世界人権会議 ウィーン宣言および行動計画 1993年6月 国連事務総長ブトロス・ブトロス=ガーリによる開会の辞を収録 ●内容 1---序文 5---人権   人類の共通言語   国連事務総長による開会の辞 25---※世界人権会議が採択したウィーン宣言および行動計画 ※この小冊子では、自由人権協会が作成された日本語訳を使用させていただきました。 ●序文 ○世界人権会議 ウィーン(オーストリア)、1993年6月14〜25日  1993年6月25日、世界171カ国の代表は、世界人権会議のウィーン宣言および行動計画をコンセンスで採択した。こうして2週間にわたる世界会議は成功裡に終了し、全世界の人権を促進するための共通のプランを国際社会に提示した。  同会議の特筆すべき点は、各国政府代表や国際人権関係界から先例のないほど広範な参加が見られたことである。学者、交渉団体、国内機関、そして800以上もの非政府機関(NGO)――その3分の2は草の根レベルの代表――など約7,000人の参加者がウィーンに集まり、各自の経験を検討し、経験を共有することによって成果を得た。  ブトロス・ブトロス=ガーリ国連事務総長は、同会議へのメッセージにおいて、各国代表に対し、ウィーン宣言および行動計画を採択することによって、人権の促進と保護に関する国際社会の確約を新たに認めたことになると語った。また、同会議は「来世紀に向けての人権のための世界的行動についての新たなビジョン」を生み出したと賛えた。  ウィーン宣言および行動計画は、この小冊子に全文が収められているが、世界における人権機構の現状に関する長年にわたる検討と論議の蓄積にほかならない。また、1948年以降、世界人権宣言の基礎を苦心して築いてきた人権文書の総体を強化し、さらなる実施を促すという新たな努力が始まったことを示している。  最終本会議に提出した文書において、イブラヒマ・フォール同会議事務局長は、ウィーン宣言は国際社会に対し、「立案、対話および協力の新たな枠組み」をもたらすものであり、その枠組みが人権促進への全体論的アプローチを可能にし、あらゆるレベル、すなわち国際的、および地方的なレベルのアクターを関与させるであろうと述べた。  1989年に国連総会は、世界人権宣言の採択から現在までの人権分野における前進を検討・評価し、障壁やその克服方法を確認するために世界会議を開催することを要求した。人権に関する初の世界規模の会議は、1968年にテヘランで開かれた国際人権会議である。  会議のアジェンダは1992年の第47会国連総会で定められ、これには開発、民主主義および経済的・社会的・市民的・政府的権利の結びつきに関する検討や、国連の人権活動のために充分な財政的および、その他の資源を確保する方法について勧告するために、国連の方法および機構の有効性についての評価が含まれていた。  準備委員会は合計で4回開かれたが、1991年9月にジュネーブで開かれた第1回目の会合で、すでに、これらは国家の主権、普遍性、非政府機関の役割や、新規または強化された人権文書の実行可能性および公正性に関して、多くの困難で時には不和を生ずる問題を提起することが明らかであった。  これらの問題や、その他多くの問題に関して共通の基盤の模索を特徴づけたのは各国政府、数十の国連機関、専門機関および、その他の政府間機関、そして人権と開発に関する全世界の数千ものNGOとの間の集中的な対話である。  準備過程には、三つの主要な地域会議、すなわちチュニス、サンホセ、バンコクで開かれた会議が含まれており、これらの地域会議は、アフリカ地域、ラテンアメリカ・カリブ海地域、アジア太平洋地域の関心事および視点を概説する宣言を作成した。さらに、欧州や北米における非公式会議と、広範な各界代表による世界中の多数の衛生会議は、きわめて貴重な貢献をした。5月に開かれた最終会合では、準備委員会は会期を延長し、最終文書草案を作成した。これによって、ウィーンでオーストリア政府が招請する会議に関する作業と最終交渉が始められたのである。  ウィーンで合意された最終文書には、第48回国連総会で承認された(1993年の決議48/121)。これは、過去45年間に進化してきた原則を再確認し、人権分野における一層の前進のための基礎をさらに強化している。例えば民主主義、開発および人権の間の相互依存に対する認識は、開発の権利を含むあらゆる人権の促進における国際組織および国内機関による将来的協力のために道を開くものである。  同様に、同会議は、女性、子どもおよび先住民の権利を促進・保護するために歴史的な新しい措置を講じた。それは新たな組織である女性に対する暴力に関する特別報告書(Special Rappoteur on Violence against Women)の設立を支援することと、1995年までに児童の権利に関する条約の世界的な批准を要請すること、世界の先住民の国際の十年を国連総会が宣言するよう勧告することであった。その結果、国連総会はこの勧告を実施に移した。  ウィーン宣言はまた、国連システムの監視能力の強化・統一を求める具体的勧告を行った。これに関して、同宣言は、国連総会が人権高等弁務官を設置するよう勧告し、総会はこれを受け、1993年12月20日にこのポストを設けた(決議48/141)。ホセ・アヤラ・ラッソが国連事務総長によって初代人権高等弁務官に指名され、1994年4月5日に就任した。  ウィーン宣言はさらに、他の人権文書を速やかに批准する必要性と、同会議の事務局を務めた人権センターのために資源を追加する必要性について強調している。  フォール会議事務局長は、同会議の閉会の辞において、「この宣言を採択することにより、国連加盟国は人権と基本的自由を尊重し、人権があらゆる人々に実際に享受されるようにするために個人的に行動と計画を実行することをおごそかに誓約した」と述べた。  この小冊子には、ウィーン宣言および行動計画の全文に加え、6月14日にブトロス・ブトロス=ガーリ国連事務総長が行った世界人権会議の開会の辞を収録してある。この開会の辞において、事務総長は、25年前に初めて開かれた人権に関する初の世界規模の会議の歴史的文脈と、最終文書が扱うべき差し迫った必要性について語った。 ●人権:人類の共通言語  以下は、ブトロス・ブトロス=ガーリ国連事務総長が1993年6月14日にウィーンの世界人権会議の開会の式で行った演説である。  本日、ウィーンで開催する世界人権会議は、すべての国が世界から注目されていることを自覚する、稀有にして明確な瞬間のひとつと言えましょう。  私たちが行う討論と私たちが彼らに代わって行う決定において自らの存在を認めたいと願う数十億もの男女から注目されているのです。また、人間としての尊厳が認められなかったり、嘲られたりするがために、今でも肉体的および精神的に苦しめられている全男女から亜注目されているのです。そして、この重大事に私たちが集まっているとおり、それは歴史が注目するところなのです。  1989年に国連総会が、事務総長に対し、世界人権会議の開催の適切性に関して各国政府や国連機関の意見を求めるように要請したとき、それは目覚ましい歴史的直観を示すものでした。  その二カ月前にベルリンの壁が崩壊しており、それと共に世界のあらゆる種類のビジョンは消え去り、それによって新たな視点が開けました。世界中の人々が声高に発言したのは、自由、民主主義、そして人権の名においてでありました。彼らの自制――時には彼らの犠牲――は、当時も今も孤立と全体主義の取り除くという誓約を反映しています。  このようにして、本日の会議の準備は歴史の印象的な高揚と歩調を合わせて行われました。  これらの出来事の同時発生を、単なる偶然の結果と見なすべきではありません。基本的な基準点が最も頼りになり、倫理の希求がより必要に迫られ、自己の理解を達成しようとする意志が不可欠になるのは、常に、世界が大変貌を遂げる時、確実性がくずれる時、そして境界が不鮮明になる時なのです。  したがって、国際社会が今日、自らの価値観に焦点をあてる必要性を感じ、また、その歴史を反映して、何が最も内的なアイデンティティを構成するかを自問していること――言い換えれば、人間性に関する問いと、人間性を保護することによっていかにしてそれ自体を保護するかに関する問いを発すること――は、当然でありましょう。  この会議の目標は、以下の主な問いかけをまさしく反映しています。  1948年の世界人権宣言以降、人権分野でどのような進歩がみられたか。  何が障害であり、いかにしてその障害を克服できるか。  いかにして人権文書の実施を促進できるか。  国際連合によって定められた方法と機構は、どれほど有効か。  国際連合の人権促進活動に対し、どのような財政的資源が割り当てられるべきか。  より深いレベルで、開発と経済的・社会的・文化的・市民的・政治的権利の享受との関連性をふくめ国連が追求する目標と人権の関連性とはどのようなものか。  これらは普遍的な問いかけですが、いずれの問いにも、唯一の答えは存在しません。人権は国際社会のメンバーすべてに共通のものであり、国際社会の各メンバーが人権において自らを認識する一方、それを実施するためのそれぞれの特別な方法は各文化時代に備っているのです。これに関連して他の国にこの現実を想い起こさせている国連加盟国は大いに感謝されるべきでありましょう。  ただし、この想起は、不毛な誤解ではなく、肯定的な反省の源泉でなければなりません。  実のところ、人権は、世界的レベルで眺めれば、これまでで最も難しい弁証法的な対立を私たちに突きつけています。すなわち、「アイデンティティー」と「他者性」の対立、「自分自身」「他人」の対立であります。これは、私たちは同じであり、同時に違っていることを直接的かつ率直に教えてくれるのです。  そういうわけで、私たちが宣言し、保護を求める人権は、私たちが自己を超越した場合にかぎり、また、私たちの明らかな区別、一時的な差異、イデオロギー的および文化的な障害を越えて共通の本質を見出すための明確な努力を払った場合にかぎり、確立することができます。  要するに、私がここではっきり述べたいのは私たちがここウィーンで討論しようとしている人権は、全加盟国の共通最小分母ではないということです。人権を「それ以上は約せない人権構成要素」、言い換えれば私たちがひとつの人類社会であることを共に確認するための本質的価値観と評したいのです。  私は、われわれの作業の性質を過小評価したくはありません。そのような分野においては、用心深い妥協や大まかな解決策を追求したり、慰めの宣言に甘んじたり、さらに悪いことに、口論の泥沼にはまりこんでいる暇はないのです。それどころか、われわれは人権を真に普遍的なものにするような人権の構想を目指さなければなりません。そこに、われわれの努力の課題があります。そこに、われわれの作業があります。そこで、この会議の将来的な評価がなされます。  これに関する討論の複雑さを認識することが、討論方法を編み出すための第一歩となります。われわれは幻想を抱くべきではありません。人権に関する討論は、複雑な問題がつきまといます。人権は、絶対的な尺度としてばかりか、長い歴史過程から生じた総合体として眺めるべきです。  絶対的な尺度として、人権は人類の共通言語となります。この言語を採用することによって、あらゆる人々が理解し合い、自らの歴史の著者になることができるのです。人権は、その定義により、あらゆる政治の究極の規範なのです。  歴史的総合体として、人権は本質的に永久運動です。すなわち、人権には二つの性質があるのです。人権は、絶対的で永遠な命令であるべきなのと同時に、歴史の進展における一瞬を反映すべきです。人権は絶対的に定義され、また、歴史的に定義されます。  私が非常に抽象的に見られる危険を冒してまで、原則に関するこのような説明から始めた理由は、私たちが普遍性と特定性の間の、同一性と差異性の間の、基本的な弁証法的対立を心に留めておかないかぎり、私たちが検討する問題の、それがたとえ最も技術的な問題でも、適切な解決策は存在しないだろうと確信しているからです。  私たちの任務を特に差し迫ったものにするのは、通信手段の発達とともに、毎日、全世界が人権の享受または侵害について目撃するようになっているという事実です。  戦闘や飢餓、恣意的な逮捕、拷問、レイプ、殺人、追放、人口移動、民族浄化が見られない日は、一日としてありません。最も基本的な自由の侵害が報じられない日は、一日としてありません。人種差別主義とそれが引き起こす犯罪、狭量とそれが生じる行き過ぎ、低開発とそれによって生じる破壊が思い出されない日は、一日としてないのです。  そして、苦しんだり死にゆく男女や子どもが直面しているのは、かつてないほど耐え難い現実です。