ブトロス・ブトロス=ガーリ 国連事務総長 平和への課題 1995年 第2版 続編と国連の国連文書を増補 ※これは非公式訳である 国際連合広報センター 1995 広報局 会議支援サービス局 行政管理局 編集部注 本書の第1部には、事務総長による「平和への課題=続編」と、1992年1月31日の安全保障理事会首脳会議の要請に応えて事務総長が作成した報告書「平和への課題」が収録されている。第2部には、この主題に関する現在進行中の論議を反映した、追加の国連文書が収録されている。本書で言及または転載された文書について用いられている記号で「A」という文字(例えばA/50/60)は総会の文書であることを示し、「S」という文字(例えばS/23500)は安全保障理事会の文書であることを示している。一部の文書には、両方が用いられている。 Copyright(c)1995 United Nations United Nations Publication Sales No.E.95.I.15 ISBN 92-1-100555-8 広報局(Department of Public Information)刊 New York,NY 10017 目次 緒 言  ......1 第1部: 和平への課題  平和への課題=続編:国際連合創設50周年に際しての事務総長のポジションペーパー  A/50/60-S/1995/1、1995年1月3日  ......5  平和への課題:予防外交、平和創造、平和維持  1992年1月31日採択の安全保障理事会首脳会議声明に基づく事務総長報告  A/47/277-S/24111、1992年6月17日 ......29 第2部: 関連の国連文書  総会の決議 ......57  安全保障理事会議長による声明 ......85 ************************************************************ 緒 言 1 ほぼ3正規にわたり、国際協力の一連の原則が形成過程にある。第2次世界大戦の終結と国際連合の創設以降、大幅な進展が成し遂げられている。国際平和の確保から、人権や民主主義の促進、そして開発のための全地球的協力まで、ほぼあらゆるりぃういきで、協調する諸国は国連を通じてグローバルな課題を定めている。 2 広義での平和と開発というアイデアに対する一般的認識は、国連の努力に多くを負い競争的というより、むしろ補完的なものである。開発なしに平和の持続がありえないように開発努力は安定した平和な環境がなkれば成功しない。 3 「平和への課題(An Agenda for Peace)」第2版を、平和への課題の実施における国連の経験に基づいて私が書いた「ポジションペーパー」とともに上梓するに当たって、私は読者の方々に姉妹編「開発への課題(Agenda for Development)」にも注目していただきたいと考えるものである。これら2巻は、国連の目標の実現の追求への二つのアプローチを示している。いずれにおいても、私は平和の希求と開発のための協力との間の補完性を力説している。実際、この補完性については、「ポジションペーパー」が1995年1月に発表されてまもなく、それについて論評した安全保障理事会メンバー代表に至適されている。 4 私は、平和活動による現在の経験を強調するために、1992年の初版「平和への課題」の前に「ポジションペーパー」を置くことにした。1992年の「平和への課題」の一般的原則は、依然として有効である。ただし、その後2年半の経験に照らしたその再解釈が必要なのである。 ●●●第1部●●● 平和への課題 平和への課題=続編 国際連合創設50周年に際しての事務総長のポジションペーパー 50/60-S/1995/1、1995年1月3日 ■T.序文 1 1992年1月31日、安全保障理事会は、国家元首・政府首脳レベルで初めて会議を開いた。冷戦は終結していた。希望と変化の時であり、また、国際連合への、そして国際連合の期待が高まる時であった。理事会のメンバーは、「国連の予防外交、平和創造および平和維持の能力を国連憲章の枠組みと規定において強化し、より効率的にする方法について分析と勧告」を作成するよう要請した(国連文書S/23500、115頁参照)。5カ月後の1992年6月に私は「平和への課題」と題する報告書を提出した(国連文書A/47/277-S/24111、39頁参照)。それは理事会が私に検討するよう要請した三つの問題を取り扱っており、私はさらに紛争後の平和建設という関連概念を付け加えた。また、平和実施についても触れていた。 2 国連が平和と安全を維持する能力の改善手段について勧告を提出するに当たって、私は、寄稿と手法の改善を求めることは、首脳会議がその明確な表明であるところの、新たに現れた協調精神が「現在の好機が要求する紺南ア決定も辞さないという意志によって裏打ち」されないかぎり、それだけではおよそ意味がないと述べた(「平和への課題」第6段落)。 3 総会、安全保障理事会および加盟国議会における「平和への課題」と、「開発への課題」の作成のために1994年に始まった新たな過程も、平和持続の最も確かな基盤としての経済的・社会的開発の大きな重要性について国際的合意を促すのに役立った。 4 安全保障理事会首脳会議以降、ペースは速まった。平和と安全の分野における国連の活動の量も性格の大幅に変化している。これらの活動を導く、新しいより総合的な概念と開発作業との連携が現れつつある。古い概念は改められつつある。成功も失敗もあった。国連はメディアの強い関心を集めており、それはしばしば称賛であり、また、よりしばしば批判であるが、これらはすべて、多くの平和維持活動のうち一つないし二つだけに焦点を合わせている場合が多く、他の主な活動や経済的・社会的およびその他の分野における広範な努力の影を薄くさせている。 5 これらのことは、われわれが依然として移行期にあることを示している。冷戦の終結は大きな地殻変動であったし、余震がいまだに感じられる。しかし、たとえ、われわれの足下の地面がまだ固まっていないとしても、われわれは平和と開発の双方についてきわめて前途有望な新たな時代に生きているのである。 6 われわれがこの有望さを実現できるかどうかは、冷戦直後の時期の国連の成功と失敗から教訓をどれほど十分に学べるかにかかっている。「平和への課題」における理想の大半は、すでに検証されている。取り上げられていないものは少数である。しかしながら、このポジションペーパーの目的は、「平和への課題」を改訂することでもなkれば、時により試された構造と手続きに疑いを差しはさむことでもない。ましてや、「平和での課題」が論じている事柄に関する総合的な論文でもない。目的は予期されなかった困難もしくは部分的にしか予期されなかった困難が生じた領域、私が2年半前に述べた「困難な決定」を加盟国が下す必要のあるいくつかの領域を選択的に協調することである。 7 国連の半世紀の歩みは国際社会に対し、これらの問題や、それに関した「開発への課題」を作成するという大きな難題に取り組む機会を与え、また、国連がとるべきだと加盟国が望む方向性を総合的に示す機会を与える。このポジションペーパーは、国連の現在の業績と将来の役割について、政府間機関の内外で1995年中とそれ以後に起こってほしいと私が願う多くの論議の一助となることを目指している。 ■U.量的・質的な変化 8 冷戦の終結以降、平和と安全の維持に関連した国連の活動が大幅に増えていることは疑問の余地がない。数字がそれを物語っている。8頁の表は、三つの日付についてのものである。すなわち、1988年1月31日(冷戦がすでに終結に向かっていた時期)、1992年1月31日(初の安全保障理事会首脳会議の開催日)、そして今日、国連創設50周年を控えた時期である。 9 活動の量の増大は、たとえ活動の性質が変化していなくても、国連に重圧を課していただろう。しかしながら、活動の性質が変化しなかったわけではない。量的変化よりもさらに大幅な質的変化が見られたのである。 10 一つは、今日の紛争のきわめて多くが国家間のものでなく、国家内のものであるという事実である。冷戦の終結は、旧ソ連と他の国々における紛争を抑えていた制約を取り除いた。その結果、新興独立諸国のなかで戦争が頻発しており、その多くは宗教的性格や民族的性格を帯び、例を見ないほどの暴力や残虐さを伴っている。冷戦の終結はアフリカにおける同様の戦争の勃発にも寄与したように思われ、国内で冷戦によって煽られた代理戦争はいぜんとして未解決である。対象に、国家間の戦争は稀な出来事になっている。 11 1988年前半に存在した五つの平和維持活動のうち、四つは国家間戦争に関するものであり、一つだけ(全体の20パーセント)が国家内戦争に関するものであった。それ以降設けられた21の平和維持活動のうち、国家間戦争に関するものはわずか八つであったのに対し、国家内戦争に関するものは13(62パーセント)であった。ただし、その一部は、特に旧ユーゴスラビアにおける活動は、国家間規模でもあった。1992年1月以降設けられた11の平和維持活動のうち、二つ以外はすべて(82パーセント)国家内戦争に関するものであった。 12 新種の国家内紛争は、1960年代前半のコンゴ活動以降、遭遇しなかった難題を虚空連の平和維持活動者に提起するいくつかの特性を持っている。通常、戦闘を行うのは正規軍がかりでなく、統制があまりとれておらず、不明確な指揮系統を持った民兵や武装文民も闘う。それは、しばしば明確な前線のないゲリラである。文民は主な犠牲者であり、しばしば主な標的である。人道上の緊急事態は一般的であり、戦闘当局は、それが当局と呼ばれうるかぎりにおいて、これに対する能力を欠いている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に登録された難民の数は、1987年末の1,300万人から、1994年末の2,600万人へと増加している。国内難民の数はさらに大幅に増加している。 13 そのような紛争のもう一つの特色は国家制度、特に政治と司法の崩壊であり、それは統治の停滞、法と秩序の混乱、そして全般的な強奪行為や混沌をもたらす。政府の機能が停止するばかりか、その資産が破壊や略奪にあい、経験豊かな官僚が殺害されたり、国外脱出したりする。これは国家間戦争では稀な事態である。それは国際介入が軍事的・人道的任務を超えて拡大されなければならないことと、国民和解の促進と効果的な政府の再建を含めなければならないことを意味している。 14 後者は、時間と敏感さを要する任務である。国連、もっともな理由によって、法と秩序を維持する責任を引き受けることに消極的であり、また、新たな政治構造や新たな国家制度を課すこともできない。敵対する党派が自発的に再び共存し始めるのを手助けすることしかできないのである。あまりにもしばしば、彼らが手助けされることや問題を速やかに解決することを望んでいないと判明する。 平和と安全に関連した国連の活動についての統計値、1988年〜1994年 1988年1月31日  1992年1月31日   1994年12月16日 --------------------------------------------------------------------------------------------------- ・先立つ12カ月間に採択された安全保障理事会の決議   15     53 78 ・先立つ12カ月間に国連が予防外交 ・または平和創造に積極的に関与した論争と紛争 11 13 28  展開された平和維持活動   全体 5 11 17    古典的 5 7 9    多機能的 − 4 8 ・展開された軍事要員 9,570 11,495 73,393 ・展開された文民警察官 35 155 2,130 ・展開された国際警察要員 1,516 2,206 2,260 ・軍事・警察要員を拠出した国 26 56 76 ・平和維持活動の国連予算(年間、単位百万ドル) 230.4 1,689.3 3,610.0#*♭ ・それ以前の12カ月間に国連が選挙運動を行った国 - 6 21 ・安全保障理事会が課した制裁措置 1 2 7 ---------------------------------------------------------------------------------------------------- #*♭予測 15 そのような文客における平和維持は、その任務が主に、紛争に関与する各国の同意を得て停戦を監視し、緩衝地帯をかんりすることであった時代に比べ、はるかに複雑で、はるかに高費用である。今日の平和維持は継続的な危険を伴いうる。 16 私は、平和と安全に対するこの新たな挑戦の時代における国連の軍事要員と文民要員の勇気と犠牲に対して、心から抱く感謝と賞賛の念をとうてい表し尽くせない。彼らが身を置く状況は、しばしばきわめて過酷なものである。多くの人々が生命を落とした。多くの人々が家族や友人を失いながらも耐えている。 17 現地展開の大幅な増大は、資源制約が以前のはるかに需要が低かった時期に適したレベルに保たれている過剰負担の本部要員に支えられていることも、認識しなければならない。 18 第2の質的変化は、人道的援助活動を保護するための国連軍の利用である。人道的援助機関は、戦争の文民犠牲者が生じた場合にはつねに彼らに援助を提供するよう努めている。あまりにしばしば、交戦当事者が彼らの活動を困難にしたり、不可能にしたりするこれの理由は、戦争の必然性である場合もあるが、特定集団の援助はいずれかの当事者の戦争目的に反することが理由である場合のほうが多い。戦闘員が援助物質を自らのために流用する傾向も強まっている。戦争が国家内紛争なので、人道的援助機関はしばしば上述の混沌とした無法な状況において任務を遂行しなけれならない。そのような事例の全部ではないが、一部では、結果的な惨事が世界中のテレビ画面に映し出され、国連が人道的援助活動を促進し、保護するために部隊を展開することを求める政治的圧力を生じさせる。そのようなイメージは人道的援助行動への支持を確立する一助となりうるが、また、効果的な意思決定をはるかに難しくする情緒的環境を創り出す。 19 これはボスニア・ヘルツゴビナやソマリアにおける新たな種類の国連活動を生じさせた。たとえ国連軍の利用が憲章第4章に基づき承認されても、国連は侵略者(確認されれば)に攻撃中止を命じたり、休戦を強要することなく、交戦当事者間で中立かつ公平な立場を保つ。これも従来の平和維持ではない。なぜなら、交戦状態は続行しており、平和維持使命が基礎としうる交戦当事者間の協定が存在しないことが多いからである。ボスニア・ヘルツゴビナにおける「安全地帯」の概念は、同様の事例である。それは国連に対し、武力行使を承認させる人道的援助使命をもたらすが、それは限られた局所的な目的であり、戦争を終結させるものではない。 20 第3の変化は、現地での国連活動の性質におけるものである。冷戦時代、国連平和維持活動は主に軍事的な性質のもので、通常は停戦の後だが、当該紛争調停交渉の前の時期に展開された。実際、その主要目的の一つは、調停交渉が起こりうる状況を創り出すことであった。1980年代後半、新種の平和維持活動が現れた。これは交渉が成功したのちに設けられ、当事者が交渉した総合的解決を実施するのを手助けする使命を帯びている。そのような活動はナミビア、アンゴラ、エルサルバドル、カンボジア、モザンビークで展開された。ほとんどの事例で顕著な成功を収めている。 21 交渉による解決は、軍事協定ばかりでなく、広範な文民問題に関わるものである。その結果、国連は前例のない様々な機能を引き受けるよう求められていることに気付いた。それは停戦の監督、兵力の再編成と解散、兵力の文民生活への再統合と兵器の破棄、地雷除去計画の作成と実施、難民や避難民の送還、人道的援助の提供、既存の行政構造の監督、新たな警察力の設置、人権尊重の確認、憲法・司法・選挙改革の監視、選挙の観察・監督・主催・実行、ならびに経済の復興・再建への援助の調整である。 22 第4に、このような多機能の平和維持活動は、交渉された調停が実施されたのちに国連が演じうる役割に光を当てた。いまでは、上述の時期における調停の実施は紛争が再発しないことを保証するには十分でないことが認識されている。戦争のそもそもの原因を根絶させるため、長期的で様々な分野にわたる調整計画が必要である。これには、国内制度の確立、人権の奨励、文民警察力の設置、および政治分野におけるその他の行動を伴う。私が「和平への課題」#1♭で指摘したとおり、根底にある社会経済的、文化的および人道的問題を解決するための持続的な努力のみが、確固たる基盤の上に平和を築くことを可能にするのである。 ■V.平和と安全保障のための手段 23 国連は、国家間および国家内の紛争を管理し、解決するための一連の手段を設けている。そのうち最も重要なのは、予防外交と平和創造、平和維持、平和建設、軍縮、制裁、そして平和実施である。初めの三つは紛争当事者の同意が得られた場合に限って用いることができる。一方、制裁と平和実施は強制措置であるので、定義により、関係当事者の同意を必要としない。軍縮は合意に基づき、もしくは憲章第7章に基づく強制的行動に関連して行うことができる。 24 国連はこれらの手段のいずれも独占していないし、独占を主張してもいない。すべて、地域機関や国家の特別グループや個々の国によって用いられうるし、大半はすでに用いられているが、しかし国連はこれらについて比類ない経験を有しており、冷戦の終結後に国際社会がますます頼りにしているのは国連である。国連システムはまた、地域機関や個々の加盟国に比べ、紛争の継続的解決に必要な総合的かつ長期的なアプローチを作成し、適用する用意が整っている。 25 しかしながら、国連に委ねられた任務を満足に果たしていないという認識は、大規模な兵力の迅速な展開が必要とされる場合に特に、ただしそれに限られず、加盟国が他の手段に頼る傾向を近年強めさせているように思われる。したがって、国連が憲章で想定さえた役割をさらに十分に果たせるようにする方法を見出す必要があろう。 【A.予防外交と平和創造】 26 早期警報、健全な外交、そして一部の事例では予防外交を通じて紛争を防止することのほうが、紛争が発生したのちにそれを解決するために大きな政治的・軍事的努力を引き受けなければならないことよりも明らかに好ましい。安全保障理事会の1992年1月31日の宣言(国連文書S/23500)は、私に対し、予防および平和創造活動を優先するよう命じた。私はそれに従って、従来は事務局の様々な部局で行われていた一連の政治機能を扱う政治問題局を設置した。同局はそれ以降、連続的に構造改革の経過をたどってきて、現在は世界中の政治的展開をフォローするようになっているので、差し迫った紛争の早期警報を発し、国連による予防行動の可能性と既存の紛争を解決するのに役立つ行動の可能性について分析することができる。 27 経験は、これらの努力における成功への最大の障壁が、広く認められているとおり、情報、分析能力、および国連のイニシアチブについてのアイデアの欠如ではないことを明らかにしている。成功はしばしば、いずれかの当事者が国連の助力を受け入れたがらないことで最初から遮られる。これは国家間紛争についても国家内紛争についても当てはまる。たとえ前者に対する国連の行動が憲章の範囲内であるのに対し、後者の事例は第2条第7段落でもって解決されなければならないとしても、そうである。 28 加盟国は、集合的には、事務総長がこの領域で能動的な役割を演じるよう奨励する。だが個別的には、その国が紛争のとうじしゃである場合、事務総長がそのように振る舞うことに抵抗することが多い。この抵抗の克服法を知ることは難しい。明らかに、国連はそれを望まない加盟国に予防および平和創造サービスを強要することができない。法律的にも政治的にも虚空連の行動への要請、もしくは少なくとも黙認が必須条件である。解決策は長期的なものとならざるをえない。それは、加盟国が国連機関の申し出を受け入れることが規範であるような、国際社会における風潮を生じさせることにかかっているかもしれない。 29 また、この分野において新たに現れた二つの実際的な問題である。加盟国が予防外交と平和創造への支持をしばしば表明していることに鑑みて、私は、この機会に、紛争を解決するために早期行動をとることを勧告したいと思う。 30 だい 1の問題は、外交技能をそなえ、事務総長の特別使節、または特別代表をしばらくの間務める意思のある上級職員を見つけるのが難しいことである。事務局上層レベルの合理化の結果、かつては見られた余剰人員はもはや存在しない。 31 第2の問題は、予防外交と平和創造のための小規模な現地調査団の設置と資金供給に関連している。そのような行動についての容認され、よく吟味された手続きは、平和維持活動の場合には存在する。同様の手続きが予防および平和創造分野でも必要とされている。特別代表は訪問ベースで多くを成し遂げることができるとはいえ、もしも常勤ベースでの小規模支援団に根ざしたプレゼンスによって継続性が保証され、彼らの能力は大幅に高まるであろう。そのような事柄についての権限が安全保障理事会にあるのか、総会にあるのかに関する加盟国の明確な見解は存在しないし、この必要性を満たすのに適した既存の予算手続きも存在しない。 32 二つの解決策がある。第1の解決策は、そのような活動について、2年間につき2,500万ドル程度の臨時出費額を通常予算に盛り込むことである。第2の解決策は、予期せぬ異例の活動についての現在の供給額を拡大して、厳密に規定された国際の平和と安全に関連した活動ばかりでなく、あらゆる予防および平和創造活動がそれを利用できるようにすることである。 【B.平和維持】 33 国連は、冷戦の終結の結果生じた新たな政治環境に対応して平和維持が展開されたスピードを誇ることができるが、ここ数年、平和維持のいくつかの基本的原則の尊重がその成功に不可欠であることを確認している。三つの特に重要な原則は、当事者の同意、公平性、そして自衛以外の武力の非行使である。最近の成功と失敗についての分析は、成功した場合はみなこれらの原則が尊重されており、あまり成功しなかった活動では尊重されていないことを明らかにしている。 34 特に平和維持活動を率いてきた近年の使命の三つの側面があり、それは当事者の同意を失うこと、不公平だと思われるふうに振る舞うこと、および/または自衛以外に武力行使することである。これらは戦闘継続中に人道援助的活動を保護し、指定された安全地帯において文民を保護し、国民和解を受け入れ準備が整うよりも速いペースで達成するよう当事者に迫る任務である。ソマリアとボスニア・ヘルツゴビナの事例はこの点で教訓的である。 35 いずれの事例でも、既存の平和維持活動は武力行使を要求する追加使命を与えられており、したがって、当事者の同意、公正性および武力の非行使を要求する既存の使命と組み合わせることはできない。また、旧ユーゴスラビアの事例のように、利用可能であったよりもはるかに強い軍事能力なしでは、それは遂行が不可能であった。現実には、既存の構成、軍備、兵站支援および拝眉がそれを用いる可能性を否定する場合に武力を行使するよう要請すること以上に平和維持活動にとって危険なことはない。平和維持の論理は、実施についてとはまったく違う政治的・軍事的前提から発しており、後者の力学は平和維持が促進しようとする政治的過程とは相容れない。この二つの違いを曖昧にすることは、平和維持活動の実行可能性を損ない、その要員を危険にさらすことになる。 36 国際問題は速やかに限られた時間内で解決することができない。国連が解決するよう求められている紛争には通常、深い根があり、他者の平和創造努力を拒んできたものである。その決議は、辛抱強い外交と、信頼を築いて積年の差異への交渉された解決策を長期的に可能にする政治過程の確立を要求している。そのような過程はしばしば不満と後退に遭遇し、ほとんど必然的に希望したよりも長くかかる。それをスピードアップするために軍事力を行使したいという誘惑に耐える必要がある。平和維持と武力行使(自衛以外の)は、代替手法と見なされるべきで、あるものから別のものへの容易な移行を可能にする一つの連続体の隣接点と見なしてはならない。 37 平時和維持でもここ3年間に多数の実際的な困難が生じており、それは特に指揮と管理、部隊と装備の利用可能性、そして平和維持活動の情報能力に関するものである。 38 指揮と管理に関して、三つのレベルの権限を区別することが有益である。 (a)全体的な政治的方向性……安全保障理事会に属する。 (b)執行上の支持と指揮……事務総長が責任を負う。 (c)現地における指揮……事務総長から、調査団長(特別代表または軍指揮官/軍事監視員)に委ねられる。 機能と責任の混同を避けるために、これら三つのレベルの違いを常に念頭におかなければならない。調査団長が自分の調査団の全体的な政治目標の作成を引き受けることは不適切である。なぜなら、現地での活動状況の詳細を理解するのに必要な事項について決定するのは、ニューヨークの安全保障理事会と事務総長だからである。 39 近年、安全保障理事会が平和維持活動を事細かに管理する傾向が強まっている。懸案の問題の重要性と平和維持活動に提供される資源の量を考えれば、理事会が緊密に相談を受けて情報を与えられたいと願うことは妥当である。これを保証するための手続きは大幅に改善されている。細心の展開について安全保障理事会が情報を与えられるのを手助けするために、私は自分の特別顧問のうち一人を理事会への私の特別代表に指名した。しかしながら、情報に関して、アンゴラ、カンボジア、ソマリアおよび旧ユーゴスラビアにおける事例のように、平和維持活動者がしばしば身をおく戦争に近い状況に不可避の混迷と混乱において、初期報告の正確さを確認するための時間が必要であることを認識しなければならない。明らかに調査団長は、十分に実証されていない事実を報道することについてメディアよりも自制的でなければならない。 40 自国の部隊の安全について議会と選挙民に対して責任を負う部隊提供国の政府が、特に関連する活動が困難に瀕している場合には、十分に情報を与えられたいと切望するのも道理である。私はこれらの政府に定期的なブリーフィングを提供し、問題の活動の実行に関する対話を行うことによって、彼らの懸念に応えようと努めてきた。安全保障理事会のメンバーもそのような会議に加わっており、理事会は最近、それを正式承認することを決定した。これが上述の権限レベルの違いを曖昧にする結果を招かないようにすることが重要である。 41 もう一つの重要な原則は、指揮の統一である。ソマリアでの経験は、平和維持活動が統合された全体として機能する必要性を再び協調した。その必要は、派遣部隊が危険な状況で展開される場合に一層重大である。ある派遣部隊を優遇し、別の派遣部隊を冷遇することによって当事者がその結合力を損なうような機会があってはならない。また、部隊提供国の政府が活動事項についてその派遣部隊に指示や、ましてや命令を与えようとすることがあってはならない。軍の内部にそのような分裂を生じさせることは、多機能活動に固有の困難を増やし、損害のリスクを高める。また、活動は安全保障理事会により作成された国連の集団的意思ではなく、部隊提供国の政府の政策目標に寄与しているという印象を当事者に与える可能性もある。そのような印象は、必然的に活動の合法性と有効性を損なう。 42 現地の指揮官は、当然のことながら、各国派遣部隊の指揮官と協議し、安全保障理事会の全体的アプローチと派遣部隊に割り振られた役割を理解させるよう指示される。