総括 SOC/4619 2002年4月12日 第2回高齢者問題世界会議、マドリード国際行動計画と政治宣言を採択 各国政府は「すべての世代のための社会をめざして」という概念を確認 (国連広報官より受信) マドリード発、2002年4月12日−スペインのマドリードで開催されていた第2回高齢者問題世界会議の閉幕にあたり、世界各国の政府はきょう午後、21世紀における高齢化の機会と挑戦および会議のメインテーマとなった「すべての世代のための社会をめざして」という概念を推進するため国際的な対応に向けた青写真を作り上げました。  世界的な高齢化の速さと規模に対する懸念の高まりを受け、会議が採択した政治宣言およびマドリード国際行動計画2002は、高齢化の挑戦に立ち向かうことを政府に義務づけるとともに、世界の政策立案者に対し、117件の勧告を提示しました。これら一連の勧告は主として、高齢者と開発、高齢に到るまでの健康と福祉の増進および望ましい状況の整備という、3つの優先的方向性を示しています。  第1回高齢者問題世界会議20周年を記念し、第2回会議(マドリードで4月8日から12日まで開催)は、全世界で起こりつつある「人口革命」に取り組むグローバルな努力の一環として、第1回会議の成果を全体的に再検討するものとなりました。第2回会議のねらいは、世界的な人口高齢化という課題を1982年の行動計画からさらに一歩進めるとともに、人口高齢化というグローバルな力とその開発への影響に取り組むことにありました。  この人口学的な挑戦がもっとも大きく、かつ、もっとも急速なものになると見られる開発途上国では、2050年までに、高齢者人口が4倍に増えると予測されています。このため、会議は、貧困の根絶に向けた戦略、および、すべての開発途上国の世界経済への全面的参加を達成する努力との関連で、高齢化を考えることの重要性を認識しました。採択された文書では、高齢化が単なる社会保障と福祉の問題ではなく、全般的な開発と経済戦略の課題であるという新たな認識が促進されました。文書はまた、高齢化に対する肯定的なアプローチを促進し、これと関連づけられる否定的で典型的な考え方を克服する必要性も強調しています。  各国政府は高齢化が国内、国際を問わず、すべての開発課題において基本的な地位を占めるようにすることの必要性を強調し、人間が歳を重ねても、達成感のある生活、健康、安全、ならびに、経済的、社会的、文化的および政治的活動への積極的参加を享受すべきであるとの認識に立ちながら、人権と基本的自由の完全な保護と促進を公約しました。  文書の採択により、会議はまた、健康的なライフスタイル、サービスへのアクセス、社会サービスへの投資、および、高齢者が望む場合には仕事を続けられる権利の確保を通じ、アクティブ・エイジングを支援していく決意も表明しました。さらに、高齢者に対するHIV/AIDSの影響や住宅の供給、また教育および娯楽面でのニーズも重視されました。その他、文書で取り上げられた問題としては、世代間の連帯、および、外国による占領を含む武力紛争状態における高齢者の保護があげられます。  各国政府の代表は宣言の中で、「高齢者の潜在能力は将来の開発に向けた強力な基盤であり、高齢者が率先して自己の向上を図るだけでなく、社会全体の向上にも積極的に参加することにより、社会は高齢者の技能、経験および知恵により多く依存できる」ことを確認しています。  文書の言葉を借りれば、マドリード行動計画実施の主たる責任は政府にありますが、市民社会、民間セクターおよび高齢者自身とのパートナーシップならびに高齢化に関する国際協力も重視されています。国内的・国際的フォローアップの手始めとして、高齢化と高齢者の関心事項を国家開発枠組みの主流に組み入れるべきです。研究と科学技術は、特に開発途上国において、高齢化の個人、社会および健康に対する意味合いに方向性を定めるべきです。  グローバルなレベルでは、国際通貨、金融および貿易システムにおける整合性、統治および一貫性を改善することが急務とされます。行動計画は、開発途上国の債務問題に取り組むための迅速で協調的な行動を求めています。これら諸国が合意された開発目標を達成するためには、政府開発援助(ODA)の大幅な増額が必要です。先進国は、ODAとして国民総生産(GNP)の0.7%を開発途上国に、GNPの0.15%を後発開発途上国に当てるとする目標に向け、具体的な努力を行うよう強く求められています。  スペイン政府のファン・ホセ・ルカス大統領府大臣は、会議の作業を総括し、同会議の議長として高齢者が体現する過去、現在および将来の関連を強調しました。行動計画は単に善意のカタログではなく、開発と貧困対策の枠組みであり、アクティブ・エイジング、世代間の連帯、および、開発途上国への援助の重要性が強調されています。  経済社会担当事務次長のニティン・デサイ氏は、会議では高齢化問題について重要な進展が見られたと述べ、高齢化は問題ではなく、成果だということがはっきりと声高に確認されたとしました。先進国と開発途上国の双方において、今世紀の人口学的課題が確立されたのです。高齢化対策を最優先課題に据えるためには、これと同じ努力が必要となりま す。  主要委員会のフェリペ・パオリジョ委員会(ウルグアイ)も閉会の辞を述べました。カナダ、米国、ノルウェーおよびエジプトの代表は、採択された文書に関し、短いコメントを述べました。  成果文書の採択に先立つ一般的な意見交換では、フィリピンおよびシエラレオネの大臣、ならびに、キルギスタン、リビア、セントキッツ・ネイビス、ポルトガル、イラク、パナマ、ボツワナおよびルワンダの代表が声明を出しました。