私たちはみな同じなのに、歴史はわれわれの差異を強調し、あらゆる理由で、政治的・経済的・社会的・文化的理由で、私たちを区別しています。  私たちは実際に、差異を、相互強化の源泉として眺めることが可能であることをすでに学んでいます。しかし、差異が不平等の同意語になった場合、不正と見なすしかありません。今日、あらゆる人々と国家がこの認識を共有しています。この事実自体が、人類の良心における一歩前進なのです。  不平等の確認から不正への反抗へと向かうことは、人権という概念を全世界が承認した場合にかぎって可能になります。最終的に、私たちが倫理的検討から法律的検討へ進み、人間活動に関する価値判断と法律規範を課することを可能にするのは、この概念なのです。  しかしながら、勘違いしてはいけません。判断はこのスケールの制約や価値観に基づいているので、力関係の一部でもあります。疑問の余地なく、これは一部の国が、しばしば様々な方法で、自国の利益に適した人権を追求する理由です。各国が人権を国内政策文書に加える場合でさえそうなのです。一部の国が人権を強奪したり押収しようと常に試みていることは否定できません。  当然ながら、私は、国際社会のある成員をことさらに指さすつもりはありません。ただ、人権は、その表現において、力関係を反映することを指摘したいのです。  このことを明確に認識しましょう。人権は、各国がそれを考える方法と密接に関係しています。言い換えれば、各国が国民を統治する方法に、ひいては政治制度における民主主義の度合いに関係しているのです。  もしわれわれがこれらの問題すべてに留意すれば、この会議の冒頭で、前途に潜む二つの危険を避けられるものと思います。二つの危険とは、人権の国際性は各国の現実的政治に対するイデオロギー的装いにすぎないという冷笑的アプローチと、人権は国際社会成員が必然的に期待する全世界共通の価値観の表明であるというナイーブなアプローチです。  これらの考慮は、私たちが提案において大胆で、原則において堅固であるようにするため、討論全体を通じて念頭に置いておくべきです。  これに関連して、私ははっきり申し述べたいと思います。この会議は主題に見合ったものとすべきであるし、三つの要件に基づくべきです。それは「ウィーン会議の三つの命題」と呼ばれる、普遍性(universality)、保証(guarantees)、民主化(democratization)です。  まず、普遍性という命題を取り上げましょう。確かに、人権は歴史の産物です。それゆえ、人権は歴史に従っており、歴史と同時に展開し、様々な人々や国民に自らを認識する自己反省の機会を与えます。しかし、人権は歴史の推移に歩調を合わせるという事実が、その本質を構成する要素、つまり普遍性を変化させてはなりません。  第二に、保証という命題があります。人権を保護するために起草された宣言、誓約、憲章および条約が死文に留まったり継続的に違反されたなら、世界の目に、人権と国際連合自体がどれほど疑わしく映るかを、毎日私たちは目撃しています。したがって、人権は、これを保証・保護し、制裁を加えるための有効な機構および手続きを伴うべきです。  最後に、民主化という命題があります。私の意見では、これは本質的に、今世紀末に近づくにつれて重大になる命題です。国内および国際社会内の民主化のみが、真に人権を保証するものです。個人の権利と集団の権利が、国民の権利と人々の人権が、調和されるのは、民主主義を通じてであります。民主主義を通じてこそ、国家の権利と国際的権利が調和するのです。  私が皆さんに考えていただきたいのは、この三つの命題、つまり普遍性。保証および民主化なのです。  普遍性という命題は、疑問の余地なく、われわれの討論全体を通じて顕著なものとなりましょう。そうならないわけがありません。普遍性は、人権において本質的に内在するものです。国連憲章は、この点に関して断定的です。第55条には、国際連合は「人権、性、言語又は宗教による差別のない、すべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守」を促進しなければならない、と記されています。1948年の宣言の題名が国際(international)人権宣言でなく、世界(universal)人権宣言となっているのは、この視点を強調するものです。  しかしながら、こうした普遍性の概念は、万人に明確に理解され容認されなければなりません。人権に関するわれわれ共通の概念が基礎とすべき普遍性という命題が、もしわれわれの誤解の種になるならば、名辞矛盾でしょう。  したがって、できるかぎり明確な言葉で、普遍性は命令によるものでないし、ある国家グループが他のグループをイデオロギー的に支配することの表明でもないと述べなければなりません。  その性質と構成において、この普遍性というアイデアを表現するのに最も適しているのは国連総会です。私たちは、総会がほぼ50年にわたり行ってきた人権基準設定に敬意を払うべきです。  その活動の結果として、保護の領域はますます明確化されています。例えば、ジェノサイドの懲罰、ジェノサイドの抑止、奴隷制の廃止、拷問と闘う努力、そして人権、性別、宗教または信条に基づくあらゆる形の差別の排除というような領域が設定されています。  さらに、人権の主題はより明確に定義されるようになっています。人々の権利や、難民、無国籍民、女性、子ども、障害者、精神障害者、囚人および強制的失踪の犠牲者の保護や、移民労働者およびその家族の保護や、先住民の保護です。これに関係して、国連総会は、世界の先住民の国際年の関連活動の一環として、来秋に検討すべき世界宣言の草案作成を委ねられました。  国連総会によるこうした基準設定による文書は、今では私たち共通の財産となっています。それらは、すべての国家、すべての人々およびすべての文化を満足させるに足るものです。なぜなら、それらが保証する普遍性は国際社会全体の普遍性であるからです。  もし私たちがこれからの文書を綿密に調べ、世界人権会議がそれを行うための理想的な機会となるならば、私たちは普遍性という考えを発展させるために国連総会が払っている絶え間ない努力に感銘を受け、それを当然ながら誇りに思うことでしょう。  人権という一般的で抽象的な概念は、リベラルな価値観から生まれ、当初は優勢でしたが、1948年の世界人権宣言の文言から分かるとおり、社会主義国と第三世界がこの当初のビジョンを広げるのを手助けしました。1966年に採択された2つの規約は、私たちのビジョンの拡大を証言しています。それは私たちに市民的・政治的権利や経済的・社会的・文化的権利が同等に重要で注目に値することを保証しており、私はここでそのことを強調したいと思います。  しかしながら、私たちはみな、国連総会がそこに留まらなかったことを承知しています。総会は、これらの集団的権利に倣って、私が連帯の権利と呼んでいる権利を明言することによって、普遍性の概念をさらに拡張しました。連帯の権利とは、国内社会および国際社会の全成員の共同行動を伴う予想された普遍性にわれわれを至らせる権利なのです。国連憲章第1条は人々が自決する権利を明言しているので、国連総会は健全な環境の権利、平和の権利、食糧安全保障の権利、人類共通の遺産所有の権利、とりわけ開発の権利を高らかに宣言しました。  私は、この最後の権利は特に、普遍性の概念がどれほど現代的なものかをまさしく示していると思います。国連総会は、これを早くも1979年から認識しており、「開発の権利は人権であり」、「開発に対する機会の平等は国家、並びに国家を構成する個人の特権である」と主張しています。  この考えは、1986年に国連総会が開発の権利に関する宣言をしたとき、さらに明確に表明されました。それには、「人間は開発の中心的主体であり、開発の権利の積極的な参加者にして受益者でなければならない」と記されています。同文書において、国連総会はこの権利がそれに伴って各国に課する義務を強調しています。それは、開発を保証するために協力し合う義務、国際開発政策を策定する義務、そして国内レベルで「基本的資源、教育、保健サービス、食糧、住宅、雇用、所得の公正な分配へのアクセス」を保証する義務です。  私は、普遍性という概念に対するこのようなアプローチが適切であり、われわれがとるべき方法だと思います。  イデオロギー対立と経済格差は国際社会の特徴でありつづけるかもしれませんが、私たちは、それが人権の普遍性を妨げるものではないことを認識しなければなりません。  私は、現時点では、各国に対して既存の権利擁護文書をとり入れそれを有効に適用するよう求めることが必要であり、新たな権利を定義することがそれ以上に緊急だとは考えません。  私はまた、地域機関は、各国にこの問題を一層認識させるうえで積極的な役割を演じると思います。人権を促進するための地域行動は、全世界的レベルでの国際連合の行動と相容れないことはありえませんし、それどころか事実はまったく逆なのです。  私は、最近開かれた人権に関する地域の会議は、それらがどれほど深刻な問題点や妥当な疑問を提起しようと、この普遍性の概念に当てはまる関心を反映していると思います。  保証という命題は、この会議の第二の関心事です。国内的および国際的な有効性を保証する適切な機構や構造がなければ、人権は一体どのようなものになってしまうでしょうか。ここでもまた、ウィーン会議は非生産的な討論や空論に陥ってはなりません。これを避けるために、この会議は国際社会における人権の真髄とその独自な点に立ち戻るべきです。  私が申し上げたいのは、人権とは本質的に、国内秩序と国際秩序の間に伝統的に設けられている区別を無くすものだということです。人権は、新たな法的浸透性を生じさせます。そういうわけで、人権は、絶対的主権の視点や政治的介入の視点から眺めてはなりません。逆に、人権は各国および国際組織の間の協力と調整を必要とすることを理解すべきです。  これに関連して、各国は人権に対する最良の保証人でなければなりません。国際社会が個人の保護を主に託す相手は各国であるべきなのです。  しかしながら、各国がこの任務に適さないことが判明した場合、各国が国連憲章で記された基本的原則に違反した場合、そして個人の保護者でなく迫害者になった場合には、国際行動の問題が提起されなければなりません。  私たちにとって、この問題は継続的な課題であり、情報の流れと国際世論の影響が問題の緊急性を一層高めています。  こうした状況の下で、国際社会は、その義務を果たさない国から責任を引き継がなければなりません。それはなんら驚くべきことでなく、また私の意見では、主権に関する現代の観念を損なうものではありません。国家は、世界の良心と法律により否定される概念を公然と推し進めることによって主権という崇高な観念を汚している場合にも国際社会から絶対的な尊重を受ける権利を有するか否かを、私は問うているのです。主権が、男女や子どもの権利および自由を損なうことを支持するために独裁国家が示す究極の根源となった場合には、そのような主権は誤っていることがすでに歴史によって宣告されていますし、私もそのとおりだと思います。  さらに、私は、国際社会の全成員が、現在定義され取り組まれている国際行動に興味を抱いていることと思います。私的機関や非政府機関のみに各国における人権保護の責任を押し付けるのは、その国自体にとってこのうえなく有害なことです。  各国は、国際社会による管理は最終的に国家の主権や権限を最大尊重することになる、と確信すべきでしょう。  したがってウィーン会議は、人権の向上を目指して人権を保証するための方法および機構を評価することを決定しました。ここに集まった私たち全員が、行政レベル、司法レベルおよび活動面で、そのような形の管理が関係しているところで生じた変化を認識することはまさしく重要であります。  行政レベルでは、人権を保護するための手続きの数は長年にわたって増えつづけており、このような増加は国際連合内部ばかりでなく、国際労働機関(ILO)や国連教育科学文化機関(UNESCO)などの専門機関や、欧州会議や米州機構などの地域組織でも見られます。  国際連合内部では、各条約の実施の監視を委ねられた機関も増加しています。  より一般的なレベルでは、人権委員会と国連人権センターが特別の位置におかれなければなりません。  同センターでは特に、近年は大幅な変化が生じています。  同センターは当初、人権のあらゆる面について研究しそれに関する情報を提供するために開設されたのですが、徐々に、条約の実施に寄与し、即決処刑、失踪および恣意的拘留など広範な問題を調査するために設置された特別報告者からなるアド・ホック委員会に参加するよう求められています。  