しかしながら、そのような協議が現地指揮官と部隊提供国政府との交渉に発展することは許されず、その交渉相手は常にニューヨークの事務局でなければならない。 43 部隊と装備の利用可能性に関して、問題は徐々に深刻になっている。利用可能性はおそらく国連の要求に比べて低くなっている待機制度を拡大し、改善するための相当の努力が払われているが、これは部隊が特定の活動に提供されることを保証しない。例えば、1994年5月に安全保障理事会が国連ルワンダ支援団(UNAMIR)を拡大すると決定したとき、当時の19政府の一つとして、提供について合意された待機部隊を引き受けなかった。 44 このような状況下で、私は国連は迅速に緊急対応部隊というアイデアを真剣に考える必要があるという結論に達した。そのような武力は、平和維持部隊の緊急の必要性がある場合に、安全保障理事会の戦略的な展開予備隊となるであろう。それは多数の国の兵から成る歩兵大隊規模のもので構成することもできる。これらの隊は、同一の標準で訓練され、同一の活動手続きを用い、統合された通信機器を備え、定期的な間隔で合同演習を行う。これらの隊は各母国に駐留するが、いつでも必要に応じられる水準に保たれる。この取り決めの価値は当然ながら、この武力が実際に緊急時に利用可能であるような安全保障理事会が出来るかどうかにかかっている。これは複雑で高費用の取り決めだが、私は時がそれを可能にすると信じている。 45 装備と十分な訓練は、懸念が強まっているもう一つの領域である。原則は、部隊提供国政府が自国の部隊が活動に必要な装備を十分にそなえて到着するようにすることである。しかしながら、加盟国はますます必要な装備と訓練を備えていない部隊を提供するようになっている。代替がなければ、逼迫する国連は市場で装備を調達するか、他の加盟国からの自発的拠出によって装備を入手しなければならない。当該部隊が装備の使用法を学ぶにはより一層時間がかかり、それは彼らが初めて遭遇する装備であることが多い。この問題への対処法は多数考えられており、例えば、しばしば提唱されているとおり、標準的な平和維持装備の呼びストックの国連による設置と、装備を必要とする政府とそれを提供する用意のある政府との協力である。 46 最近の経験から得られた別の教訓は、特に困難な状況下に置かれた平和維持活動は効果的な情報能力を要することである。これは平和維持活動の使命をその人民に説明できるようにし、信頼できる公平な情報源を提供することで、当事者自身によっても配布される誤った情報に対抗できるようにする。無線はこのために最も効果的な媒体である。無線を含め情報能力が提供されている活動では、たとえ夜遅くでも、活動の成功に計り知れないほど貴重な貢献をすることが認識されている。私は将来の立案において、情報能力の必要性が初期段階で検討され、必要な資源が予算案に含められるべきであると指示した。 【C.紛争後の平和建設】 47 紛争後の平和建設の概念の有効性は広く認識されている。それが用いうる措置…そしてそれは数多い…は、予防外交をも支える。非武装化、小火器の管理、制度改革、警察・司法制度の改善、人権の監視、選挙改革、そして社会的・経済的発展は、紛争が起こったのちの傷を癒やす場合と同様に扮そう予防においても有用である。 48 しかしながら、紛争後の平和建設の実施は複雑である。それは平和建設活動が行われる紛争の当事者と国連との間の統合された行動と微妙な取引を必要とする。 49 2種類の状況が検討に値する。第1の状況は、総合的調停が紛争の根本的原因に対処する長期の政治的・経済的・社会的備えでもって交渉され、その実施の確認が多機能の平和維持活動に委ねられる場合である。第2の状況は、予防であれ、紛争後であれ、平和建設が潜在的な紛争または過去の紛争に関連して行われ、平和維持活動が展開されない場合である。いずれの状況でも、不可欠な目標は平和の制度化のための構造を創り出すことである。 50 第1の状況のほうが扱いやすい。国連はすでに参加権を有している。当事者はその平和創造と平和維持の役割を受け入れている。平和維持活動は様々な平和建設活動、特に元戦闘員の生産的な市民活動へのきわめて重要な再統合を始めることを命じられるであろう。 51 たとえそうでも、その国の政府によって締結された和平協定(とそこで定められた国連の検証)を好まない政治構成要素は、国連のプレゼンスに抵抗し、国連が去るのを待ちわびるかもしれない。彼らの憂慮は、国連が当該国の主権を侵害する役割を帯びる危険性を恐れる加盟国と、長期的な平和建設の確約の資源負担を快く思わない者たちの間で反響するかもしれない。 52 したがって、平和維持活動の退去とその平和建設機能の他者への移転の時期と様相は、当該国政府と十分に協議して慎重に扱われなければならない。後者の希望が最優先されるべきである。しかし、国連は紛争終結を手助けすることに多大な努力を費やしており、政府が達成したものを失う危険性を減じるためにとりうる行動について合法的に意見を表し、助言を与えることができる。時期と様式には、国連が責任を負い続ける残りの検証を考慮に入れる必要がある。 53 平和建設をともに構成する活動の大半は、経済的・社会的・人道的および人権の分野に責任を負う国連システムの様々な計画、基金、事務所および機関の使命の範囲内である。戦争で荒廃した国では、そのような活動の再開は、当初は多機能平和維持活動に委ねられるか、もしくは少なくともそれによって調整されることもできるが、活動は正常な状況を回復することに成功するにつれて、計画、基金、事務所および機関は再建し、事務総長の特別代表に一時的に委ねられた調整機能を帯びた正当な常駐調整者が平和維持活動者から責任を徐々に引き継ぐことができる。 54 また、そのような事例では、安全保障理事会からの意思決定責任の移転を取り決める必要があるかもしれず、それは総会およびその他の継続する文民平和建設活動の責任を負う政府間機関に対し、平和維持活動の使命と展開の権限を付与するであろう。この移転の時期は、その機能上の重要性のゆえに、一部の加盟国にとって特別の利害がある。各事例はその利点によって決定されなければならず、制度上または予算上の配慮という指針原則が国連の現地での努力を危うくすることがあってはならない。 55 より困難な上居は、国連が平和創造または平和維持の使命をすでに備えてはいない国で紛争後の(または予防的な)平和建設活動が必要と思われる場合である。誰がそのような措置の必要性を確認し、それを政府に提言するのだろうか。もしも、その措置が経済的・社会的・人道的分野に限られるならば、常駐調整者の活動範囲に入る可能性が高い。彼または彼女はそれを政府に勧告することができる。しかしながら、たとえ常駐調整者が差し迫った政治危機と安全保障上の危機の指標をすべて監視し、分析する能力を持っていても、ただし、それは稀なことだが、彼または彼女は特に提言された措置が安全保障、警察または人権といった領域に関連する場合、政治的機能を引き受けることによって自分の使命を超えた責任を負うことなく行動できるだろうか。 56 こうした状況において、早期警報責任は、当該国の国連開発計画(UNDP)常駐調整者およびその他の虚空連職員の報告書など利用可能な情報すべてを用いて、国連本部が負わなければならない。そうした情報の分析が差し迫った危機の警報を示す場合には、事務総長は予防外交、平和創造および平和建設についての使命に基づいて、政府が講じうる措置について話し合うために政府との合意の上で調査団を派遣するよう提案できる。 【D.軍縮】 57 1992年1月31日の首脳会議で、安全保障理事会は、兵器管理および不拡散における関心と憂慮を協調し、特に大量破壊兵器に言及した。彼らはこれらの領域における国連の有効性を高めるための具体的措置を講じることを確約した。 58 1992年1月以降、大幅な進展が見られる。核実験の停止は概ね順守され続けている。軍縮会議は最終的に総合的な実験禁止条約に関する交渉を始めることを決定した。総会は核分裂物質の生産を禁止する条約を交渉することを勧告している。131カ国に批准された「細菌兵器(生物兵器)および毒素兵器の開発・生産・貯蔵の禁止ならびに廃棄に関する条約」(決議2826(]]Y)、付属書)を、検証機構の促進を通じて強化する努力が続けられている。「化学兵器の開発・生産・貯蔵の禁止ならびに廃棄に関する条約」#2)♭は159カ国に調印されているが、まだ発効しておらず、必要な65の署名国による批准を待っている。「核兵器の不拡散に関する条約」(決議2373(]]U)、付属書)への重大な加盟も見られた。 59 私は不拡散条約の当事者の来るべき会議の成功裏の結論を説くに重視している。また、化学兵器条約ができるかぎり速く発効することも重要である。これらの全領域における停止は維持される必要がある。軍事目的での誤用を防ぐのに必要な措置でもって技術移転を調整する方法が見出さなければならない。 60 コレラの門打破、人類の安全保障にとっても、平和と人類の進歩のための経済的・科学的・技術的資源の解放にとっても、最も重要なものである。しかしながら、特定の紛争を扱う場合の国連の最近の経験について述べたこのポジションペーパーでは、私は「ミクロ軍縮」と呼ばれるものに的を絞りたいと思う。これは、国連が実際に取り扱っている紛争と、数十万人の命を実際に奪っている主に軽火器に関する実際的な軍縮を意味している。 61 ミクロ軍縮の現在の重要性は、自動攻撃兵器、対人地雷などの広範な拡散によって実証されている。担当機関は、軽兵器に年間数10億ドルが費やされていると見積もっており、これは世界の武器取引額の約3分の1を占める。これらの兵器の多くは、そのような目的で貴重な有限の資産を割く余裕がほとんどない開発途上国が先進国から購入しており、軽兵器の取引量は推測されるよりもはるかに多い。 62 ミクロ軍縮は、このポジションペーパーで論じた他の手法すべてとともに重要な役割を演じている。兵器の収集、管理および処分は、国連が平和維持の役割を演じた総合的な和平調停の大半における中心的特色である。その結果、国連はこの分野における比類ない経験を有している。ミクロ軍縮は、紛争後の平和建設においても同じく重要である。ニカラグアは、長年にわたる内戦のために同国に行き渡っている多数の小火器を一掃する機略に富んだ計画を通じて何が達成しうるかを示している。軍縮は、イラクで実証されたとおり、実施行動の後に続くこともある。イラクでは国連特別委員会が実際的な軍縮における先駆的役割を演じたのだが、この事例では大量破壊兵器に関する軍縮であった。制裁措置には武器没収が含まれており、経験は、近隣国からや国境内での交戦国への国境を越えた武器の流入監視が難しいことを明らかにしている。 63 特に注意を払うべき軽兵器の二つのカテゴリーがある。第1のカテゴリーは小火器で、これはおそらく現在の紛争における最も大きな死亡原因となっている。世界には小火器が溢れており、その運搬を監視することは非常に難しく、ましてや遮ることなどできない。原因は多数である。冷戦の当事者による顧客国への兵器の初期供給、犯罪行為、政府の法と秩序の機能の衰退(いずれも犯罪者を欲しいままにさせ、一般市民が自衛のために兵器を入手する妥当な理由を生じさせる)などである。マリ政府の要請で1994年8月に私が同国へ派遣した予備的諮問調査団は、小火器の不法流入を管理するのがきわめて難しいことを確認しており、この問題には地域ベースでしか有効に対処できない。有効な解決策を見出すには長い時間がかかるであろう。私は、その探究をいますぐに始めるべきだと心から考えている。 64 第2に、対人地雷の拡散である。近年の前向きな動きの一つは、この問題が注目を集めていることだ。国際社会はそれに取り組み始めている。「過度に障害を与え、または無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約」#3)♭は対人地雷に優先順位を与えており、その輸出の停止を求める総会の呼びかけは製造国の大半から支持されている。さらに、国際赤十字委員会(ICRC)は、同条約の新たな付随書を作成中である。一方、すでに敷設されている約1億1,000万個の地雷に対処しようとする作業が続けられている。これは、優先的な配慮を払われ続けるべき問題である。私は通常兵器の登録がこれらの努力において重要であるという見解を支持するものである。より広い文脈では、登録が普遍的で無差別な機構に発展する必要がある。 65 大量破壊兵器の領域と主要兵器システムの領域における1992年以降の進展を、通常兵器も、特に軽兵器も辿らなければならない。有効な解決策を見出すには長い時間がかかるであろう。私はその探究をいますぐに始めるべきだと考えており、この努力における私の役割を最大限演じるつもりである。 【E.制裁】 66 憲章第41条に基づき、安全保障理事会は加盟国に対し、国際の平和と安全を維持または回復するために武力を行使しない措置を適用するよう呼びかけることができる。そのような措置は通常、制裁と呼ばれる。制裁の目的が国際の平和と安全を脅かす当事者の行動を是正することであり、懲罰や応報を与えることではないことを強調するため、この法的基盤が想起される。 67 安全保障理事会によるこの措置の利用の大幅な増大は、特に制裁の目的、その適用と影響力とその意図せぬ影響の監視に関連した多数の困難に光を当てた。 68 特定の制裁措置が課せる目標は、必ずしも常に明確に定義されるわけではない。実際、それが時間とともに変化することもあるように思われる。その不明確性と可変性の組み合わせは、安全保障理事会がその目標がいつ達成したと見なされ、いつ制裁を解くかについて合意するのを難しくしている。理事会は司法機関ではなく、政治機関であることを認識しながら、制裁を課すと決定する場合に同時にその目的が達成されたことを決定するための客観的な基準を定めることが重要である。有効な手段としての制裁の利用への全般的支持が保たれるためには、制裁を課す目的が政治行動の是正でなく、懲罰であるという印象や、制裁を課す当所の決定の動機となった目的以外のものに資するために基準が変化するという印象を与えることを避けるよう配慮すべきである。 69 制裁と部分的地域機関の適用を監視する方法について国連が得た経験は、一部の事例ではこれに関して役割を演じうる。しかしながら、この任務は、主権や経済的利害による、自国やその国民によるいわゆる違反の国際的監視または国際的調査の展開を受け入れることに対する政府の抵抗によって複雑化される。制裁の影響を評価することは、そのような測定に固有の複雑さと対象国への進入に対する制限のゆえに、さらに難しい。 70 一般的に認識される制裁は妥協を許さない直裁的な手段である。それは対象国の弱者集団を苦しめることが、弱者集団の窮状によってその行動が影響されそうもない政治指導者に圧力をかける妥当な手段であるか否かという倫理問題を提起する。制裁はまた、意図せぬ望ましくない影響を常に伴う。それは人道的援助機関にある種の物資供給を拒んだり、必要な適用免除を得るための煩雑な手続きを強いることによって、これらの機関の活動を複雑化する。それは国連の開発目標と対立し、対象国の生産力を長期的に損なうこともある。また、対象国の近隣国や主な経済的パートナーに深刻な影響を与えうる。さらに、国連に象徴される国際社会に反発する愛国的対応を引き起こすことや、制裁がその行動を是正しようとする指導者の背後に人々を結集させることによって、それ事態の目的が挫折する場合もある。 71 これらの倫理的で実際的な配慮について述べることは、一部の事例における制裁の必要性に疑問を唱えることではないが、それは上述の影響を緩和する方法を検討する必要性を明らかにする。加盟国による配慮について二つの可能性が提言されている。 72 第1は、制裁が課される時には常に人道的援助機関の活動を円滑化するよう手配することであり、これは弱者集団への制裁の影響の結果として一層必要となる活動なのである。例えば、地方の保健業界が必要とする輸入品を禁止することを避けたり、人道的活動の適用免除申請を処理する迅速な経路を設けたりする必要があろう。 73 第2に、憲章第50条が提起する期待に応えるための行動が緊急に必要とされる。制裁は国際の平和と安全を維持または回復するために国連によって集合的に講じられる措置である。その適用に伴う費用(例えば平和創造活動や平和維持活動など)は、その他の費用と同様に、全加盟国が平等に負担すべきであり、対象国の近隣国または主要な経済的パートナーになるという不運に見舞われた少数の国のみが負担すべきではない。 74 「平和への課題」において、私は制裁措置の付帯的損害を被る諸国が安全保障理事会と協議する権利を持つばかりでなく、そうした窮状と取り組んでもらえるという現実的な可能性を持つべきであると提言した。そのために私は、安全保障理事会が、各国をこのような窮境から防ぐために利用することができる、国連機構の金融機関、その他の機関を包含すつ一連の措置を考案するよう勧告した。これに応えて、理事会は、私に対し、国際金融機関の長の意見を求めるよう要請した。その回答において、後者は制裁の付帯的影響を認め、そのような状況にある諸国を支援したいという希望を表明したが、これはネガティブな外的ショックやその帰結としての国際収支の悪化に直面する諸国を支援する既存の使命に基づいて行われるべきだと提言した。彼らは、特別の規定を設けることには同意しなかった。 75 上記の問題すべてに取り組むためには、私が1992年に行った勧告を超えて、次の五つの機能を遂行する機構を設置することを提唱する。 (a)安全保障理事会の要請で、制裁が課される前に、対象国と第三国に対する潜在的影響を評価すること。 (b)制裁の適用を監視すること。 (c)安全保障理事会が政治的影響を最大化して付帯的損害を最小化するため、それを微調整できるようにするため、その影響を測定すること。 (d)弱者集団への人道的援助の提供を保証すること。 (e)付帯的損害を被る加盟国を援助し、第50条に基づき、そのような諸国により提出された賠償請求を評価する方法を探ること。 76 この機構の目的は安全保障理事会を支援することなので、それは国連事務局に所在しなければならないであろう。しかしながら、国連システム全体で利用可能な専門知識、特にブレットン・ウッズ関連機関の専門知識を利用する権限が付与されるべきである。加盟国は、それが効果的に実施されるためには、国連と諸機関の政府間機関の双方での政治的支援を提案しなければならないであろう。 【F.実施行動】 77 国連憲章の達成の一つは、平和への脅威、平和の侵害、または侵略行為に責任を負う者に対する実施行為をとる権限を国連に与えたことである。しかしながら、安全保障理事会も事務総長も現在は、おそらく非常に限られたスケールのものを除いて、活動を展開し、指示し、指揮し、管理する能力を持たない。私は、国連がそのような能力を長期的に養成することが望ましいと考えているが、国連の資源が不足し、以前ほど求められていない平和創造および平和維持について委ねられた責任に取り組むよう強いられているこの時期にそれを試みるのは愚行であろう。 78 1950年代、安全保障理事会はその意思のある加盟国グループに対し、朝鮮半島における実施行動をとる権限を与えた。クウェート侵攻に対応して1990年にもそれが行われた。さらに最近では、理事会はもしも必要ならば、加盟国グループがソマリアとルワンダにおいて人道的援助活動の状況を創り出し、ハイチにおける民主主義の回復を円滑化する実施行動をとる権限を与えた。 79 ボスニア・ヘルツェゴビナでは、安全保障理事会は加盟国に対し、国としてあるいは地域的な取り決めを通じて、同国の上空での軍事飛行禁止を順守させることで、攻撃を受ける要員の防御を含め、国連の使命の遂行において旧ユーゴスラビアにおいて国連軍を支援すること、そして安全地帯への攻撃を阻止する権限を与えた。関連加盟国はこれらの任務を北大西洋条約機構(NATO)にゆだねることを決定した。この前例のない協調の調整について手続きを定めるため、事務局とNATOとの間で多大な努力が必要とされた。この二つの機関のまったく異なる使命と平和と安全への維持へのアプローチを考えれば、これは驚くには当たらない。すでに述べたとおり、重大な憂慮は、平和維持に関連した自衛以外の武力行使の帰結である。 80 ここ数年間の経験は、安全保障理事会が実施任務を加盟国グループに委ねた場合に得られる価値と生じうる困難を明らかにしている。肯定的な面では、この取り決めは国連に対し、それ以外では得られない実施能力を与えるし、国連に無関係な加盟国による一方的な武力行使よりも望ましい。他方、この取り決めは国連の偉大さと信頼性に否定的影響を及ぼしうる。また、安全保障理事会が関連国に権限を付与するとき、実際には理事会が想定していなかった武力行動の承認と国際的合法性を関連国が主張する危険もある。そのような権限を付与された加盟国は、最近の活動で、自らの活動に関して安全保障理事会に対しより十分かつより定期的に報告している。 ■W.調整 81 国連が上述の手段の独占を主張しないのと同様に、国連のみで適用することもできない。安全保障理事会、総会および事務総長が紛争を管理し、解決する努力はすべて国際社会の他のプレーヤーの協力と支援を必要とする。それは国連メンバーを構成する各国政府、地域機関および非政府機関、そして国連システム自体の様々な基金、計画、事務所および機関である。国連の努力が成功するためには、様々なプレーヤーの役割が人類の安全への統合されたアプローチにおいて入念に調整される必要がある。 82 各国政府はこのポジションペーパーで論じた活動すべての中心である。必要な人員の大部分と装備の大半を直接提供するのは、各国政府である。国連システムの専門機関と地域機関の方針を定めるのは、各国政府である。事務総長が委ねられた使命を遂行するのに成功するには、その継続的支援と、必要ならば、当事者への介入が不可欠であるのは、各国政府である。国連が管理し、解決しようとする各紛争の当事者、少なくとも一方の当事者であるのは、各国政府なのだ。 83 禁煙の新たな傾向は、事務総長に委ねられた平和創造および平和維持の使命の遂行において事務総長を支援するため、特別ベースで設けられた非公式な加盟国グループの設置である。それは通常、「……についての事務総長の友人たち」と呼ばれる。総会または安全保障理事会からの公式の使命を持たず、問題の紛争における特定利害を有する諸国から成る。それは事務総長の努力を支援するために用いられうる物質的・外向的資源である。事務総長にとってのその価値は、相談役として、アイデアとコメントの出所として、そして当事者に影響を及ぼす外交手段としてのものである。 84 この取り決めは、多数の事例において有益であった。それどもやはり、誰が何について責任を負うかを理解し続けることが必要である。事務総長は関連する政府機関からの使命を帯びており、先導し続けなければならない。「友人」グループのメンバーは、事務総長の養成で彼を支援することに同意している。もしも事務総長が要請しないイニシアチブをメンバーが発するならば、努力が重複する危険性があり、それは反抗的な当事者によって利用されうる。そのようなイニシアチブは、事務総長がゆだねられた使命について責任を負い、その実施について政府間機関に報告することを期待する政府間機関に疑念を生じさせうる。 85 地域機関に関して、憲章第3章はそれが平和と安全の維持において演じうる役割を定義している。それは多大な貢献をする。安全保障理事会首脳会議以降、国連はこの分野における地域機関との協力経験を大幅に拡大している。1994年8月1日、私はニューヨークで、国連が平和創造および平和維持について最近、協力した多数の地域機関の長の会合を開いた。この会合は有益な意見交換を可能にしたので、私はこの種の会合を今後も開くつもりである。 86 国連と地域機関との協力は多くの形をとる。少なくとも五つが確認できる。 (a)協議: これは十分に確立されている場合もある。一部ではそれは正式な取り決めが適用され、総会に対する報告書が作成される。それほど正式でないこともある。目的は、国連と地域機関が解決しようとする紛争に関する意見を交換することである。 (b)外交支援: 地域機関は国連の平和創造活動に参加し、外交イニシアチブ(上述の「友人」グループに似たあり方)によって、および/または、例えばアブハジア共和国に関連した憲法問題について欧州安全協力機関(OSCE)が行っているような技術投入によって、そおような活動を支援する。同様に、国連はその努力において地域機関を支援できる(ナゴルノ・カラバフ自治州についてOSCEが行うように)。 (c)活動支援: 最も進んだ例は、旧ユー簿すらビアにおける国連防護軍(UNPROFOR)を支援する空軍のNATOによる提供である。国連としては自ら平和維持活動を行う地域機関に対し助言を与えることができる。 (d)共同展開: 国連の現地調査団は、リベリアでは西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)とともに、グルジアでは独立国家共同体(CIS)とともに展開された。もしもこれらの試みが成功すれば、国連と地域機関との新たな分業の先触れとなり、その下で地域機関が主要な負担をにない、小規模な国連活動がそれを支援して、これが安全保障理事会が採択した立場に合致して機能することを確認する。この取り決めの政治的・活動的・財政的側面が若干微妙な問題を提起する。加盟国は、リベリアやグルジアにおける経験に照らして、このモデルが将来、どのように守られるかについて、ある段階で評価したいと考えるかもしれない。 (e)行動活動: この例は国連のハイチ派遣団であり、その人員、指示および財政は国連と米州機構(OAS)が共有している。この取り決めは機能しており、それも入念な評価を必要とする将来可能なモデルである。 87 地域機関の平和創造と平和維持の能力はそれぞれ大幅に異なる。国連の能力に匹敵する能力を獲得している地域機関はまだ存在しないが、ただし、いくつかは現地での重要な経験を蓄積しており、急速に成長している地域機関もある。国連はそうすることを要請し資源が許す場合には、これい関して地域機関を支援する用意がある。その大幅に異なる能力、構造と使命の意思決定過程の差、そして国連との協力がすでにとられている形の多様性を考えれば、国連との関係について普遍的モデルを作成しようとすることは適切でなかろう。それでもやはり、いくつかの原則を確認することができる。 88 そのような原則には次のものがある。 (a)協議のための機構が設けられるべきだが、公式なものでなくてもよい。 (b)憲章で述べられた国連の卓越性が尊重されなければならない。特に、地域機関は、まだ提出されていない、もしくは加盟国に承認されていない国連支援のレベルを想定した取り決めに加わってはならない。 (c)国連と地域機関が同一の紛争について共に活動する場合、重複と制度上の競合を避けるために、分業は明確に定められ、合意されなければならない。そのような場合、多数の仲介者を避けることも特に重要である。 (d)国連加盟国でもある地域機関メンバーによる整合性が、両機関に共通の問題、例えば平和維持活動についての標準の取り扱いにおいて必要である。 89 非政府機関は、このポジションペーパーで論じた国連活動すべてにおいても重要な役割を演じている。現在までのところ、1,003の非政府機関が国連と協議する地位を与えられており、その多くはニューヨークの国連本部および/またはジュネーブの国連事務所に代表を出すことを許されている。