プエルトリコのオブザーバー、および、スペイン経済社会理事会議長・ダイアローグ2020調整官も発言しました。  本会議での5日間にわたる一般的な意見交換では、173人が演壇に立ちましたが、その内訳は政府代表142人、国連ファミリー代表4人、非政府組織代表17人、政府間機関代表5人、国連政府間機関代表2人、オブザーバー2人(パレスチナとプエルトリコ)、および、バレンシア・フォーラムに関する報告を行った発言者1人でした。会議には4人の首脳、1人の副大統領、および、48人の閣僚が出席しました。 ●一般的な意見交換 ナスローバ・アナラ氏(キルギスタン):キルギスタンでは、国連の開放が経済と社会にマイナスの結果をもたらし、その影響が国民全体に及んでいます。貧困削減のための国家計画と高齢者介護に関する国家計画は採択済みです。わが国では、人口9%が60歳を超えています。ジェンダーの問題は特に深刻で、女性の平均寿命が長いこともさらに問題を複雑化しています。  家族構成は伝統的な3世代型で、家事は女性が担当します。高齢者の健康増進の分野では、医薬品の購入のほか、医師による恒常的なフォローアップにも資金が充当されています。年金の支給は税金で確保されています。高齢者の主たる所得源は年金基金ですが、その額は多くありません。女性は男性よりも5年早く退職できます。国は年金制度の大部分を担当しています。一人暮らしの高齢者を保護するために、食糧や医薬品など、さまざまなサービスが宅配されます。一般的に、この費用は国家予算で賄われますが、民間からの拠出金もあります。  不完全雇用の女性はより多くの苦労を抱え込む傾向にあり、このことは年金受給者のいる世帯に反映されています。在宅ケアを受けている国民は2万6,000人に上ります。高齢者および障害者向けの介護施設もあります。人々の精神的なニーズは単なるお金では充足できません。キルギスタンの高齢者は、家庭で尊敬されています。およそ50歳を過ぎた時点で、人は知識の源泉となり普遍的な尊敬を集めるようになります。   フィリピンのコラソン・フリアノ・ソリマン社会福祉大臣:フィリピンの人口は比較的若いのです。2000年の時点で、高齢者は人口の5.5%を占めています。この割合は2025年までに10.4%に上昇すると見られます。この挑戦の重大性を認識し、私達は高齢者の社会への積極的な貢献を促進しながら、彼らの健康状態を高める上で大きな進歩を遂げてきました。ウィーン行動計画およびアジア太平洋のための高齢化に関するマカオ行動計画(Macao Plan of Action on Ageing for Asia and the Pacific)を指針として、1999年にはフィリピン行動計画が採択されました。この行動計画は、高齢者と家庭、高齢者の社会的地位、健康と栄養、住宅、交通機関および環境、所得保障、社会事業、継続教育、および、高齢者と市場といった諸問題に取り組んでいます。  フィリピンは、家庭における高齢者の役割強化と、世代間の連帯促進に向けて前進を続けています。これまでの進歩にもかかわらず、高齢者社会の「エンパワーメント」を使う必要性、高齢化が社会にもたらす課題と意味合いの理解、個人にとって満足かつ生産的なエイジング・プロセスに向けた国民の準備、伝統的・近代的制度双方に基づくサービス基盤と環境の整備、および、ますます多くの高齢者が必要とする社会サービスの提供という5つの分野は、重要となっています。こうした懸念に対処するため、データベースが開発され、老人医療センターが設立され、インフォーマル・セクターの高齢者など、特定的対象集団の権利と差し迫ったニーズの問題に対する取組みが行われています。  社会・経済開発の恩恵から取り残される国が出ないよう、私達は注意を払わなければなりません。開発途上国をはじめとするすべての国々が、国民の人間としての基本的ニーズを充足できてはじめて、高齢者の生活の質的向上も確保できるのです。私達は、GNPの0.7%というODA目標数値に向けて具体的な努力を行っていない先進国に対し、これを行うよう強く求めます。 アブドゥルハミド・アセイド・ゼンタニ氏(リビア):リビアでは、高齢者が人口の6%しか占めていないのに対し、生産年齢人口は50%を占めています。高齢者介護施設も数多くあります。そのための連帯基金も設立されました。高齢者は老齢年金など、数多くの恩典を享受しています。また、障害年金その他の家族向け手当もあります。さらに、無料の保健サービスや住宅援助も受けられます。高齢者の運賃は半額となっており、住宅ローンの分割払いも免除されます。電気と水道も無料です。  私達はきょうの議題を、単に高齢者数の増加という意味で捉えているわけではありません。人口構成の歪みをもたらした原因を通しても、これを考えています。その主たる要因こそが、家族計画と中絶の奨励です。家族計画と家族数の制限は、個々の社会が、その状況と選択肢にしたがって考えるべき問題であり、既存の解決策の押し付けあるいは導入を通じて行われるべきものではないと私達は信じています。リビアは、敬意をもって高齢者を取り扱うという、その精神的・道徳的価値観を堅持します。 私達はこの機会を利用し、すべてのテロ行為と過激主義、ならびに、一部の国々が遂行しているテロリズムを非難します。私達は占領による犠牲者たちが抵抗する権利を強く支持します。私達はこの関連で、蛮行と虐殺に耐え続けている勇敢なパレスチナの人々のことを考えざるを得ません。私達はイラクに対する禁輸措置の撤回とその領土保全の尊重、および、同国に対する威嚇の停止を求めます。