しかしながら、人権の保証は、権利侵害が生じた場合にそれを処罰するための司法的管理の確立も意味します。  この領域では地域機関が道筋を示しており、特に欧州会議では欧州人権裁判所の形を、米大陸全体ではアメリカ大陸間裁判所の形をとっています。  私はこれに関連して、常設的な国際刑事裁判所と旧ユーゴスラビアにおける犯罪を訴追するための専門的な国際犯罪法廷を促進するため国際連合が現在払っている努力に注目していただきたい、と思います。  安全保障理事会が「1991年以降に旧ユーゴスラビア領土内で犯された国際人権法に対する重大な違反について責任を追う者の訴追」のためのそのような犯罪法廷を設立すると決定したのは、今年2月のことでした。  安全保障理事会は、このプロジェクトについて検討するよう国連事務総長に求め、自ら新しい任務を課しました。5月27日、国連憲章第7条の下、安保理による満場一致の決定によって、犯罪法廷が設立されました。この方法には、犯罪法廷の設立を迅速に実現できるという利点があります。なぜなら、すべての加盟国はこの方法において採択された決定を実施するのに必要な措置を講じるよう要求されるからです。安保理はこのようにして、強制措置の文脈において、国連憲章第29条で構想された、司法的性質をもった補助機関を設けたのです。  私は、人道援助の領域で国連総会がとった断固たる行動に触れることなしには、人権保護に対して国際連合が講じた措置の展開を語ることはできません。  自然災害および緊急事態の被災者に対する人道援助に関する決議43/131を国際総会が採択した1988年12月以降、人道援助を受ける権利という概念は、ある程度、人権が実際に保証される領域の一つとなっています。  私たちは、スーダンやソマリア、またイラクの特殊な事例、そして今日では旧ユーゴスラビアの事例において国際連合の活動にこのことが反映されるのを見てきました。  繰り返しますが、これらの決議は介入権を正当化するためのものではなく、人権を保護する現在の努力の背景にある重要な考えのひとつを反映しているにすぎません。つまり、人権の保証と、国際社会が今日取り組んでいる民主化という命題の関係です。  民主化という命題は、私たちが活動の基準とすべき最後の、そして最も重要な行動規範です。国際社会では、この命題に対する認識の高まりが見られます。私の意見では、民主化の過程は、人権の保護と分かることができません。さらに厳密にいえば、民主主義とは人権が最も保護される政治的枠組みであります。  これは単に原則を述べているのではなく、ましてや現在の流行に譲歩するものでもなく、民主主義は個人の権利の自由な行使を最も可能にする政治システムであると実感しているのです。国際連合による人権の促進と、国際社会における民主的システムの確立を分かつことは不可能です。  誤解なさったり、はからずしも立腹なさったりすることのないようお願いします。  私が、いま面前にいる多くの方々と同様に、民主化という命題を強調するときには、一部の国が他国を盲目的に真似るべきだというつもりはなく、また、よく似た政治システムを借りるべきだと期待するつもりもありません。ましてや、一部の西側諸国を満足させようとしているわけでもありません。実のところ、事実は正反対です。民主主義は誰の私有物でもないことを強く主張しようではありませんか。それはあらゆる文化によって同化され得るものであり、また、同化されるべきなのです。それはそれぞれの地域の現実により有効に対応するため、多様な形をとることができます。民主主義は、一部諸国から模倣すべきモデルではなく、あらゆる人々によって達成されるべき目標なのです。それはわれわれ共通の財産の政治的表現です。それはすべての人々に共有されるべきものです。人権と同様に、民主主義には普遍性があるのです。  誤解を避けるため、私たち全員が、民主化とは一部の者の不安材料ではなく、あらゆる国家を鼓舞するものでなければならないことに同意しなければなりません。この精神において、国際連合には、人権を保証するという使命を遂行するうえで、各国を、大抵は最も恵まれない国を、民主化への険しい道のりにおいて手助けをする義務があります。  これこそ、私たちが不毛な論議を遠ざけ、私たちがすでに避けられないことを認識している民主主義と開発と人権の間の結びつきを、有効に築くために建設的に行動しなければならない理由なのです。  ひとつのことが確かです。民主主義を促進しなければ、ひいては人権を尊重しなければ、持続可能な開発は不可能だということです。私たちはみな、時には非民主的な慣行や独裁政治が、開発への道筋において一部諸国がとった第一歩であったことを承知しています。しかし、われわれはまた、もしこれらの国が経済発展を遂げたのちに民主的改革を行わなければ、結局のところ現実遊離した成長しか達成できず、それは不平等の拡大と最終的に社会不安の原因になることも知っています。民主主義だけが、開発に真の意義を与えることができるのです。  先進国は、この分析によっていまだ民主化過程にある国に対して一層責任ある態度をとらざるをえなくなるにちがいありません。従来にもまして、各国は共同活動において自らの責任を十分に認識しなければなりません。各国は、開発援助が民主主義と人権の促進に貢献することを理解しなければなりません。これは、開発途上国を含めたあらゆる国が国内の民主主義と人権を促進するという最も重要な責任を決して損なうものではありません。この問題は国際社会全体にとって重大事であります。なぜなら各国の開発を通じてのみ、万人のための平和が保証されるからです。  独裁制は潜在的な戦争原因であり、逆に、民主主義は平和を保証することが明らかです。国際連合が、平和維持、民主主義確立、人権保護の間で、活動レベルおよびできるかぎり具体的な意味において築きつつある関係性を知るには、国連軍に与えられた任務に目を向けると十分でしょう。  1989年4月から1990年3月までの期間におけるナミビアでの国連活動に与えられた任務は、このような進展を早期かつ顕著に示すものでした。1991年以降、数多くの大規模活動がこの政治的側面、つまり人権保護と民主主義回復をその任務に組み込んできました。私たちはこのことを、アンゴラ、モザンビーク、エルサルバドル、ソマリア、そしてもちろんカンボジアにおける活動でも目にしています。  多くの国は、実際、国際連合による選挙支援を受けることがどれほど望ましいかを充分に知っており、支援要請の頻度は増しています。  1989年に、ニカラグアにおける選挙過程を監視するための派遣団が設置されました。その翌年、ハイチでも似たような派遣団が設置されました。選挙支援の要請は一貫して増えつづけており、1991年に国連総会は政治局内に選挙支援部を設け、これは1992年4月に活動を開始しました。  それ以降、この新たな道具を備えた国際連合は、多数の国からの選挙支援要請にさらに応えることができるようになっています。要請国はアルゼンチン、ブルンジ、中央アフリカ共和国、チャド、コロンビア、コンゴ、ジブチ、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、ギニア、ギニアビサウ、ガイアナ、ケニア、レソト、マダガスカル、マラウィ、マリ、ニジェール、ルワンダ、ルーマニア、セネガル、セイシェルズ、トーゴ、ウガンダなどで、その要請国の多さは感動的でさえあります。  選挙支援要請には様々な種類のものがあります。例えば、選挙の組織と実施、その監視と検証、国際オブザーバーの現場調整、そして民主的選挙を円滑に行うため必要な多様な技術援助です。  これは国際連合にとって重要な活動であり、その規模が強調されるべきです。選挙の監督と監視は、それ自体が民主化の長期保証と人権の尊重を構成するわけではありません。このことは、不幸にして、アンゴラとハイチの経験が例証しています。国際連合は、選挙の結果を尊重する民主主義の観念が充分にあることを保証することはできないのです。  それだからこそ、私たちはますます努力しなければなりません。また、各国が姿勢を変化させるよう手助けし、構造改革を行うよう説得しなければなりません。国際連合は、各国がそれぞれの制度を調節し、国民を啓蒙し、指導者を育成し、民主主義を尊重するとともに人権への関心を反映した規制機構を設置することができるようにする技術援助を提供することが可能でなければなりません。私は特に、司法の執行のための独立システム、法規を尊重する軍隊と、市民の自由を保護する警察をつくり、また、人権について国民を啓蒙するためのシステムを設けることがいかに重要かを考えています。  私たちの任務とは、世界規模で市政学についてのワークショップを行うことに他ならないと、私は確信しています。  このようにして人権に対する国際社会の意識を高めることと、こうした努力にあらゆる人々を関与させることによって初めて、私たちは良心や法律が糾弾するであろう将来の違反を防ぐことができます。こうして、他の分野と同様に、予防外交の必要に迫られているのです。  私はこの会議が、この人権外交を実質的に高めるような提言、改革および提案をもたらしてくれることを期待しています。  これらの考察や実例を通じ、国際連合がその歴史において決定的な変化を遂げたことを示せたとしたら、私は満足です。たとえささやかでも、人権を尊重するという私たちの決意は今や具体的に実際的な努力によって、私たちのあらゆる活動に反映されはじめています。  これは、私たちがこの会議全体を通じて念頭においておくべき重要な教訓です。つまり、人権保護は特定の目標であるとともに一般的な目標でもあるのです。一方では、私たちがますます特定の権利を確認し、ますます有効な保障を創造することを要求します。しかし、人権は国際連合の活動すべてを浸透し、同時に基礎そのものであり、最高の目標でもあることをわれわれに示しています。  締め括りに、また、この会議の開会に当たって、最後の訴えをさせてください。  人権が私たちに、連帯と責任の特別な環境をもたらさんことを。  人権が世界各国と人間社会の結合に役立たんことを。  そして、人権が全人類の共通言語とならんことを。 ●ウィーン宣言及び行動計画 VIENNA DECLARATION AND PROGRAMME OF ACTION (世界人権会議、1993年6月25日採択) ○世界人権会議は、  人権の伸長及び保護が国際社会における優先事項であり、この会議が、正当で均衡のある方法で、人権のより完全な遵守を促進するため、国際人権システム及び人権保障のための機構の包括的な分析を行う特別な機会を提供することを考慮し、    すべての人権は人間に固有の尊厳と価値を由来し、人間が人権及び基本的自由の中心的主体であり、その結果として主たる受益者でなければならず、人権と自由の実現に積極的に参加するべきであることを認識及び確認し、    国際連合憲章及び世界人権宣言に規定された目的と原則への責任をあらためて確認し、    すべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守を含む国際連合憲章第55条に掲げられた目的を実現するため実効的な国際協力を進めることに適切に重きを置き、同憲章第56条に規定された共同及び個別の行動をとることへの責任をあらためて確認し、    国際連合憲章に従って、人種、性、言語、又は宗教による差別なく、すべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励するすべての国の責任を強調し、    国際連合憲章の前文、とりわけ基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認するという決意を想起し、    国際連合憲章前文に示された、戦争の惨害から将来の世代を救い、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、寛容と善良な隣人としての生活を実行し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることへの決意をさらに想起し、    すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準である世界人権宣言が着想の源であり、国際連合にとって現存の国際人権文書、とりわけ市民的及び政治的権利に関する国際規約、並びに経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、に含まれている基準設定を発展させる基礎であったことを強調し、    国際場面での主要な変化と、すべての者の人権及び基本的自由並びに人民の同権及び自決の原則の尊重の助長奨励、平和、民主主義、正義、平等、法の支配、多元主義、発展、より良い生活水準、並びに連帯を含んだ国際連合憲章の原則を基礎とした国際秩序に対するすべての人民の熱望を考慮し、    世界中で女性が被り続けている様々な形態の差別や暴力を憂慮し、      人権分野において国際連合機構を強化し、国際人権基準の遵守に対する普遍的尊重という目標を促進するために、この分野における国際連合の活動が合理的に行われ拡大されなければならないことを確め、    チュニス、サンホセ及びバンコクの三つの地域会合で採択された宣言と諸政府による貢献を考慮し、政府間機構及び非政府間機構(NGO)によってなされた提案、並びに世界人権会議の準備過程において独立の専門家たちが準備した研究に留意をし、    先住民によるすべての人権及び基本的自由の享受を確保し、並びに先住民の文化や独自性に関する価値や多様性を尊重する国際社会の責任をあらためて確認するものとして、1993年の国際先住民年を歓迎し、    同様に、すべての人権の完全な実現にとっての現在の障害を取り除き、さらにこれに向けて挑戦し、並びに世界中で間断なく続く人権侵害を防止する方法と手段を国際社会が工夫すべきことを認め、    世界の人民及び国際連合の全加盟国が、すべての人権及び基本的自由の完全且つ普遍的な享受を保障するために、これらの権利を伸長及び保護するという世界的任務にあらためて献身することを求めるわれわれの時代の精神と今日の現実に訴え、    増進的且つ持続的な国際協力及び連帯の努力により人権実現への実質的な進歩を達成する目的で、国際社会の信念において新たに前進することを決意し、    ここに、次に掲げるウィーン宣言及び行動計画を厳粛に採択する。   