現地での国連活動の性質の変化は、特に紛争状況と紛争後の平和建設における人道的援助の提供において、非政府機関を国連とより緊密に連携させている。非政府の立場を損なわないが、その努力が国連とその計画、基金、事務所および機関の立場と適切に調整されるような手続きを考案することが必要であった。非政府機関は、国際紛争または国内紛争の影響を受ける国における人道的援助のための公的援助と資金を動員することにもきわめて成功している。 90 国連システム内には、調整を要するレベルが三つある。それは国連事務局の内部、国連本部と他の国連システムの基金、計画、事務所および機関の長との間、そして現地である。 91 平和維持および平和建設の多機能性は、関連部局が私の権限と管理の下にある統合された全体として機能するように、事務局内の調整を強めることを必要にした。事務総長が平和と安全の問題について総会または安全保障理事会に対して示す提言は、政治問題局、平和維持活動局、人道問題局、行政管理局およびその他からの調整されたインプットに基づく必要がある。調査団長が事務局の異なる機関から相反する指示を受けないようにするため、現地への指示も同様に調整されなければならない。 92 国際官僚において省庁間協力および調整は国内環境におけるほど必然的なものではなくなっている。上記の目標が達成されるためには、何らかの努力が必要である。私はこれに関する主要責任を、国連活動に関するタスクフォースと、国連が平和創造および平和維持の役割を演じている各主要紛争に関する作業レベルでの政府間機関に委ねた。 93 国連システム全般においても調整の改善が同じく必要である。多機能平和維持活動と平和建設に伴う責任は、国連のいずれか一つの部局、計画、基金または機関の能力と専門知識の限界を超える。停戦、動員解除、人道的援助および難民の送還について短期的計画が必要であるが、社会の再建を助けて発展への途に戻すのはより長期的な計画である。短期計画と長期計画が平和と開発の強化に貢献するためには、それらは調整されて立案・実施される必要がある。私がこのポジションペーパーの前半で勧告した制裁のより有効で公平な適用を保証するための機構も、国連の多数のプレーヤーの間の緊密な調整を同じく必要とするであろう。 94 そのような調整は、現在までのところ達成するのが難しいことが判明している。関連の各機関は、独自の政府間立法機関と独自の使命を有している。これまで、事務局における平和創造、平和維持および平和建設活動の立案・実施についての責任者と、きわめて重要なのは必要な資源を利用可能にすることだとしばしば語る国際金融機関の責任者との間で、いずれの方向でも相互作用が不十分であった。 95 現地での調整に関して、平和維持が展開される場合の現在の慣行は、この任務を事務総長の特別代表に委ねるというものである。カンボジア、エルサルバドルおよびモザンビークは成功例で、その理由は欲に、国連システムの様々な他の構成要素と私の特別代表との協力が深まったことである。 96 私としては、平和と安全に関して国連システム内の協力を促進するための、行政調整委員会における私の努力と、様々な基金、計画、事務所および機関の長との相互関係を保ちたいと思う。加盟国政府はこれらの努力を支援しうる。調整上の問題点の多くは、別個の政府間機関によって定められた使命から生じる。そのようにして、彼らは事務局間調整の能力に挑むのである。したがって、各国い政府は様々な政府間機関への自国代表が適切な調整は国連の成功のための必須条件であると認識するように指示すべきだと勧告する。 ■X.財政資源 97 このポジションペーパーで論じた手段は、いずれも各国政府が必要な財政資源を提供しなければ用いることができない。他の資金源は存在しない。実行に賛成票を投じた活動について割り当てられた分担金を加盟国が納めなければ、その活動を期待された水準で行うことが不可能になる。また、手段でなく目的を望んだ者の信頼感を危うくし、その者はやがてその不履行について国連を批判するのである。1994年10月12日、私は加盟国に対し、解決策に寄与しうると私が考える財政予算手続きに関する一連の提案、アイデアおよび疑問を示した(国連文書A/49/PV.28)。 98 財政危機はとりわけ平和維持に関して深刻である。特に偵察と立案、作戦の始動、要員の採用と訓練の資金不足は、国連が新たに承認された活動を望ましいスピードで展開できる能力に大きな制約を課している。平和維持はまた、加盟国が現在の平和維持活動の量が必要とする規模の部隊、警察および装備を提供するのが難しいことにも苦しめられている。 99 一方、必要な部隊が用意できないために実行不可能な決定を安全保障理事会が下す場合、理事会と国連全体の信頼性が損なわれ続ける。ボスニア・ヘルツェゴビナにおける安全地帯とルワンダ大虐殺に対応するためのUNAMIRの拡大に関する継続的な問題が適例である。将来は、新たな平和維持活動を設置することも、もしくは新たな任務を既存活動に与えることを決定する前に、必要な部隊と装備の利用可能性を確立するのが賢明であろう。 100 平和建設は、加盟国が必要な資源を利用可能にできる度合いにきわめて依存するもう一つの活動である。それは時間と費用のかかる過程である。ただし、紛争が再発する場合の平和創造および平和維持の費用に比べればましかもしれない。最近の一つの教訓は、平和建設要素を総合的解決プランにまとめるさいに、そのプランの実施費用が関係政府の経済計画の立案において考慮に入れられるようにするため、国連は時宜を得て国際金融機関と協議すべきだというものである。この領域における問題点は、多くの拠出者が、ゲリラ活動から政党への転換、新たな政治勢力の創出、「arms for land」計画における土地購入のための信用供与といったきわめて重要な要素に資金を供給するのに消極的であることによってますます深刻になる。 101 その近隣国または経済的パートナーへの制裁の影響を受けた加盟国への補償も、そのような国は国際社会が集合的に決定した行動の結果生じた費用をもっぱら負担するよう期待されるべきではないという道義的な主張と、そのような補償はそれらの国が安全保障理事会の下した決定の適用に協力するよう促すために必要であるという実際的な主張の両方を、豊かな加盟国が認める場合に限って可能になるであろう。 ■Y.結論 102 国連創設50周年の念頭に加盟国に対して提示されたこのポジションペーパーは、平和と安全への脅威に対処する共通の能力を強化するための継続的キャンペーンに貢献することを目指している。 103 時代は、思考を新たにすると、ともに努力すること、そして危機を克服する方法を編み出すことを求めている。これが、冷戦終結時に出現した異なる世界が依然として十分には理解されていない世界である理由だ。今日の様変わりした紛争は、われわれが知覚的で適応的で創造的で勇敢であること、そして紛争の直接的原因と根本的原因に同時に対処することを要求している。紛争の原因は、経済機会の欠如と社会的不平等であることが多い。おそらく、わけてもそれは協力と真の多国間主義に対する、人類がこれまで達成した以上に深い確約を必要とする。 104 これこそ、このポジションペーパーが紙頁を尽くして困難な決定の必要性を再三述べてきた理由なのである。平和と安全への挑戦についての理解が深まるにつれて、困難な決定は、もしも後回しにされれば、のちに振り返ったとき、明日の難儀に比べればあの頃はまだ容易であったと思われるようになろう。 105 不満や悲観に陥るいわれはない。当所の構想のように国連を利用する方向へ向けて、かつて多くの人々が予想した以上に大幅な前進がここ数年間に成し遂げられている。決定の要求は、信頼と勇気の要求に他ならないのである。 注  1)国連文書A/48/935。「開発への課題」国連刊行物、販売番号E.95.I.16も参照  2)総会公式記録、第47会期、補遺第27号(A/47/27)、付属書T  3)「国連軍縮年鑑」第5巻、1980年(国連刊行物、販売番号G.81.\.4)、付属書Zも参照 平和への課題 予防外交、平和創造、平和維持 1992年1月31日採択の安全保障理事会首脳会議声明に基づく事務総長報告 A/47/277−S/24111、1992年6月17日 序文 1 安全保障理事会によって開催された初の国家元首・政府首脳レベル会議の終了に当たり1992年1月31日に採択された声明は私に、「国連の予防外交、平和創造、および平和維持に関する能力を国連憲章の枠組みと規定の範囲内で強化し、より有効にするほうほうについての分析と勧告」を作成し、同年7月1日までに加盟国に配布するよう要請した。 2 国連は主権国家の集まりであり、国連が何ができるかは、各国が相互間にどのような\通の基盤を創り出すかによって決定される。冷戦が続いた敵対的な時代は、国連の当初の約束の実現を不可能にしていた。1992年1月の首脳会議はしたがって、憲章の目的と原則の順守を最高の政治レベルで改めて誓い合うというかつて前例のない出来事であった。 3 過去数か月間に各国の間には、その大小を問わず、憲章の偉大な目標を達成する機会が回復されたという確信が育ってきた。国際の平和と安全を維持し、正義と人権を確保し、憲章に述べられているように「一層大きな自由のなかで社会的進歩と生活水準の向上」を促進することができる国連を築く機会である。この機会を逃してはならない。国連がいまや過ぎ去った時代のように再び無能化することが絶対にあってはならない。 4 安全保障理事会が、事務総長に就任して間もない私にこの報告書の作成を促したことを喜んでいる。この報告書は、各国政府や地域機関、非政府機関、および多くの諸国の機関と個人などから私に寄せられた構想や提案を参考にしたものである。このような助言に感謝するが、報告書についての責任は私にあることを強調したい。 5 紛争や戦争の原因は幅広く、かつ根深い。それと取り組むためには、人権と基本的自由を向上させ、一層の繁栄をはかるための持続可能な経済・社会開発を促進し、困窮を緩和し、また大量破壊兵器の存在と使用を削減するための最大限の努力が必要である。これまでに開催された最大の首脳会議だった国連環境問題会議(地球サミット)がこのほどリオデジャネイロで開催された。来年は第2回世界人権会議が開催される。1994年には人口と開発問題が取り上げられる。1995年には世界女性会議が予定されているほか、世界社会開発首脳会議も提案されている。私は事務総長としての任期を通じて、このような重大問題のすべてと取り組むことになる。本報告書ではこれらの諸点に配慮しながら、安全保障理事会からとくに検討を依頼された予防外交、平和創造および平和維持などの問題について考えてみたい。私はこれらの問題にさらに、これと密接な関連がある、紛争後の平和建設という問題を付け加えてみたい。 6 加盟国の協力志向が明白であることは、われわれの共通の努力を支える新たな源泉となっている。しかし成功が約束されているわけではない。この報告書は国連の平和を追求し、維持する能力の改善手段を取り扱うものであるが、たとえ機構や手法の改善を求めるとしても、現存の好機が要求する困難な決定も辞さないという意志によってこの協調精神が裏打ちされないかぎり、それだけではおよそ意味がないということを全加盟国はぜひ忘れないでほしい。 7 私はことに国連の全加盟国に対し、その重大さを認識するとともに感謝の念を抱きながら、本報告書を提出する。 ブトロス・ブトロス=ガーリ ■T.状況の変化 8 何十年間にわたり不信感と敵意はぐんぐんできた巨大なイデオロギーの障壁は、その不可分の伴侶だった恐るべき破壊手段とともに、過去数カ年の間に崩壊した。南北の諸国間の問題が深刻さを増し、政府の最高レベルでの対応が望まれているが、東西間の関係改善は共通の安全に対する脅威に巧みに対処する可能性をもたらし、そのいくつかはすでに達成されている。 9 独裁政権は、より民主的な勢力や国民の要望に対してより敏感な政府に道を譲った。こうした過程の形態や規模、激しさは、ラテンアメリカ、アフリカ、欧州、アジアなどの地域によって異なっているものの、類似点は多く、これが世界的な現象であることを示している。多くの国はこのような政治的変化と並行して、より開放的な形態の経済政策を探究し、世界的な躍動感と運動を創り出している。 10 国連の創設に伴って発生した非植民地化のうねりのなかで独立を達成した何億もの人々に加えて、さらに何百万もの人々がこのほど自由を獲得した。総会では再び、新興諸国が議席に加わりつつある。これらの諸国の加盟は、主権国家が国際社会の基本的な存在として重要かつ不可欠であることを再確認するものである。 11 われわれはいま、まことい矛盾し合う傾向によって特徴づけられた世界的な変転の時代を迎えている。地域および各大陸の国家連合は協力を強化し、主権国家や民族相互間の対立関係に潜む紛争を招きがちな特徴を緩和する方法を模索している。国境も現在はコミュニケーションおよび世界貿易の発達や、各国が主権国家としての特権の一部をより大きな共通の政治的提携関係に譲り渡す決定を下していることによって消え去りつつある。しかし同時に、民族主義や主権を唱える強烈な主張も次々と登場し、情け容赦のない人種的、宗教的、社会的、文化的もしくは言語的な敵対関係によって、国家間の結合力は危機に瀕している。社会の平和も、一方では新たな差別と排他主義の主張によって、他方では民主的な手段による発展と変化の妨害を企むテロ行為によって、いまや挑戦に直面している。 12 平和の概念は理解しやすいが、国際的な安全保障という概念はより複雑である。この分野においても、やはりある種の矛盾が生じているためである。主要核保有国は兵器削減協定の締結を交渉し始めているが、大量破壊兵器の拡散は拡大する恐れがあり、通常兵器は世界各地でさらに蓄積され続けている。人種差別が持つ破壊力が認識され、アパルトヘイト(人種隔離政策)も撤廃されつつあるが、人種間の新たな緊張も登場して、暴力行為が発生している。科学技術の進歩は全世界で、生活のありかたと平均余命を変えつつある。コミュニケーション革命は意識面で、また願望や不法行為に対する団結の強化などの面でも、世界をひとつに結びつけた。しかし進歩は同時に、安定を妨げる新たな危険ももたらす。生態系の破壊、家族や社会生活の分裂、個人の生活や権利に対する侵害の増大、などの危険である。 13 このような不安材料の増大が、依然として存在する人口の無制限の増加や重い債務負担、貿易障壁、麻薬、貧富の差の増大などの重大問題を覆い隠すようなことがあってはならない。貧困や疾病、飢饉、抑圧、絶望などの問題は依然として存在し、それが重なって1,700万人の難民や2,000万人の避難民、国境の内外への大量の人口移動などを生み出している。これが国連のたゆみない関心と最優先の努力を必要とする紛争の原因となり、結果ともなっている。オゾン層の穴は無防備の住民に対して、敵軍が押し寄せる以上の脅威を及ぼしかねない。干ばつや疾病も、戦争用の兵器に劣らぬほど無慈悲に殺戮することがありうる。したがって、新たな機会が到来したこの段階における国連の平和と安定、安全を構築するための努力は、これまでの時代を象徴した争いと戦争の足かせを断ち切るため、軍事的な脅威を超える諸問題も包含するものでなければならない。しかし武力紛争は今日も、歴史を通じてもそうだったように、人類になお不安と恐怖をもたらし続けており、それを防ぎ、封じ込め、終わらせるためには、これに直ちに取り組む必要がある。 14 国連が1945年に創設されて以来、世界では100回を越す大規模な紛争が発生し、その結果2,000万人の生命が奪われた。安全保障理事会で行使された279回にのぼる拒否権のため国連は無力となり、これらの危機の多くに対処できなかった。このことは、当時の世界がいかに分裂していたかを明白に物語っている。 15 冷戦の終結に伴って1990年5月31日以降はこのような拒否権も行使されず、国連に対する要求は増大した。創設の趣旨あるいは能力からも対応しかねた状況によって無力化されていた国連の安全保障部門も、いまでは紛争の防止と解決に、また平和の維持に中心的な役割を果たす手段となっている。われわれの目標は次のようなものでなければならない。  −紛争をもたらしうる情勢をできるだけ早期に確認するとともに、外交手段を通じて、暴力行為に発展する以前に、その原因の除去に務めること。  −紛争が発生した場合には、それをもたらした問題を解決するための平和創造を実施すること。  −戦闘が停止された場合には、たとえいかに虚弱なものであったとしても、平和維持活動によってその平和の維持に努め、調停者によって達成された合意の実施に協力すること。  −内戦と抗争で引き裂かれた国の公共施設および下部構造を再建すること、かつては反目していた諸国間に相互利益をもたらす平和のきずなを築くことなど、さまざまな状況での平和の建設を、いつでも支援できる準備を整えること。  −また、さらに大きな意味では、紛争の根本的な原因である経済的な絶望、社会的不正、政治的抑圧などの問題と取り組むこと。世界の各国や人々の間には日増しに共通の道義的な認識が広がり、国際法にも反映されているが、それには国連の活動が大きな役割を演じている。 16 国連に与えられたより広範な任務の遂行には、個々の国、地域機関、非政府機関、および国連の全組織の一致した関心と努力が必要であり、それぞれの主要機関が、国連憲章が定める均衡と調和の精神に基づいて機能しなければならない。安全保障理事会は憲章に基づいて全加盟国から、国際の平和と安全の維持に関して主たる責任を与えられている。しかし、この責任は広い意味では総会によって、また国連のすべての機関によって分担されなければならない。人類の安全をめざす統合的な取り組みでは、そのいずれもが特別かつ不可欠な役割を果たす。事務総長に可能な貢献は、国連の審議機関との間にどのような信頼と協力のパターンが築かれるかにかかっている。 17 この活動の礎石は国家であり、今後もそうでなければならない。国家の基本的主権および保全の尊重は、いかなる共通の国際的前進にも不可欠である。しかし、絶対的かつ排他的な主権の時代は過ぎ去った。その理論が結局、現実とは調和しなかったのである。各国の今日の指導者はこのことを理解し、良好な国内統治の必要性と相互依存度をさらに増す世界の必要条件との間に調和点を見いだす必要がある。通商、コミュニケーション、環境などの問題は行政的な境界を超越する。しかし個人が経済、社会、政治生活においてなすべきことを実行するのは、このような境界の内部においてである。国連はその門戸を閉ざしてはいない。しかし、もしもすべての人種、宗教、あるいは言語集団が国家としての地位を要求するならば、分裂の歯止めはなくなってしまう。そして、すべての人々のために平和と安全、経済的福祉を確保するという作業は、達成が一層困難となってくる。 18 これらの問題の解決に必要な条件のひとつは、人種、宗教、言語のいずれが原因であるかを問わず、少数民族の人権に対して特別の配慮を示しながら人権の尊重に努めることである。かつての国際連盟は、少数民族を国際的に保護する機構を設けていた。総会も近く、少数民族の権利に関する宣言を検討する。この宣言は、ますます効果をあげている国連の人権関係機関とともに、少数民族の置かれている状況のみならず、各国の安定の強化にも役立つことだろう。 19 世界主義と民族主義を、互いに刺激し合って極端な反応を引き起こさせる相反する傾向と見なす必要はない。現代生活の健全な世界化には第一に、確固としたアイデンティティと基本的自由が必要である。既存の国際システム内部における各国の主権、領土保全および独立、それに民族自決の原則はいずれも重大な価値と重要性を持ってはいるが、この両者が今後、互いに不利に作用することがあってはならない。社会生活のすべての段階における民主主義の諸原則の尊重は、地域社会、国内、あるいは国家共同体の内部においてであれ、まことに重要である。われわれは絶えず、そのすべての均衡のとれた進展をはかりながら、それぞれの保全を維持するよう努力しなければならない。 ■U.定義 20 予防外交(Priventive Diplomacy)、平和創造(Peacemaking)、平和維持(Peacekeeping)などの用語は不可分の関係にあるが、本報告書では次のような意味で用いている。 −「予防外交」とは、当事者間の争いの発生や現に存在する争いの紛争への発展を防ぐとともに、紛争が発生した場合の拡大を防止するための行動である。 −「平和創造」とは、主として国連憲章第6章で想定されている平和的手段を通じて、敵対する当事者間に合意を取りつけることをいう。 −「平和維持」とは現地に国連の存在を確立することであり、これまでは全当事者の承諾をもとに、通常は国連の軍事・警察要員が、また、しばしば文民も参加して行われている。平和維持は、紛争の防止と平和創造の双方の可能性を拡大する技術である。 21 本報告書はさらに、これらと密接な関係を持つ、紛争後の「平和建設」という概念も取り上げる。これは、紛争の再開を防ぐため平和を強化、固定化するのに役立つ構造を確認、支援する行動である。予防外交は紛争を、暴力行為が発生する以前に解決することを目的とする。平和創造と平和維持は、紛争を停止させ、いったん回復された平和を保つために必要となる。その成功は紛争後の平和建設の機会を強化し、それが国家および民族の間の暴力行為の再発を防止する。 22 これらの四つの行動分野を単独ではなく合わせて、またすべての加盟国の支持のもとに実施すれば、憲章の精神に基づく平和の確保に一貫した貢献を果たすことができる。このような分野のみならず平和のための活動というより広大な領域においても、国連には多大な経験がある。たとえば非植民地、環境、持続可能な開発、人口、疾病の撲滅、軍縮、国際法の発展など多くの問題に関するイニシアチブが、平和な世界の基礎づくりに測り知れないほど貢献してきている。世界はこれまでしばしば紛争によって引き裂かれ、人類の大規模な苦しみや欠乏状態に悩まされてきた。しかし国連の継続的な努力がなければ、こうした惨状はさらに拡大していただろう。伝統的な意味だけではなく、これからの時代が必要とする新たな次元での国際の平和の維持に発揮しうる国連の潜在能力を評価するに当たっては、このような広範にわたる経験が考慮されねばならない。 ■V.予防外交 23 外交の最も望ましくない有効な用い方は、紛争に発展する以前に緊張を緩和させること、またもしも紛争が発生した場合には、速やかに拡大を阻止し、根底にある原因を解決するために機能することである。予防外交は直接実施してもよいし、国連の高官、専門機関や各種の計画、安全保障理事会、総会、国連と協力する地域機関などが実施することもできる。予防外交には信頼を創り出す措置が要求され、また情報収集と公式もしくは非公式の事実調査に基づく早期警報が必要であるほか、予防展開、場合によっては非武装地帯の設置なども必要となる可能性がある。 ・信頼醸成措置 24 国家間の紛争発生の可能性を縮小するためには、同語間の信頼と誠意が不可欠である。その意志がある政府には、この種の措置の多くが実施可能である。たとえば軍事使節団の計画的な交換、地域的あるいは準地域的な危険縮小センターの設置、地域的な軍事協定の監視を含む、情報の自由な流れを確保するための措置などがその例である。私はすべての地域機関に対し、それぞれの地域でさらにどのような信頼醸成措置が可能かを検討し、その結果を国連に報告するよう要請する。私は今後、潜在的な紛争や今日あるいは過去の紛争の当事者および地域機関と定期的に協議して、事務局に可能な範囲内で諮問的援助を提供したい。 ・事実調査 25 どのような予防手段をとるかは、事実関係についての時宜を得た正確な知識に基づいて決定されなければならない。また、その事態と世界的な傾向についての、十分な分析に基づく理解も必要である。さらに、必要な予防措置をとる覚悟も不可欠である。紛争に発展する可能性を秘めた事態の多くには経済的、社会的原因が潜むことを考慮すれば、国連がいま必要とする情報は、危険な緊張につながりうる政治的発展とともに、経済的、社会的傾向も含むものでなければならない。 (a)憲章に基づき、憲章第99条を含む条項によって定められた責任を遂行するために事務総長によって、あるいは安全保障理事会ないしは総会によって開始される事実調査を、より大幅に実施する必要がある。これは情勢に応じて、選択的にさまざまな形態をとることが可能である。国連の事実調査団をその領土に派遣するよう求める国からの要請は、遅滞なくこれを考慮しなければならない。 (b)加盟国政府との接触は事務総長に、重要問題に関する詳細な情報を提供することができる。私は全加盟国に対し、予防外交を効果的にするために必要な情報を提供する用意を調えるよう要請する。私自身の接触を補足するため、首都もしくはその他の場所での協議に定期的に事務局高官を派遣する。情勢を真に把握し、その潜在的な影響を推し測るためには、この種の接触が不可欠である。 (c)公式の事実調査は安全保障理事会または総会が行い、いずれの場合も、それ自体の権限に基づいて調査団を派遣してもよいし、あるいは事務総長に対して、特命の任命を含む必要な手段をとるよう要請してもよい。この種の調査団は、それに続くべき行動の決定の基礎となる情報の収集に加えて、場合によっては、その問題を国境、とくに安全保障理事会が積極的に国際の平和に対する当面の、あるいは潜在的な脅威と見なしていることを当事者に示すことを通じて、その存在のみでも紛争の緊張緩和に役立つことがある。 (d)安全保障理事会は例外的な自体においては憲章が定めるとおり、情報を直接収集するため、また特定の状況に対して国連の重みを加えるためにも、本部以前の場所で会議を開くことができる。 ・早期警報 26 国連システムは近年、環境に対する脅威、核事故の危険、天災、人口の大量移動、飢餓発生の脅威、疾病の拡大などに関する貴重な早期警報網を開発してきた。しかし、平和に対する脅威の存在の有無を判断し、また国連にそれを緩和するためにどのような行動がとれるかを分析できるようにするためには、これらの情報源からの情報が政治的な指標と統合できるよう、そうした仕組みを強化する必要がある。これには今後も、国連の各種の専門機関と関連部局の密接な協力が必要である。必要となる予防行動の分析と勧告は私が適宜、安全保障理事会および国連のその他の機関に提出する。私はまた安全保障理事会が、強化され改造された経済社会理事会に対して憲章第65条に基づき、緩和しなければ国際の平和と安全を脅かす恐れがある経済的、社会的事態に関する報告書の提出を要請するよう勧告したい。 27 地域的な取り決めと機構は、早期警報に重要な役割を果たす。私は、依然として国連のオブザーバーの地位を得ようとしていない地域機関に対して、その資格を得るとともに、適当な取り決めを通じて、国連の安全メカニズムとの結び付きを確立するよう要請する。 ・予防展開 28 危機的地域における国連の活動はこれまでは概して、紛争の発生後に開始されてきた。だがいまや、国連要員の予防展開が正当化される状況についても検討すべき時である。それはさまざまな場合や方法でとりうる。たとえば国家的な危機が発生した場合には、そお国の政府あるいは全当事者の要請ないしは承諾に基づく予防展開がありうる。国家間の紛争にさいしては、国境の両側に国連が存在することが敵対行為の阻止に役立つと双方が考えた場合に、また、ある国が脅威を受けたと感じて、その国の国境内部のみにおける国連の適切な存在を要請する場合にも、やはり実施されうる。