私達はまた、リビアに課せられた措置の終焉およびこれによってわが国が被った物的損失の補償に対する権利を要求します。 シエラレオネのシャーリー・イェマ・ブジャマ社会福祉・ジェンダー・子供問題大臣:わが国の現在の平均寿命はわずか39歳です。よって、高齢化はわが国にとって問題でないように見えるかもしれません。しかし、私は個人的に、わが国にも80歳を超える人々が少なくとも50〜60人いることを知っていますし、80歳から100歳にもなる友人や親類も6人ほどいます。  1984年の「国際高齢者年」を記念し、わが国政府は、高齢者を含む国民に健康管理プログラムを提供するための戦略として「プライマリー・ヘルスケア」政策を採用しました。高齢者の福祉は基本的に、それまでの健康と教育の所産です。よって、若い時からの生涯を通じた健康管理と教育が不可欠です。このプログラムは、高齢者ができる限り長い間、地域の中で社会活動から疎外されたり、切り離されないよう、自らの家族や地域と共に暮らせるようにするものです。  政府は最近になって、初等教育の無償化に向けた措置、および、現役生活から老後への円滑で段階的な移行を確保する社会保障制度を奨励し、これを制度化しました。私達はまた、年金受給開始年齢を55歳から60歳までの範囲で柔軟化しました。義務づけられているのは、雇用主による10%の拠出と、受給者による5%の拠出だけです。これは将来における高齢者の生活水準向上の一助となる見込みです。  壮年期の人々を援助し、高齢になっても生産的でいられるようにしなければなりません。老年期は孤独で悲しい時期となることが多いのですが、それは本来、奉仕と継続的自己開発の時期となるべきです。高齢者の介護を考える際には、個人のニーズと能力には限りがないことに留意すべきです。しかし、健康でかなりアクティブな生活を送る高齢者が直面する問題は、動けなかったり、病気であったり、まったく孤独であったりする高齢者が直面しうる問題とは大きく異なるということだけは確かです。 セントキッツ・ネイビスのロザリン・ハゼル社会開発省事務次官:近代医学の発展と生活水準の向上により、人間の寿命は大きく伸びました。世界の60歳以上の人口は急速に増大しています。各種報告によれば、開発途上地域の中でも、カリブ海地域の高齢者の割合は最高となっています。セントキッツ・ネイビスでは、2000年の時点で、4万2,000人という数少ない人口の中、65歳以上の人々が8.9%を占めています。  グローバル化、および、それがもたらした変革を受け、私達は数件の社会・経済アセスメントを実施しました。製糖業のフィージビリティー・スタディー、および、製糖工場の閉鎖がわが国労働人口の15%に及ぼす影響の調査により、わが国の女性高齢者の多くは、この産業で働く貧困層であることが判明しました。よって、製糖工場の閉鎖は、わが国の高齢者、特に女性に甚大な影響を及ぼすことになります。  私達は、何人も劣悪な栄養状態、あるいは、標準以下の生活条件に甘んじるべきではないと信じています。私達はこの問題に取り組むため、いくつかの社会的セーフティー・ネット計画を策定しました。基本的社会サービスへのアクセスを確保するという私たちの公約に沿い、セントキッツ・ネイビスの高齢者には、処方薬、入院、病理検査および眼科・歯科検診の無料化を含め、普遍的な医療が提供されています。わが国の村落には、保健所と地域保健専門家が戦略的に配置されています。  家族による介護は、高齢者にとって理想的な生き方であり、できる限り奨励、支援してゆくべきです。私達は、移住、家族構成の変化、比較的若い人口構成など、多くの外部要因が伝統的な大家族制度の衰退を助長していることを認識しています。よって、わが国の高齢者向けプログラムは、若者の参加奨励を図っています。 フランシスコ・リベイロ・テレス氏(ポルトガル):2001年国勢調査の暫定的な結果によれば、ポルトガルの住民人口は計1,050万人程度で、うち170万人が65歳以上となっています。高齢者の割合は女性(18.4%)のほうが男性(14.3%)よりも高くなっています。15歳未満の少年100人に対し、65歳以上の高齢者が約103人いる計算になります。  ポルトガルの老齢年金、障害年金および遺族年金制度は、民間の労働者と公務員の双方について、主に公的な性格を有していますが、公認の生命保険会社および年金基金会社が運用する自発的年金基金もその重要性を増しつつあります。低所得高齢者向けの一律給付制度である社会年金もまた、わが国の社会保護システムにおいて重要な存在です。私達は、寿命が延びる中で生活を質的に改善する上で、現役期間を延ばすことが重要であることを意識しています。ポルトガルの年金制度が労働市場に長く留まる労働者を優遇しているのはこのためです。  ポルトガルでは、高齢者が家庭的環境の中で暮らしており、65歳以上の家族がいる世帯は全体の30%を超えています。高齢者のみからなる世帯は15%で、一人暮らしの人々(人口全体の2.5%)も多くなっています。社会サービスの提供における私達の主たる関心は、在宅補助などの支援サービス、デイケアおよびレクリエーション・センターにより、高齢者をできるだけ長い間、その通常の住居と環境に留めておくことにあります。 ファディル・ナジム・アル=ディーン氏(イラク):イラクでは、イスラム教とバース党の原則に基づき、高齢者が国から相応のサービスを受けています。高齢者の尊厳と尊敬を維持し、高齢者に相応の生活を保障するために、多くの法律も制定されました。イラクでは、人間が貴重な存在です。政府は懸命に、そのニーズ充足に努めています。