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4. 国連は人権と正義のために何をしているか

国連は人権のために何をしていますか。

 国連の偉大な成果の一つは、すべての国が承認できる包括的な人権法体系を作り上げたことです。国連はまた、人権擁護のための実効的なメカニズムを開発していますが、これにより、世界全体の人々が恩恵を受けています。人権擁護の役割は、継続中の国連改革でも強化され、国連活動の中核的分野の一つとなるとともに、平和維持から開発、さらには人道援助に至る国連のあらゆる活動を結ぶ共通の糸にもなっています。
 国連は多くの方法で人権を推進しています。

  • 国連人権高等弁務官は、各国政府に懸念を表明し、人権侵害の防止に努め、人権の侵害に対応し、特定国における人権侵害を調査します。
  • 国連事務総長と高等弁務官は極秘に、囚人の解放や死刑の減刑など、人権関連の問題に関して各国政府に懸念を表明します。
  • 一定の国連人権条約によれば、人権の侵害を受けた個人が、国内的救済を尽くした上で、国家を相手取った提訴を行うことができます。
  • 個人および人権団体は、高等弁務官事務所に人権侵害を通報し、これを受けた同事務所は、適切な国連の機関および機構にこの情報を伝えます。人権高等弁務官事務所はFAXホットラインを設けて、人権侵害の報告を24時間受け付けています。FAX番号は(41 22) 917 0092です。
  • 国連人権委員会は、世界のあらゆる場所で発生した人権侵害に関し、公開の会合を開く唯一の政府間機関です。委員会は各国の人権遵守状況を審査し、侵害に関する苦情を受け付けています。
  • 国連の専門家は、特定国における人権状況、あるいは、拷問などの広範な違法行為を監視し、人権侵害について国際社会に警鐘を発しています。
  • 人権高等弁務官事務所は、これらすべての活動を援助するほか、各国政府に対し、警察の訓練、法律の起草、刑罰・法律システムの改善などの問題に関する技術援助を提供することにより、その人権遵守責任を全うする手助けも行っています。
  • 多くの平和維持活動には、被災者の人権保護が組み込まれるようになっています。
  • 旧ユーゴスラビアとルワンダにおける犯罪を特定的に取り扱うために設置された国連の2つの国際裁判所は、戦争犯罪者を裁くことに貢献しました。

国連はどのように人権を促進しているのですか

 国連は人権を、あらゆる場所の人々の関心事項とすることに貢献してきました。各国政府がこれを無視することはますます難しくなっています。国連の画期的な活動としては、以下のような例があげられます。

  • 国連は1948年の世界人権宣言、および、1966年の2つの国際人権規約(市民的および政治的権利に関するものと、経済的、社会的および文化的権利に関するもの)から構成される、はじめての地球的な「人権章典」を作り上げました。人権規約により、人権宣言の規定の多くは、各国に対して法的拘束力を持つものとなりました。
  • 国連は政治的、市民的、経済的、社会的および文化的権利を醸成する80件以上の国際条約の交渉を助けています。
  • 国連は、武器禁輸から国際条約に至る持続的な反アパルトヘイト・キャンペーンを通じ、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)体制の終焉に寄与しました。1994年、国連の監視団は体制の移行を援助し、アパルトヘイトに終止符を打った選挙を監視しました。
  • 国連は、女性の権利やすべての民族の開発に対する権利など、重要な権利の普遍的な承認を確保する上で、中心的な役割を果たしています。
  • 国連は、旧ユーゴスラビアとルワンダでの人道に対する罪を裁く国際裁判所を設置したほか、さらに最近では、これらの罪が発生するたびに対処を行うため、常設の国際刑事裁判所を設置しました。

国連は社会的弱者をどのように擁護していますか。

 国連は少数者、移住労働者、先住民、特に困難な状況に置かれた子どもなど、社会的にもっとも弱い人々の擁護者となり、その惨禍の軽減に努めています。国連の主要な人権機関の一つに、少数者の差別防止と保護に関する小委員会があります。同委員会は毎年、会合を開き、全世界の少数者の権利を促進しています。国連を通じて交渉が行われた1989年の「児童の権利に関する条約」と1990年の「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する条約」は、社会的弱者の保護を図るものです。国連機関は、社会的弱者(子ども、女性、少数民族)の権利を保護する条約の遵守を監視し、これを侵害した国々の責任を追及しています。
 国連はまた、社会的弱者に影響する問題に対する地球的な認識を高めるため、国際的なキャンペーンを指揮しています。全世界で3億人を数える先住民のために、国連は「世界の先住民の国際年」(1993年)、および、現在も継続中の「世界の先住民の国際の10年」(1995〜2004)年を制定したほか、先住民の権利に関する宣言の交渉を行っています。武力紛争における子どもを担当する事務総長の特別代表は、30万人と見られる子ども兵士の主たる擁護者となっています。国際労働機関は、子どもの労働を根絶する地球的なプログラムを発足させる一方、国連児童基金は、ストリート・チルドレン、働く子どもおよび紛争状態に置かれた子どもの生活を向上させるプロジェクトを実施しています。