国連の存在の使命と構成はいずれの場合も、慎重に工夫されるとともに、すべての関係者の理解を得る必要がある。 29 予防展開は、国内で危機が発生して政府が要請した場合、また全当事者が承諾した場合に、苦痛を緩和したり暴力行為を限定あるいは制御したりするのに、さまざまな方法で役立つ。公平な人道的援助は決定的な重要性を持ちうるし、安全維持への援助は、軍人か警察官あるいは文民の要員によるものかどうかを問わず、生命を救い、交渉が可能になるような安全の条件を創り出すのに役立つ。また当事者が望むならば、調停の努力に貢献することもできる。国連はまたある種の状況においては、国連システムのさまざまな部分が持つ専門技術と資源を活用する必要があるかもしれない。この種の活動ではさらに、時によっては、非政府機関の参加も必要となるかもしれない。 30 このような国内の危機においては、国連はその国の主権を尊重する必要がある。さもなければ、憲章の諸原則を受け入れるにさいして加盟国が示した理解にそむくことになる。国連はあくまで、1991年12月19日の総会決議46/182にもられた指導原則に示されている、交渉によって慎重に達成された均衡には配慮しなければならない。この指導原則はとりわけ、人道的援助は人道、中立、公平の原則に基づいて提供されねばならないこと、主権、領土保全および国家の統一は憲章に従って十分に尊重されねばならないこと、これに関連して、人道的援助は被災国の承諾のもとに、また原則としてその国の要請に基づいて提供されねばならないこと、などを強調していた。指導原則はまた、国家にはその領土内で発生した緊急事態の犠牲者の世話をする責任があること、人道的援助を必要とする人々に接触する必要があることなども強調していた。このような指導原則に照らせば、国連の介入を求める政府の要請あるいは承諾は、その国の主権を侵害するものはないし、本来はいずれかの国の国内管轄権に属する事項について述べている憲章第2条7項の規定に違反するものでもない。 31 国家間の紛争で当事者双方の合意がある場合には私は、安全保障理事会が近隣諸国間での敵対行為発生の可能性が国連の存在を当事者両国の領土内に予防展開することによって除去できると判断すれば、そうした活動を行うべきだと勧告する。国連の存在の構成は、達成すべき任務の性格によって決定される。 32 国境を越えての攻撃を一国だけが恐れている場合も、もしも安全保障理事会が、要請した国だけの承諾に基づく国境の片側での国連の存在が紛争の防止に役立つと判断する場合には、予防展開を実施するよう勧告する。この場合も、その任務を達成するのに必要な使命と要員は、個々の情勢の性格によって決定される。 ・非武装地帯 33 非武装地帯は過去においては、紛争の終結にさいする当事者の合意によって設置されてきた。だが非武装地帯についてはいまや、平和維持活動の一環として国連要員をこの種の地帯に展開することに加えて、交戦国となる可能性がある国々を切り離す手段として両当事者の合意のもとに国境の両側に、あるいは攻撃のいかなる口実も取り除く手段として当事者の一方の要請のもとに国境の片側に一種の予防展開を行う有用性についても検討が必要である。非武装地帯は、紛争は防止しなければならないという国際社会の関心を象徴する役割を果たす。 ■W.平和創造 34 紛争防止と平和維持の二つの任務の間には、敵対する当事者間の合意を平和的な手段によって取りつけるために努力するという責任が存在する。憲章第6章は、紛争解決に役立つさまざまな手段を明示している。これらの手段は、総会が採択した1982年の「国際紛争の平和的解決に関するマニラ宣言」、1988年の「国際の平和と安全を脅かす紛争および情勢の防止と除去、およびこの分野における国連の役割に関する宣言」などを含む各種の宣言によって拡充されている。これはまた国連憲章に従い国際の平和と安全、国際協力をあらゆる側面で強化することをうたった1989年11月15日の決議44/21など、総会が採択したさまざまな決議でも取り上げられている。国連はこのような平和的手段の適用に広範な経験を積んできた。紛争が未解決のまま取り残されたことがあったとしても、それは平和的解決の手法が不明、あるいは不十分だったためではない。その原因の第一は、当事者に憲章第6章で提案されたような手段によって相違点の解決を求める政治的意志が欠如していたこと、第二は、これは第三者を通じる解決方式が選ばれていた場合であるが、その第三者に使用できる手段が欠如していたことにある。問題に対する国際社会の無関心、あるいはそれを無視することも、やはり解決の可能性を阻害することがありうる。国連の平和的解決能力の強化を望むのであれば、われわれはまず、これらの分野を重視しなければならない。 35 安全保障理事会が今回、国際紛争は憲章で想定された方法で解決すべきであると決定したことは、同理事会のより活発な役割に道を開いた。団結の強化は、敵対する当事者を交渉へ導く手段と説得力も増強させた。私は安全保障理事会に対し、紛争の解決に適当な手続きあるいは手段を勧告し、紛争の善当事者が要請する場合にはその平和的解決について勧告を行う権限を与えている憲章の諸条項を、十分に活用するよう促したい。 36 国際の平和と安全の維持に関しては総会も安全保障理事会および事務総長と同様、憲章によって定められた重要な役割を持つ。不変の話し合いの場として総会が持っている、適切な行動を考慮し、勧告する能力が理解されねばならない。そのためには、国際の平和と安全を脅かす可能性がある事態の未然の防止あるいは抑制により一層の力を発揮できるようにするため、すべての加盟国がこれを利用するよう促進することが不可欠である。 37 調停と交渉は、安全保障理事会、総会、あるいは事務総長に任命された個人が担当することができる。国連には、平和の家庭祖寄進に卓越した政治家たちを活用してきた長い歴史がある。これらの政治家はその経験に加えて個人的な信望も合わせ持つので、真剣な交渉に入るよう当事者を勇気づけることができる。これに関しては進んでその任務を果たそうとする人々が多いので、私は今後も必要に応じてこれを活用し続けることとなろう。事務総長自身がこの任務を遂行することもしばしばある。また、調停者の有効性は安全保障理事会、総会、それぞれの国として行動する関係加盟国などの強力かつ明確な支持によって強化されるものであるが、事務総長のあっせんは場合によっては、信義機関とは別個に実施されれば、ときに効果的に活用できるかもしれない。しかし、安全保障理事会の影響力を行使する最適の方法についての認識を徹底させるため、また特定の紛争の平和的解決に必要な共通戦略を編み出すためには、事務総長と安全保障理事会の密接かつ継続的な協議が不可欠である。 ・国際司法裁判所 38 国際司法裁判所に付託される事件は増大しているが、紛争の平和的裁定に関しては依然として十分に利用されていない。この裁判所への依存度を高めることは、国連の平和創造活動に大きく貢献することとなろう。これに関連して私は、安全保障理事会が憲章第36条、37条によって与えられている、紛争を国際私法裁判所、仲裁、もしくはその他の紛争解決機構に付託するよう加盟国に勧告する権限について注意を促したい。私は、憲章第96条第2項の規定に基づく同裁判所の勧告的意見の利用権限が事務総長にも与えられること、また、すでにこの種の権限を与えられている他の国連機関が、これまでよりも頻繁にその勧告的意見を求めることなどを勧告する。 39 私は国際私法裁判所の役割を強化するため、以下の手段を勧告する。 (a)全加盟国は「国連国際法の10年」が終了する西暦2000年末までに、規程第36条に基づく同裁判所の一般的な管轄権を一切の留保なしに受け入れねばならない。国内の機構がこれを禁じ得いる場合には双務的あるいは多角的に、裁判所に付託してもよい事項の包括的な項目に同意するとともに、多国間条約の紛争解決条項に関する管轄権に対する留保を撤回しなければならない。 (b)裁判所法廷への付託が実際的でない場合には、小法廷の管轄権を利用すべきである。 (c)各国は紛争の裁判所への付託に必要な費用を負担できない諸国を援助するために設立された信託基金を支持しなければならない。またそのような諸国は自らの紛争の解決に当たり、この基金を十分に利用しなければならない。 ・援助を通じての改善 40 平和創造は、その争いあるいは紛争をもたらした状況を改善するための国際行動によっても促進されうる。たとえば、とある社会内部における避難民への援助が不可欠であるとすれば、国連はその場合、すべての関連機関および計画が持つ資源を利用できるようにすべきである。国連には現在、安全保障理事会、総会、もしくは事務総長がこの種の積極的な手段をとるのに必要な資源を動員し、国連機構の力を結集させて紛争の平和的解決に当たることを適切なメカニズムが存在しない。私はせでに、国連の諸機関および計画の事務局長で構成される行政調整委員会でこのことを提案している。われわれは現在、国連機構の紛争の平和的解決への寄与のあり方を改善する方法を検討中である。 ・制裁と特別の経済問題 41 平和創造が憲章第41条に基づく制裁の適用を必要とする場合には、特別の経済問題に直面する諸国が憲章第50条の規程に従い、これらの問題について安全保障理事会と協議する権利を持つばかりでなく、そうした窮境と取り組んでもらえるという現実的な可能性が存在することが重要である。私は安全保障理事会が、各国をこのような窮境から防ぐために利用することができる、国連機構の金融機関その他の機関を包含する一連の措置を考案するよう勧告する。このような措置は公正ををはかるために必要であるばかりか、安全保障理事会の決定への強力を各国に促す手段ともなるであろう。 ・軍事力の行使 42 もしも平和的手段が失敗した場合には、「平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為」に対抗して国際の平和と安全を維持あるいは回復するため、安全保障理事会の決定に基づいて憲章第7章で規定された措置を取るということが、憲章に示された集団安全保障の概念の真髄である。安全保障理事会はこれまではまだ、そうした措置のなかでも最も強制的なもの、すなわち憲章第42条で想定されたような軍隊による行動は取っていない。安全保障理事会はイラク・クウェート両国間の紛争にさいしては、理事会に代わって措置を講じる権限を加盟諸国に与えるという方法を選んだ。しかし憲章は詳細にわたる取り組み方を規定しており、この点についてはいまやすべての加盟国が留意する必要がある。 43 安全保障理事会は憲章第42条に基づき、国際の平和と安全を維持または回復するために軍事行動を取る権限を持っている。この種の行動を取るのはあらゆる平和的手段が失敗した場合のみでなければならないが、国際の安全を保障する機構としての国連の信頼性にとっては、こうした行動も辞さないという選択権を持つことが肝要である。それには交渉を通じて、憲章第43条で規定されたように、加盟国が第42条に掲げられた目的のために安全保障理事会に対しての特定の場合のみならず恒久的にも、兵力、援助および便益を利用させることを約束する特別協定を締結する必要がある。憲章が採択されて初めて存在する現在の政治状況においては、この種の特別協定の締結を長らく妨げてきた障害も、もはやその力を失ったはずである。安全保障理事会が自由に使える対応手段を持つことには侵略者も当然気づくはずであるから、常備軍をいつまでも使用できる態勢が整うことは、それだけでも平和の破壊を抑止する手段として役立つ。第43条に基づく軍隊はおそらく絶対に、最新兵器を装備した大規模な軍隊からの脅威に対抗できるほどの規模や装備を整えることはあるまい。しかし小規模の軍隊による脅威であるならば、必ずや対処できるはずである。私は安全保障理事会が第43条に基づき、軍事参謀委員会によって支持された交渉を開始するよう勧告する。軍事参謀委員会は第47条第2項に基づき、必要とあれば他の加盟国の参加を求めて増強することができる。私は、軍事参謀委員会の役割は平和維持活動の立案あるいは実施の文脈においてではなく、憲章第7章の文脈において判断されるべきだと考えている。 ・平和実施部隊 44 第43条に基づく部隊の任務は、差し迫ったあるいは現実の、公然たる侵略に対応することにある。このような部隊はまだ当分の間、実現はしないことだろう。停戦が合意されても守られないことはしばしばであり、国連はこれまでも時折、停戦を回復、維持するために部隊を派遣するよう要請されてきた。この任務は折りにふれ、平和維持軍の任務や、平和維持軍に兵力を提供する諸国の期待を上回ることがありうる。私は安全保障理事会が、明確に定義された状況においては、その委任事項を事前に明記したうえで、平和実施部隊の利用を考慮するよう勧告する。加盟国から提供されるこの部隊は常時出動可能な態勢をとり、この種の任務に志願した部隊で構成されるものとする。この部隊は平和維持軍よりも重装備のものでなければならず、各国の軍隊で広範囲な準備訓練を受ける必要がある。部隊の展開と活動は安全保障理事会の権限に属し、平和維持軍の場合と同様、事務総長の指揮下に入ることになる。このような平和実施部隊は、憲章第40条が定める暫定措置として正当化できると私は考えている。この平和実施部隊を、侵略行為に対処するために第43条に基づいていずれ設置されるかもしれない兵力や、平和維持活動に貢献できるよう各国が待機態勢に置くことに合意するかもしれない軍事要員と混同してはならない。 45 外交が本報告書で取り上げるすべての活動において継続的に行われているのと同様、平和創造と平和維持の間にも、境界線はやはり存在しないかもしれない。国連軍の現地への展開が紛争防止の可能性を拡大し、平和創造活動を促進し、平和建設の必要条件として役立つ場合が多いことでも明らかなように、平和創造は平和維持の前奏曲であることが少なくない。 ■V.平和維持 46 平和維持はまさしく、国連の発明といえる。平和維持はこれまで全世界の数多くの緊張地域に、かなりの安定をもたらしてきた。 ・要望の増大 47 平和維持活動は1945年から87年までに13回、またそれ以降も13回にわたり実施されてきた。国連旗のもとに1992年1月までに奉仕した軍事、警察、文民要員は推定で52万8,000人にのぼる。そのうち43カ国出身の800人以上が服務中に死亡した。これらの活動の費用は1992年までに総計で83億ドルに達した。この費用に対する滞納額は現在8億ドル以上であり、これは兵力を提供した諸国に対する国連の債務となっている。現在承認されている平和維持活動はこの12カ月間に30億ドル近くの費用を要する見込みだが、納入状況は容認しがたいほど緩慢である。それに対して世界の防衛支出は1980年代末現在で年間1兆ドル、すなわち1分当たり200万ドルに近づいていた。 48 国連の平和維持費とそれに代わる選択肢、すなわち戦争の費用を比較すると、つまり国連の需要とそれを満たすために与えられた手段とを対比することは、もしもその結果が世界の平和と国連の信頼性に対してこれほど有害でなかったとすれば、とうてい無益でしかあるまい。各国とその国民が平和維持への援助について国連にますます大きな期待を寄せ、それができなければ国連の責任を問うようになっている現在では、国連のこの革新的かつ生産的な機能の行使能力を強化するための基本的な決定が下されねばならない。現在の平和維持費分担金の規模が、またその予測が不可能であることが一部の加盟国に対して深刻な問題を提起していることは、私もよく承知している。そのため私は一部の加盟国で見られる、平和維持関係の分担金は外交予算からではなく防衛予算から支出すべきだという提案を心から支持し、他の諸国にもこの方法を勧告する。総会にも、この方法を奨励するよう呼びかける。 49 平和維持と平和建設活動に関する国連への要望は、今後も事務局および加盟国の能力と政治的、財政的意思に対する挑戦となるであろう。安全保障理事会と同様に私も、平和維持活動の任務の増加と拡大を歓迎する。 ・平和維持の新段階 50 平和維持活動の性格は近年、急速な進化を遂げた。平和維持の既存の原則と慣行は近年の新たな要求に柔軟に対応し、成功に必要な基本条件も変わっていない。その基本条件とは、任務が明確に実行可能なものであること。任務の実行に、当事者の協力が得られること、安全保障理事会の支持が継続すること、加盟国が進んで専門家を含む必要な軍事、警察、文民要員を提供すること、本部および現地に効果的な国連軍事令部が存在すること、適切な財政・補給支援があること、などである。国際環境の変化につれ、また平和維持活動がますます、すでに調停者によって交渉された解決策の実施を助けるために展開されるようになるになるにつれ、その補給、装備、要員、財政に関して多くの新たな要求と問題が生じているが、もしも加盟国が望むならば、また必要な資源を提供する用意があるならば、これらの問題はすべて解決可能である。 ・要員 51 加盟国は平和維持活動への参加の熱意を示している。だが、軍事オブザーバーと歩兵部隊は必要数がいつでも提供されるものの、補給部隊を長期間にわたり割愛できる軍隊は少なく、これが大きな問題となっている。加盟国に対しては1990年、原則としてどのような軍事要員を提供する用意があるかを明らかにするように要請ししたが、回答するよう繰り返し要請する。予備的な取り決めは必要に応じ、新たな活動の必要が生じた場合に提供できる特殊技能を持つ要員の種類と数をに関して事務局と加盟国が取り交わす書簡によって確認すべきである。 52 平和維持活動ではこれまでにも増して、文民の政務担当者、人権監視員、選挙担当員、難民・人道的援助専門家、警察官などが、軍事要員に劣らぬ中心的な役割を演じることが必要となっている。警察要員は、必要な数を集めるのがますます困難になっている。そこで文民、警察官、軍事要員などの平和維持要員を加盟国および非政府機関、事務局の施設などが持つさまざまな能力を用いて訓練するための取り決めを再検討し、改善をはかるよう勧告する。要員提供国をさらに増やす努力は続くが、少なからぬ潜在能力を持つ諸国は、国連の活動に参加するかもしれない警察要員のための外国語の訓練に力を注いでほしい。国連自体に関しては、事務局職員が迅速に平和維持活動での任務に転任できるようにするため、報奨措置を含む特別の人事手続きを制定する必要がある。事務局に勤務する軍事スタッフの定員と能力も、新たな、しかもより重大な必要に対応できるよう拡大しなければならない。 ・補給 53 大部隊が海外で活動するのに必要な装備を、すべての国が提供できるとは限らない。装備の一部は部隊の提供国から提供されるとしても、その大部分については、装備が不十分な部隊を補うためのものを含め、国連が提供しなければならない。だが国連には、このような装備の備蓄はない。生産者に発注する必要が生じて、さまざまな問題を引き起こす。活動の開始と同時に少なくともいくらかの車両、通信機材、発電機その他が入手できるようにするためには、平和維持用の基本装備を事前時備蓄しておく必要がある。また各国政府が、必要に生じれば国連に直ちに売却、貸与、あるいは寄贈することができるよう、事務総長が定めた特定の備蓄を確約することが望ましい。 54 その能力を持つ加盟国は国連に対し、つい最近までそうだったように無料もしくは通常より低い料金での空輸および海上輸送能力を提供すべきである。 ■VI.紛争後の平和建設 55 平和創造と平和維持の活動が真に成功を収めるためには、平和を強化して人々の信頼を幸福感を育むのに役立つ仕組みを確認し、これを支えるための包括的な努力もそれに含まれる必要がある。内乱終結の合意によって定められるこれらの努力には、それまで戦っていた当事者の武装解除、秩序の回復、兵器の管理および可能ならばその破棄、難民の送還、治安維持要員用の諮問および訓練面での援助、選挙の監視、人権擁護努力の強化、政府機関の改革あるいは強化、公式および非公式の政治参加過程の促進、などが含まれる。 56 国家間の戦争後における平和建設は、二カ国あるいはそれ以上の諸国を経済的、社会的開発に貢献するばかりか平和の根元である信頼も強化するような相互に恩恵をもたらす計画で結びつける。具体的な共同プロジェクトの形式をとることもできる。私はたとえば、農業の開発や交通機関の改善、あるいは共有する必要がある水や電力などの資源の利用に関して各国をひとつにまとめるようなプロジェクト、あるいは国家間の障壁が、旅行の自由化や文化交流、相互に恩恵をもたらす青少年関係および教育関係のプロジェクトなどの手段を通じて取り除かれるような共同計画などを考えている。戦争行為を再発させかねない文化的、国家的緊張の再燃を防ぐためにはどうしても、教育面での交流や教育課程の改革を通じて、敵対的な感情を和らげる必要があるのではないか。 57 平和のための努力はさまざまだが、新たな環境の建設をめざす平和建設という概念はそのなかでもとくに、平和の条件の崩壊防止を目的とする予防外交と対をなすものと考える必要がある。紛争が発生すると、相互に補強し合う平和創造と平和維持の努力が開始される。これらの活動が目的を達成したのち、こうして達成された平和をさらに永続的な基盤に乗せることができるのは、根底にある経済、社会、文化および人道問題と取り組む持続的かつ協力的な活動以外にない。予防外交の目的は危機の回避であり、紛争後の平和建設の目的はその再発防止にある。 58 内戦もしくは国際的な戦争後の平和建設では、現在あるいはかつての戦闘地域に何百、何千万個も敷設されたままになっている地雷の処理という重大問題を取り組まねばばならないことが、最近ますます明らかになっている。地雷除去作業は平和維持活動の活動範囲のなかでもとくに強調する必要があり、平和建設活動が実施される場合の日常業務の回復にも非常な重要性を持つ。地雷を撤去しなくては農業も再開できないし、輸送手段の回復には、地雷の再敷設を防ぐために道路を舗装する必要も生じてくる。非武装地帯が予防外交に、また予防展開が紛争の防止に役立つのと同様に非武装化も、安心感を高め当事者がその社会の平和復旧活動にエネルギーを振り向けるよう促す措置として、平和維持あるいは紛争後の平和建設に力を貸すだろう。 59 国連が開発し、要請に応じて提供する義務を持つ技術援助についても、その必要が高まっている。不完全な国家構造および能力の改革に対する援助、新たな民主的制度の強化に対する援助などがそれである。国連のこの分野での行動権限は、社会的平和は戦略的あるいは政治的な平和に劣らず重要であるという合意に基づくものである。法の支配や意思決定の透明度といった民主的な慣行と、新たに誕生した安定した政治秩序のなかで真の平和と安全を達成することとの間には、明らかな関連がある。好ましい統治に必要なこれらの要素は、国際、国内の政治社会のすべての段階で助長する必要がある。 ■VII.地域的な取り組みおよび機関との協力 60 国際連盟の規約はその第21条で、平和維持の確保には地域的な取り組みが有効であることを指摘していた。国連憲章は、国際の平和および安全の維持に関連し、かつまた地域的な活動に適切で国連の目的と原則に一致する問題に対処する地域的な取り決めや機関の役割について、第8章全体を費やしている。冷戦は第8章が本来の目的を発揮するのを妨げたし、当時はそれどころか、地域的な取り決めが憲章が想定した紛争の解決策を妨げるように作用したこともあった。 61 憲章は地域的な取り決めや機関については故意に明確な定義を示さず、国際の平和と安全の維持にも役立つ地域的行動にふさわしい問題に国家集団が取り組みやすいよう、必要な柔軟性を残している。このような地域的な取り決めないし機関には、国連の発足以前か以後かを問わず何らかの条約に基づいて設立された機関、相互安全保障および防衛のための地域機関、全般的な地域開発または特定の経済的主題あるいは機能を果たすための機関、および当面の関心事である特別の政治的、経済的、社会的問題を取り扱うための設置されたグループなどを含むことができよう。 62 国連はこれに関連して近年、多種多様な補足努力を奨励している。二つの地域あるいは情勢が同一であることがありえないように、活動とその分業体勢に関する構想もまた柔軟性と創造性をもって、個々の事例の現実に適応しなければならない。アフリカではソマリア問題に関して、アフリカ統一機構(OAU)、アラブ同盟、イスラム諸国会議機構の三つの地域グループが国連と協力した。アジアでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)およびいくつかの地域の国々が国連と協力するため、カンボジア紛争の当事者とともにパリで開かれた国際会議に参加した。エルサルバドルに関しては「事務総長の友人とたち」という独自の方式が、事務総長の仲裁による合意の達成に貢献した。ニカラグアの戦争の終結には、この地域の指導者によって開始され、各国と国家グループ、米州機構(OAS)によって展開されたこのうえなく複雑な努力を必要とした。欧州共同体(EC)とその加盟国が全欧安保協力会議(CSCE)加盟国の支持のもとに払った努力は、バルカン半島およびその周辺の地域における危機への対処に中心的な役割を果たした。 63 地域的な取り決めは過去には、普遍的な集団安全保障体制の欠如のために創設されたことがしばしばだったし、したがってその活動が国連の有効性を守るのに必要な連帯感と逆行したことも、折にふれてないではなかった。しかしこの新たな機会が訪れた時代においては、地域的な取り決めおよび機関も、もしもその活動が憲章の目的と原則に一致するように実施されれば、またその国連、とくに安全保障理事会との関係が憲章第8章の精神と合致するならば、偉大な貢献を果たすことができる。 64 本報告書の目的は、地域的取り決めと国連の間の公式な関係のあり方を定めたり、特定の任務の分担方法を提唱したりすることではない。しかし、地域的な取り決めや機関がこの報告書に盛られた機能、すなわち予防外交、平和維持、平和創造、紛争後の平和建設などの機能を果たすのに役立つ潜在能力を持っていることは明らかである。安全保障理事会は憲章に基づいて国際の平和と安全の維持に主要な責任を持ち、今後もその責任を果たし続けるが、集中排除、権限の委譲、国連の努力との協力などの面での地域的活動は、安全保障理事会の負担を軽減するばかりでなく、国際問題への参加や意見一致、民主化などの意識を向上させるものにも役立つだろう。 65 地域的な取り決めと機関はこの何十年間、本来はその地域の平和の維持あるいは回復に役割を果たすように作られたものであっても、このようには見なされないでいた。だがいまは、これらの取り決めや機関にも寄与が可能だという新たな意識が生じている。国連と地域的な取り決めあるいは機関との間に協議は、問題の性格とそれに取り組むのに必要な措置ちについて国際世論を育てるのに大いに貢献するだろう。国連と合同の補完的努力に地域的機関が参加することは、その地域以外の諸国にっも支持を促す効果を発揮する。また、もしも安全保障理事会が地域的な取り組みあるいは機関に対して、とくにその地域内の危機への対応に主導権をとる権限を与えることになるならば、それは地域的な努力の妥当性に国連のお墨つきを与えることになろう。ここに掲げたような取り組み方を憲章の精神に沿って、また第8章で想定されたように発展させるならば、国際の平和と安全の維持という課題ではすべての段階で民主化が奨励されているという意識を広く強化することができよう。ただしその場合も、主要な責任はあくまでも安全保障理事会に属することを、引き続き承認することが非可欠である。 ■VIII.