国は高齢者のために社会福祉、交通機関、および、年金などの物的支援を提供していますが、社会組織もまた、家族が高齢者の介護を行うことを可能にしています。子供に高齢者の介護を義務づける立法措置も策定中です。国家高齢者委員会も設置され、高齢者向けサービスの確立に向けた計画とプログラムを検討しています。委員会はまた、社会における高齢者の役割を強調するシンポジウムを開催しています。  国と社会が提供するケアは、イラクに対する継続的な侵略によって大きな打撃を受けています。1990年の安全保障理事会決議661によって課された制裁措置は、20世紀最大の人道的災禍のひとつとなっています。これは(ジェノサイド)罪にあたります。イラクは決議661およびそれ以降の決議による公約をすべて果たしました。にもかかわらず、禁輸措置は続いています。食糧、特に慢性疾患用の薬、および、高齢者用の老眼鏡や車椅子などの物資の深刻な不足により、国民が命を失い、病気が蔓延しています。このため、国が提供するサービスも大きな打撃を受けています。 「食糧のための石油」計画はその目的を達成できていません。その規模は限定的であり、説明のつかない理由により、医療物資購入契約をはじめ、多くの契約が棚上げ状態となっています。イラクの高齢者は、この禁輸措置という不正の犠牲者になっているのです。私は皆様に対し、禁輸措置の撤廃を働きかけるよう求めます。占領下のパレスチナ人民が置かれた状況は言語道断であり、国際法や諸決議にも違反するものです。これは恥ずべきこと以外の何物でもありません。パレスチナ人民が犯した唯一の罪とは、その権利の追求なのです。私達は皆様に対し、この状況に終止符を打つことを求めるとともに、東エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家の樹立を要求します。私達はまた、シリア領ゴラン高原と南レバノンの占領を終焉させるべく、速やかな介入を求めます。 スレマ・スクレ氏(パナマ):数十年間にわたり、私達はわが国の人口構成を重視し、社会福祉の水準を向上させようと努めてきました。さまざまな政治的・法律的機関を通じ、私達は高齢者にとっての生活を向上させるための政策と活動を採用しています。男女の包括的なケアにおいて進展が見られているものの、依然として多くの人々が極貧状態で暮らしています。  高齢化の問題は簡単なものでも、短期的なものでもありません。パナマでは、高齢者を援助する戦略について協議を行い、計画を策定する「国家高齢者協議会」が設置されました。協議会はアクティブ・エイジングを確保するためのプログラムと行動を促進しています。4つの戦略からなる行動計画も策定されました。  第一の戦略は、社会的な保護を確保し、高齢者向けのサービスを改善し、ジェンダーに基づくアプローチにより高齢化問題に関する研究を活性化し、生涯学習を保障する教育サービスを強化するような、高齢化に関する長期的政策を策定することにあります。第二の戦略は、現行の政策の見直しと分析を通じ、高齢者の自立と意思決定能力を確保するようなアプローチを作り上げることです。高齢者組織の奨励も、その全体的な発展への鍵を握っています。  第三の戦略は、現行の保健プログラムの見直しを通じ、保健と予防を重視しながら、高齢に到るまでの健康と福祉を改善することです。私達は、家庭と地域社会における保健と衛生の改善を中心に据えています。この計画では、家族の役割強化が意図されています。第四の戦略は、建築上のバリアをなくし、訓練プログラムを実施し、特に年金を受給していない高齢者に最低限の金銭的安定を確保する公共政策を通じ、高齢者にとって住みやすい環境の確保を図ることにあります。 ポリレ・レグワイラ氏(ボツワナ):私は、高齢者が尊敬に値する経験と知恵を備えた先輩の市民として捉えられているとする数人の代表の意見に同意します。特に開発途上国では、年金制度が充実していないため、高齢者の労働市場への参加を奨励する必要があります。高齢者はほとんどの場合、まだ元気なうちに正規の職を離れ、退職するよう助言あるいは指示を受けていますが、これは破滅的な結果をもたらす可能性があります。  現在のところ、ボツワナには高齢者を対象とした特定的な政策はありませんが、社会的プログラムは存在しています。貧困層向けプログラムにより、所得のない高齢者は手当を受給できます。診療所も補助食品を提供するほか、健康管理は事実上、無料となっています。もうひとつの政府プログラムとして、老齢年金制度があげられます。ボツワナを含め、南部アフリカのほとんどの国々では、HIV/エイズによって青年層の半数以上が死亡すると見られています。事実、わが国でも青年層の過半数がこの病気で死亡しており、高齢者が孫の面倒を見なければならなくなっていますが、その負担は主に女性高齢者の肩にのしかかっています。  他の開発途上国と同様、多くの高齢者が生存農業活動に携わっていることから、高齢化のプロセスは家庭の食糧安全保障にも脅威をもたらしています。まさにこれらの高齢者がエイズによって死んでゆく子供たちの面倒を見なければならないため、家庭に食糧を供給できなくなっているのです。1966年の独立以来、平均寿命は47歳から67歳へと延びましたが、HIV/エイズにより、これは2020年までに再び47歳へと縮まる見込みです。移住もまた、ボツワナにおける人口高齢化に影響しています。家族の中でも若い人々が、雇用と学校教育の機会を求めて移住するからです。このこともまた、特に農村部においては高齢者が育児の責任を負わなければならない一因となっています。 