くの機関が設立されています。例えば、国際原子力機関は、核に関する保障措置と検証のシステムを確立しているほか、化学兵器禁止機関は、化学兵器禁止条約の遵守確保に助力しています。
 その他の信頼譲成措置としては、「国連通常兵器移転登録制度」および軍事支出の標準報告に関する制度があげられます。これらの手段は、軍事問題に関する透明性を高めています。
 紛争後の平和建設努力の一環として、国連は数十万発の兵器の収集と廃棄を監督したほか、元戦闘員の市民社会の再統合を援助しています。

国連は、45カ国以上の人々が自由で公正な選挙に参加することを可能にしました。


国連は世界から地雷を排除するために何をしていますか。

  • 毎年、50カ国以上に敷設された数百万発の地雷により、2万人以上の人々が死傷しています。女性、子ども、そして高齢者は、これら「静かな殺人兵器」の最初の犠牲者となります。毎年、さらに約200万発の地雷が新たに埋設されています。
  • 国連は地雷の生産、輸出および使用の全面禁止を規定する1997年のオタワ条約に対する各国の支持を取り付ける上で、重要な役割を演じたほか、同条約への普遍的な加入を促進し続けています。ノルウェー、カナダおよびその他の国々が発案したオタワ条約は1997年、100カ国以上から支持を得ました。60カ国の約1,000のNGOは、政府に対して条約に同意するよう説得する上で、大きな役割を果たしました。
  • 条約の締約国は事務総長に対し、それぞれが備蓄している地雷の数量と種類、自らが埋設した地雷を除去するために講じている措置、および、地雷のストックを破棄し、地雷生産施設を転換あるいは閉鎖するための計画について報告することになっています。
  • 国連の後援による1980年の非人道的兵器禁止条約には、特に地雷を対象とする議定書が付属しています。同議定書の締約国は1996年、すべての地雷を探知可能としなければならないことに合意し、さらなる制限条項を採択するとともに、議定書の適用範囲を内戦にも拡大しました。
  • 国連、および、国連の支援により7カ国で実施中の地雷除去プログラムでは、約6,000人の地雷除去員が活動を行っています。国連は地雷を除去するだけでなく、地雷除去員を訓練し、一般向けの地雷察知プログラムを実施し、地雷の調査を行い、地雷除去訓練校を支援しています。その目標は、被埋設国が地雷の問題に対処できるようにすることにあります。国連システムはまた、地雷犠牲者向けの医療およびリハビリ・サービスの改善にも助力しています。
  • このようなプログラムは1989年以来、アフガニスタン、アンゴラ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カンボジア、クロアチア、ラオス人民民主共和国、モザンビーク、ルワンダ、イエメンなど、最大規模の被埋設国の地雷原で実施されています。

国連はなぜ平和を強制できないのですか。

 国連は武力で平和を強制する能力を持っていません。国連は世界政府ではありません。常備軍や軍事的資源は持ち合わせていません。国連は国際警察でもありません。国連の実効性は加盟国の政治的意思に依存しており、紛争を終焉させるために国連が行動を起こすべきか否か、および、いつ、どのように行動するかを決定するのは加盟国です。
 安全保障理事会は、国際の平和と安全の維持に特別な責任を負います。安保理は、紛争当事者に外交的・政治的圧力をかけたり、事実関係調査団や調停団など、紛争解決のための手段を提供したりすることができます。総会は戦闘当事者に国際世論の圧力を加えることができます。事務総長による外交的な接触は、交渉や停戦につながることがあります。停戦が実現すれば、安全保障理事会が平和維持活動を展開し、当事者による合意の履行を助けることができます。
 説得に失敗した場合、安全保障理事会は経済制裁や禁輸など、さらに強力な行動をとることができます。安保理はルワンダと旧ユーゴスラビアの場合のように、戦争犯罪の被告人を裁く国際裁判所を設置することがあります。場合によっては、安保理が加盟国に対し、武力紛争に対処するため、武力を含む「あらゆる必要な手段」の行使を認めることもあります。1991年のクウェートの主権回復や、1994年のハイチの合法的政権復帰などを例とするこうした強制行為は、参加国の統制の下に実施されています。

置き去りにされた地雷により、今でも毎年、約1万人が命を失っています。


国連の平和維持活動とは何ですか。

 国連の平和維持は、真の意味で国際的な活動です。兵士、文民警察、選挙専門家、地雷除去員、人権監視員、民事・通信専門家などの平和維持要員は、多くの国々から集められています。
 国連の平和維持活動は安全保障理事会によって創設されるため、その決定は常任理事国5カ国による拒否権の対象になります。安保理は財務情報を含む事務総長からの勧告に基づき、活動の任務、規模、範囲および期間を決定します。活動の予算については、総会が票決を行います。
 安保理は各々の事態の要件に従い、平和維持要員の責務を決定します。平和維持要員は、停戦を監視したり、緩衝地帯を設置したり、旧敵対勢力が和平合意を履行する手助けをしたり、人道援助物資の運搬を護衛したり、元戦闘員の動員解除と通常の生活への復帰を援助したり、地雷除去プログラムを立ち上げたり、選挙を監督あるいは実施したり、文民警察を訓練したり、人権の尊重を監視したりします。
 国連の活動に従事する兵員は一般的に、小火器の携行を認められていますが、その使用は、厳密な自衛の原則に従って、あるいは、武装集団が任務の遂行を妨げようとする場合に限って行われます。平和維持軍による武力の行使は希ですが、それには常に困難な選択と論議が付きまといます。平和維持要員のもっとも効果的な「武器」は、国際社会の支援と、その平和へのコミットメントです。
 平和維持はどんな状況でも使える道具ではありません。例えば、ソマリアでは、国連の努力にもかかわらず、当事者が戦闘を止めませんでした。また、平和維持は国際社会による他の行動形態に代わるものでもありません。それ自体では、ルワンダでのジェノサイドも、旧ユーゴスラビアでの戦闘も止めることができませんでした。しかし、適切な状況で、現実的な任務、十分な資源、国際社会の支持、そして当事者の協力が得られれば、平和維持活動は紛争解決と平和維持において、まさに効果的な役割を果たすことができます。