T 1.世界人権会議は、国際連合憲章、その他人権に関わる文書及び国際法に従って、すべての者のためのすべての人権及び基本的自由の普遍的尊重、遵守、及び保護を促進する義務を履行すべきすべての国の厳粛な責務をあらためて確認する。これらの権利及び自由が普遍的な性格を有することは疑問の余地がない。  この枠組みにおいて、人権分野における国際協力の強化が、国際連合の目的を完全に達成するために不可欠である。  人権及び基本的自由は、すべての人間が生まれながら有する権利である。それらの伸長及び保護は、政府の第一義的義務である。 2.すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民はその政治的地位を自由に決定し、並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する。  植民地その他の形態の外国による支配若しくは占領の下にある人民に特有の状況を顧慮し、世界人権会議は、奪い得ない自決の権利を実現するため、国際連合憲章に従って、あらゆる合法的な行動をとる人民の権利を認める。世界人権会議は、自決の権利の否定を人権の侵害であるとみなし、また、この権利の実効的な実現の重要性を強調する。  国際連合憲章に従った国家間の友好関係及び協力についての国際法の原則に関する宣言に従って、自決権は、人民の同権及び自決の原則に沿って行動し、且つ、いかなる形態の区別もなくその領域に属する人民全体を代表する政府を有する主権独立国家の領土保全又は政府的統一を、全部又は一部、分割又は毀損しうるいかなる行動をも承認し又は奨励するものと解釈してはならない。 3.外国の占領の下にある人民については、人権基準の実施を保証及び監視する実効性のある国際的措置がとられなければならず、並びに、そうした人民に対する人権侵害について、人権規範及び国際法、とりわけ戦時における文民の保護に関する1949年8月14日のジュネーブ条約、及びその他の人道法の適用しうる規範に従って、実効的な法的保護が与えられなければならない。 4.すべての人権及び基本的自由の伸長及び保護は、国際連合の目的及び原則、とりわけ国際協力の目的に従って、国際連合の優先的な目的とされなければならない。これらの目的や原則の枠組みの下で、すべての人権の伸長及び保護は国際社会の正当な関心事項である。人権に関する国際連合の機関及び専門機関は、従って国際人権文書の首尾一貫とした客観的な適用に基づいて、それらの活動の調整をより一層向上させなければならない。 5.すべての人権は、普遍的且つ不可分であり、相互に依存し且つ関連している。国際社会は、公正で平等な方法で、同一の立場に基づき且つ等しく重点を置いて、人権を地球規模で取り扱わなければならない。国際的、地域的特殊性並びに様々な歴史的、文化的及び宗教的背景の重要性を考慮しなければならないが、すべての人権及び基本的自由の伸長及び保護は、その政治的、経済的及び文化的制度のいかんに拘らす、国家の義務である。 6.国際連合憲章に従った、すべての者の人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守に向けた国際連合システムの努力は、諸国間の平和で友好的な関係のため必要な安定と福祉に貢献し、また平和及び安全並びに社会及ぶ経済の発展に貢献する。 7.人権の伸長及び保護の過程は、国際連合憲章の目的及び原則並びに国際法に従って進められなければならない。 8.民主主義、発展並びに人権及び基本的自由の尊重は、相互に依存し且つ補強し合うものである。民主主義は、自らの政治的、経済的、社会的及び文化的制度を決定する自由に表明された人民の意思並びに彼らの生活のあらゆる側面への全面的参加に基礎を置くものである。上記との関連で、国内的及び国際的局面における人権及び基本的自由の伸長及び保護は、普遍的でなければならず、付帯条件なしに行われるべきである。国際社会は、全世界において民主主義の強化と促進、並びに人権及び基本的自由の発展と尊重を擁護すべきである。 9.世界人権会議は、民主化及び経済改革の過程を遂行している、その多くがアフリカにある後発発展途上国は、その民主主義及び経済発展への移行を成功させるために、国際社会に支援されるべきであることをあらためて確認する。 10.世界人権会議は、発展の権利が、発展の権利宣言において確立された通り、普遍的且つ不可譲であり、基本的人権の不可欠な部分を構成することをあらためて確認する。  発展の権利宣言に規定された通り、人間個人が発展の中心的主体である。  発展はすべての人権の享受を促進するものであるが、発展が不十分であることをもって、国際的に認められた人権を奪うことを正当化する口実とされてはならない。  国家は互いに協力して発展の確保及び発展の障害となるものの除去に努めなければならない。国際社会は、発展の権利の実現と発展への障害の除去について、実効的な国際協力を促進しなければならない。発展の権利の実施に向けた継続的な過程は、国内レベルでの実効的な開発政策を必要とするとともに、国際レベルでの公正な経済関係と好ましい経済環境を必要とする。 11.発展の権利は、現在及び将来の世代の発展と環境の必要性を公平に適合させるような形で実現されるべきである。世界人権会議は、有毒及び危険な物質及び廃棄物の不法投棄は、すべての人の生命と健康に対する人権の重大な脅威となりうるものと認める。  よって、世界人権会議はすべての国に対し、有毒及び危険な物質及び廃棄物の投棄に関する現行の条約を締結しそれを誠実に履行するとともに、不法投棄の防止に協力するように呼び掛ける。  すべての人は、科学の進歩とその応用による利益を享受する権利を有する。世界人権会議は、ある種の進歩、特に生体臨床医学、生命科学や情報工学の分野における進歩が、個人の廉潔性、尊厳及び人権にとって悪影響を及ぼす可能性があることに留意し、世界的な関心事項であるこの分野において、人権と尊厳が十分尊重されることを確保するための国際協力を求める。 12.世界人権会議は、発展途上国の対外累積債務の除去を助けるためにあらゆる努力を行うことを、人々の経済的、社会的及び文化的権利の完全な実施を行うための発展途上国の政府の努力を補完するために、国際社会に求める。 13.各加盟国、国際組織は、NGOの協力の下で、国内、地域及び国際レベルで、人権の完全且つ実効的享受を確保するために、好ましい条件を創出する必要がある。加盟国は、すべての人権侵害及びその原因、並びにそれらの権利享受の障害を除去しなければならない。 14.広範に存在する極度の貧困が完全且つ実効的な人権享受の障害となる。その即時的緩和と最終的根絶は国際社会の高い優先事項でなければならない。 15.いかなる種類の区別もない人権及び基本的自由の尊重は、国際人権法の基本原則である。あらゆる形態の人種主義及び人種差別、外国人排斥並びに関連する不寛容の、早急且つ包括的な撤廃は、国際社会の優先的な課題である。各国政府はそれらを防止し、且つ撲滅するため実効的措置を講じなければならない。集団、機関、政府間機構及びNGO、並びに個人は、これらの悪に立ち向かうための活動に協力し、またこれを調整する努力を強化することが要請される。 16.世界人権会議は、アパルトヘイトの瓦解という進歩を歓迎し、国際社会と国際連合システムにこのプロセスを支援することを求める。  世界人権会議はまた、アパルトヘイトの平和瓦解の追求を害する目的で引き続き行われている暴力的行為を憂慮する。 17.テロリズムの行為、方法、実行は、あらゆる形態及び現象において、またいくつかの国における薬物売買と関連をもち、人権、基本的自由及び民主主義の破壊、領土保全、国家の安全の脅かし、合法的に成立している政府を不安定にすることを目的とする活動である。国際社会はテロリズムを防止及び克服するために協力関係を強化するため必要な措置をとらなければならない。 18.女性と少女の人権は不可譲、不可欠で不可分の普遍的人権である。女性の国内、地域及び国際レベルでの政治的、市民的、経済的、社会的及び文化的生活への完全且つ平等な参加、並びに性を理由とするあらゆる形態の差別の根絶は国際社会の優先課題である。  文化的偏見及び国際的売買に起因するものも含めて、ジェンダーに基づく暴力並びにあらゆる形態のセクシャルハラスメント及び搾取は、人間個人の尊厳及び価値と矛盾しているものであり、除去されなければならない。これは経済的及び社会的発展、教育、母性保護及び健康管理、並びに社会扶助の分野における法的措置、並びに国内行動及び国際協力を通じて達成することができる。  女性の人権は、女性に関連するあらゆる人権文書の促進を含めた国際連合人権活動の不可欠な部分となるべきである。  世界人権会議は、各国政府、機関、政府間機構及びNGOに対して、女性及び少女の人権の保護及び伸長の努力を強化することを求める。 19.マイノリティに属する人々の権利の伸長及び保護の重要性、並びにそうした権利の伸長及び保護がマイノリティの存在する国家の政治的及び社会的安定に寄与すること考慮し、  世界人権会議は、マイノリティに属する人々がいかなる差別もなく、また民族的又は種族的、宗教的及び言語的マイノリティに属する人々の権利に関する宣言に従って、法の前の完全な平等の下に、人権及び基本的自由を完全且つ実効的に享受するのを確保することが国家の義務であることをあらためて確認する。  マイノリティに属する人々は、自由に妨害やいかなる形態の差別もなく、自己の文化を享受し、私的にも公的にも、自己の宗教を信仰し且つ実践し、自己の言語を使用する権利を有する。 20.世界人権会議は、先住民の生来の尊厳及び社会の発展と多様性に対する独自の貢献を認識するとともに、先住民の経済的、社会的、文化的福祉及びその持続可能な発展の成果の享受に対する国際社会の義務をあらためて強く確認する。国家は先住民が、社会のあらゆる側面において、特に、先住民が関心を持っている側面において全面的且つ自由な参加を確保しなければならない。先住民の権利の伸長及び保護の重要性と、先住民の存在する国において、当該先住民の権利の伸長及び保護が政治的及び社会的安定へ貢献することを考慮し、国家は国際法に従い、先住民のすべての人権と基本的自由の尊重を確保する協調的な積極的措置を、平等と非差別を基礎にして行い、また先住民独自のアイデンティティ及び文化と社会組織の価値及び多様性を認識しなければならない。 21.世界人権会議は、多数の国家によって子どもの権利に関する条約が早期に批准されたことを歓迎し、子どものための世界サミットにおいて採択された子どもの生存、保護及び発展に関する世界宣言及び行動計画において子どもの人権が認知されたことに注目し、1995年までに条約が世界的に批准されること、締約国が必要な法的、行政的その他の措置を通じて実効的実施を行うこと、並びに、利用可能な資源の最大限の配分がなされることを要望する。