ンサンザバガンワ・ストラトン氏(ルワンダ):私達は、高齢化があらゆる年齢層にかかわることを強調したいと思います。私達は、すべての世代が協力して恒久的な人間開発に努められる社会の構築に専心しています。  ルワンダはその再建努力において、高齢者のための高齢化に関する国家政策の策定を公約しました。その主たる目標は、すべての社会階層が加齢に備える手助けを行うこと、および、高齢者が他の年齢層と同じ権利を享受できるようにすることの2つです。わが国の地方自治体および社会問題省では、高齢者の特定的ニーズに対する認識を向上させ、高齢者を保護する機構を作り上げ、弱者集団を援助する有能なソーシャル・ワーカーを養成し、すべての人々を社会保障の対象とするためのプログラムを策定しました。  特に後発開発途上国において、高齢化の問題は、貧困の軽減を基本とする持続可能な人間開発プログラムに統合しなければなりません。国際社会からの援助なくして、これら問題の解決策を見出せる国はありません。私達は、国連が「児童の権利に関する条約」をモデルとして、高齢者を特定的に対象とした国際法枠組みを設定するとともに、国連児童基金(UNICEF)をモデルとする高齢者のための国際機関を創設することを提案します。 プエルトリコのオブザーバー、ロサナ・ロペス氏:プエルトリコ自由連合国では、2000年の時点で、人口の15.4%が60歳以上となっています。2010年には、この割合が17%になると見られます。高齢化が進む世界の開発を持続させることは、貧困層に栄養・経済面での援助を提供する社会システムと密接に関連しています。私達は、高齢者の貧困に取り組む戦略を採用しました。  高齢者の数が急増していることから、私達は、生産的な老後を奨励する戦略を採用することにより、依存に対処せざるを得なくなりました。依存を回避するための戦略には、ボランティア活動も絡んできます。これに関連するデータベースも整備中です。人口構造の変化は世代の衝突をもたらします。よって、世代間連帯プログラムの促進も重要となります。わが国はまた、中等学校の学生向けに高齢化に関する学校カリキュラムを作成し、高齢者に対するイメージを変えようとしています。これは、高齢者を援助するための予算規制を定める立法措置と連動することになります。  高齢者の福祉は健康によっても左右されます。この関連で、予防保健戦略に関する作業を含め、健康管理面での革命が起こっています。この戦略は、利用とアクセスの可能性を考慮しなければなりません。高齢者の福祉に対する関心は、予防接種、HIV/エイズ教育、保健診療所、栄養教育その他のプログラムをもたらしました。しかし、老人医療分野での保健サービスに対するアクセスが限られていることが制約となっています。これに対する取組みは、輸送プログラムを通じて行われています。 ハイメ・モンタルボ・コレア氏(スペイン)、経済社会理事会議長兼ダイアローグ2020調整官:人口高齢化は現代社会を特徴づける根本的事実であり、あらゆる分野での課題を生み出し、あらゆる人々の参加を必要としています。ダイアローグ2020は、高齢化に関するさまざまな対話を進めていますが、私はこれらの対話を取りまとめてお話したいと思います。  長寿化は私達の社会の大きな成果です。みんなが高齢化のアクティブ・モデルを構築するために協力していかなければなりません。医療費が増大する中で、高齢者により多くの資源をゆだねることが必要となるでしょう。「21世紀のための高齢化研究機関」は、高齢化問題の焦点を定める上での優先課題の概略を提示しました。その中には、貧困と健康の関係、社会・経済と高齢化との連関、あらゆる世代にとっての依存と差別を減らす可能性、および、社会的保護が含まれています。  高齢化問題の解決策を探る上で、公共セクターは民間と協力しなければなりません。また、高齢化対策は市民社会および現場の非政府組織との密接な協力により策定しなければなりません。プロダクティブ・エイジングは、特に対外債務などの状況がその実現を困難にしている開発途上国において、経済上の問題となることがあります。  高齢者はその権利の確立において、積極的な役割を演じなければなりません。私達は老後に対する社会的な考え方を変えなければなりません。すべての世代のための社会は、完全に独立した市民としての高齢者の地位を維持するため、あらゆる集団にとって健康的で、機能的で、魅力ある環境を整備しなければなりません。家族は正規の支援の主力として、不可欠な制度でありつづけなければなりません。 ●採決  会議はその上で、文書A/CONF.197/6に含まれる信任状委員会の報告書を検討し、これを承認する「会議代表の信任状」と題する決議案を無投票で採択しました。  会議は、主要委員会が政治宣言および高齢化に関する2002年国際行動計画の採択を勧告した文書A/CONF.197/8およびA/CONF.197/MC/L.2に含まれる主要委員会の報告書を検討しました。  主要委員会報告者のイバナ・グロロバ氏(チェコ共和国)は、行動計画と政治宣言の最終案作成のため、主要委員会が2つの作業グループ別に数多くの非公式協議を行ったと述べました。同氏はその上で、A/CONF.197/MC/L.1の補遺5および8にある修正を含め、報告書のいくつかの変更点を指摘しました。上記の箇所には、「緩和ケア」という用語には世界保健機関(WHO)による定義を示す脚注があるべきだという指摘も含まれました。同氏はさらに、報告書補遺における細かい修正点を指摘しました。 エジプト代表は誤植を指摘しました。上記脚注の文頭は「WHOに基づく緩和ケアの定義は…」とすべきところでした。 