テロと闘う国連

 テロもまた、地球的な協力があってはじめて対処できる問題です。国連はテロに対処するため、法律面、政治面双方での措置を講じています。

  • 政治面では、総会が繰り返し、あらゆる国際テロ行為を非難しています。総会が1997年に採択した「テロ爆撃に対処する国際条約」は、各国がテロ爆撃の被告人の訴追あるいは引渡しを行うことを規定しています。1994年に採択された「国際テロリズムを排除するための措置に関する宣言」は、各国がテロに対して講じるべき国内的・国際的措置をまとめた具体的な行動計画です。
  • 法律面では、国連とその機関が、テロ対策の法的根拠を構成する包括的な国際的合意のネットワークを開発しています。具体的には、航空機内で犯された犯罪(1963年)、ハイジャック(1970年)、民間航空の安全を損う行為(1971年)、外交官に対する犯罪の防止および処罰(1973年)、人質を取る行為(1979年)、核物質の保護(1979年)、海上航行の安全を損う行為(1988年)、国際空港における攻撃(1988年)、プラスチック爆薬の探知目的のための標識付け(1991年)およびテロ爆撃(1997年)に関する条約があげられます。

国連の平和維持活動を統率するのは誰ですか。

 国連の平和維持機能は安全保障理事会の権限下にあるため、活動の統制は国連の役割となっています。事務総長は、安保理の同意を得た上で、活動団長と部隊司令官あるいは軍事監視団長を任命します。活動団長は事務総長に報告を行い、これを受けた事務総長は安全保障理事会に報告を行います。
 各国政府はケース・バイ・ケースで、平和維持活動に軍事・文民警察要員を供出します。各々の政府は、自国の要員に対して究極的な権限を保持します。各国の分遣隊は、それぞれの司令官の下で活動を行います。すべての制服要員は自国の制服を着用しますが、国連平和維持要員である証に、国連の青いヘルメットあるいはベレー帽と、国連のバッジを身に着けています。国連に対する忠誠の誓いは行われません。

国連の平和維持活動には、118カ国が軍事および文民警察要員を提供しています。

危機のさなかでは、国連の組織的な救援活動が一般市民の被災者にとって、生命線となり得ます。


今日、国連の平和維持活動はどれだけ重要ですか。

 1998年後半までに、16件の平和維持活動で約1万4,347人の国連軍事・文民警察要員が展開しています。要員の数は、1993年のピーク時の8万人から、大幅に減少しています。当時は、14件の平和維持活動のうち3件(カンボジア、ソマリアおよび旧ユーゴスラビア)だけで、約6万3,000人が展開し、全体の80%を占めていました。
 これとは対照的に、展開中の平和維持活動の件数そのものは何年もの間、比較的に変動が少なく、どの時点でも14件から17件となっています。その中には、キプロスやジャム・カシミールなど、極めて厄介な性質を有すると見られる紛争において、そのプレゼンスが不可欠と考えられている長期的な活動がいくつか含まれています。1998年には、中央アフリカ共和国とシエラレオネで新たな活動が発足しました。制服要員を自発的に提供している国の数も、75カ国程度で安定しています。国連平和維持活動に軍事・文民警察要員を提供したことがある国は、総計で118カ国程度に上っています。
 今日の国連平和維持活動は、多くの紛争が国内で発生するという世界情勢の変化のニーズに対応を図っています。国連の平和維持要員はますます、和平努力を支援し、内戦と民族紛争の惨禍軽減に貢献するようになっています。さらに、紛争解決への地域機関の関与が広がっていることを反映し、最近の国連活動の中には、これら機関による努力と並行して展開されているものがあります。国連の平和維持要員は、戦争で引き裂かれた社会の再建努力において、国連機関や非政府組織など、その他のパートナーとの協力も深めています。
 国連の平和維持は、国際社会による紛争解決を助ける上で、死活的な役割を果たし続けています。それは引き続き、国際協力の顕著な象徴であると同時に、紛争の平和的解決の媒体となっているのです。


国連は平和維持の効率化のために何をしていますか。

 加盟国、地域機関および国連事務局は、全体的な準備態勢、待機能力、後方支援および訓練の改善を図っています。
 1998年後半までに、国連との待機協定を結ぶ意思を公式に表明した加盟国の数は、80カ国に及んでいます。そのうち61カ国は、活動参加を決定した際に供出できる資源を具体的に示しているほか、20カ国は待機協定に署名を行っています。この枠組みにおいて、ある加盟国グループは「待機部隊緊急対応旅団」を結成し、平和維持活動における各国軍隊の協力能力の拡大を図っています。
 ニューヨークの国連本部では、「状況把握センター」が、すべての平和維持活動と常時、連絡を取り続けています。イタリアのブリンディジにある国連供給・備蓄倉庫は、再利用可能な資産の保管と維持を改善し、調達コストを節約し、新たな活動の展開の迅速化を促進しています。



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