要員の安全 66 国連要員が紛争地域に展開される場合には、予防外交のため、また平和創造や平和維持、平和建設、あるいは人道的な目的のためであれ、その安全を確保する必要が生じてくる。要員の死亡数はこのところ、途方もなく増加している。イラクでは停戦の成立後、暴力行為がさらに発生するのを防ぐため、危険をはらむ状態に国連の警備隊が助力するよう要求された。その存在が国連の要員および物資にある程度の安全を確保するとともに、紛争の再発を防ぐのに役立ついくらかの安堵感と安定をもたらしたのである。状況によっては、警備要員のこれまでとは異なる配置と構成の展開を検討する必要がある。脅威の種類と規模が拡大するにつれ、国連要員が直面する危険に対する革新的な措置が必要となってくる。 67 経験は、国連の活動の存在も、敵対行動の抑止には必ずしも十分でなかったことを立証している。危険地域での任務には必ず危険がつきまとう。国連要員も、時によっては危険を覚悟しなければならない。国連要員が示してきた勇気と献身、そして理想主義に対しては、全国際社会が敬意を表さなければならない。これらの男女要員には正当に評価され、危険な任務にふさわしい報酬を与えられる権利がある。要員およびその家族の利害にも適切な関心が払われ、保護されねばならない。 68 生命の危険がある状況に携わる国連要員のために緊急に適切な保護策を講じる必要があることを考慮して私は、安全保障理事会が、国連の信頼性を保つため直ちに国連の存在を撤退させるという道を選ぶのでない限り、国連要員を危険にさらす人々に対してどのような行動をとるべきかを真剣に検討するよう勧告する。理事会は要員の展開に先立って、もしも国連の活動の目的が一貫して阻害され、敵対行為が発生するような場合に適用される集団的措置を検討する余地を残しておくべきである。この集団的措置には憲章第7章が規定する、国際の平和と安全に対する脅威もからむ場合の措置も含めてよいであろう。 ■IX.財源 69 国連に委ねられた任務と与えられた財政手段との間には、大きな溝が生じている。財政が  1近視眼的なままである限り、現在開けつつある展望にまで視野を拡大することはとうてい不可能なのが実情である。懸念を抱く分野は大別すると、国連のより長期的な機能能力と、危機に対応するための当面の必要条件の2つである。 70 私の卓越した前任者は国連の財政的危機をすべての局面で軽減するため、一層困難の度を増す状況をについて繰り返し加盟国の注意を喚起したほか、第46回総会においていくつかの提案を行った。総会に提出されたままになっているこれらの提案は次のとおりで、私もこれにはほぼ賛成している。 ―第1提案 これは、未払いの拠出金が巨額に達したために生じた資金繰りの問題、および運転資本準備金の不足問題に対応するための一連の措置の採択を呼びかけたものである。 (a)期日までに払い込まれない分担金には利子を課すること。 (b)国連の財務規定の一部を停止し、黒字予算の保留を認めること。 (c)運転資金資本金を2億5,000万ドルに引き上げ、この資金の水準を通常予算に占める分担金年額のほぼ25%でなければならないという原則を支持すること。 (d)分担金が払い込まれるまでに必要な初期の平和維持活動費をまかなうため、一時的に5,000万ドル程度の平和維持準備基金を設けること。 (e)事務総長に、もしも他の現金財源が不十分な場合は商業銀行から借り入れる権限を与えること。 ―第2提案 これは緊急の人道的な状況に用いるため、5,000万ドル程度の人道回転基金の創設を提案したものである。この提案はその後、実行に移された。 ―第3提案 これは、当初は10億ドルを目標とする国連平和基金の設置を提案していた。この基金は分担金と、各国政府、民間部門およぼ個人から集める自発的拠出金を合わせて創設することになっていた。基金が目標の水準に達したならば元金の投資から得られる収入を、許可された平和維持活動、その他の紛争解決措置および関連活動などのまかなうのに使用するのである。 71 これらの提案に加えて、その後の公開討議の過程で、さらに提案が追加された。これには、@国連による兵器登録の維持に関連する兵器取引に対する課税、A平和の維持に依存する国際航空旅行に対する課税、B平和と開発は相互依存関係にあるので、国連に世界銀行および国際通貨基金(IMF)から借り入れを行う権限を与えること、C各種の財団、企業および個人から国連に寄せられる寄付金に対する課税を控除すること、D平和維持活動分担金算定の基準を変更すること、などである。 72 このような提案が検討されているものの、国連の財政基盤は日増しに弱体化し、重要な新たな活動を引き受ける政治的意思と実際的能力を弱めているという厳粛な事実には変わりない。こうした状態が続いてはならない。国連財政についてはどのような決定が下されようと、ひとつ、どうしても免れ得ない必要が存在する。それは、加盟国は分担金を全額、遅滞なく支払わねばならないということである。さもなければ、憲章の義務に違反することになる。 73 こうした状況に基づき、また加盟国には現在、進んで平和のための活動の実施を求めようとする好ましい傾向が見受けられるので、そうした活動の財政負担にもそれにふさわしい態度を示すものと仮定して、私は次のように勧告する。 (a)直ちに、5,000万ドルの平和維持準備回転基金を設けること。 (b)個々の新たな平和維持活動の見積もり費用の3分の1は、安全保障理事会がその実施を決定し次第、総会によって割り当てられねばならないという合意をはかること。これは事務総長が必要とする関与の権限を与えるとともに、適切な資金繰りを確保する。費用の差額は、総会がその活動の予算を承認したのちに割り当てられるものとする。 (c)加盟国が、事務総長は例外的な状況においては政治的および活動上の配慮から、競争入札を経ずに契約を結ぶ権限を行使する必要が生じるかもしれないことを承認すること。 74 加盟国は、国連の最大限の効率と配慮をもって運営されることを望んでいる。私もこれに全面的に同意する。私は生産性を高めながら重複を防ぐため、事務局を合理化するための重要な手段を講じた。改革や改善は今後も行われる。国連システム全般についてっも、行政調査委員会の同僚と協議しながら再検討を進める。国連に長期的な財政保証を確保するという問題はまことに重要かつ複雑であるので、一般の意識と支持を高める必要がある。私はそこで国際的に著名な卓越した有識者グループに、この問題全般を検討して報告書を提出するよう依頼している。憲章に基づいて財政、予算問題に関しては総会が特別の責任を担っていることに鑑み、このグループに勧告は私の意見とともに、総会に提出するつもりである。 ■X.平和への課題 75 国連の加盟国およびその国民は。国際連盟の加盟国やその国民とは違った意味で幸福である。憲章が描く、彼らには拒まれていた世界を築く第二の機会が与えられているからである。冷戦の終結に伴ってわれわれは今、世界に脅威を及ぼしたばかりか国連を無力化させたこともしばしばっだった対決の瀬戸際から引き戻されている。 76 可能性の回復は歓迎すべきだが、過去40年間に得られた教訓をもとに、失敗やそれに類した経験を繰り返さないように配慮する必要も存在する。この地球をさまざまな理由から依然として危機に瀕しており、それを救える第三の機会は、もはや訪れないかもしれないからである。 77 今後の課題には、総会および他の主要機関をはじめとする諸機関、計画など国連のすべての構成要素を活力と関心をあげて取り組む必要がある。どの機関、計画も、全体の均衡のなかで果たすべきそれなりの役割と責任を持っている。 78 安全保障理事会が再び、適切な機能を果たすのに不可欠な平等性を失うようなことがあってはならない。これはあれほど試練を経て獲得したものだからである。拒否権を行使するという脅かしや何らかの国家グループの力ではなく、共通の利害から生じた真のコンセンサス意識が、その活動の基準とならなければならない。また理事会の決定をより効果的かつ永続的なものとするためには、常任理事国間の合意が他の理事国から、さらには加盟国全体から、より大きな支持を集める必要もある。 79 1992年1月31日に開かれた安全保障理事会首脳会議は、またとない意見交換と協力強化の場を提供した。安全保障理事会の元首および政府首脳は今後も隔年、総会で一般討議が始まる直前に会議を開くよう私は勧告する。このような会議はその時々の課題や危険に関する意見交換を可能にするとともに、変化を平和な方向に導くのに国連が最も役立ちうる方法について意見を刺激するのにも役立つだろう。私はさらに、安全保障理事会は今後も、近年効果をあげてきたように、状況が正当化する場合にはいつでも外相レベルでの会議を開催し続けるよう提案する。 80 権力には固有の責任と、そして誘惑がつきまとう。国連を成功させるためには強者も、片務主義と孤立主義の二重だが相反する要求に抵抗しなければならない。なぜならば世界的あるいは地域的レベルの片務主義が他の諸国の信頼感を揺るがせるのと同様、孤立主義もまた、政治的な選択によるものか、あるいは憲法上の制約によるものかはともかく、世界的な活動を弱めるからである。国内で平和を確立し、それぞれの社会を再建、強化するためには、海外でも平和が達成され、各国が協力し合う必要がある。この再び訪れた機会を逃さないためには、国連の努力に実を結ばせるため、大小を問わずすべての加盟国が全力を尽くさなければならない。 81 各国国内での民主主義の現実には、憲章で定められたとおり、人権および基本的自由の尊重が必要である。また、少数民族の権利についてのより一層の理解と尊重や、社会の弱者、とくに女性と子供が抱える問題を重視することも必要である。これはたんなる政治問題ではない。生産的成長に必要な社会の安定は、人々が自由にその意思が表明できる状態によって養成される。そのためには国内に、人々の参加を許す強力な制度が存在しなければならない。このような制度を育てることは、未組織の人々や貧困者、社会的に無視されてきた階層などに権限を与えることを意味する。これを達成するために国連は「現地」に、つまり経済的、社会的、政治的決定が実施されるその場所に焦点をあてなければならない。私はこれを促進するため、特定の国においては国連の各種の計画および機関を合理化、場合によっては統合するための手段を講じている。各国の駐在する国連の上級職員は、必要が生じた場合には当該政府当局の承諾を得たうえで、特定の問題に関する私の代表として活動する用意がなくてはならない。 82 国々が構成する家族のなかでの民主主義とは、国連の内部にもその原則を適用することを意味する。これには、国連の活動に関して大小を問わずすべての諸国が最大限に協議、参加、従事することを意味する。すべての国と国民の信頼が維持され、かつまた当然と見なされるようにするには、国連のすべての機関が十分かつ適切な役割を与えられ、それを果たさなければならない。憲章の原則は選択的にではなく、一貫して適用されねばならない。もしも選択的に適用されているという受け取り方が広まれば信頼が薄れるとともに、憲章の最大かつ最も比類のない特質である道義的な権威もまた薄れてしまうからである。新たな繁栄と正義の時代のための平和の達成には、あらゆる段階での民主主義の達成が不可欠である。 83 信頼には又、国連は迅速、確実、公平に対応し、政治的日和見主義や行政的あるいは財政的な欠陥によって虚弱化されることはないという確信が必要である。そのためには、清廉さにかけては疑問の余地もない協力で有能、独立した国際公務員が存在し、国連を現在のような物乞い状態から決定的に救い出す確実な財政基盤とが前提となる。 84 国連の個々の機関が検証が想定する均衡と調和がとれた方法で能力を発揮することがきわめて重要であるのと同様に、より大きな意味での平和は、国連システムあるいは各国政府のみによって達成し得るものではない。これには非政府機関、学術機関、国会議員、実業界、学会、マスメディア、そして社会全般のすべてが参加しなければならない。国連はこれによって広範な支持者の関心と利害の反映能力を強化することができるし、参加度を高める人々はそれを通じて国連のイニシアチブを世に広めるとともに、その活動について理解を深めることができる。 85 改革は連続的な過程であり、改革にも限界はありえない。しかし、国連の再生をめざす現在の段階は創設50周年に当たる1995年までに完了すべきだという期待は存在しているし、私もその実現を願っている。国連がこの時代を特徴づけている歴史の加速度に先行し続けられるようにするためには、したがって、その速度を速める必要がある。たとえばどれほど賢明なものであったにせよ従来の慣例のみに従うのは避け、将来の必要と、われわれがそれに与えようとする形と内容を指針とするようにしなければならない。 86 私は加盟国と事務総長の間の広範対話を約束している。また憲章の目標がよりよく達成されるようにするばかりでなく、国連がその部分に和よりも大きく成長できるようにするため、国連のすべての機関と構成分子の間に十分かつ自由な相互作用を促進するよう取り組んでいる。国連は医偉大且つ勇敢な洞察力をもって創造された。それに参加する国と国民、およびその職員男女にとってはいまこそ、将来のための機会をつかむべき時が訪れているのである。 ●●●第2部●●● 国連の文書 転載された文書の一覧 総会の決議  平和への課題:予防外交と関連事項  A/RES/47/120A、1992年12月18日 ......57  平和への課題:  A/RES/47/120B、1993年9月20日 ......64  国連および関連要員への攻撃についての責任とそのような攻撃が法に照らして処断されるようにする措置  A/RES/48/37、1993年12月9日 ......72  平和維持活動のあらゆる側面の問題全体についての総合的な再検討  A/RES/48/42、1993年12月10日 ......74 安全保障理事会議長による理事会を代表しての声明  S/23500、1992年1月31日 ......85  S/24210、1992年6月30日 ......90  S/24728、1992年10月29日 ......91  S/24872、1992年11月30日 ......93  S/25036、1992年12月30日 ......95  S/25184、1993年1月28日 ......96  S/25344、1993年2月26日 ......98  S/25493、1993年3月31日 ......100  S/25696、1993年4月30日 ......102  S/25859、1993年5月28日 ......104  S/PRST/1994/22、1994年5月3日 ......107  S/PRST/1994/36、1994年7月27日 ......112  S/PRST/1994/62、1994年11月4日 ......113 ************************************************************ 総会の決議 【平和への課題:予防外交と関連事項】 A/RES/47/120A、1992年12月18日 総会は、  安全保障理事会が国家および政府の首脳レベルの初の会議の終わりに採択したの1992年1月31日の声明1/…それにおいて事務総長は「国連の予防外交、平和創造および平和維持に関する能力を国連憲章の枠組みと規定の範囲内で強化し、より有効にする方法についての分析と勧告」を作成し、同年7月1日までに加盟国に配布するよう要請した…を想起し、  国連社会による綿密な検討に値する勧告として、安全保障理事会首脳会議の応えた、「平和への課題」と題される事務総長の前向きの報告書2/の時宜にかなった発表を歓迎し、  国連憲章の目的と原則を達成するため、国際関係の新段階という挑戦に応じるよう国連を活性化させることについの関心の高まりと勢いを保つ必要性を認識し、  「平和への改題」に記された概念と提案の実施が憲章の規定、特にその目的と原則の厳密に従うべきであることを強調し、  また、1970年10月24日の決議2625(XXV)…その付属書に「国連憲章に基づく諸国間の友好関係と協力についての国際法の原則に関する宣言」が含まれている…と、1988年12月5日の決議43/51…その付属書に「国際の平和と安全の維持を脅かす紛争および状況の防止と除去およびこの分野における国連の役割に関する宣言」が含まれている…を想起し、  国際の平和と安全が総合的に見られることと、平和と正義と安全を安全を確立するための国連の努力が軍事問題ばかりでなく、各権限領域の様々な機関を通じて関連ある政治面、経済面、社会面、人道面、環境面および開発面を含めるべきであることを強調し、  国際の平和と安全を促進するためと、これに関して平和への課題を開発への課題で補完する必要性を認識するための手段の一つとして、加盟国の社会経済的発展を強化する国際的行動の必要性を強調し、  予防外交の時宜を得た適用が緊張を紛争に至る前に緩和するための最適かつ効率的な手段であることを認識し、  予防外交は信頼醸成、早期警報、事実調査およびその他の措置を必要とし、それにおいて加盟国との協議、慎重さ、機密性、客観性、および透明性が適切に組み合わせなければならないことを確認し、  加盟国が平和的に争いを解決するのを手助けするために、特に適切な人的資源と財政資源を配分することを通じて国連の現地での予防外交の能力を強化する必要性を強調し、  とりわけ、国連が予防外交において有効な役割を演じられるようにするために、国連の健全かつ強固な財政基盤の基本的重要性を再確認し、  国連と地域的な取り決めおよび地域機関のそれぞれの権限領域における予防外交についての協力の重要性を強調し、  また、国家の主権、領土保全および政治的独立の原則に対する尊重が、国際の平和と安全を促進する共通の努力にとってきわめて重要であることを強調し、  さらに、平和への課題の様々な側面に関して第47会期中に総会によって採択された他の決議を想起し、  国連の全機関が予防外交、平和維持、平和建設における国連の役割を強化する努力を集中し、十分な行動がとられるよう事務総長の報告書について討論し続ける必要性を強調し、  国際法の規範と原則に従って、予防外交、平和創造、平和維持および人道的援助活動に携わる要員を十分に保護する必要性を強調し、  「平和への課題」と題された事務総長の報告書2/で示された予防外交の定義に留意し、 ■I.紛争の平和的解決 紛争の平和的解決を促す必要性を強調し、 1.加盟国が国連憲章に述べられたような平和的手段を通じて初期段階で紛争の解決策を探るよう要請する。 2.その出所にかかわりなく、諸国家間の一般的福祉または友好関係を損なうと思われる状況の平和的調整のための措置を総会がそれによって勧告できる憲章の規定の十分な利用法を探ることを決定する。 3.安全保障理事会が紛争の平和的解決のための手続きと方法に関する憲章第6章の規定を十分に利用し、関係当事者に対し、紛争を平和的に解決するよう呼びかけるよう奨励する。 4.国連システムの他の団体、組織、機関や、適切な地域的な取り決めや地域機関の参加など、特定の紛争と平和解決のための適切な戦略をケースバイケースで作成するために、事務総長と安全保障理事会に対し、綿密かつ継続的な協議に初期段階で携わるよう奨励し、事務総長に対し、そのような協議について総会に報告するよう要請する。 ■II.早期警報、情報収集および分析 国連の早期警報、情報収集および分析の能力を強化する必要性を確認し、 1.事務総長が加盟国や国連機関、そして適切ならば地域的な取り決めや地域機関と緊密に協力して、これらの機関が利用可能なおよび/または加盟庫奥から受け取った情報を利用しながら、国際の平和と安全の維持を危うくする可能性が高い状況について十分な早期警報機構を設置し、設置された機構について加盟国に知らせ続けるよう奨励する。 2.事務総長が事務局の情報収集・分析の能力を国連の早期警報の必要性をより満たすように強化するよう要請し、またそのために、事務総長が情報の収集・分析など予防外交のあらゆる側面において職員が適切な訓練を受けられるよう取り計らうよう奨励する。 3.加盟国や地域的な取り決めおよび地域機関が事務総長に対し、該当するならば機密扱いで、早期警報情報をタイムリーに提供するよう要請する。 4.事務総長が国連憲章第99条に従って、国際の平和と安全の維持を脅かすと思われるあらゆる事柄とそれに関する自らの勧告に、その裁量で、安全保障理事会の注意を促し続けるよう奨励する。 5.事務総長の要求する援助を加盟国が提供することなど、予防外交における彼の努力を支援するよう要請する。 6.事務総長が憲章の関連する規定に従って、潜在的に危険であるか、もしくは国際の摩擦または紛争に通じうる状況を総会に指摘するよう奨励する。 7.事務総長が諸国家間の関係に悪影響を及ぼすと思われるあらゆる事柄について、初期段階で関係加盟国の注意を促すよう要請する。 ■III.事実調査  安全保障理事会の議長が理事会を代表して1992年10月29日に行った声明3/および同年11月30日に行った声明4/と、事実調査法の問題に関する1963年12月16日の決議1967(XVIII)、1965年12月20日の決議2104(XX)、1996年12月12日の決議2128(XXI)、1967年12月18日の決議2329(XXII)を想起し、 1.1991年12月9日の決議46/58…その付属書に「国際の平和と安全の維持の分野における国連の事実調査に関する宣言」が含まれている…と特にその指針を再確認する。 2.事務総長に対し、最高水準効率性、能力および完全性に備えた候補者を考慮に入れて、できるかぎり広い地理的範囲から選ばれた、事実調査団およびその他の調査団の有能かつ適格の専門家の働きを利用し続けるよう勧告する。 3.事務総長が事実調査団およびその他の調査団においてその裁量で用いたと考える適切な人物の氏名を加盟国が提示するよう要請する。 4.加盟国の領土への事実調査団の派遣要請が迅速に検討されるよう勧告する。 5.国連憲章に基づく事務総長の機能の適切な遂行において彼を支援するために、事実調査団およびその他の調査団を彼が派遣し続けるよう要請する。 ■IV.信頼醸成措置  国家安全保障上のニーズに従った適切な信頼醸成措置の適用は相互の信頼と善意を促し、これは諸国家間の衝突の可能性を滅じて紛争の平和的解決の可能性を高めるのに不可欠であることを確認し、  適切な種類の信頼醸成措置についての指針の実施に関する、1988年12月8日の決議43/78H、1990年12月4日の決議45/62F、ならびに1992年12月9日の決議47/54Dを想起し、  信頼醸成措置には政治的・経済的・社会的問題をはじめとする軍事問題と非軍事問題の両方を含めうることを認識し、  加盟国や地域的な取り決めおよび地域機関が、適切な場合にはその使命に従って、関連地域に適した信頼醸成措置の作成において主導的役割を演じることと、国連憲章第8章に従って、これに関する各自の努力を国連との間で調整する必要性を強調し、 1.加盟国や地域的な取り決めおよび地域機関が事務総長に対し、各自の地域における信頼醸成措置における経験について適切な経路を通じて知らせるよう要請する。 2.一層の信頼醸成措置について加盟国や地域的な取り決めおよび地域機関と定期的に協議したいという事務総長の意向を支持する。 3.事務総長が、その継続が国際の平和と安全の維持を脅かす可能性が高い既存のまたは潜在的な紛争の当事者や、その他の関係する加盟国や地域的な取り決めおよび地域機関と、各自の地域における信頼醸成措置の可能性について協議し、関係当事者との協議においてそれに関して加盟国に情報を提供し続けるよう奨励する。 4.軍備の生産、調達および展開における公開性と制限の促進、軍事調査団の体系的交流、地域的な危険削減センターの設立、情報の自由な流れのための取り決め、地域的な武器管理と軍縮の取り決めといった信頼醸成措置を奨励する。 ■V.人道的援助  自然災害と類似の緊急事態の犠牲者への人道的援助に関する1990年12月14日の決議45/100と、国連の緊急な人道的援助の調整強化に関する1991年12月19日の決議46/182を想起し、  人道的援助の提供における国連システムの役割の増大を歓迎し、  一部の状況下では、公平に提供される人道的援助および平和維持活動の計画が相互支援的であることに留意し、 1.人道的援助計画の調整された立案・実施を保証するため、事務総長が国連システム全体と適切ならば非政府機関の専門的な技能と資源を用いて、国連の能力を強化し続けるよう奨励する。 2.また、必要ならば事務総長が、人道的行動の非政治的で中立的で公平な性格を保ちならが、人道的援助計画と平和維持活動または関連活動との調整という問題に取り組み続けるよう奨励する。 3.国際の摩擦や紛争に通じうる悪化を防ぐために、事務総長が緊急の人道的援助を必要とする状況に国連の適切な機関の注意を向けるよう要請をする。 ■VI.予防外交の資源および兵站面  予防外交における国連の努力を支える十分な資源の必要性を認識し、 1.加盟国が紛争の平和的解決のための事務祖長の努力に、早期警報、事実調査、適切な調停や仲裁といった政治的・実際的支援を与える要請をする。 2.また、加盟国が自発的に事務総長に対し、重要性を増しているこれら機能を実施成功のために必要な追加の専門知識や兵站資源を提供するよう要請する。 ■VII.予防外交における総会の役割  安全保障理事会と事務総長とともに総会は予防外交で重要な役割を有することを認識し、  予防外交において重要な役割を有する総会は、国連憲章とその使命および責任に従い、安全保障理事会および事務総長と緊密に協力し、調整しなければならないことを認識し、  潜在的に危険な、もしくは国際の摩擦または紛争に通じうる状況を予防・阻止することにおいて影響力を強めるように、国連憲章の関連規定に従って、加盟国による総会の利用を促進するために、「平和への課題」と題される事務総長の報告書2/における勧告を支持する方法を探ることを決定し、 ■VIII.将来の作業  時間の制約のために「平和への課題」と題される事務総長の報告書2/に記される提案すべてを検討することはできないことに留意し、 1.「平和への課題」と題される事務総長の報告書に記された予防外交と、予防展開、非武装地帯および国際司法裁判所といった関連事項に関するその他の勧告についての検討と、国連憲章に従い、国連の管轄機関における関連の進展と慣行を考慮したうえで、国連憲章第50条の規定の実施についての検討を1993年前半に続行することを決定する。 2.また、「平和への課題」に記された他の提案について討論し検討することを決定する。  1/ S/23500  2/ A/47/277-S/24111  3/ S/24728  4/ S/24872 【平和への課題】 A/RES/47/120B,1993年9月20日 総会は、 「平和への課題:予防外交と関連事項」と題された1992年12月18日の決議47/120を想起し、  1991年12月9日の決議46/59…その付属書に「国際の平和と安全の維持の分野における国連の事実調査に関する宣言」が含まれている…を再確認し、  また、国連の緊急の人道的援助の調整強化に関する1991年12月19日の決議46/182を想起し、  さらに、平和維持活動のあらゆる側面の問題全体についての総合的な再検討に関する1992年12月14日の決議47/71を想起し、  安全保障理事会と事務総長とともに、総会は予防外交において重要な役割を有することを強調し、  国連憲章とその使命および責任に従って、総会は安全保障理事会および事務総長と緊密に協力し調整しなければならないことを認識し、 ■I.