報告者はこの修正を受け入れました。  会議はその上で、口頭での修正を経た政治宣言および高齢化に関する国際行動計画2002を無投票で採択しました。 ●声明  カナダ代表は、国際行動計画と政治宣言の内容をともに歓迎し、各国が人口高齢化の挑戦に立ち向かう体制を整える上で、これらが極めて有用となろうと述べました。しかし、同氏は、発展への権利、および、国内避難民の状況について、2点のコメントを希望しました。  同氏によれば、カナダは、他の権利と相互に関連する意味で、開発への権利を支持しているものの、この権利は他の権利に変わるものでもなければ、それらに優先するものでもありません。同氏は、文書の中で高齢化問題が優先されていることに疑問を抱きました。  カナダ代表はまた、国内避難民に関する文言が、これら避難民の援助のためにとりうる行動を十分に明言していないことを遺憾とし、国内避難民もまた援助を必要とするもっとも脆弱な集団であることを指摘しました。同氏は、国内避難民に関する指針となる原則について合意が得られなかったことを遺憾とし、国連フォーラムがこのように一貫性を欠いていれば、国連による整合性のある政策とプログラムの開発は妨げられるだろうと述べました。  米国代表団は、全世界の高齢を迎えつつある人々のニーズに取り組むという同国政府の政治的公約が反映されているという点で、文書の採択を喜ばしく思うと述べました。しかし、米国は、国内避難民に関する行動計画の文言が、昨年中のその他あらゆるフォーラムでコンセンサスにより合意された文言を反映していない点を遺憾としました。行動計画では、国家当局の自国民に対する責任、および、国際社会が担いうる支援的役割の双方を含め、高齢の国内避難民を援助するために取りうる行動を定めるべきであったとのことでした。人道援助が支障なく提供されることが死活的に重要でした。米国代表は、国内避難民に関する段落にある「国連決議」という語が、最近のコンセンサスによる総会決議56/104に言及しているものと解釈しました。  同氏はまた、米国の理解によれば、知的所有権の保護と医薬品へのアクセスに関し、ドーハ宣言から抜粋された行動計画の文言が、世界貿易機関(WTO)に加盟する政府のみに適用されることを強調しました。  主要委員会のフェリペ・パオリジョ委員長(ウルグアイ)は、会議の成果に満足しているとしながらも、この決定が個人の加齢と世界的な高齢化に対処する上での新しい段階を示していることから、ただ喜んでばかりもいられないと述べました。文書は交渉プロセスの成果を示すものです。これからは、決定を実効的に履行するプロセスに着手し、世界中の高齢者の状況を改善することが必要です。同氏は、決定の実施が政府、国際機関および市民社会の協調的行動によって達成されることに期待を表明し、文書の起草プロセスに参加した人々のほとんどが、より若い世代に属していたことの意義は大きいとしました。有意義な計画の策定が不可欠でしたが、同氏は起草プロセスにおいて、高齢者問題に対する関心の高さを確認できたと述べました。  ノルウェー代表は、再び行動計画の問題について触れたいとした上で、国内避難民に関する段落に関する限り、この問題に関する最近の総会決議への言及が含まれていると発言。同決議には国内避難民問題に関する重要な指針が盛り込まれており、この点で参考とすべきだと述べました。  終わりに、ベネズエラ(開発途上国の「77カ国グループ」および中国に代わり)、スペイン(欧州連合に代わり)、バーレーン、アンゴラ(アフリカ・グループに代わり)およびベナン(後発開発途上国に代わり)の代表は、短い謝辞を述べました。 ●採決  会議はその上で、文書A/CONF.197/L.2に含まれる会議報告書を審議しました。報告書を提示した総括報告者のアントワンヌ・ミフスッド・ボニチ氏(マルタ)は、報告書の技術的遺漏をいくつか指摘しました。  会議は報告書案を採択するとともに、総括報告者に対し、事務局と協力して報告書の最終案文を策定する権限を与えました。  会議はその上で、77カ国グループおよび中国に代わり、ベネズエラ代表が提示した文書A/CONF.197/L.3に含まれる決議案の審議に移りました。「スペインの国民と政府に対する謝意の表明」と題する同決議案で、会議は、第2回高齢者問題世界会議の議長として、同会議の成功に顕著な貢献を行ったスペインのホセ・マリア・アスナール首相に対し、深い感謝の意を表明しました。決議はまた、会議に優れた施設、サービスおよびスタッフを提供したスペイン政府に対しても、深い感謝の意を表明しました。この決議により、会議は、高齢化に関する国際行動計画を「高齢化に関するマドリード国際行動計画」と称すべきことを決定しました。  会議はその上で、決議案を無投票で採択しました。  国連のニティン・デサイ経済社会担当事務次長は、会議の成果が高齢化問題に関する重要な前進を示すものだと発言しました。高齢化は問題ではなく、成果なのだということが、はっきりと声高に宣言されたと述べました。先進国・途上国双方において、今世紀の人口学的課題が設定されたのです。同氏によれば、高齢化対策を最優先課題とするためには、同じ努力が必要となります。  デサイ氏は、開発途上国が高齢化を極めて重視しているものの、これは開発との関係の中で捉えなければならないことを指摘しました。会議はあらゆる政策分野における高齢化のメインストリーミングを重視するとともに、HIV/エイズなどの悲劇的状況においても、年齢の問題を強調しました。同氏は、これらがすべて死活的に重要な前進だとしました。  行動のための強力かつ重要なプログラムが策定されました。