子どもに関連する行動において、子どもの非差別及び子どもの最善の利益が優先的に考慮され、子どもの視点に充分な重要性が置かれるべきである。国内的及び国際的機構とプログラムは子ども、とりわけ、少女、捨て子、ストリートチルドレン、子どもポルノグラフィー、児童売春や臓器の売買を含む経済的、性的に搾取されている子ども、後天性免疫不全症候群を含む病気の犠牲者である子ども、難民及び強制移住者の子ども、拘禁状態にある子ども、武力紛争下の子ども、飢餓、早魃、その他の緊急事態による犠牲者の子どもの保護のために強化しなければならない。この条約の実施を支えるための国際協力及び連帯は促進されなければならない。また、子どもの権利は国際連合システム全体にわたる人権活動において優先事項でなければならない。  世界人権会議はまた、子どもの人格の全面的且つ調和的成長は、子どもより幅広い保護を与える家庭環境の中でなされなければならないことを強調する。 22.障害者の社会のあらゆる側面への活発な参加を含めて、非差別、並びに人権及び基本的自由の平等な享受の確保にと特別な注意を払う必要がある。 23.世界人権会議は、すべての人は、いかなる区別もなく、迫害からの庇護を他国に求め、且つ、これを享受する権利を有し、また、自国へ帰る権利を有することをあらためて確認する。この関連で、世界人権宣言、難民の地位に関する1951年条約及び1967年選択議定書と地域的な文書の重要性を強調する。世界人権会議は、多くの難民を認定し自国に受け入れている国家、及び国際連合難民高等弁務官事務所の任務遂行の努力に対して感謝の意を表明する。また、パレスチナ難民救済事業機関に対しても、同様に感謝の意を表明する。  世界人権会議は、武力紛争におけるものを含む重大な人権侵害が、人々の強制移住をもたらす多様且つ複雑な諸要因のうちの一つとなっていることを認識する。  世界人権会議は、危険的状況にある地球的規模の難民問題の複雑性の観点から、また国際連合憲章、関連国際文書及び国際的な連帯にのっとり、さらに負担分担の精神から、国際連合難民高等弁務官事務所の権限を考慮しつつ、難民問題に関する関係国及び関連機関との調整及び協力のうえで、国際社会による包括的な取り組みが必要であることを認識する。これには、難民その他の強制移住者の移動の根本的原因と影響に焦点を当てた方策の確立、緊急事態に対する準備と対応の機構の強化、特に女性と子どもに対する特別な配慮を念頭においた実効的な保護と援助のための対策、そして永続的な解決策の確立が含まれる。これらは、第一義的には、難民に関する国際会議で採択された解決策を含め、尊厳のある、且つ、安全で自発的な、本国への帰還によって解決されることが望ましい。世界人権会議は、国家の責任、とりわけ難民の出身国の責任を強調する。  包括的な取り組みという観点から、世界人権会議は、自発的且つ安全な帰還、及び再定住を含む国内的な強制移住者に関する問題に関し、政府間及び人道的機構を通じ、この問題の永続的解決を見いだす等の特別な関心を払うことの重要性を強調する。  さらに、世界人権会議は、国際連合憲章及び人道法の原則に照らし、すべての自然災害及び人的災害の被害者に対する人道的援助の必要性と重要性を強調する。 24.移住労働者を含む弱者集団に属する人々の人権の伸長と保護、それらの人々に対するあらゆる差別の根絶、及び、現行の人権文書の強化とより実効的な実施に最重要性が認められなければならない。各国は、国内レベルで適切な措置、とりわけ、教育、健康、社会扶助の分野において、国民のうち弱者集団の人々の人権を伸長し保護するための適切な措置を講じ、維持する義務、及び、それらの人々のうち、自らの問題について自ら解決方法を求めようとする人々に参加の機会を保障する義務を負うものである。 25.世界人権会議は、極度の貧困や社会的排斥が人間の尊厳を侵すものであること、及び、最も貧しい人々の人権を促進し、極度の貧困と社会排斥を根絶し、社会的発展の恩恵と享受を促進するために、極度の貧困とその原因に対して、発展の問題に関連するものを含めて、認識を深めるため緊急の対応が必要であることを確認する。最も貧しい人々に、彼らが住んでいるコミュニティーにおける意思決定の過程、人権の促進や極度の貧困を克服する努力にかかわる意思決定の過程への参加を助長していくことは、各国にとって不可欠である。 26.世界人権会議は、動的及び発展的なプロセスである人権文書法典化の進展を歓迎し、人権条約の普遍的な批准を求める、すべての国家は、こうした国際文書に加入し、また、できうる限り留保を行わないよう奨励される。 27.すべての国家は、人権に関する不満や侵害を除く実効的な救済措置の枠組みを提供しなければならない。法の執行や検察機関、とりわけ、国際人権文書に定められた適切な基準を満たす独立した裁判官や法律家を含む司法の運営は、完全で差別のない人権の実現、及び民主主義と持続可能な発展の過程に不可欠なものである。このため、司法の運営に関係する機関は、財政的に充足され、技術的及び財政的に、より高いレベルの援助が国際社会によってなされなければならない。強力で独立した司法の運営の確立のため、助言サービスの特別プログラムを優先的に活用することは、国際連合の義務である。 28.世界人権会議は、大規模な人権侵害、とりわけ、難民及び強制移住者の大量流出をひきおこしている戦時におけるジェノサイド、「民族浄化」及び女性に対する集団レイプ対して失意を表明する。このような忌むべき行為を強く非難するとともに、これらの犯罪の加害者が処罰され、こうした行為が直ちに停止されるよう繰り返し訴える。 29.世界人権会議は、国際人権文書及び国際人道法に規定された基準を無視して、世界各地で続いている人権侵害、並びに人権侵害の犠牲者を十分且つ実効的に救済する手段が欠けていることに、重大な懸念を表明する。  世界人権会議は、武力紛争時における人権侵害が一般市民、とりわけ、女性、子ども、老齢者及び障害者に対して行われていることを、深く憂慮する。それゆえに、世界人権会議は、武力紛争にかかわっている各国家及び各集団に対して、国際人道法、すなわち、1949年のジュネーブ条約その他の国際法の規則及び原則を厳格に遵守すること、さらに国際条約に規定された人権の最低限の保障の遵守を求める。  世界人権会議は、1949年のジュネーブ条約その他の国際人道法の関連文書に規定された人道的機関によって保護されるべき戦争犠牲者の権利をあらためて確認するとともに、そうした保護が安全且つ即時的に行われることを求める。 30.世界人権会議は、世界各地において人権享受の重大な障害となっている大規模且つ組織的な人権侵害及び人権状況に対して、失意と非難の意を表明する。こうした人権侵害及び人権享受の障害としては、拷問及び残虐な、非人道的な及び品位を傷つける取扱い又は刑罰、即決及び恣意的な処刑、失踪、恣意的拘禁、あらゆる形態の人種主義、人種差別、アパルトヘイト、外国による占領、外国人による支配、外国人排斥、貧困、飢餓、その他の経済的、社会的及び文化的権利の無視、宗教的不寛容、テロリズム、女性差別、並びに法的支配の欠如があげられる。 31.世界人権会議は、各国家に対し、国家間貿易の障害となり、また、世界人権宣言及び国際人権文書に規定された人権、とりわけ、すべての人が食糧、医療、住居その他の必要な社会サービスを含め、健康及び福祉が保障された生活水準を享受する権利の完全な実現を妨害するような、国際法及び国際連合憲章と矛盾するいかなる一方的手段も行わないよう要求する。世界人権会議は、食糧を政治的圧力のための道具として用いるべきではないことを確認する。 32.世界人権会議は、人権問題の検討のさいに普遍的、客観的及び非選択性を確保することの重要性を重ねて確認する。 33.世界人権会議は、世界人権宣言、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約その他の国際人権文書に明記されている通り、人権及び基本的自由の尊重を強化するための教育を行うことが各国の義務であることを、あらためて確認する。世界人権会議は、人権教育プログラムを統合することの重要性を強調し、各国にその実施を求める。教育は、国家及び民族的あるいは宗教的集団の間の理解、寛容、平和的且つ友好的関係を促進し、こうした目的を追求する国際連合の活動の発展を奨励するべきである。従って、人権教育及び適切な情報の普及の双方は、人種、性別、言語、宗教によるいかなる差別もないすべての個人の人権の伸長及び尊重にとって、理論的にも実践的にも重要な役割を果たす。そうした人権教育や適切な情報の普及は、国内及び国際レベルの双方の教育政策において統合して行わなければならない。世界人権会議は、財源の不足、設備の不十分さが、こうした目標の即時的実現を妨げていると考えている。 34.各個人が普遍的な人権及び基本的自由を享受できるような条件を整備するために協力を求めている国家を援助する努力は、拡大されなければならない。政府、国際連合システム並びにその他の多数国間国際機構は、法の支配と民主主義、選挙支援、訓練と教育を通じた人権意識、市民の参加及び市民社会を支えるための国内法、国内機関及び関連するインフラストラクチャーの整備並びに強化を目的とした計画へ割り当てられる財源の増額を奨励される。  人権センターの下にある助言サービス及び専門的協力のプログラムは、強化されるとともに、より効率化され透明性が拡大されることにより、人権尊重の促進への大きな貢献をなすべきものである。各国家は、国際連合の通常予算からのより大きな割り当ての促進及び任意拠出金の双方により、これらのプログラムへのより大きな貢献が求められる。 35.人権の伸長及び保護のための国家連合の活動の完全且つ実効的な実施は、国家連合の加盟国により委任されたように、国際連合憲章に示された人権の最重要性及び国際連合の人権活動の需要を反映したものでなければならない。この目的のために、国際連合の人権活動の財源は、増額されなければならない。 36.世界人権会議は、人権の伸長及び保護のために国家機関が果たしている重要で建設的な役割、とりわけ、管轄機関への助言機能、人権侵害を救済する役割、人権情報の普及、人権における教育といった役割をあらためて確認する。  世界人権会議は、「国家機関の地位に関する原則」に関連し、且つ各国家が国内レベルで個別の必要に最も適した枠組みを選択する権利を有していることを確認した上で、国家機関の確立及び強化を奨励する。 37.地域的取極は人権の伸長と保護において基本的な役割を果たす。地域的取極は国際人権文書に規定されている普遍的な人権基準及びその保障を強化するものである。世界人権会議は、国際連合の人権活動との協力の重要性を強調すると同時に、これらの地域的取極を強化し、その実効性を高めるために行われている努力を評価する。  世界人権会議は、人権の伸長及び保護の地域的及び小地域的取極の設立について、それがまだ設立されていない場合にはその設立の可能性を検討する必要について重ねて言及する。 38.世界人権会議は、国内、地域及び国際レベルでのすべての人権の伸長及び人道的活動におけるNGOの重要な役割を認識する。世界人権会議は、人権問題についての一般認識の向上、この分野における教育、訓練、研究の実施、さらにすべての人権及び基本的自由の伸長及び保護に対するNGOの貢献を評価する。人権に関する基準設定の第一義的な責任は国家にあることを認識する一方で、世界人権会議は、この過程に対するNGOの貢献についても同様に評価する。この点について、世界人権会議は、政府とNGOとの間の継続的対話及び協力の重要性を強調する。人権分野に誠心誠意かかわっているNGOとそのメンバーは、世界人権宣言で認められた人権及び自由、並びに国内法の下の保障を享受すべきである。こうした権利や自由は、国際連合の目的や原則に反して実現されるべきではない。NGOは、国内法及び世界人権宣言の枠組みにおいて、干渉されることなく自由に人権活動を行うことができる。 39.人権及び人道問題について客観的且つ責任ある公平な情報の重要性を強調し、世界人権会議は、メディアの関与の拡大を奨励する。メディアの自由と保護は、国内法の枠内で保障されなければならない。 U A,国際連合システム内の人権に関する調整の拡充 1.世界人権会議は、国際連合のシステムにおいて、人権及び基本的自由の擁護にあたり調整の拡大を勧告する。この目的のため、世界人権会議は、人権にかかわる活動を行うすべての国際連合機関、部局、専門機関に対して、不必要な活動の重複をなくす必要を考慮して、この活動を強化し、合理化し、効率的にするための協力を行うことを求める。