総会の役割  総会の機能と権限に関する国連憲章の規定を想起し、  また、総会の機能と権限の利用に言及している「平和への課題」と題される事務総長の報告書1/を想起し、 1.国連憲章の他の関連規定に従って、憲章第10条および第14条で定められた機能と権限を十分かつ有効に利用することを決議する。 2.国連憲章第14条の範囲に入る状況の平和的調整のための措置を勧告するために、憲章第22条に基づく補助機関など、そのような状況についての検討を促す既存のまたは新規の機構の利用を検討することを決定する。 3.また、事務総長の課題の項目に関連した事項、またはその権限下の他の事項に関する報告書を総会が受け取る可能性など、平和の促進における国連の役割を強化するため、憲章に従って、管轄の国連機関間協力を深める適切な方法を検討することを決定する。 ■II.予防展開と非武装地帯  予防外交という広い文脈において、「平和への課題」と題される事務総長の報告書1/に記載された予防展開と非武装地帯に関する段落28〜33と、これらの問題について加盟国により表明された意見に留意し、  「平和への課題」に記された予防展開と非武装地帯に関する概念と提案の実施は、国連憲章の規定、特にその目的と原則に従って、また国際法の関連規定に従って行わなければならないことを強調し、  国連の予防展開の有効利用の例と、非武装地帯の設置を歓迎し、  加盟国との適切な協議と、予防展開の実行もしくは非武装地帯の設置に関する意思決定における透明さの重要性を強調し、  国連の予防展開もしくは非武装地帯設置は、その継続が国際の平和と安全の維持を危うくする可能が高い紛争の予防・阻止を促しうることを認識し、  国家の主権、領土保全、および政治的独立、ならびに基本的に国内管轄権に入る事柄における不介入という諸原則を尊重することが、国際の平和と安全を促進する共通の努力にとってきわめて重要であることを強調し、  予防展開が行われるもしくは非武装地帯が設置される状況はそれぞれ独自の性格を持つことと、加盟国との協議など関連する要因および状況に関するケースバイケースの措置に関する決定を下すことがきわめて重要であることを念頭におき、  予防展開もしくは非武装地帯設置に携わるさいに国連の公平性を持つ必要性を認識し、  また、予防展開と非武装地帯設置は前進的に変化する概念であることを認識し、 1.既存のまたは潜在的な紛争が衝突に至るのを防ぎ、その継続が国際の平和と安全の維持を危うくする可能性が高い紛争の平和的解決を達成する努力を促すための手段として、予防展開および/または非武装地帯設置の利用をケースバイケースで検討することの重要性を認める。 2.国連の予防展開および/または非武装地帯設置は、関係する他国とその他の関連要因を考慮に入れたうえで、加盟国または関係加盟国による要請に従って、また原則的にそれに基づいて行われなければならないことを再確認する。 3.また、国連の予防展開および/または非武装地帯設置は、国連憲章の規定、特にその目的と原則に従って、また国連法の関連規定に従って、総会および安全保障理事会の関連決議を考慮に入れたうえで行われなければならないことを再確認する。 4.国連の管轄機関が、その使命の範囲内で、衝突を避けて紛争の平和的解決を達成する努力を促すために、予防展開および/または非武装地帯設置の実施を検討するよう、その効率性と有効性を高めるために、そのような予防外交および非武装地帯の実際面、運営面および財政面を検討し続けるよう要請する。 ■III.紛争の平和的解決における国際司法裁判所の利用  紛争の平和的解決における国連憲章に基づく国際司法裁判所の役割を強調し、 1.各国が紛争の平和的解決のために国際司法裁判所を一層利用するよう奨励する。 2.他国間条約の紛争解決条項を通じてなど、各国が国際司法裁判所の管轄権を受け入れる可能性を検討することを勧告する。 3.当事者により国際司法裁判所に対して提訴された特定の訴訟事件を取り扱う同裁判所の裁判官室の利用は、紛争の平和的解決のための同裁判所の利用を増大させる手段であることに留意する。 4.各国がその紛争を国際司法裁判所を通じて解決するのを支援するために事務総長の信託基金へ可能ならば定期的に拠出することを検討するよう要請し、事務総長が信託基金の財政状態と利用について定期的に報告するよう要請する。 5.総会または安全保障理事会が国際司法裁判所に対し、何らかの法的問題について助言を与えるよう要請しうることと、総会にそのような権限を与えられた国連の他機関や専門機関もその活動の範囲内で生じる法的問題について同裁判所の助言を求めうることを想起する。 6.国際司法裁判所の助言権限の利用に関するものなど、同裁判所に関する事務総長の勧告すべてを検討し続けることを決定する。 ■IV.予防または実施措置の実施から生じる特別な経済問題  安全保障理事会が他国に対して講じた予防または実施措置の実行から生じる特別な経済問題に直面していると考える国がその問題の解決策に関して理事会に相談する権利を与えている国連憲章第50条を想起し、  また、「平和への課題」と題された事務総長の報告書における、安全保障理事会はそのような困難から各国を守る立場にたてる金融機関または国連システムの他の構成要素に関する一連の措置を考案するという勧告と、そのような措置は公平性の問題であり、各国が理事会の決定に協力するよう奨励するための手段であるという彼の意見を想起し、  さらに、安全保障理事会の議長が1992年12月31日に行った声明2)…それにおいて理事会はこの事柄を今後も検討する決意を表明し、事務総長が国際金融機関、国連システムの他の構成要素、および国連加盟国の長として協議してできるかぎり速やかに理事会に報告するよう要請した…を想起し、  「平和への課題:予防外交と関連事項」と題された決議47/120A…それにおいて、「平和への課題」と題された事務総長の報告書に記されたその他の勧告についての検討と、国連の管轄機関における関連の進展と慣行を考慮したうえで、国連憲章に従って、憲章第50条の規定の実施についての検討を1993年前半に続けることを決定した…を想起し、  憲法第41条に従った、国際の平和と安全に維持において武力行使を伴わない経済措置またはその他の措置の重要性を強調し、  憲章第50条の実施が、総会とその補助機関と安全保障理事会をはじめとするいくつかの場で最近取り組まれていることに留意し、  今日の経済相互依存の状況において、ある国に対する憲章第7章に基づく予防または実施措置の実施が他諸国に特別な経済問題を生じさせ続けることを認識し、  加盟国がイラクおよびユーゴスラビア連邦共和国(セルビアとモンテネグロ)に対する予防または実施措置の実施の結果としして直面して特別な経済問題に関して安全保障理事会により設置された機関とかつて協議したことを想起し、  一部の国が憲章第7章に基づく予防または実施措置の実施のせいで不利な経済問題に直面し続けることを憂慮し、  これらの問題の解決策をできるかぎり速やかに見出す適切な方法の必要性を認識し、 1.ある国に対する予防または実施措置が安全保障理事会により決定される場合の、他の加盟国の特別な経済問題の解決策を見出すために、国連憲章第50条を実施する方法を検討し続けることを決定する。 2.安全保障理事会が理事会により課された措置の実行から生じる国の特別な経済問題の解決策に関して国連システムと関連の国際金融機関において何がなしうるかを検討し、とりわけ次の措置を検討するよう要請する。 (a)予防または実施措置の実施の結果、悪影響を受けた国または悪影響を受ける可能性が高い国、もしくは事務総長、国連の主要機関、計画および機関ならびに国際金融機関との協議を通じて特別経済問題を最小化するための、研究についての協議過程の強化、特別な経済問題に関する報告とその解決策の示唆。 (b)加盟国や国際金融機関と協議したうえでの、安全保障理事会に課された措置の実行から生じる特別な経済問題に遭遇する国を援助する任意基金、追加の信用融資、影響された国の輸出振興のための援助、そのような国における技術協力計画のための援助、および/または影響された国における投資促進のための援助といったその他の措置。 3.また、安全保障理事会の委員会や、予防および実施措置の実施を監視する任務を委ねられた他機関が、その使命の遂行において、そのような措置の有効性を損なわずに、他の加盟国への無用な悪影響を避ける必要性を考慮に入れるよう要請する。 4.事務総長が憲章第50条の実施について総会に対し毎年報告をするよう要請する。 ■V.紛争後の平和建設  紛争後の平和建築が新たな概念であることに留意し、  確固たる平和づくりを促すために、衝突の根底にある経済的・社会的・文化的・人道的因果関係に取り組む国連による持続的な協力努力の必要性を認識し、  国連憲章第55条の規定を想起し、  また、紛争後の平和建設という概念は紛争再発を予防する新たな環境の創出を目指していることを認識し、  紛争後の平和建設が行われる状況はそれぞれ異なるので、ケースバイケースで検討されなければならないことを念頭におき、  また、紛争後の平和建設は、平和を強化して人民と国家の信頼感と福祉を促進するために、平和創造および平和維持の努力を補完しなければならないことを念頭におき、 1.「平和への課題」と題された事務総長の報告書の第55段落から第59段落に記された提案、特に紛争後の平和建設のための活動の範囲に関する提案の有効性を認める。 2.紛争後の平和建設は、国連憲章の特に国家の主権平等と政治的独立、領土保全、そして基本的にある国の国内管轄権に入る事柄における不介入の諸原則に従って行われなければならないことを強調する。 3.個々の国はその政治的・社会的・経済的・文化的システムを自由に選択して開発する権利を有することを想起する。 4.紛争後の平和建設は十分定められた時間枠内で行われなければならないことを強調する。 5.また、紛争後の平和創造は紛争終結時のまたは紛争後の取り決めに基づいて、もしくは政府または関係諸政府の要請で行われることを強調する。 6.かつて敵対していた当事者間の平和と協力を促すための措置の必要性を強調する。 7.国際金融機関が紛争後の平和建設における社会経済的発展の領域においてなしうる貢献など、国連システムの関連構成要素による調整された行動の必要性を強調する。 8.また、国連システムの構成要素、地域機関、加盟国および非政府機関など様々な出所からの貢献の、紛争後の平和建設にとっての重要性を強調する。 9.事務総長が総会に対し、政府または関係諸政府による紛争後の平和建設に関する要請、もしくは関係当事者による紛争終結後のまたは紛争終結後の和平協定から生じる平和建設について知らせるよう要請する。 10.紛争後の平和建設を支持する用意があることを確認する。  ■VI. 地域的な取り決めおよび地域機関との協力  国際の平和と安全の維持に関する事柄などへの対処における地域機関および地域的な取り決めの役割が地域行動に適していることの重要性と、これに関して、そのような機関および取り決めと国連との協力を深める必要性を認識し、  国連憲章第8章と、地域機関および地域的な取り決めとその活動が国連の目的と原則に合致していることを条件として、国際の平和と安全の維持に関する事柄などへの対処における地域機関および地域的な取り決めの役割が地域行動に適していると承認していることを想起し、  世界の様々な地域における紛争の平和的解決において地域機関が得た経験と達成した望ましい結果を考慮し、 1. 地域機関および地域的な取り決めは、その権限領域において、国連憲章に従って、国際の平和と安全の維持、予防外交、平和創造、平和維持、および紛争後の平和建設に重大な貢献をしうることを承認する。 2. 地域機関および地域的な取り決めが、その権限領域において、憲章の目的と原則の達成に貢献するために、国連との緊密な協力および調整を促す方法を検討するよう奨励する。 3. また、事務総長が憲章に従って、国連と地域機関および地域的な取り決めとの協力を促す努力を続けるよう奨励する。 ■VII. 要員の安全  平和維持要員の安全に関する1992年12月14日の決議47/72と、その他すべての関連決議を想起し、    「平和への課題」と題された事務総長の報告書1)において国連要員の安全について表明された憂慮を念頭におき、  また、安全保障理事会の関連決議を想起し、  国連軍および要員の保護に関する安全保障理事会の議長による1993年3月31日の声明3)を評価し、  国連平和維持要員の地位と安全の問題に関する、平和維持活動特別委員会による作業を評価し、  危険な展開地域における意図的な敵対行為による国連平和維持要員およびその他の要員の死亡・負傷の増大について深く憂慮し、 1. 国連活動の安全に関する事務総長の報告4)を歓迎する。 2. これに関する国連の関連機関すべてによる一致した行動の必要性を考慮に入れたうえで、国連活動に携わる国連要員の地位と安全を高める一層の措置を検討することを決定する。  1)A/47/277-S/24111  2)S/25493参照  3)A/48/173  4)A/48/349-S/26358 【国連および関連要員への攻撃についての責任とそのような攻撃が法に照らして処断されるようにする措置】 A/RES/48/37、1993年12月9日 総会は、  「平和への課題」と題された事務総長の報告書1)と1993年9月20日の総会決議47/120Bを想起し、  また、1992年12月14日の決議47/72を想起し、  死亡または重傷をもたらした国連要員に対する攻撃数の増大を深く憂慮し、  さらに、1993年3月31日の安全保障理事会議長による理事会を代表しての声明2)……それにおいて安全保障理事会はとりわけ国連の関連機関すべてが国連軍および要員の安全を高めるための一致した行動をとる必要性を認識した…を想起し、  平和維持活動特別委員会の報告書3)を想起し、    国連活動の安全に関する1993年8月27日の事務総長の報告書4)を検討し、  また、1993年9月29日の安保理決議868(1993年)を想起し、  ニュージーランド5)およびウクライナ6)の代表者がこれについて示した提案を評価し、  これに関して設置された作業部会の長の口頭報告7)を歓迎し、 1. 国連および関連要員の安全に取り組む、特にそのような要員への攻撃についての責任に言及した国際条約を立案するため、全加盟国に開かれた特別委員会を設置することを決定する。 2. また、この特別委員会が、各国の提言や提案と、事務総長がこの主題について示したいと考える意見や提言を考慮に入れ、総会の第48会期中にこれについて表明される見解を念頭においたうえで、条約案の主文を起草するために1994年3月28日から4月8日まで会合を開くことと、もしも同委員会自体がそのように決定するならば、1994年8月1日から12日までさらに会合を開くことを承認する。 3. 事務総長が特別委員会に対し、その作業の遂行に必要な便宜を提供するよう要請する。 4. 特別委員会が総会に対し、その第49会期に条約案の起草へ向けての進捗について報告するよう要請する。 5. もしも条約案の起草のために一層の作業が必要な場合には、第六委員会の枠組みのなかで、第49会期に作業部会が再設置されることを勧告する。 6. 第49会期の課題に、「国連および関連要員への攻撃についての責任とそのような攻撃が法に照らして処断されるようにする措置」と題された事項が含められることを決定する。  1)A/47/277-S/24111  2)S/25493参照  3)A/48/173  4)A/48/349-S/26358  5)A/C.6/48/L.2  6)A/C.6/48/L.3  7)A/C.6/48/SR.29参照 【平和維持活動のあらゆる側面の問題全体についての総合的な再検討】 A/RES/48/42、1993年12月10日 総会は、  1965年2月18日の決議2006(XIX)およびその他の関連決議すべてを想起し、  特に1992年12月14日の決議47/71および決議47/72を想起し、  ここ数年の会期中に平和維持活動について特別委員会によりなされた進捗を歓迎し、  平和維持活動が、国際の平和と安全を維持し、これに関して国連の有効性を高めるための国連の努力の相当大きな部分を構成することを確信し、  基本的に国連憲章第6章において予期されたような平和的手段を通じて敵対する当事者を合意に導く行動である、事務総長と国連機関の平和維持活動が、国連の基本的機能を構成し、その継続が国際の平和と安全の維持を危うくする可能性が高い紛争の予防、阻止および解決のための重要な手段であることを認識し、  国家の主権、領土保全、および政治的独立と、基本的にある国の国内管轄権に入る事柄における不介入という諸原則の尊重が、国際の平和と安全を促進するための共通の努力にとってきわめて重要であることを強調し、  1993年5月28日の安保理議長による声明1と、それに記された勧告に留意し、  平和維持活動の有効性を保証するために、それが正確で明確に定められた使命を有することが必要であると確信し、  国連平和維持の現場での活動の増大が、国連のための良く管理された人員の増加、財政資源および物資を必要とすることを考慮に入れ、  事務総長の勧告書2で述べられた国連のきわめて困難な財政状態と、その多くが開発途上国である部隊提供国すべてに対する重い負担を認識し、  国連の作業に関する事務総長の報告書3に留意し、平和維持活動特別委員会の報告書4を検討したうえで、国連平和維持および関連調査団(文民要素)の人員配置に関する合同調査部の報告書5の関連部分を承知して、 1.平和維持活動特別委員会の報告書4を歓迎する。 ・資源 2.予備隊を立案するチームの設置における事務総長のイニシアチブを評価し、このイニシアチブに関する定期的報告を期待する。 3.事務局と加盟国との間の契約が、国連平和維持活動の軍事ニーズおよび文民ニーズと、活動が利用可能な加盟国の能力を分類するために、強化されることを勧告する。 4.加盟国が、その国内的な取り決めが認めるかぎりにおいて、事務局と協力して、平和維持活動に参加する軍事要員、警察要員および文民要員についての取り決めを作成し、そのような取り決めの存在と様相について事務総長に対し定期的に知らせるよう奨励する。 5.事務総長に対し、上記第4項で述べられたとおり、加盟国が提供できる資源の種類および利用可能性と、文民平和維持活動に適した技能を備えた人物を記録する、定期的に更新されるデータバンクを求める提案を作成するよう要請し、事務総長に対し、広範な文民平和維持能力に役立つ適格な要員のタイムリーな利用可能性についての緊急なニーズを満たすのに必要だと彼が考えるその他の措置を提案するよう要請する。 6.国連が平和維持の領域における責任の増大に見合った資源、特のそのような活動の始動段階に必要な資源を提供される必要があることを強調する。 7.平和維持用の基本装備のタイムリーな提供に関する事務総長の勧告6に注目し、既存の資源におけるそのような装備の限られた回転備蓄の開発を提言する。 8.事務総長が、必要な時に国連への直接的な販売、貸与または寄付をするための、事務総長により定められたいくつかの装備を使途指定する意思について、事前に加盟国と協議するよう要請する。 9.加盟国が国連の財政規則およびルールに従って、空輸および海上輸送資源を国連が最大限利用可能にするよう奨励する。 10.事務局が平和維持活動完了時の国連装備の処分に関する指針を作成するよう要請する。 ・財政 11.平和維持活動の資金調達が国連憲章第17条第2項に基づく加盟国の集合的責任であることを想起し、国連の財政状態改善に関する事務総長の報告書に注目し、加盟国が各自に課された分担金を全額、遅滞なく納入するようにという要求を繰り返し、加盟国が国連の財政規則およびルールに従って自発的に拠出するよう奨励する。 12.事務総長が平和維持活動に関する適用可能な国連の財政・行政規則を再検討するよう要請し、そのために、事務局における横のコミュニケーションや情報伝達を強化する措置を講じるよう要請する。 13.事務総長が、外部管理など監査・調査システムを強化することによって平和維持に関する財政管理機構を改善するよう要請し、適切な説明義務が保たれるようにする必要性を強調し、これに関して、独立した監督・調査能力の強化への最近の措置を評価する。 14.軍司令官または特別代表に適切な程度の財政・行政権限を委ねながら、新たな状況と特定の要求に適応する調査団の能力を高めるために、責任と説明義務に関する措置が強化される必要性を強調する。 15.要請に基づき非償還貸付で多数の軍人を事務局が利用可能になっていることに留意し、事務総長が既存の資源において財政取り決めを実施する努力を歓迎する。それは、全加盟国がそのようなシステムに将来貢献できるようにし、軍人を提供する加盟国が負担する費用を軽減するであろう。 16.事務局が、行政予算問題諮問委員会と総会による綿密な検討を可能にするために、新規のおよび現行の平和維持活動すべてについての総合的な予算見積りをタイムリーに作成するよう要請する。 17.また、部隊提供国またはその他の参加国の未払債務をすべて遅滞なく支払うことの重要性を強調し、これに関して事務総長の報告書に注目する。 18.国連平和維持活動の費用の配分についての総会の権限を再確認し、安全保障理事会が新規の平和維持活動を設ける前に、特に十分な物資の利用可能性と費用を把握することの重要性に留意する。 19.課された分担金を多様な財政資源で補完する問題は適切な国連の場すべてで一層調査されるべきであることを考慮する。 20.請求システムの改善の実行可能性など、平和維持活動の資金調達を改善する一層の措置について適切な場で検討されるよう奨励する。 21.事務総長が国連の要請で展開された派遣団所有の装備の減価償却率について現在行っている検討において、加盟国と協議するよう要請する。 22.事務局が平和維持に関する既存の財政・行政ルール、規則、慣行および手続きをすべて、加盟国が利用できる総合的文書にまとめるよう要請する。 23.平和維持準備回転基金の創設を歓迎し、平和維持始動費用のための十分な資源の重要性と十分な資源がこのために利用可能になっていないことに留意し、同基金が1992年12月23日の決議47/217において定められた額を供給され、それによって同基金ができるかぎり運用可能となるべきであることを強調し、同基金が将来は平和維持始動費用の不可欠な資金源となるべきであることを強調する。 ・組織と有効性 24.安全保障理事会と事務総長が国連平和維持活動の設置前にある状況を非常に入念に分析し続けるべきであること、問題解決の明確な目標と時間枠など現実的な使命が各事例について作成され、政治過程の進展に資するべきであること、安全保障理事会は現行の活動が理事会により承認された目標と使命に合致しているようにするため、その有効性を定期的に検討すべきことを示唆し、理事会の特定の決定による場合を除いて、安全保障理事会により承認された平和維持活動の使命、性格または期間が変化しないことは可能であることを確認する。 25.「平和への課題」に記された勧告の実施に関する事務総長の報告書に概説されたとおり、平和維持活動を取り扱う事務局の部局を強化し改革するために事務総長が講じた措置を評価する。 26.事務局が平和維持活動への行政・兵站支援の立案・開始・管理・提供を効果的かつ効率的に取り扱う必要性を強調し、事務総長が国連の最高行政官として、加盟国との協議のうえで、これについて最適な事務局の構造を確認し、平和維持活動のあらゆる側面についての最高責任を事務局の平和維持活動に負わせることによって、成功する平和維持に不可欠な指揮と管理の統一性を保証するために、事務局の様々な部局の、文民機能など、役割、任務および機能の総合的再検討に着手するよう要請する。 27.また、平和維持活動における立案過程のあらゆる側面の調整の重要性を強調し、平和維持活動の使命が人道的要素を含む場合にそのような活動の全体的立案において緊急援助調整者が十分に諮問され、人道的活動と平和維持活動との間の綿密な調整が必要な場合には早期段階で諮問されることを示唆する。 28.行政管理局から平和維持活動局への現地活動部の移転に留意し、事務総長が平和維持活動への立案・管理・行政支援と事務局が初期段階から完了まで平和維持活動を全体的に評価し分析する能力を強化し有効にする努力を続けるよう奨励する。 29.事務総長が事務局の能力についての検討において、平和維持活動を有効に管理し適切な加盟国に知らせるために、情報の流れを改善し、国連本部と現地調査団との間の調整と連絡を強化するよう要請する。 30.事務総長が平和維持活動に責任を負う事務局の様々な部局の組織責任を加盟国に知らせ続けるよう要請する。 31.事務総長が現在進行中のおよび予定された平和維持活動の活動・兵站・行政上の事柄などすべての側面に関する情報を求める加盟国の接触拠点を確認するよう要請する。 32.また、事務局が特に新たな活動が立案・開始される場合の作業負荷の変化に効果的かつ効率的に対応できるようにし、加盟国がそのような手続きについて知らされ続けるようにするために、短期的に追加要員を提供する取り決めおよび手続きを継続するよう要請する。 33.さらに、新たに承認された調査団の特別代表、軍司令官およびその他の主要要員が確認され、できるかぎり早く立案過程に関与するようにする手段を事務総長が考えるよう要請する。 34.平和維持活動すべての管理を強化できるような、適切に標準化されたコミュニケーションおよび情報管理システムを備えた年中無休で24時間機能する状況センターを平和維持活動局に設置することを歓迎し、事務総長が状況センターの効率性と有効性を検討し続けるよう要請する。 35.また、兵站慣行および手続きを標準化し、それによって平和維持活動への兵站支援の効率性と有効性を高めるために、国連の兵站基本政策および手続きの一連の指針を作成する任務を負った兵站基本政策および手続きプロジェクトを設置するという事務局のイニシアチブを歓迎する。 36.事務総長が、事務局の継続的な構造改革において、平和維持活動に必要な支援のあらゆる側面を検討する平和維持活動局における能力の立案を含めることを考えるよう要請する。 37.国連と受入国の間の軍の地位に関する協定の締結は平和維持活動の展開においてきわめて重要であることを強調し、受入国がこれについて最大限協力するよう要請し、安全保障理事会による平和維持活動の設置後に関連加盟国がその使命の遂行において活動と十分に協力することを勧告する。 38.また、受入国が国連平和維持活動を憲章の原則および関連条項を十分に尊重してつねに取扱い、国連平和維持活動が国内の法律および規則を尊重し、両当事者が協定がつねに軍の地位に関する協定の規定と憲章の原則および関連条項に従うことを求める要求を、事務総長が国連と受入国との間の軍の地位に関する協定に含めるよう要請する。 39.展開がなされる前に国連と部隊提供国との間の協定を締結することの重要性に留意し、1991年5月23日の事務総長の報告書において概説されたモデル協定にならった協定の実施を要請する。 40.さらに、事務総長が派遣団提供国との間に締結される協定に、それらの国が国連平和維持活動に携わる派遣団のメンバーが関連国際法の原則とルール、特に国際人道法と憲章の目的および原則を十分理解するようにする条項を含めるよう要請する。 