これらは高齢化問題を抱える開発途上国を援助する意欲が明確に表れました。デサイ氏は、非政府組織が各国政府に対し、高齢化問題を中心的に掘り下げて検討するよう働きかけを続けることに、行動計画の実施を確保するための、「年長者の監視(senior watch)」が必要だと述べました。 ●閉会  ルカス・ヒメネス氏(スペイン)は、会議の議長と言う立場からすべての代表の出席と努力に感謝しました。同氏は開会にあたり、高齢者が体現する過去、現在および将来のつながりの重要性が取り上げられたことに言及しました。加齢は避けられないことで、それ自体が問題なのではなく、親切心と敬意をもって高齢者の生活を容易にできることこそが問題だと述べました。  同氏は、能力が衰え、社会での役割が失われる高齢期は、望ましくない状況だと考えられることが多いと発言しました。こうした高齢化のイメージを変えることが不可欠だとした上で、高齢者に必要なサービスを提供することも課題であると述べました。究極的な課題は、万人のニーズを考慮しながら、すべての世代のための社会を作り上げることにあります。会期中には行動計画の採択が課題となりましたが、この計画は、開発と貧困対策の枠組みに高齢化を組み入れ、アクティブ・エイジングと世代間の連帯の重要性および開発途上国援助の必要性を強調するものとなりました。  閉会にあたり、議長は、提起された問題に対する解決策の模索を続けたすべての人々に感謝するとともに、会議に対し、会議に参加できて光栄に思うとするアスナール大統領のメッセージを伝えました。 ●成果文書の要旨 ・国際行動計画  高齢化に関する国際行動計画2002(文書A/CONF.197/3/Add.2、補遺3、5および8により修正)は、21世紀における高齢化の巨大な潜在能力を発揮させるため、すべての部門における態度、政策および実践の変革を求めています。その文言によれば、すべての高齢者は安全と尊厳の中で歳をとり、かつ、完全な権利を有する市民として社会に参加しつづけられるべきです。  計画のねらいは、高齢者がその人権をすべて実現し、安全で貧困のない加齢を達成し、経済的、政治的および社会的活動に全面的に参加し、かつ、老後に発展の機会を持てるようにすることにあります。計画はまた、高齢者に対する暴力と差別の廃絶、男女の平等、家族の死活的重要性、健康管理、および、高齢者の社会的保護も重視しています。  行動計画実施の主たる責任は政府にありますが、政府、市民社会、民間セクターおよび高齢者自身とのパートナーシップも強調されています。計画を実施に移すための具体的行動は、高齢者と開発、高齢に到るまでの健康と福祉の増進、および、望ましい状況の整備という、3つの優先課題に従って定められました。  第一の優先課題(高齢者と開発)は、高齢者の継続的な統合とエンパワーメントを確保することにより、社会、開発および労働力へのその積極的な参加を可能にするための緊急の行動を求める8つの問題に重点を置いています。政府は、意思決定への高齢者の関与、働く意欲がある者に対する雇用機会の創出、および、農村部における生活条件とインフラの改善を重視すべきです。政府はまた、農村部および高齢者全般の貧困を緩和し、高齢の移住者を新しい地域社会に統合し、平等な教育と訓練の機会を創出すべきです。  この優先課題はまた、政府に対し、高齢労働者の訓練へのアクセスを促進する政策の実施も強く求めています。2015年を期限に、成人、特に女性の識字率を50%改善すること、および、すべての成人に基礎教育と継続教育への公平なアクセスを確保することという目標が設定されています。その他、開発に関する優先課題に基づく勧告としては、世代間の連帯を強化すること、および、すべての高齢者に十分な最低所得を確保することが挙げられれます。緊急事態において、高齢者は食糧、避難所、医療およびその他のサービスに対し、平等のアクセスを有するべきです。政府はさらに、武力紛争および外国からの占領状態において、このような事態で障害を負った人々に対する精神的・身体的リハビリ・サービスの提供を含め、高齢者を保護、援助する具体的な措置を講じるよう強く求められています。  第二の優先課題(高齢に到るまでの健康と福祉の増進)において、政府は、高齢期に病気と依存を増大させる要因の影響を軽減し、不健康状態を防止する政策を開発し、食糧と十分な栄養を供給するよう取り計らわれるべきとされています。高齢者のニーズと考え方は、保健政策の形成に統合されるべきです。政府はまた、年齢、性別あるいはその他の理由による社会的・経済的不平等をなくし、プライマリー・ヘルスケア・サービスを開発、強化し、初期治療および長期的介護サービスを強化するよう努めるべきです。  また、この保健に関する優先課題において、政府は、健康増進と病気の予防から、高齢者に対する初期治療と急患治療の提供に至るまで、幅広いケアを提供するよう強く求められています。さらに、苦痛の多い、あるいは、不治の病に苦しむ高齢者への緩和ケアの提供を含め、長期的健康管理と社会サービスの改善に対する支援も求められています。政府は、包括的な健康管理への緩和ケアの統合を確保し、緩和ケアに関する訓練基準を開発し、緩和ケアに関するすべてのサービス提供者に学際的アプローチを促すよう努めるべきです。  その他、保健に関する優先課題に基づく勧告としては、特に開発途上国における高齢者の健康に対するHIV/エイズの影響の評価を改善すること、および、高齢のHIV感染者とエイズ患者、および、その介護者に対し、十分な情報と訓練を提供することがあげられます。