また、世界人権会議は、事務総長に対して、関連国際連合機関及び専門機関の事務局高官が、それぞれの機関の年次総会において、活動の調整に加えて、それらの機関の戦略や政策がすべての人権の享受に与える影響についても評価するよう勧告する。 2.さらに、世界人権会議は、地域的機構、主要な国際的及び地域的な金融及び開発機関に対して、それらの機関の政策や計画が人権の享受に与える影響について評価するよう要求する。 3.世界人権会議は、国際連合システムの関連専門機関、機関及び機構、並びに人権にかかわっているその他の関連政府間機構が。人権基準の形成、伸長及び実施に関して、それぞれの任務の範囲内で、極めて重要な役割を果たしていること、それらの機関が、権限内の領域で、世界人権会議の成果を考慮すべきことを認める。 4.世界人権会議は、普遍的な受容を目的として国際連合システムの枠組み内で採択された国際人権条約及び選択議定書の批准及びこれへの加入若しくはこれの承継を助長奨励するため、協調的な努力がなされることを強く勧告する。事務総長は、条約機構と協議の上、障害を特定しそれらを克服する方法を探るため、これらの人権条約に加入していない国家との対話を進めることを検討すべきである。 5.世界人権会議は、各国家に対し国際人権文書に付すあらゆる留保の範囲を制限することを検討し、可能な限り明確且つ限定的にし、関係条約の趣旨及び目的との両立を確保し、且つ、留保の撤回に向けて定期的に留保を見直すよう奨励する。 6.世界人権会議は、現存の国際基準の持つ高い水準との一致を保ちつつ人権文書の増加を防ぐ必要があることを認めるとともに、1986年12月4日の国際連合総会決議41/120に列挙された新しい国際文書の作成に関するガイドラインをあらためて確認し、国際連合人権関連諸機関に対し、新たな国際基準の作成を検討する際には、これらのガイドラインに留意し、新たな基準の起草の必要性について人権条約機関と協議し、提案された新文書についての技術的検討を事務局に要請することを求める。 7.世界人権会議は、必要な場合、関係加盟国の要請を受けて、人権分野における情報を配布し訓練その他の技術的な援助を与える目的のために、人権担当官が国際連合機関の地域事務所に配置されるべきであることを勧告する。人権関係の活動を課された国際公務員のための人権訓練が組織されなければならない。 8.世界人権会議は、人権委員会が緊急会合を招集したことを積極的なイニシアチブの表れとして歓迎し、また深刻な人権侵害へのその他の対応方法が国際連合システム内の関係諸機関によって検討されることを期待する。 ・活動資源(リソース) 9.世界人権会議は、人権センターの活動をそれを遂行するのに要する人的、財政的その他の活動資源との不均衡が大きくなっていることを憂慮し、且つ、その他の重要な国際連合活動に必要な活動資源にも留意し、事務総長及び総会に対し、国際連合の現在及び将来の通常予算から人権活動への活動資源に実質的増加をなすよう、直ちに措置を講じ、また特別予算による財政拡充を追求するべく直ちに緊急の対応をとることを要請する。 10.このような枠組みの中で、人権センターの経費その他の国際連合の人権機関の経費を賄うため、国際連合の通常予算の増加した割合が同センターの配分として直接充てられるべきである。同センターの専門的援助活動への任意拠出金が、この増額された予算を補強するべきである。世界人権会議は、現存の信託基金への惜しみない拠出を求める。 11.世界人権会議は、事務総長と総会に対し、人権センターがその活動を実効的、効率的且つ迅速に遂行できるようにするため、同センターに十分な人的、財政的その他の活動資源を提案することを要請する。 12.世界人権会議は、政府間機関によって任務を与えられた人権活動を遂行するために、人的且つ財政的資源が提供されることを確保する必要性に留意し、国際連合憲章の第101条に従って、事務総長に対し、また加盟国に対し、増大した任務に見合う活動資源が事務局に与えられることを主眼に置いた首尾一貫した方策をとることを要請する。世界人権会議は、事務総長に対し、国際連合加盟国によって任務を与えられた人権活動の時機を得た実効的な実施のために、活動予算サイクルにおける手続面の改善が必要若しくは実効的かどうかを検討することを要請する。 ・人権センター 13.世界人権会議は、国際連合人権センターを強化することの重要性を強調する。 14.人権センターは、人権への関心を広く組織的に調整する上で重要な役割を果たすべきである。同センターの重点的役割は、センターがその他の国際連合諸機関と十分に協力することができた時に最も望ましい形で実現されうる。調整における人権センターの役割は、ニューヨークの人権センター事務所を強化することをも意味する。 15.人権センターについては、テーマ別及び国別の報告者、専門家、作業部会及び条約に基づく機関のシステムに対して十分な手段が確保されなければならない。勧告のフォロー・アップは、人権委員会による検討の優先事項とされなければならない。 16.人権センターは、人権の伸長においてより大きな役割を担うべきである。この役割は加盟国との協力を通じ、且つ助言サービス及び専門的援助活動がより拡大されることにより、具現化されるものである。現存の任意拠出金は、これらの目的のために実質的に拡充されるべきであり、より効率的且つ調整された方法で運営されるべきである。すべての活動は厳密且つ明確なプロジェクト運営規則に従うべきであり、プログラム及びプロジェクトに対する定期的な評価が行われなければならない。この目的のために、そのような評価の結果その他の関連情報は、常に入手可能でなければならない。人権センターは、とりわけ、少なくとも1年に1度の情報公開のための会合を、これらのプロジェクト及びプログラムに直接関わりをもつすべての加盟国と機構に開かれたものとして開催すべきである。 ・国際連合人権高等弁務官の設置問題を含む国際連合人権機構の改組及び強化 17.世界人権会議は、この宣言に反映されているようにまたすべての人民に公平で持続的な発展を実現する枠組みの中で、国際連合人権機構を、人権の伸長と保護において現在及び将来の必要に適合させ続ける必要があることを認識する。とりわけ、国際連合人権関連諸機関は、それらの間の調整、効率性及び有効性を高めなければならない。 18.世界人権会議は、総会に対し、第48回会期においてこの会議の報告を検討するにあたって、すべての人権の伸長と保護のための人権高等弁務官の設置問題の検討を優先課題として開始することを勧告する。 B.平等、尊厳及び寛容 (1)人種主義、人種差別、外国人排斥その他の形態の不寛容 19.世界人権会議は、とりわけアパルトヘイト若しくは人種的優位主義や排他主義あるいは現代的形態及び表現による人種主義の制度的形態において、人種主義と人種差別を根絶することが国際社会にとっての第一の目的であり、人権分野における世界的規模の促進プログラムであると考える。国際連合諸機関は第3次人種主義及び人種差別と闘う10年プログラムに関わる行動計画及び同目的に付随する任務を実行するための努力を強化しなければならない。世界人権会議は、国際社会に対し、人種主義及び人種差別と闘う10年の活動のための信託基金に惜しみなく拠出するよう、強く訴える。 20.世界人権会議は、すべての政府に対し、人種主義、外国人排斥若しくは関連する不寛容のあらゆる形態と唱道を防止し且つ根絶するために、必要な場合には、刑罰措置を含む適切な立法の制定によって、並びにこうした現象を根絶するための国内機構の設置によって、即時的措置を講じ、並びに断固たる政策を推進することを求める。 21.世界人権会議は、人権委員会が現代的形態の人種主義、人種差別、外国人排斥、及び関連する不寛容に関する特別報告者を任命する決定を行ったことを歓迎する。世界人権会議はまた、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約のすべての締約国に対し、第14条に基づく宣言を行うことを検討するよう訴える。 22.世界人権会議は、すべての政府に対し、国際的な義務に従い且つ各国の法制度に考慮を払って、すべての個人が思想、良心、表現及び宗教の自由への権利を有しているという認識に立ち、女性に対する差別の慣行及び宗教的な場所を汚す行為を含んだ、宗教及び信念に基づく不寛容若しくは関連する暴力に対抗するためにあらゆる適切な手段を講じることを要請する。世界人権会議はまた、すべての国家に対し、「宗教又は信念に基づくあらゆる形態の不寛容及び差別の撤廃に関する宣言」に規定された条項を実行に移すことを呼び掛ける。 23.世界人権会議は、民族浄化に関連する犯罪行為を実行若しくは許可したすべての人々が、個々としてその人権侵害の責任を負うものであること、並びに国際社会がそのような人権侵害に対し法的責任のある者を裁くためあらゆる努力を傾けるべきであることを強調する。 24.世界人権会議は、すべての国家に対し、民族浄化を早期に根絶すべくこの慣行と闘うために、個別的且つ集団的に、即時的措置を講ずることを要請する。民族浄化という忌むべき行為による犠牲者は、適切且つ実効的な救済を受ける権利がある。 (2)民族的又は種族的、宗教的及び言語的マイノリティに属する人々 25.世界人権会議は、人権委員会に対し、民族的又は種族的、宗教的及び言語的マイノリティに属する人々の権利に関する宣言で定義されているマイノリティに属する人々の権利を実効的に伸長及び保護するための手段及び方策を検討することを要請する。この文脈において、世界人権会議は、人権センターに対し、関係政府の要請に応じて、且つ助言サービス及び専門的援助の事業計画の一環として、マイノリティに関する現実の又は潜在的な状況を支援するため、マイノリティ問題及び人権、並びに紛争の防止及び解決に関する適切な専門的知識を提供することを要請する。 26.世界人権会議は、国家と国際社会に対し、民族的又は種族的、宗教的及び言語的マイノリティに属する人々の権利に関する宣言に従って、民族的又は種族的、宗教的及び言語的マイノリティに属する人々の権利を伸長し且つ保護することを求める。 27.講じられるべき措置には、適切な場所には、社会における政治的、経済的、社会的、宗教的及び言語的生活のあらゆる側面、並びに自国経済の進展及び発展への十分な参加を促進することも含めるべきである。 ・先住民 28.世界人権会議は、差別防止及び少数者保護小委員会の先住民作業部会に対し、第11回会期には、先住民の権利に関する宣言の起草を完成させることを求める。 29.世界人権会議は、人権委員会に対し、先住民の権利に関する宣言の起草を完成させることに関する先住民作業部会の任務の更新及び改定を検討することを勧告する。 30.また世界人権会議は、国際連合システムの下の助言サービス及び専門的援助事業計画は。国家による援助要請で先住民にとって直接の利益となるものに積極的に応えることを勧告する。さらに世界人権会議は、この文書に表された人権センターの活動強化の包括的な枠組みの中で、人権センターに適当な人的且つ財政的資源が与えられるべきことを勧告する。 31.世界人権会議は、国家に対し、社会のあらゆる場面で、とりわけ先住民自身に関係する事柄について、先住民の十分且つ自由な参加を保障するよう要請する。 32.世界人権会議は、国際連合総会に対し、1994年1月から始まる「世界の先住民の国際10年」を、先住民との協力に基づき決定される行動計画を含め宣言することを勧告する。この目的のため適当な任意信託基金が設置されなければならない。この10年の枠組みにおいて、国際連合システムの中に、先住民のための常設フォーラムを設置することも検討されるべきである。 ・移住労働者 33.世界人権会議は、すべての国家に対し、すべての移住労働者とその家族の人権の保障を確保することを要請する。 34.世界人権会議は、移住労働者と彼らが住む国家の社会におけるその他の人々との間に、より大きな調和と寛容を育てる条件を創りだすことが、特別に重要なことであると考える。 35.世界人権会議は、各国家に対し、すべての移住労働者及びその家族の権利に関する国際条約に出来る限り早い時期に署名及び批准する可能性を検討するよう呼び掛ける。 (3)女性の平等な地位及び人権 36.世界人権会議は、すべての人権が女性によって十分且つ平等に享受されること、並びにこのことが政府及び国際連合にとっての優先事項とされることを求める。また世界人権会議は、発展の過程に、行為者及び受益者として女性が組み込まれ、またこれに十分に参加することの重要性を強調し、環境と開発に関する国際連合会議(1992年6月3−14日、ブラジル、リオデジャネイロ)で採択された環境と開発に関するリオ宣言及びアジェンダ21第24章に明記されている、持続可能で公正な発展的に向けた女性のためのグローバル・アクションに基づいて設定された目的に再度言及する。 