41.国連平和維持活動すべてについて、ケースバイケースで、従事の適切なルールを定めることの重要性を強調する。 42.また、平和維持活動の数の最近の増大に留意し、その使命の遂行における大きな困難の根本的原因に光を当ててそれに対処する可能な措置を示唆することによって、事務総長がそのような困難を有する活動について詳細な報告書を作成するよう要請する。 43.さらに、事務総長が平和維持活動すべての実績について加盟国に対し定期的に報告するよう要請する。 44.事務局と提供国との間のますます頻繁に見られる非公式協議を歓迎し、平和維持活動の初期段階から完了までについてそのような協議の継続を強く勧告し、安全保障理事会の議長および理事会のその他のメンバーがそのような協議に参加するよう強く奨励する。 45.平和維持要員の訓練は主に加盟国の責任であることを認識する。 46.また、平和維持訓練の拠点を平和維持局に設置することを歓迎し、その拠点が国連と国内および地域訓練施設との間の関係づくりのための調整センターとして機能することを勧告する。 47.事務総長が加盟国、地域機関および地域取り決めの憲法上の使命と憲章第8章に従ってその能力を用いて、また、非政府機関や事務局の能力を用いて、文民、警察および軍事平和維持要員についての取り決めを再検討し改善するよう要請する。 48.多様な派遣団から大規模でまとまりある平和維持派遣団を創り出すという課題が増大していることを認識し、展開前に文民、警察および軍事要員を効果的に訓練する必要性を強調し、これに関して、事務総長が加盟国と協議のうえで、平和維持活動者が合意された共通の標準、技能、慣行および手続きに従って国内枠組みにおいて訓練されうるようにするため、個人と部隊についての実績目標と組み合わせた公式の国連指針を作成するよう要請する。 49.また、加盟国が各自の文民、警察および軍事の平和維持要員を標準化された費用の効果の高いやり方で準備させるのを手助けするために、事務総長が平和維持訓練の指針、手引およびその他の、通信支持資料などの関連訓練資料などを作成し発表するよう要請する。 50.さらに、事務総長が加盟国と密接に協議したうえで、訓練のために割り当てられる資源の範囲内で、国内訓練計画への補完として国内平和維持訓練者を訓練することを目指した予備的計画を開始するよう要請し、また、平和維持の指導管理職務のための潜在的な軍司令官および上級の軍事・文民要員を訓練することによって、平和維持に利用可能な指導幹部を強化する提案を行うよう要請する。 51.平和維持活動のための訓練が、適切ならば、平和維持活動に派遣される軍事、文民および警察要員の訓練に含めることを勧告し、すでにそのような訓練を確立した加盟国が他の加盟国と情報や経験を共有するよう奨励する。 52.平和維持活動要員が関連する受入国の国内法および慣行とこれらを尊重することの重要性を全般的に認識するよう強く勧告する。 53.部隊提供国が、毛岩維持活動に置いて得られた情報や経験の共有を通じて活動の有効性を高めるために、平和維持活動専門家の出向および/または交換についての各国間の取り決めを検討するよう要請する。 54.また、国連システムとその作業手続きについて知識を備えた訓練済みの要員のプールを創り出すために、事務総長が平和維持活動の主要要員についての訓練計画を設置することを考えるよう要請する。 55.平和維持活動に関する情報公開、特にその使命の理解が重要であることを認識し、平和維持活動についての情報および情報公開機能の大幅な強化と、特にその調査団の範囲と必要に見合った活動の領域における確固たる専門的なメディアアウトリーチ計画の、平和維持活動の開始時における迅速な展開を要請する。 56.事務総長が加盟国との協議のうえで、平和維持活動の情報公開機能についての指針を作成するよう要請する。 57.事務局に対して、1995年のうちに「The Blue Helmets」8/を再発行するように必要な取り決めをすべて速やかに行うよう要請する。 58.また、事務局が国連本部の公的領域において尊厳を保ちながらも単純な方法で、国連平和維持活動で命を落とした者の使命を記録する適切な措置を講じるよう要請する。 59.事務局が平和を守るために命を落とした平和維持活動者に捧げたメモリアルを設けるという意向を歓迎する。 ・「平和への課題」から生じる問題 60.1992年12月18日の決議47/120Aおよび1993年9月20日の決議47/120Bを想起し、「平和への課題」に記された勧告の実施に関する事務総長の報告書に留意し、事務総長が予防外交を通じて適切な措置を講じる努力を歓迎し、これらの措置が関連事実のタイムリーかつ正確な知識に基づくべき必要性を確認し、事務局が憲章の関連規定に従ってできるかぎり多様な情報源から関連情報を確保し分析する能力を事務総長が強化するよう奨励し、加盟国がこれに関して事務総長を支援するよう要求し、事務総長がそのような能力と機構について加盟国に定期的に知らせるよう要請する。 61.決議47/120B、特にその「予防展開と非武装地帯」と題された第U章を再確認し、これに関連して、既存のまたは潜在的な紛争が衝突に発展するのを防ぎ、その継続が国際の平和と安全の維持を脅かす可能性が高いそのような紛争の平和的解決を達成する努力を促すための手段として、予防展開および/または非武装地帯設置の利用をケースバイケースで考えることの重要性を想起する。 62.憲章第8章に基づき、地域機関および地域取り決めの権限領域と、国連の目的や原則に従って、適切ならばそのような機関および取り決めを通じて加盟国を関与させることを奨励する。 63.事務総長が加盟国との協議のうえで、国連と地域機関との間の協力に適用される一連の指針を作成する努力を歓迎する。 64.特に平和維持の領域における、国連と地域機関との間の既存の協力に留意する。 65.事務総長が憲章第8章に従って、助言サービス、セミナーおよび会議といった様々な形で、地域機関および地域取り決めの各権限領域において、それらが平和維持活動の分野で国連と協力する能力を高めるために、それらに助言と援助を提供する方法を考えるよう要請する。 66.これらの事柄について検討し続けることを決議する。 ・国連平和維持要員の地位と安全 67.その領域で国連平和維持活動が行われる加盟国がすべて、憲章およびその他の法律文書の関連条項に従って、国連平和維持活動要員その機能を遂行するさいに総合的支援を提供し、これらの要員の安全を尊重し保証するために必要な措置をすべて講じるよう要請する。 68.その領土で国連平和維持活動が行われる国は、国連平和維持活動うの全要員に対する攻撃やその他の暴力行為に責任を負う者を速やかに阻止し訴追すべきであると考える。 69.国連要員の安全を確保することに関して管轄権を行使するもしくは責任を遂行する当局が存在しない状況で国連平和維持活動が行われた場合に生じうる特定の困難および危険性に留意し、最終的に、その特定の状況に適した、かつ国連の目的と原則に合致した措置が安全保障理事会およびその他の適切な国連機関により考えられるべきであることに同意する。 70.国連平和維持活動者の安全のための現地活動における条件に関する関連情報すべての重要性を強調し、事務局が現地調査団に速やかに伝達するためにできるかぎり多様な情報源の情報を確保し分析する措置を採用するよう要請する。 71.平和維持活動の役割と平和維持活動者の安全不可侵性に関する必要な情報、国連がそのために利用可能にする情報などを、国民に配布するのは受入国の責任であると考える。 72.また、受入国は、平和維持活動者の安全を損ないうる潜在的危険性について、国連と現地の各平和維持派遣団に対し、入手可能な情報すべてをタイムリーに提供するよう要求されると考え、さらに、この要求が軍の地位に関する協定において明記されるべきであると考える。 73.公平かつ適切な取り決めを作成し、迅速な償還を保証するために、事務総長が平和維持サービスに起因する死亡、負傷、障害または疾病の補償についての現在の取り決めを検討するよう要請する。 74.現地の状況は、現時に展開された国連活動要員の無防備性の増大という問題に効果的に対処するために必要な活動、政治および法律上の環境を促進することを目指した実際的な措置を要することを認識する。 75.事務総長が、安全の物質面、組織面、活動面およびその他の面に関するあらゆる側面など、現地に展開された国連平和維持要員の物理的安全を改善する具体的措置を講じるよう要請する。 76.国連活動の安全を確保し強化する現行の措置および新規の提案に関する事務総長の報告書9/を歓迎し、国連の関連機関すべてによる一致した行動の必要性を考慮に入れたうえで、その地位と安全を強化するためにどのような措置がさらに講じうるかを考え、これに関連して、1993年9月29日の安保理決議868(1993年)を歓迎する。この決議に関連して、総会は、 (a)とりわけ、国連要員の地位と安全に関する国際法の原則と加盟国の義務を再確認する宣言の作成の促進を考慮し、 (b)安全保障理事会が国連要員の展開についての使命に、加盟国の義務と、国連要員の地位と安全に関する国連の期待を想起する具体的規定を含めるよう要請し、 (c)国連要員の地位と安全に関する既存の取り決めを強化するための法的拘束力を有する国際法律文書が第六委員会により検討されていることに留意する。 77.本決議に記された提案のいずれかが1994年〜1995年の2年間について予算上の意味を持つことを条件として、そのような追加費用はこの2年間について総会が承認した配分水準において賄われるべきであることを勧告する。 78.平和維持活動特別委員会は、その使命に従って、平和維持活動全体のあらゆる側面の問題全体についての総合的な再検討への努力を続けるべきであることを決定する。 79.事務総長が、公式文書の全公用語への翻訳および同時通訳など十分な会議サービスが、特別委員会やその作業部会が通常は4月および5月に最高1カ月間開かれるときはつねに提供されるようにすることを要請する。 80.特別委員会が総会の第49会期で作業報告書を提出するよう要請する。 81.特別委員会による詳細な検討を可能にするために、特別委員会が特定の事柄に関する実際的提案を概説した平和維持活動に関する観察と提言を、1994年3月1日までに事務総長に対し提出するよう要請する。 82.また、事務総長が既存の資源において上述の観察と提言をまとめた文書を作成し、1994年3月30日までに特別委員会に対し提出するよう要請する。 83.第49会期の課題に、「平和維持活動全体のあらゆる側面の問題についての総合的な再検討」と題された事項を含めることを決定する。  1/ S/25859  2/ A/48/503および付録1  3/ A/48/1  4/ A/48/173  5/ A/48/421、付属書  6/ A/47/965-S/25944参照  7/ A/46/185および正誤表1、付属書  8/ 国連刊行物、番号E.90,I.18  9/ A/48/349-S/26358 【安全保障理事会長による理事会を代表しての声明】 安全保障理事会長による声明 S/23500、1992年1月31日  「国際の平和と安全の維持における安全保障理事会の責任」と題するテーマで1992年1月31日に国家元首・政府首脳レベルで開催された安全保障理事会第3046回会合の終了に当たり、安全保障理事会議長は、同理事会理事国を代表して以下の声明を行った。  安全保障理事会のメンバーは、彼らを代表して以下の声明を起案するよう私に委任した。  安全保障理事会は、1992年1月31日、ニューヨークの国連本部で国家元首・政府首脳レベルでは初めて会議を開いた。理事会のメンバーは、その国連憲章遵守の枠組みのなかで、「国際の平和と安全の維持における安全保障理事会の責任」1/について考察した。  安全保障理事会のメンバーは、安全保障理事会がその下で国際の平和と安全の維持という主要な責任をより効果的に果たし始めた新たな好ましい国際環境の存在を確認する好機となったと考えている。   ・変化の時  この理事会の会議は、重要な変化の時に行われた。冷戦の終結は、より安全な、より公正な、そしてより人間的な世界に対する希望を生じさせた。世界の多くの地域で、国連憲章の目的達成のみならず、民主主義と対応可能な政府の形態に向けて急速な進展がなされた。南アフリカにおけるアパルトヘイトの廃止の完了は、人権と基本的自由の尊重など、これらの目的と肯定的な趨勢にとって大きな貢献となるであろう。  昨年、国際社会は、国連の権威の下に、クウェートにイラクの侵略の結果失ったその主権と領土保全を回復せしめることに成功した。理事会で採択された決議はこの地域の平和と安全にとって基本的に重要であり、完全に実施されなければならない。同時に、理事会のメンバーは、イラクの罪のない国民の人権状態を憂慮している。  理事会のメンバーはロシア連邦とアメリカ合衆国によって促進された中東の和平過程を支持し、1967年11月22日の安保理決議242(1947年)および1973年10月22日の安保理決議338(1973年)に基づいて成功裏に終了することを期待する。  理事会のメンバーは、国連が現行憲章の下で、長期的な地域紛争の解決に向けて果たした役割を歓迎し、その解決の更なる進展に向けて努力するであろう。われわれは、現在アジア、アフリカ、ラテンアメリカおよび欧州で活躍している国連平和維持軍によってなされた貴重な貢献を賞賛する。  理事会のメンバーは、近年、国連の平和維持活動が大幅に増加・拡大していることに留意する。選挙監視、人権検証および難民の送還は、いくつかの地域紛争の解決において、当事国の要請又は合意に基づく、国際平和および安全保障の維持のための安全保障理事会の努力の不可欠の一部をなしている。われわれは、これらの進展を歓迎する。  理事会のメンバーはまた、変化は、いかに歓迎すべきものであれ、安全と安全保障にリスクをもたらしたものであることを認める。いくつかの最も深刻な問題は国家構造への変化に由来する。理事会のメンバーは、これらの変化の際の平和、安定および協力を達成する努力を奨励するであろう。  したがって、国際社会は平和の探求において新たな問題に遭遇する。全加盟国は、国連がこの決定的に重要な段階において中心的な役割を演じることを期待する。理事会のメンバーは、国連がその有効性を強化・改善することの重要性を強調する。われわれは、憲章の枠組みのなかで国連組織における責任を十分に果たす決意をしている。  国家間に戦争と武力紛争がないことは、それだけでは国際平和と安全保障を保証するものではない。経済、社会、人間および生態系の分野における非軍事的な不安定要因が、平和と安全保障を脅かしている。国連加盟国は全体として、適当な組織を通じて活動し、これらの問題の解決を最優先課題とすることが必要である。 ・集団的安全保障への確約  理事会のメンバーは国際法および国連憲章を遵守することを誓約する。国家の間のすべての紛争は国連憲章の規定に従って平和的に解決されるべきである。  理事会のメンバーは、平和への脅威に対処し、侵略行為を逆転させる憲章の集団的安全保障への確約を再確認する。  理事会のメンバーは、国際的なテロ行為に対し深い憂慮を表明し、国際社会がこれらの行為に効果的に対処する必要性を強調する。   ・平和創造および平和維持  これらの確約の効果を強調し、安全保障理事会が国連憲章の下で国際の平和と安全維持という主要な責任を果たす手段をもつために、理事会のメンバーは以下のアプローチを決定した。  事務総長に対して、1992年7月1日までに国連加盟国に配付するために、「国連の予防外交、平和創造、および平和維持に関する能力を国連憲章の枠組みと規定の範囲内で強化し、より有効にする方法についての分析と勧告」を作成するよう要請した。  事務総長の分析と勧告は、潜在的危機および不安定領域を明らかにする上での国連の役割ならびに国連憲章第8章に従って理事会の任務を補佐する上で地域機関がなしうる貢献に及ぶであろう。それらはまた、物資的および財政的に十分な資源を必要性にも言及するであろう。事務総長は事務局の立案と運営をより効果的にする方法を勧告するに当たり、国連の最近の平和維持派遣団で得られた教訓を利用するであろう。彼はまた、いかにして彼の職務ならびに憲章の下でその他の機能をよりよく実施できるかについても考慮するであろう。 ・軍縮、軍備管理および大量破壊兵器  理事会のメンバーは、軍縮、軍備管理および不拡散の分野における国連の他機関の責任を十分認識するとともに、これらの領域における進展が国際の平和と安全の維持になしうる決定的に重要な貢献を再確認した。われわれは、これらの分野で国連の有効性を促進するために具体的な措置をとることを約束する。  理事会メンバーは、全加盟国が軍事管理と軍縮に関してその義務を果たし、すべての大量破壊兵器のあらゆる面での拡散を防止し、武器の過度の不安要因となる集積および移転を回避し、地域的および世界的安定の維持を脅かし破壊するこれらの事柄に関する問題を国連憲章に基づいて平和的に解決する必要性を強調する。われわれはまた、関係国が、すべての国際的および地域的協定、特に戦略兵器削減交渉および欧州通常戦力条約を批准・実施することの重要性を強調する。  大量破壊兵器の拡散は、国際の平和と安全にとって脅威となる。理事会のメンバーは、これらの武器の研究または生産の関係する技術の拡大を防止し、そのために適切な行動をとることを約束する。  核拡散に関して、理事会のメンバーは、1968年7月1日の「核兵器不拡散条約」2/を遵守するとの多くの国家の決定の重要性に留意し、同条約の実施に当たって、国際原子力機関の保障措置および輸出管理の完全に効果的な実施が不可欠であることを強調する。  化学兵器に関して、理事会のメンバーは、1992年末までに検証制度など化学兵器の普遍的条約の終結について合意に達することを意図して1991年9月9日から27日までジュネーブで開催された、「細菌兵器(生物兵器)および毒素兵器の開発、生産および貯蔵の禁止ならびに廃棄に関する条約」加盟国の第3回再検討会議の努力を支持する。  通常兵器に関して、われわれは国連総会が第一段階として国連への武器移転登録に関して肯定的な投票をしたことに留意し、これに関連して、すべての国家が国連決議3/で要求されているすべての情報を提供することの重要性を確認する。  結論として、理事会のメンバーは、国際の平和と安全の促進において積極的な前進を行うために、その会議のイニシアチブに基づく決意を確認する。われわれは、事務総長が決定的に重要な役割を有していることに同意する。理事会のメンバーは、エルサルバドル和平協定4/の調印を頂点とする国連の任務に顕著な貢献をしたことに対して、退任する事務総長ハビエル・ペレス・デクエヤル氏に深甚な感謝の意を表明する。われわれは新任の事務総長にプトロス・ブトロス=ガーリ氏を歓迎し、国連の機能を強化・改善するという彼の意図に満足の意を持って留意する。われわれは、彼に対する全面的な支持を約束し、より効果的で有効な国連システムなど、その目標の実現において彼および彼の配下と密接に協力して任務を遂行すること誓う。  理事会のメンバーは、世界は今、国連の創設以来、国際の平和と安全を達成する最善の機会を有していることに同意する。われわれは、本声明を達成し、他のすべての問題、特に国際社会の集団的対応を必要とする経済社会問題に緊急に取り組むに当たって他の国連加盟国と緊密に協力して任務を遂行することを約束する。われわれは、平和と繁栄が不可分であり、永続的な平和と安定は、貧困の撲滅とより広い自由の下でのすべての人々のよりよい生活の促進のための有効な国際協力を必要とすることを確認する。  1/ この会議の議長は、1月の安全保障理事会の議長である英国および北アイルランド首相が務めた。声明は次の人々によって行われた。   フランツ・フラニツキ博士/閣下、オーストラリア首相   ウィリフリート・マーテン氏/閣下、ベルギー首相   カルロス・アルベルト・ワノン・デカルバリョ・ベイガ博士/閣下、カーボベルデ首相   李鵬氏/閣下、中国首相   ロドリゴ・ボルヤ=セバロス博士/閣下、エクアドル大統領   フランソワ・ミッテラン氏/閣下、フランス大統領   ゲーザ・イエセンスキー博士/閣下、ハンガリー外相   P・V・ナラシマ・ラオ氏/閣下、インド首相   宮沢喜一氏/閣下、日本首相   ムーレ・ハッサン2世/閣下、モロッコ国王   ボリス・N・エリツィン氏/閣下、ロシア連邦大統領   ジョン・メージャー閣下、英国および北アイルランド首相   ジョージ・ブッシュ氏/閣下、アメリカ合衆国大統領   カルロス・アンドレス・ペレス博士/閣下、ベネズエラ大統領   ネーサン・シャムラリヤ博士/閣下、ジンバブエ外相   ブトロス・ブトロス=ガーリ博士/閣下、国連事務総長  2/ 国連、「条約集」、第729巻、第10485号  3/ 1991年12月9日の総会決議46/36L  4/ 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/23501、付属書 【安全保障理事会議長による声明】 S/24210、1992年6月30日  安全保障理事会は、初めて国家元首・政府首脳レベルで開催された安全保障理事会2/の終了に当たり1992年1月31日に採択された声明に従って、国連の予防外交、平和創造、および平和維持に関する能力を国連憲章の枠組みと規定の下でより強化し効率的にする方法に関する、「平和への課題」と題された1992年6月17日の国連事務総長の報告書1/に関心と感謝の念をもって留意する。理事会は、国連組織を強化するという目下進行中の過程についての総合的な考察からなる報告書に関して事務総長に感謝する。これに関連して、理事会は事務総長によってなされた努力を歓迎する。  報告書を読んで理事会は、国連の種々の組織、加盟国および地域組織に対してなされた一連の提案に留意した。したがって、理事会はすべての組織および機関、特に国連総会に対し、報告書に特別の関心を払い自らに関係する項目を検討・評価するよう求める。  安全保障理事会としては、その権限の範囲内において、詳細かつしかるべき優先度をもって事務総長の勧告を検討するであろう。  理事会はまた、この機会を利用して、国連憲章の規定に従って、国連組織の強化において事務総長に全面的に協力する用意があることを強調しておく。  1/ S/24111  2/ S/235000 【安全保障理事会議長による声明】 S/24728、1992年10月29日  1992年6月30日の議長による声明1/に従って、理事会は「平和への課題」と題された事務総長の報告書2/についての検討を開始した。  理事会による「平和への課題」と題された1992年6月17日の事務総長報告書3/の検討は、国連総会での議論と並行して行われる。理事会は、これに関連して、二つの組織の議長の間でこれまでに行われた接触を歓迎し、安全保障理事会の議長に対して、このような接触を引き続き強化するよう要望する。  理事会は、理事会に関する、または理事会に向けられた事務総長の提案を検討する予定である。このために、理事会のメンバーは少なくとも月に1回報告書に関する会議を開くことを決定した。このような会議は、必要ならば作業部会によって準備される。  この検討の一つの目的は、理事会の特別会議で検討される結論に達することである。理事会は、国連総会の現会期の作業の進捗状況を念頭においてこの会議の日時を決定する。ただし、理事会はこの会議が遅くとも来春までに開かれることを希望する。  理事会は、密接な関係をもって国連総会の一般討論および国連総会議題第10の討論の際に表明された加盟国の見解を検討した。理事会はまた、平和維持活動に関する特別委員会の特別会期報告書4/に留意した。理事会は現在、理事会に関する、または理事会に向けられた事務総長の提案を確認した。  事務総長の他の提案の更なる検討を損なわずに、またここ数ヶ月の間に理事会によって承認された平和維持活動の数と複雑さの増大を考慮して、理事会は、「平和への課題」に記された二つの提案がここで検討されるべきであると考える。  理事会は、事務総長報告書の第51段落に含まれる勧告に従って、加盟国に対し、それを上回る自国の防衛上の要求およびそれを提供する政府の承認に依存して、平和維持活動のために国連に軍隊または能力を提供する用意があるか否か、また緊急要請で利用可能な部隊または手段の種類を通報するよう要請した。理事会はさらに、事務局とそのような用意があることを通報した加盟国に対して、事務総長が平和維持活動のためにどのような軍隊と手段をどの程度の期間利用することができるかをより詳細に知ることができるようにするため、直接交渉に入ることを要請した。  理事会は、事務局に勤務する武官スタッフと平和維持事項をより全般的に扱う文官スタッフの力と能力を増大する必要に関する報告書第52段落の事務総長の見解に賛同する。理事会は事務総長に対し、理事会および総会にこの問題に関してできるだけ早期に報告するよう提案する。事務総長はその報告書のなかで、この分野のますます増大する初期立案と平和維持活動管理の複雑さに対処するため、事務局内に拡大平和維持立案スタッフおよび活動センターの設置を検討するたことが可能であろう。理事会はさらに加盟国に対し、平和維持活動の作業を補佐するため、一定期間、適切な経験を有する武官または文官スタッフを事務局が利用できるようにすることを検討するよう要請する。  さらに理事会は、ある国家に制裁が課されたときに他の国家にかかわる特別な経済問題に関する第41段落、地域機関の役割に関する第64段落および第65段落、ならびに国連による事実調査に関する第25段落を含む、理事会に向けられたいくつかの段落を検討するつもりである。    1/ S/24210  2/ 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/24111  3/ S/24210  4/ A/47/386 【安全保障理事会議長による声明】 S/24872、1992年11月30日  理事会のメンバーは、「平和の課題」と題された1992年6月17日の事務総長報告書1/についての検討を継続した。  理事会のメンバーは、事務総長報告書の事実調査に関する第25段落の提案を歓迎し支持する。われわれは、国連憲章ならびに国際的安全保障および平和創造のための事実調査に関する国際宣言2/、特にその指針に従って、予防外交の手段として頻繁に事実調査に頼ることは、事務総長が国連憲章第99条の下での責任を果たし、安全保障理事会の討議に資することを可能にする客観的事実の最善の理解をもたらすものであると考える。われわれは、種々の形態の事実調査が状況に応じて用いられうること、ならびに国家によるその領土への事実調査団の派遣要請は遅滞なく検討されるべきことに同意する。われわれは、そうする立場にあるすべての加盟国に対し、効果的な予防外交を可能にするために関連問題に必要な詳細情報を事務総長に提供するよう要請する。  理事会のメンバーは、予防外交の分野における国連の責任の増大を認識し、事務総長に対し、事務局の情報収集および詳細分析能力の強化に必要な適切な措置を検討するよう要請する。われわれはまた、加盟国および事務総長に対し、この点に関して補佐すべき専門家の配属を検討するよう要請する。われわれは事務総長に対し、緊急要請によって、事務局の上級職員と事実調査任務を分担する有能な人材を利用できるような適切な措置を講じるよう求める。