包括的な精神衛生ケア・サービスを開発し、治療サービスを提供するとともに、障害を持つ高齢者が社会に全面的に参加できるようにすべきです。  第三の優先課題(望ましい環境の整備)は、高齢者の住宅・生活環境の改善、加齢に対する肯定的な考え方の促進、および、高齢者の重要な貢献に対する世論の認識向上のための勧告を強く求めるものです。また、高齢者にとって物理的・金銭的に利用可能な交通機関の整備、高齢者向けの幅広いケアとサービスの提供、ケア提供者としての高齢者の役割支援、および、高齢者虐待に対処する支援サービスの創設についても、取組みが行われています。  行動計画の最後の部分では、十分な実施とフォローアップをねらいとする国内的・国際的措置が述べられています。ここでは、高齢化および高齢者の関心事項を国家開発の枠組みと貧困根絶戦略の主流に組み入れることが、実施に向けて不可欠な第一歩であろうと指摘されています。また、行動計画の実施、評価および見直しを図る政府の努力を支援する上で、非政府組織が死活的に重要であることも強調されています。特に開発途上国において、研究と科学技術は、高齢化で保つ個人、社会および保健に対する意味合いに目を向けるべきです。  グローバルなレベルでは、国際通貨、金融および貿易システムにおいて、一貫性、統治および整合性の改善が急務とされています。行動計画は、開発途上国の債務問題に取り組むため、迅速な協調的行動を求めています。これらの国々が合意された開発目標を達成するためには、ODAの大幅な増額が必要です。先進国は、GNPの0.7%を開発途上国に対するODAに、GNPの0.15%を後発開発途上国に対するODAに充当するという目標に向け、具体的な努力を行うよう強く求められています。 ・政治宣言  政治宣言(文書A/CONF.197/3/Add.1、Add.4ならびにA/CONF.197/MC/L.1/Add.1、4、6および7により修正)は、各国で国際行動計画の全面実施を図る上で、協力の強化が不可欠であることを強調しています。宣言は国際社会に対し、あらゆる関係者間の協力をさらに促進することを奨励しています。世界が直面している未曾有の人口学的変容は、すべての社会に対し、高齢者にとっての機会増大を促進するという課題を投げかけているとの認識に立ち、各国政府は、高齢者の尊厳に対する認識を高め、あらゆる形態の放置、虐待および暴力を廃絶する決意を表明しました。  各国政府はまた、民主主義を促進し、法の支配を強化し、男女平等を促進し、人権と基本的自由を全面的に保護、促進するとともに、人間は歳をとる中でも、達成感のある生活、健康、安全、ならびに、自らの社会における経済的、社会的、文化的および政治的活動への積極的参加を享受すべきだという認識に立ち、年齢による差別を含むあらゆる形態の差別を撤廃するため、いかなる努力も惜しまないことを公約しました。政府はさらに、武力紛争および占領下における高齢者の保護と援助も公約しました。  男女双方にこれら機会を活用する力を与え、歳をとる中でも質の高い生活を実現し、その支援システムの持続可能性を確保することにより、すべての世代のための社会を目指す基盤を作り上げるためには、協調的な行動が必要とされました。  政治宣言は、後発開発途上国をはじめとする開発途上国、および、経済体制移行国にとって、グローバル経済への一層の統合と全面的参加には、大きな障害が残っていることを指摘しています。社会・経済開発の恩恵がすべての国々に及ばない限り、高齢者をはじめとするますます多くの人々が全世界で、グローバル経済から取り残されたままとなるでしょう。このことに留意し、各国政府は、開発課題および貧困根絶のための戦略において、また、あらゆる開発途上国のグローバル経済への全面的参加の達成を図る上で、高齢化を考慮することの重要性を認識しました。  各国政府は、高齢化を社会的・経済的戦略、政策および行動に組み入れる必要性を強調した上で、各国の事情に応じ、具体的な政策は異なるだろうとの認識を示しました。政府はまた、男女高齢者のニーズと経験を考慮するため、すべての政策とプログラムの主流にジェンダーの見地を組み入れる必要性も認識しました。  高齢化に関連する課題に取り組むため、政治宣言はまた、年齢にまつわる事項に関する国際的な調査の重要性、教育と訓練プログラムへのアクセス、高齢者のエンパワーメントおよび高齢者が希望する限り仕事を続けられる機会を創出する必要性も強調しています。各国政府は、世代間の連帯と世代間のパートナーシップを強化し、世代間の双方向的関係を奨励する必要性も認識しています。  宣言はさらに、高齢化問題および行動計画の実施において指導力を発揮する責任が主として政府にあることを強調しつつも、国と地方自治体、国際機関、高齢者自身とその団体および他の市民社会団体、ならびに、民間セクターの間の実効的な協働が不可欠だと指摘しています。よって、行動計画の実施には、職業団体、企業、労働者、協同組合、研究・学術その他の教育・宗教機関ならびにメディアを含め、多くの利害関係者のパートナーシップと関与が必要となります。各国政府はまた、行動計画の実施、フォローアップおよび国内でのモニタリングにおいて、要請に応じて政府を援助する国連の重要な役割も強調しました。  各国政府代表は、「高齢者の潜在能力は将来の開発に向けた強力な基盤であり、高齢者が率先して自己の向上を図るだけでなく、社会全体の向上にも積極的に参加することにより、社会はその技能、経験および知恵により多く依存できる」ことを確認しました。 高齢者の詳しい情報については、会議のウェブサイト(www.un.org/ageing)をご覧ください。