人権高等弁務官事務所は毎年、ほぼ20万件の援助要請を受けています。


国連は男女同権の促進のために何をしていますか。

 国連は変革の先頭に立ち、全世界で女性の権利に対する認識を高めることにより、女性の地位向上に重要な役割を果たしています。

  • 男女同権は、国連憲章と世界人権宣言に謳われており、これによって、男女の平等は基本的人権として法的に確立されています。
  • 国連は女性の権利について国際的な基準を設け、この権利が全世界でどのように尊重されているかを監視する手段を作り出しました。国連が1979年に採択した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」は、女性にとっての国際的な権利章典であるとともに、これらの権利を保障するための各国による活動の青写真ともなっています。これまで160カ国以上がこの条約を批准し、男女の平等を確保することを法的に公約しています。国連の特別な独立専門家委員会は、条約の履行状況を監視しています。
  • 1946年に設置された「国連婦人の地位委員会」は毎年、女性の権利に関する問題について会合を開き、緊急の注意を要する問題に関して勧告を行うとともに、女性の権利を促進するための国際立法を発案しています。
  • 国連は全世界の女性の動員に力を貸しています。女性の権利に注意を集中させるため、国連は1975年を「国際婦人年」に、1976〜1985年を「国連婦人の10年」に指定しました。国連はまた、世界中の女性が一堂に会し、その権利を促進する話合いの場も提供しています。国連は国際婦人年に際し、メキシコシティではじめて、女性に関する地球的な会議を開催しましたが、その後、コペンハーゲン(1980年)、ナイロビ(1985年)および北京(1995年)でも世界会議が開かれています。
  • 国連の2つの機関は、女性問題を専門に取り扱っています。国連婦人開発基金(UNIFEM)は、特に開発途上地域の農村部で、女性に裨益する革新的な開発活動に資金を提供しています。婦人の向上のための国際訓練研修所(INSTRAW)は、訓練、研究および情報提供を通じ、経済、社会および政治分野への女性の十分な参加を支援しています。

国連は100カ国以上の女性の生活を質的に改善するプログラムを実施しています。


国連はどのように民主化を支援していますか

 国連は民主化を支援していますが、その援助を要請する国の数は増えてきています。選挙の準備および実施に際して技術援助を提供することにより、国連は、70カ国を超える国々が民主的プロセスを確立する手助けをしました。国連は1993年、カンボジアでの選挙を組織したほか、ナミビア、ニカラグア、ハイチ、アンゴラ、カンボジア、エルサルバドル、南アフリカ、モザンビークおよびリベリアには、自由で公正な選挙を確保する中立的な監視団を派遣しています。国連はまた、エルサルバドル、モザンビーク、グアテマラなどで、反政府武装集団が政党へと移行する手助けも行っています。
 民主主義を確立するため、国連は各国に対し、政治、司法および行政面で、機能的で責任の取れるプロセスおよび制度を構築・強化する援助を行っています。国連開発計画は議会手続を強化し、人権法を拡張し、司法制度を向上させ、腐敗対策を助けることにより、多くの国々で良い統治を支援しています。


国際刑事裁判所はなぜ必要なのですか。

 国際刑事裁判所はジェノサイド、戦争犯罪および人道に対する罪を取り扱うために創設されました。このような裁判所の設置は長い間、国連の検討事項とはなっていましたが、カンボジア、旧ユーゴスラビアおよびルワンダでの恐ろしい大虐殺が、その緊急性を一層高めました。
 総会が設置した100カ国以上の加盟国が参加する委員会によって起草された裁判所規程は、1998年にローマで開かれた会議において、120カ国による支持を得ました。国際刑事裁判所は、60カ国が規程を批准した段階で誕生することになっています。オランダのハーグに設置される国際刑事裁判所は、9年間の任期で選出される国際的に著名な裁判官18人、および、検察官と捜査官のチームから構成される予定です。裁判所は国連の一部とはならず、規程を批准した国々に対して責任を負うことになります。
 裁判所規程批准国は、このような罪で起訴された者を自国の法律によって裁くか、あるいは、同人を国際刑事裁判所に引き渡し、裁判を受けさせることに同意します。裁判所規程は、根拠のない起訴が行われないことを確保しています。批准国は自らの法廷で第一審を行わなければなりません。国際刑事裁判所が介入できるのは、国内裁判所が審理を行う能力あるいは意志を持っていないときだけです。しかも、検察官は、詳細に定義された国際的基準に基づき、その決定を正当化しなければならないため、政治的な動機のある嫌疑は排除されることになります。さらに、安全保障理事会は、ある起訴が不適切であると判断する場合、これを取り下げさせる権限を持っています。



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