37.女性の平等な地位及び女性の人権は、国際連合全体の活動の中心に統合されるべきである。これらの問題は、関連する国際連合の機関及び機構を通じて、定期的且つ組織的に扱われなければならない。特に、女性の地位委員会、人権委員会、女性に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する委員会(女子差別撤廃委員会)、国際連合女性のための発展基金、国際連合開発計画その他の国際連合機関などの間で協力を強め、それらの目的及び目標のさらなる統合を促進するための措定がとられなければならない。この文脈において、人権センターと女性の地位向上部との間で協力と協調が強化されなければならない。 38.特に、世界人権会議は、公的及び私的な生活における女性に対する暴力の撤廃、あらゆる形態のセクシャルハラスメント、女性の搾取及び売買の根絶、司法の運営におけるジェンダー的偏見の根絶、並びに女性の権利と女性にとって有害な伝統的又は因習的な慣行、文化的偏見及び宗教的極端論との間で起こりうるあらゆる対立の根絶に向かって努力することの重要性を強調する。世界人権会議は総会に対し、女性に対する暴力に関する宣言案の採択を求めるとともに、各国家に対し、同宣言案の規定に従い女性に対する暴力と闘うことを求める。武力紛争の状況における女性の人権侵害は、国際人権法及び国際人道法の基本的原則の侵害である。特に、殺人、組織的レイプ、性的奴隷及び強制的妊娠を含むこの種のすべての人権侵害は、実効的な対応を必要とする。 39.世界人権会議は、秘密裡に又は公然と行われる女性に対するあらゆる形態の差別の根絶を要求する。国際連合は2000年までに女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)のすべての国家による批准を奨励するべきである。また、同条約に付された特に多数の留保に対処するための措置をとることが推奨される。とりわけ、女子差別撤廃委員会は、引き続き同条薬に対する留保の見直しを行うべきである。国家は同条約の趣旨及び目的に反し又は国際条約法と両立しない留保を撤回することを求められる。 40.条約監視機関は、女性が人権と非差別の完全且つ平等な享受を達成するに当たって、女性が既存の実施手続きをより実効的に使うことを可能にするために、必要な情報を広報すべきである。女性の平等と女性の人権への取り組みの実施を強化するために、新しい手続きも採用されなければならない。女性の地位委員会と女子差別撤廃委員会は、女子差別撤廃条約の選択議定書作成の準備を通じて、請願権導入の可能性について直ちに検討すべきである。世界人権会議は、女性に対する暴力に関する特別報告者の任命を第50回会期において検討するという人権委員会の決定を歓迎する。 41.世界人権会議は、女性が生涯を通して最高水準の身体的及び精神的健康を享受することの重要性を認識する。世界女性会議、女子差別撤廃条約、並びに1968年のテヘラン宣言に関連し、世界人権会議は男女の平等に基づき、利用しやすく且つ十分なヘルスケア及び広範囲な家族計画サービス、並びにあらゆるレベルの教育への平等なアクセスに対する女性の権利をあらためて確認する。 42.条約監視機関は、その審議と事実認定において、女性特有のデータを用いて、女性の地位と女性の人権にも配慮すべきである。国家は、条約監視機関に提出する報告の中で法律上及び事実上の女性の状況に関する情報を提供することを奨励されなければならない。世界人権会議は、人権委員会がその第49回会期において、人権分野における報告者及び作業部会もまた上記のような対応をとるよう奨励されるべきであるとした1993年3月8日の決議1993/46を採択したことに満足をもって留意する。女性の地位向上部は他の国際連合機関、特に国際連合人権センターと協力して、国際連合の人権活動が女性に特定された虐待を含む女性の人権侵害を定期的に取り上げるよう手段がとられるべきである。国際連合の人権及び人道的援助の職員が、とりわけ女性に対する人権侵害を認識し、これを扱い、並びにジェンダーの偏見なしにそれらの業務を遂行できるようにするため、これらの職員に対する訓練が奨励されるべきである。 43.世界人権会議は、政府並びに地域及び国際機構に対して、政策決定に関わる役職への女性の登用、政策決定過程への女性の参加のさらなる拡大を進めるよう求める。世界人権会議は、国際連合事務局がその内部において国際連合憲章に従い、女性スタッフを任命し、昇進させる一層の措置を推奨し、その他の国際連合の主要機関及び補助機関に対し、平等な条件の下での女性の参加を保障するよう奨励する。 44.世界人権会議は、1995年に北京で世界女性会議が開かれることを歓迎し、その審議において、会議の優先テーマである平等、発展、平和に従って、女性の人権が重要視されるよう求める。 (4)子どもの権利 45.世界人権会議は、「子ども最優先」の原則を繰り返し、この側面で子どもの生存、保護、成長、参加に対する子どもの権利の尊重を促進するための主要な国内的及び国際的な努力、とりわけ国際連合児童基金(ユニセフ)の努力の重要性を強調する。 46.子どもの権利に関する条約が1995年までにすべての国によって批准され、世界子どもサミットにより採択された子どもの生存、保護及び発展に関する世界宣言並びに行動計画がすべて国によって署名され、またそれらが実効的に実施されるのを達成するための措置が講じられなければならない。世界人権会議は、同条約の趣旨及び目的に反し又は国際条約法に反する留保の撤回を国家に求める。 47.世界人権会議は、国際協力の支援の下に、各国の利用可能な資源の最大の範囲において、世界サミット行動計画を達成するための措置を実施するようすべての国家に求める。世界人権会議は国家に対し、子どもの権利に関する条約を国内行動計画に取り込むことを求める。これらの国内行動計画と国際的な努力によって、母子の死亡率の低下、栄養不良及び非識字率の低下、並びに安全な飲用水及び基礎的教育を提供することなどに特別の優先順位が置かれるべきである。必要な場合にはいつでも、自然災害、武力紛争及び同様に重大な子どもの問題である極度の貧困から生じる深刻な緊急事態に対処するため、国内行動計画が立てられるべきである。 48.世界人権会議は、すべての国家に対して国際協力の支援の下に、特に困難な状況下にある子どもの深刻な問題に取り組むよう求める。子どもの搾取と虐待については、それらの根元的な原因を明確化することも含めて積極的に対処されなければならない。女児殺し、有害な児童労働、子ども及び臓器の売買、児童売春、子どものポルノ、並びにその他の形態の性的虐待などに対しても、実効的な措置が必要とされる。 49.世界人権会議は、少女の人権の実効的な保護及び伸長を確保するために、国際連合及びその専門機関によってとられるあらゆる措置を支持する。世界人権会議は、少女に対して差別的且つ有害な現行法令を廃止し、またそのような習慣及び慣行を除去することを国家に求める。 50.世界人権会議は、事務総長が武力紛争における子どもの保護を強化する手段についての研究に着手するという提案を強く支持する。戦争地域における子どもの保護及び援助の円滑化のために、人道規範が実施され、また措置が講じられるべきである。これらの措置には、戦争におけるあらゆる武器の無差別使用、特に対人地雷からの子どもの保護が含まれるべきである。戦争で傷ついた子どものアフターケアやリハビリテーションの必要性の問題に、緊急に取り組まなければならない。世界人権会議は子どもの権利に関する委員会が、軍隊への補充の最低年齢を引き上げる問題につて検討するよう要請する。 51.世界人権会議は、子どもの人権と状況に関する事項が、国際連合システムのすべての関係機関及び機構、並びに専門機関の監視機関によって、その任務に従って定期的に検討及び監視されることを勧告する。 52.世界人権会議は、あらゆる人権文書、特に子どもの権利に関する条約の実効的な実施において、NGOが果たす重要な役割を認識する。 53.世界人権会議は、子どもの権利に関する委員会に対し、特に先例のない批准状況とそれに伴う国家報告の提出状況にかんがみ、人権センターの支援の下に迅速に且つ実効的にその任務を遂行可能にするよう勧告する。 (5)拷問からの自由 54.世界人権会議は、拷問及びその他の残酷な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰を禁止する条約(拷問等禁止条約)の多数の国家による批准を歓迎し、他のすべての加盟国が迅速に批准することを奨励する。 55.世界人権会議は、人間の尊厳に対する最も残虐な侵害のひとつが拷問行為であり、それは犠牲者の尊厳を破壊し、生命と生活を続ける能力を傷つけるものであることを強調する。 56.世界人権会議は、人権法及び国際法の下において、拷問からの自由は国内的あるいは国際的な紛争や武力紛争を含むいかなる状況においても守られなければならない権利であることをあらためて確認する。 57.世界人権会議はしたがってすべての国家に対して、世界人権宣言及び関連諸条約の完全な履行を通じ、また、必要な場合には既存の機構の強化によって、拷問の実行を直ちに停止し、この悪を永遠に根絶するよう求める。世界人権会議は、すべての国家に対し、拷問問題に関する特別報告者がその任務を完遂するよう十分に協力することを求める。 58.国際連合総会で採択された「拷問及びその他の残酷な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰からの被抑留者及び被拘禁者の保護における、保健要員特に医師の役割に関する医学倫理の原則」の普遍的な尊重と実効的な実施に特別の配慮が与えられるべきである。 59.世界人権会議は、拷問の犠牲者に援助を提供し、彼らの身体的、精神的、社会的リハビリテーションのために、より実効的な救済措置を確保する意図をもって、国際連合の枠組み内でさらに具体的な行動をとることの重要性を強調する。この目的のために必要な活動資源をあてること、とりわけ、拷問犠牲者のための国際連合任意基金への追加拠出に高い優先順位が与えられるべきである。 60.国家は、拷問のような重大な人権侵害につき責任を有する者の免責につながるような法を廃止し、またこうした侵害を訴追して、法の支配の確固たる基礎を提供すべきである。 61.世界人権会議は、拷問廃絶の努力はまず第一に、その予防に集中すべきことをあらためて確認し、従って拘置所への定期的な訪問という予防体制の確立を目的として、拷問等禁止条約の選択議定書を早期に採択するよう求める。 ・強制的な失踪 62.世界人権会議は、総会による強制的失踪からのすべての者の保護に関する宣言の採択を歓迎し、すべての加盟国に対し強制的失踪を防止し、中止し、及びかかる行為を処罰するため、実効的な法的行政的、司法的その他の措置を講じることを求める。世界人権会議は、すべての国家に対し、いかなる状況下であれ、自国の管轄の下にある領域内で強制的失踪が起こったと信じうる理由が存在する場合には調査を行い、申立てが確認されたときは、その行為の責任者を起訴することが、すべての国家の義務であることをあらためて確認する。 (6)障害者の権利 63.世界人権会議は、すべての人権及び基本的自由は普遍的であり、従って障害を有する者も無条件に含まれることをあらためて確認する。すべての人間は平等に生まれ、生命、福祉、教育、職業、自立した生活、並びに社会のあらゆる側面における積極的な参加に同等の権利を有する。障害者へのいかなる直接的な差別その他の否定的な扱いも、従って障害者の権利の侵害である。世界人権会議は諸政府に対して、障害者に上記の権利その他の権利の享受を保障するため、必要な場合には、法律を制定する又は改正するよう求める。 64.障害者の活動範囲は、すべての場所にある。障害者を有する者の社会における完全参加を排除したり制限するような、身体的、財政的、社会的又は心理的なものを含んだ社会的に決定されたすべての障壁の撤廃を通じて、障害者は、平等な機会を保障されなければならない。 65.第37回総会で採択された障害者に関する世界行動計画を想起し、世界人権会議は、総会及び経済社会理事会が1993年の会合で、障害者の機会均等化に関する基準規則草案を採択するように求める。 C.協力、発展、及び人権の強化 66.世界人権会議は、民主主義、発展及び人権を促進するための国内的及び国際的な行動に優先順位を与えるべきであると勧告する。 67.人権に関する制度の強化と建設、多元的な市民社会の強化及び弱者集団の保護などを支援するための措置に、特別な強調が与えられるべきである。この文脈において、諸政府の要請に基づいて行われる、選挙における人権の側面及び選挙広報への支援を含む、自由で公正な選挙の実施に対する援助は、特に重要である。同様に重要なのは、法の支配の強化、表現の自由及び司法の運営の促進、並びに政策決定過程における人民の真の実効的参加に対する援助である。 68.世界人権会議は、人権センターによる助言サービス及び専門的援助活動の実施強化の必要性を強調する。同センターは、人権諸条約に基づく報告の準備並びに人権の伸長及び保護のための活動の一貫した包括的行動計画の実施を含む、特定の人権問題に関する援助を、要請に基づき各国に提供すべきである。人権及び民主主義の制度、人権の法的保護、公務員その他の訓練、並びに人権尊重の促進を目的とする幅広い教育及び広報活動の強化は、これらの計画の一環としてすべてが利用されるべきである。 69.世界人権会議は、人権の全般的遵守と法の支配の維持に直接影響を与える十分な国内構造を各国が建設及び強化する任務を支援するため、国際連合内に包括的な事業計画を策定することを強く勧告する。この計画は、人権センターによって調整され、刑事及び矯正施設の改善、弁護士、裁判官及び治安警察の人権教育の訓練、並びに法の支配を十分に機能させることに関連するその他の分野の活動に関する国内計画に対し、関係国政府の要請に応じて、技術的及び財政的な援助を提供できるものでなければならない。 70.世界人権会議は国際連合事務総長に対し、提案された事業計画の策定、構造、実施様式及び基金に関する代案を含む提案を国際連合総会に提出することを要請する。 71.世界人権会議は、国家が人権の伸長及び保護を促進させる措置を特定する国内行動計画の作成の有効性を各国が検討することを勧告する。 72.世界人権会議は、発展の権利に関する宣言に規定されている普遍的且つ不可譲の発展の権利は実施され且つ実現されるべきものであることをあらためて確認する。この文脈において、この会議は、人権委員会による発展の権利に関するテーマ別作業部会の設置を歓迎し、作業部会が、国際連合システムのその他の機関及び機構と協議及び協力して、国際連合総会による早期の検討のため、発展の権利に関する宣言の実施及び実現の障害を除去するための包括的且つ実効的な措置を直ちに作成し、並びにすべての国による発展の権利の実現に向けた方法及び手段を勧告することを要請する。 73.世界人権会議は、発展及び/又は人権の分野で活動しているNGO及びその他の草の根団体が、発展の権利に関する議論、活動及び履行において、並びに政府と協力して、発展協力に関連するあらゆる側面において、国内及び国際レベルで主要な役割を担うことが可能とされるべきことを勧告する。 74.世界人権会議は、政府及び権限ある機関及び機構に対し、人権を保障するため、十分に機能する法制度の建設、及びこの分野で活動する国内機関のために用いる活動資源を相当に増額させることを訴える。発展への協力の分野における行為者は、発展、民主主義及び人権間の互いに強化しあう相関性を考慮すべきである。協力は対話と透明性に基づくものでなければならない。世界人権会議はまた、法の支配及び民主主義制度の強化に関連する情報と専門知識を備えた人材の活動資源バンクを含む、包括的事業計画の策定を求める。 75.世界人権会議は、人権委員会が、経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会と協力し、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の選択議定書の検討を継続することを奨励する。 76.世界人権会議は、助言サービス及び専門的援助に関する人権センターのプログラムの下で、人権の伸長及び保護のための地域的取極の強化又は設立のため、より多くの活動資源が利用されるべきであることを勧告する。国家は、国際的人権文書に含まれる普遍的な人権基準に従って、人権の伸長と保護のための地域的取極を強化することを目的として、地域及び小地域的なワークショップ、セミナー及び情報交換といった諸目的への支援を求めるよう、奨励される。 77.世界人権会議は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際的規約その他の関連国際条約に規定されている、労働組合の権利の実効的な伸長及び保護を確保するために、国際連合及び関連専門機関が講ずるすべての措置を支持する。世界人権会議は、すべての国家に対し、国際文書に含まれるこの点に関する国家の義務を完全に順守することを求める。 D.人権教育 78.世界人権会議は、人権に関する教育、訓練及び広報が、社会の安定的且つ調和的な関係を促進及び達成し、並びに相互の理解、寛容及び平和を促進するために不可欠なものであると考える。 79.国家は、非識字者をなくすため努力し、人間性を十分に発展させ、並びに人権及び基本的自由の尊重を強化する方向で教育を推進しなければならない。世界人権会議は、すべての公的及び私的教育機関の教育課程に科目として、人権、人道的、民主主義及び法の支配を含めるよう、すべての国家と機関に求める。 80.人権教育は、人権への普遍的な信念の強化にかんがみて、共通の理解及び意識を達成するために、国際的及び地域的人権文書に明記される平和、民主主義、発展、及び社会正義を含むものでなければならない。 81.国際連合教育科学文化機関の人権及び民主主義教育に関する国際会議が1993年3月に採択した人権及び民主主義のための教育に関する世界行動計画、並びにその他の人権文書を考慮して、世界人権会議は、各国に対し、とりわけ女性にとって人権の必要性を考慮して、最も幅広い人権教育及び情報の広報を確保するため、特別な事業計画及び戦略を策定するよう勧告する。 82.政府は、政府間機構、国内機関及びNGOの支援のもと、人権意識の一層の向上と相互の寛容を促進しなければならない。世界人権会議は、国際連合によって実行された世界広報キャンペーンの強化の重要性を強調する。政府は、人権に関する教育を主導及び支持し、この分野における情報を実効的に普及させなければならない。国際連合システムの助言サービス及び専門的援助事業計画は、人権の分野における教育的及び訓練活動、並びに国際人権文書及び人道法に含まれている基準や軍隊、法執行官、警察官及び保健要員のような特別な集団への基準の適用に関する特別教育に関する各国からの要請に直ちに対応できるものでなければならない。人権分野における教育活動を促進し、奨励し、及びこれに焦点をあてるために、人権教育のための国際連合の10年の宣言が検討されなければならない。 E.実施及び監視方法 83.世界人権会議は政府に対し、国際的人権文書に含まれている基準を国内法に編入し、人権を伸長及び擁護する役割を果たす国内体制、社会の制度及び機関を強化することを求める。 84.世界人権会議は、人権の伸長及び保護のため自国の国内制度を設立し又は強化することを望む国家による援助の要請に対応するため、国際連合の事業活動及び計画の強化を勧告する。 85.世界人権会議はまた、特に情報及び経験の交換、並びに地域的機構と国際連合との協力を通じて、人権の伸長及び保護に携わる国内諸機構の間の協力の強化を奨励する。 86.世界人権会議は、この点に関して、人権の伸長及び保護に関する国内機構の代表者が人権センターの後援のもとに、機構の改善及び経験の共有の方法及び手段を検討するため定期的会合を招集することを強く勧告する。 87.世界人権会議は、人権条約機関、条約機関議長会議及び締約国会議に対して、それぞれの人権条約に基づく国家報告の準備のための多様な報告の要件及びガイドラインの調整を目指して引き続き措置をとり、並びに各国が条約義務に関する単一の包括的報告を提出すれば、これらの手続きはより実効的なものとなり、その効果を増すという提案を引き続き検討することを勧告する。 88.世界人権会議は、国際人権条約の締約国、国際連合総会及び経済社会理事会に対して、任務及び職務の不必要な重複を避ける必要を考慮して、様々な部、機関及び手続のよりよい調整を通じて、より大きな効率性と実効性を促す視点から、現存する人権条約機関並びに様々なテーマ別機関及び手続きの研究を考慮することを勧告する。 89.世界人権会議は、この点に関してなされた多様な提案、とりわけ条約機関自体及び条約機関議長会議によってなされた提案を考慮して、監視活動を含む、条約機関の機能の継続的な改善作業を勧告する。子どもの権利に関する委員会が採用している包括的な国内的アプローチも奨励されなければならない。 90.世界人権会議は、人権諸条約の締約国に対し、利用しうる選択的な通報手続の受容を検討するよう勧告する。 91.世界人権会議は、人権侵害の加害者が処罰されない事態に懸念を表明し、人権委員会及び差別防止及び少数者保護小委員会がこの問題のすべての側面を検討する努力を支持する。 92.世界人権会議は、人権委員会に対し、国際及び地域レベルにおいて、現存する人権条約のよりより実施の可能性を検討することを勧告し、また国際法委員会に対し、国際刑事裁判所に関する作業を継続するよう勧告する。 93.世界人権会議は、1949年8月12日のジュネーブ条約及び追加議定書への未加入国に対しこれらに加入すること、並びにその完全な実施のため、立法措置を含むあらゆる適切な国内措置をとることを要請する。 94.世界人権会議は、普遍的に認知された人権及び基本的自由を伸長し保護するための個人、集団及び機関の社会における権利と責任に関する宣言草案の迅速な完成と採択を勧告する。 95.世界人権会議は、人権委員会及び差別防止及び少数者保護小委員会の特別手続の報告者、代表者、専門家及び作業部会が、世界のすべての国々においてその任務の遂行を可能にするために、これらの制度を維持し強化すること、並びに必要な人的及び財政的資源を提供することの重要性を強調する。諸手続及び諸機関は、定期的会合を通じて作業を調和させ且つ合理化しなければならない。すべての国は、これらの手続及び機関と完全に協力することが求められる。 96.世界人権会議は、国際連合が憲章の目的及び原則に従って、武力紛争下のすべての状況において国際人道法の完全な尊重を確実にするために、人権の伸長及び保護に関してより積極的な役割を引き受けることを勧告する。 97.世界人権会議は、国際連合のいくつかの平和維持活動に関する特別な取極で設置された人権部門の重要な役割を認識しつつ、事務総長が国際連合憲章に従って、人権センター及び人権保障機構の報告、経験及び能力を考慮にいれることを勧告する。 98.経済的、社会的及び文化的権利の享受を強化するために、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約に規定された権利の実現の進捗状況についての指針に関するシステムのような、追加的手段が検討されるべきである。経済的、社会的及び文化的権利の承認を国内、地域、及び国際レベルで確保するための協調的努力がなされなければならない。 F.世界人権会議のフォローアップ 99.世界人権会議は、総会、人権委員会及び国際連合システム内のその他の人権関連機関に対し、国際連合人権の10年宣言の可能性を含むこの会議の最終文書に含まれる勧告を遅滞なく完全に実施するための措置を検討することを勧告する。世界人権会議は、人権委員会がこの目的に向けての進展を毎年検討することを、さらに勧告する。 100.世界人権会議は、世界人権宣言50周年記念の機会に、すべての国家及び国際連合システム内のすべての人権関連機関が、この会議の最終文書の実施についての進捗状況を事務総長に報告するように求めるとともに、人権委員会及び経済社会理事会を通じて、総会第53回会期に報告書を提出することを、国際連合事務総長に対し要請する。同様に、地域的人権機構、適切な場合には、国内人権機構、並びにNGOはこの会議の最終文書の実施面でなされた進展に関して、国際連合事務総長に意見を述べることができる。国際連合システムの枠組みの中で採択された国際的人権条約及び議定書の普遍的な批准という目標に向かっての進展の評価に関し、特別な注意が払われなければならない。 ------------------------------------- 1997年7月 国際連合広報センター 東京都渋谷区神宮前5丁目53-70 国連大学ビル8階 〒150-0001 電話(03)5467-4451〜2 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