われわれはその権限領域内での地域機関および地域的な取り決めの事実調査における積極的役割に留意し、その強化と国連による事実調査努力との調査を歓迎する。  上述の宣言および事務総長報告書の報告を念頭において、理事会のメンバーとしては、ケースバイケースで、かつ国連憲章の目的と原則に一致して、事実調査団のあらゆる適切な利用を促進・奨励するであろう。  これに関連して理事会のメンバーは、場合によっては、事実調査団は、当事者に国連、特に安全保障理事会が国際の平和と安全に対する現実的または潜在的脅威として積極的に問題を捉えていることを示すことによって、紛争または状況の解消に資することができるとの事務総長の見解に留意し、これを支持する。潜在的紛争の初期段階におけるこのような行動は、特に効果的でありうる。われわれは、事務総長の意見によれば国際の平和および安全保障を脅かすおそれのある問題に安全保障理事会の注意を喚起するために、国連憲章第99条に基づく彼の権限を最大限に用いようとしている事務総長の姿勢を歓迎する。われわれは、モルドバ、ナゴルノ・カラバフ、グルジア、ウズベキスタンおよびタジキスタンへの調査団の例に見られる、最近のますます頻繁な事実調査団の利用に満足の意をもって留意する。  理事会のメンバーは、1992年10月29日の議長による声明3/に示された事務総長の報告書に関するその作業を継続するつもりである。  1/ 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/24111  2/ 1991年12月9日の国連総会決議46/59、付属書  3/ S/24728 【安全保障理事会議長による声明】 S/25036、1992年12月30日  「平和への課題」と題され、それに従って「理事会が、ある国家に制裁が課されたときに他の国家にかかわる特別な経済問題に関する第41段階を含む、理事会に向けられた段落を検討する意図がある」事務総長の報告書2/に関する1992年10月29日の議長による声明1/に従って、安全保障理事会は、国連憲章第7章に基づいて課された制裁の結果としての国家の特別な経済問題を検討した。  理事会は、事務総長の報告書の第41段階で彼によってなされた、もしもそのような制裁が憲章第7章に基づいて課された場合、特別な経済問題に直面した国家が、憲章の第50条に規定されているように、そのような問題に関して理事会と協議する権利を有することが重要であるとの事務総長の意見に賛同する。理事会は、その状況に関して適切な考慮が払われることに同意する。  理事会は、理事会がそのような困難から国家を保護するために実施されるべき、国連システムの財政機関およびその他の機関を含む、一連の措置を考案すべきだと事務総長の勧告に留意する。  理事会は、この問題が国連の他の場で検討されていることに留意し、この問題をさらに検討する決意を表明し、事務総長に対し、国際金融機関の長、国連システムの他の機関および加盟国と協議し、できるだけ早期に安全保障理事会に報告するよう要請する。  理事会は、1992年10月29日の議長による声明に示されているように、事務総長報告書に関する作業を継続するつもりである。  1/ S/24728  2/ 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/24111 【安全保障理事会議長による声明】 S/25184、1993年1月28日  安全保障理事会は、「平和への課題」と題された事務総長の報告書1/についての検討を継続してきた。  理事会は、報告書の第63段落、第64段落および第65段落に述べられた、地域的な取り決めおよび地域機関との協力に関する事務総長の見解に感謝の意をもって留意する。  国連憲章の関連規定、総会の関連活動、国際関係の新たな局面での国際の平和と安全を念頭において、理事会は地域的な取り決めおよび地域機関の役割を多大な重要性を付与し、国際の平和と安全の維持において彼らの努力を関連のそれと調整する必要性を認める。  国際の平和と安全の維持に対する一時的責任を再確認し、地域的な取り決めおよび地域機関の種々の権限、範囲および構成を認識し、理事会は、国連憲章の目的と原則に一致してそれぞれの権限の範囲内で地域的な取り決めおよび地域機関によってなされた地域的努力を奨励し、必要な場合には支持する。  したがって、理事会は、憲章第7章の枠組みのなかで、地域的な取り決めおよび地域機関に以下を優先的に検討するよう要請する。  ―それぞれの地域の特性に正当な考慮を払いながら、その権限の範囲内にある国際の平和と安全を維持する機能を強化するための方法と手段。理事会がすでに携わり、憲章に従って検討する事柄、特に事実調査、信頼醸成、調停および平和建設ならびに、必要な場合には、平和維持を含む予防外交を考慮に入れること。  ―その努力と国連のそれとの調整をさらに改善するための方法と手段。地域的な取り決めおよび地域機関の権限、範囲および構成の多様性を念頭におきながら、理事会は、これらの協定・機関と国連との相互作用は柔軟で、それぞれの特別な状況に適したものでなければならないことを強調する。これには、特に監視および早期警報など国連の能力拡大を目的とする情報の交換および事務総長との、または必要な場合には彼の特別代表との協議、国連総会の会期および作業へのオブザーバーとしての参加、国連事務局への職員の出向、国連の関与の時宜を得た特別要請、ならびに必要な資源を提供する用意が含まれる。  理事会は、事務総長に対し、以下を要請する。  ―前述の検討を促進し、国連への回答を奨励するために、この声明をオブザーバーとして国連総会の会期および作業への参加の招待状を受けている地域的な取り決めおよび地域機関、ならびに他の地域的な取り決めおよび地域機関に伝達すること。  ―可能なかぎり早急に、できれば1993年4月末までに、地域的な取り決めおよび地域機関からの回答に関する報告書を理事会へ提出すること。  理事会は、地域的な取り決めおよび地域機関のメンバーである国家に対し、それぞれの協定または機関による国連との調整を改善する方法と手段の検討において建設的な役割を演じるよう要請する。  その責任を果たすに当たって、理事会は、回答ならびに問題の特別な性格および関連地域の特性を考慮に入れるであろう。理事会は平和と安全の維持の領域において、国連と地域的な取り決めおよび地域機関の間に、それぞれの特別な状況に適した形態の協力を樹立することが重要であると考える。  理事会は、アラブ諸国連盟、欧州共同体、イスラム諸国会議、米州機構およびアフリカ統一機構との間に維持してきた建設的な関係に留意し、事務総長の報告書の第27段落に述べられた、まだ、国連のオブザーバーの資格を申請していない地域的な取り決めおよび地域機関に対してそうするよう求めるとの事務総長の意図を支持する。  理事会は、欧州安全保障協力会議で得られた、CSCEを国連憲章第7章の意味で地域的な取り決めと見なすという理解、ならびにCSCEの枠組みのなかでこの理解の実施をさらに検討することの重要性に留意する。理事会は、その関連決議実施のために必要な行動の実行におけるCSCEならびに欧州共同体の役割を歓迎する。  理事会は、1992年10月29日の議長による声明2/が示しているとおり、事務総長の報告書の検討を継続するつもりである。  1/ 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/24111  2/ S/24728;安全保障理事会公式記録、第47年、1992年の安全保障理事会の決議および決定、102頁参照 【安全保障理事会議長による声明】 S/25344、1993年2月26日  安全保障理事会は、「平和への課題」と題された事務総長の報告書1/についての検討を継続してきた。    理事会は、特に第29段落、第40段落および第56段落から第59段落に述べられた、人道的援助ならびにその平和創造、平和維持および平和建設との関係の問題に関して「平和への課題」に含まれる意見を歓迎する。理事会は、いくつかの特別な状況においては、人道的援助の緊急の必要性と、国際の平和と安全との間に密接な関係が存在することに留意する。    これに関連して、理事会は、人道的援助の公正な提供が予防外交においては決定的に重要であるとの事務総長の見解に留意する。    「平和への課題」に関連してのその事実調査に関する声明2/を想起し、理事会は、紛争状態における人道的関与の重要性を認識し、人道的次元が事実調査団の計画・派遣に盛り込まれるべきであることを勧告する。理事会はまた、情報収集および分析に関連してこの側面を含める必要性を認識し、関連加盟諸国に対し、事務総長および当該政府に必要な人道的情報を提供するよう要請する。    理事会は、住民の大量避難を含む人道的危機の発生が国際の平和と安全にとって脅威となる、または脅威を悪化させていることに憂慮の念をもって留意する。これに関連して、「平和への課題」の第26段落および第27段落で言及された早期警報情報能力の文脈に人道的考慮および指標を含めることが重要である。理事会は、種々の機関および国連の関連事務所の活動の調整において人道問題局の役割を強調する。理事会は、この能力は緊急事態の前段階において、国際の平和と安全に影響を及ぼす恐れのある危機を政府が回避するのを援助する行動の立案を容易にするために、組織的に利用されるべきであると考える。    理事会は、それぞれの特別な状況に適した方法で危機を解決するために、人権に関する緊急事態を確認しこれに対処するに際して、それぞれの所轄領域において、国連と種々の地域的な取り決めおよび地域機関との間で現在行われている建設的な協力に留意する。理事会はまた、世界の緊急事態における人道的援助の供給において、国連と密接に協力して、非政府機関によって演じられている重要な役割に留意する。理事会は、この協力を奨励し、事務総長に対し、国連の緊急事態予防および対応能力強化のためにこの協力が促進される方法をさらに模索するよう要請する。    理事会は、世界の各地で、特に理事会が人道的援助の供給のために影響を受けた住民への安全なアクセスを要求した旧ユーゴスラビア、イラクおよびソマリアにおいて、人道的援助の提供への故意の妨害、人道的要員に対する暴力、ならびに人道的援助の横領の事例が増大していることに憂慮を表明する。理事会は、国際法の関連規範および原則に従った、人道的活動に携わる職員の十分な保護の必要性を強調する。理事会は、この問題は緊急の関心が必要であると考える。    理事会は、人道的援助は、復興と開発を通じて安定の促進の基礎を築くのに役立つべきであると考える。したがって、理事会は、人道的状況の急速な改善の見通しを促進するため、人道的援助の供給における適切な立案の重要性に留意する。しかしながら、理事会はまた、人道的考慮が、平和創造および平和維持努力が結実しだした段階で意味をもつようになる、または意味を持ち続けることに留意する。したがって、理事会は、援助から開発への円滑な移行が行われることの重要性を認識し、調整のとれた人道的援助の供給は、事務総長が利用しうる基本的な平和建設ツールであることに留意する。特に、理事会は、「平和への課題」における地雷の問題に関する第58段落の事務総長の見解を全面的に支持し、彼に特別の関心問題としてこれを扱うことを要請する。    理事会は、1992年10月29日の議長による声明3/が示しているとおり、事務総長の報告書の検討を継続するつもりである。    1/ 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/24111  2/ S/24872; 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年の安全保障理事会の決議および決定、103頁参照  3/ S/24728; 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年の安全保障理事会の決議および決定、102頁参照 【安全保障理事会議長による声明】 S/25493、1993年3月31日  安全保障理事会は、第66段落から第68段落までの紛争条件において展開された国連軍および要員の安全に関する問題など、「平和への課題」と題された事務総長の報告書1/についての検討を継続してきた。理事会はこの問題を理事会の権限に関連して展開された要員について検討した。    理事会は、国連軍および要員にかかわる殺害および暴力事例の増大など、この問題に注意を喚起したことについて、事務総長を賞賛する。理事会は、事務総長の憂慮を全面的に共有する。    理事会は、その国際の平和と安全を維持する責任を果たす際に、実際に危険な状況下に国連軍および要員を展開することがますます必要になっていることを認識する。理事会は、国連の任務を実施するためにかなりの個人的危険を受け入れるこれらの献身的な人々の有機と責任感に多大な賞賛の意を表明する。    理事会は、多くの場合に、国連軍および要員に向けられた事件を糾弾する必要があったことを想起する。理事会は、度重なる呼びかけにもかかわらず、暴力行為が継続している事実を遺憾に思う。    理事会は、国連軍および要員に対する、要員の妨害又は拘束を含む、現実のものであれ、その脅威であれ、攻撃またはその他の暴力行為は、全面的に受け入れることが不可能であり、理事会に対してそれらの軍隊および要員の安全を確保するための一層の措置を講じることを強いる。    理事会は、国家および種々の紛争当事者が国連軍および要員の安全を確保するためにあらゆる手段を講じることを要求する。理事会はさらに、国家が、国連軍および要員への攻撃またはその他の暴力行為に責任のあるすべての者を抑止し訴追し罰するために積極的かつ効果的に行動することを要求する。    理事会は、関連する国家が国連軍および要員の安全を確保するために司法権を行使できない、もしくは国家がこの点に関して責任を果たすことに積極的でない状況下で国連軍および要員が展開された場合、特別な困難と危険が生じうることに留意する。そのような事態において理事会は、国連軍および要員に対する攻撃またはその他の暴力行為に責任のある者をその行為を償わせるために拘束する、特別な状況に適した措置を検討するであろう。    理事会は事務総長に対し、特に、関連する多国間法規および国連と受入国との間で締結された軍事協定の状況、ならびに加盟国の意見を考慮して、国連軍および要員の保護のための現行の措置およびそれが十分であるか否かについて、可能なかぎり速やかに報告し、国連軍および要員の安全を促進するために彼が適切と考える勧告を行うよう要請する。    理事会は、事務総長の報告書ならびに国連総会および特に総会決議2006(XIX)によって設置された平和維持活動特別委員会を含むその下部機関でなされた作業に照らして、この問題をさらに検討するであろう。これに関連して、理事会は、国連のすべての関連機関が国連軍および要員の安全を促進するため一致した行動をとる必要があることを認める。    理事会は、1992年10月29日の議長による声明2/が示しているとおり、事務総長の報告書の検討を継続するつもりである。    1/ 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/24111  2/ S/24728; 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年の安全保障理事会の決議および決定、102頁参照 【安全保障理事会議長による声明】 S/25696、1993年4月30日  「平和への課題」と題された事務総長の報告書1/についての検討を継続し、1993年4月の安全保障理事会は、世界のあらゆる国と地域に強力な平和の基盤を建設する重要性を強調し、紛争後の平和建設の主題を検討した。    理事会は、国連が、国際の平和と安全に関する責任を果たすために、その政治および安全保障の分野でのかかわりと同様の責任と緊急性の感覚をもって、経済社会協力および開発に関する目標を検討すべきであるとの見解を支持する。    理事会は、紛争後の平和建設の問題を検討した結果、開発協力の分野における国連の任務の重要性と緊急性に対し、管轄機関が定義した同分野における国連活動の一般に認められた優先順位を損なわずに、焦点を当てることを希望する。    理事会は、平和創造および平和維持活動が実際に成功するためには、平和を強化し国民の信頼感と福祉を促進しようとする構造を確認し支持する総合的な努力を含まなければならない。理事会は、その報告書「平和への課題」の第55段落で事務総長によって述べられた特別措置に加えて、好戦的軍隊の武装解除および解体と社会への統合、選挙支援、国防軍および警察力の形成による国内の安全の回復ならびに必要な場合には、紛争状態解決の総合的枠組みのなかでの地雷除去などの活動が、国の政治的構造を強化し、制度的・行政的能力を促進し、持続的な平和の健全な基礎を回復する上で重要であることに同意する。    理事会はさらに、国際的紛争の直後においては、平和建設は、とりわけ、経済・社会・文化的発展のみならず、平和にとっても基本的な相互理解・信頼の促進に貢献する互恵的事業において複数の国を結びつける措置および協力計画を含むべきであることに同意する。    平和の破壊を防止し紛争を解決する責任を果たす上で、理事会は、平和と安全への脅威の底流にある原因を癒すために、国連システムの他の機関が調整された行動をとることを要請する。理事会は、国連システムの諸機関が、その計画の作成と実施において、国連憲章の第1条に述べられた国際の平和と安全の強化という目標をつねに意識している必要があることを確信する。    理事会は、紛争後の平和建設が、平和の基礎を建設するという全般的努力において効果的であるためには、十分な財政的資源を必要とすることを認める。したがって、理事会は、加盟国および財政その他の国連機関ならびに国連システム外の他の機関が、紛争後の状況における難民および国内避難民の故国への早期送還といった特別プロジェクトに使える十分な資金を獲得するための努力を最大限行うことが重要であることを認める。    安全保障理事会は、国際の平和と安全の維持に一時的な責任を有する機関として、「平和への課題」第59段落に述べられているように、社会的平和は戦略的または政治的平和と同様に重要であることを全面的に認め、その段落に述べられた目的のために技術的援助に対する新たな要求が存在するとの事務総長の見解を支持する。    理事会は、1992年10月29日の議長による声明2/が示しているとおり、事務総長の報告書の検討を継続するつもりである。    1/ 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/24111  2/ S/24728; 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年の安全保障理事会の決議および決定、102頁参照 【安全保障理事会議長による声明】 S/25859、1993年5月28日  1992年10月29日の声明1/に従って、安全保障理事会は、「平和への課題」と題された事務総長の報告書2/に関する特別会議を開いた。この会議は、理事会によるこの報告書についての検討の現段階をもって終わった。この場を借りて、理事会は事務総長の報告書に対し感謝の意を再び表明したい。    安全保障理事会は、全加盟国が国際的平和維持への参加と支援を各自の外交および国家安全保障政策の一部にすることを勧告する。また、国連平和維持活動が国連憲章の規定に基づく次の活動原則に従って行われなければならないと考える。活動原則とは、定期的検討に委ねられその性格と期間が理事会自体によってのみ変更される厳密な使命を持った明確な政治目標、例外的な場合を除いて、政府と適切ならば関係当事者の同意、政治的過程もしくは紛争の平和的解決への支援、安全保障理事会の決定を実施するさいの公平性、理事会がその決定を順守しない当事者に対する適切な措置を講じる用意、そして、国連軍がその使命を遂行するために必要な措置すべてを承認する理事会の権利と、国連軍が自衛のための適切な権利を講じる固有の権利である。これに関連して、安全保障理事会は関係当事者が平和維持活動の使命および理事会の関連決定の実施において十分に協力する必要性を強調し、また、平和維持活動が政治的解決の代替策であってはならず、永続すると期待されてはならないことを強調する。    理事会は、「平和への課題」に記された事務総長の勧告を徹底的に検討した。また、平和維持活動特別委員会およびその他の総会の関連機関による貴重な貢献に謝意を表する。これらの討論と協議は加盟国の優先順位をより明確に定めることを可能にする。    平和維持活動の迅速な増大と新たなアプローチに関連して、理事会は事務総長が講じる初期措置がこの分野における国連の能力を高めることを推奨する。大胆な新たな措置が必要であると考え、全加盟国がその見解を事務総長に伝えるよう要請する。また、事務総長がこれらの能力を一層強化するための具体的な新たな提案を含んだ国連全加盟国に対する更なる報告書を1993年9月までに提出するよう要請する。それには以下が含まれる。    ―立案を促進し調整を強化するための平和維持活動担当事務次長に報告する予定および現在の活動の担当局の設置など、事務局の平和維持および軍事構造の強化と統合。  ―各国当局の承認をもって、広範な平和維持または人道的援助について国連がケースバイケースで利用可能な具体的な兵力または能力の加盟国による申告。これに関連して、安全保障理事会は事務総長が平和維持活動についての加盟国の兵力または能力の用意と利用可能性を確認する努力を歓迎し、加盟国がこの努力に協力するよう要請する。  ―平和維持または人道的活動において共通に用いられる限られた回転準備装備の維持の実行可能性。  ―多国籍平和維持活動の実行可能性に関する提言など、国連平和維持の役割について要員を備えさせるために、平和維持活動の国内軍事または警察訓練計画に含める要素。  ―兵力がより効果的に協力できるようにする標準化された手続きの改善。  ―平和維持活動の非軍事要素の開発。  平和維持活動の増大する費用と複雑さに鑑みて、安全保障理事会はまた、事務総長がその報告書において、適切ならばフォルカー−オガタ報告書3/を考慮に入れて、必要な財政・管理上の改革、資金の多様化、平和維持活動の十分な資源を確保し資源の使用における透明性と説明義務を最大化する必要性に対処したうえで、より確固たる財政基盤に費用と複雑さをおくことを目指した措置を取り扱うよう要請する。これに関連して、理事会は、憲章と総会の関連決議に従って、平和維持活動の資金供給は加盟国の集合的責任であることを想起する。また、全加盟国が分担金を全額、遅滞なく納入するよう要請し、そうすることが可能な加盟国が自発的搬出を行うよう奨励する。    理事会は、国連平和維持活動に従事した、もしくは従事中の軍人および文民に対し感謝を表明する。また、国連の義務の遂行中に死亡または負傷した数十カ国の勇気ある国民に敬意を表する。さらに、国連平和維持活動者に対する攻撃を厳しく糾弾し、職務遂行中の国連要員の安全を確保するためにより断固たる努力を行う決意を宣言する。    国連憲章第6章に従って、理事会は予防外交についての国連の可能性を強化する必要性に留意する。また、1992年12月18日の総会決議47/120を歓迎する。事実調査団の利用の増大に満足している。加盟国が事務総長に対し、緊張や潜在的危機の状況に関する関連の詳細な情報を提供するよう要請する。事務局が情報を収集し分析する能力を強化するための適切な措置を事務総長が考えるよう要請する。理事会は、衝突を予防する新たなアプローチの重要性を認識し、その継続が国際の平和と安全の維持を危うくする可能性が高い不安定で潜在的に危険な地帯におけるケースバイケースの予防展開を支持する。    理事会は、人道的援助と平和維持活動との間の多くの場合に存在しうる密接な連携を強調し、加盟国と関連機関、非政府機関などの間の調整の一層の促進を目指した事務総長の最近の努力を高く評価する。これに関連して、人道的援助要員は困窮する人々に近づくことを妨げられてはならないという憂慮を繰り返しておく。    理事会は、地域取り決めおよび地域機関の役割と、国際の平和と安全の維持におけるこれらの努力と国連の努力との間の調整に付与する重要性を再確認する。理事会は、加盟国が国内的に行動してもしくは地域機関または地域取り決めを通じて、平和維持のための特定の資源および能力を提供することによって、国連およびその他の加盟国と協力する用意があることを歓迎する。理事会は、憲章第8章の枠組みのなかで行動して、地域機関および地域取り決めが国際の平和と安全の維持への貢献を強化うる方法を考えるよう要請する。理事会としては、具体的な状況を考慮に入れたうえで、憲章第8章に従って地域機関および地域取り決めの枠組みにおいて行われる平和維持努力を支援し促進する用意があることを表明する。理事会は、国連と地域機関との協力に関する事務総長の報告書を期待する。    理事会は、紛争後の平和建設の重要性の増大に注意を喚起する。現在の状況下では平和建設は平和の維持と不可分に結びついていると確信する。    理事会は、高レベルの会議の価値を強調し、近い将来に平和維持の主題に関するそのような会議を開く意向があることを表明する。    1/ S/24728; 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年の安全保障理事会の決議および決定、102頁参照  2/ 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/24111  3/ 効果的な国連の資金調達: 国連資金調達に関する独立諮問グループの報告書(A/48/460、付属書および通信1) 【安全保障理事会議長による声明】 S/PRST/1994/22、1994年5月3日  国際の平和の安全の維持についての主要責任を認識したうえで、安全保障理事会は「国連の平和維持の能力の向上」と題された事務総長の1994年3月14日の報告書1の検討を始めた。安全保障理事会は、国連が平和維持活動を行う能力を強化するために事務総長が講じた措置について報告書が的確に説明していることを歓迎する。安全保障理事会は、この報告書が「平和への課題」と題された事務総長の報告書2の後に発表されたことと、それが安全保障理事会の代々の議長による「平和への課題」に関する声明、特に1993年5月28日の安全保障理事会議長による声明3に応えたものであることに留意する。  安全保障理事会は、報告書「国連の平和維持活動の能力の向上」が総会に提出されたことに留意し、また、平和維持活動特別委員会がこの報告書について勧告を行ったことにも留意する。 ・平和維持活動の設置  安全保障理事会は、1993年5月28日の議長による声明3が、とりわけ、国連平和維持活動は多数の活動原則に従って、国連憲章の規定に基づき行われなければならないと述べていたことを想起する。これに関連して、安全保障理事会は、国連平和維持活動の政治目標、使命、費用、および可能ならば予想された時間枠組みが明確かつ厳密である必要性と、平和維持活動の使命が定期的検討を受ける要求を認識する。それを行う可能性と、状況が求める迅速さと柔軟さで対応する能力を損なわずに、理事会は新規の平和維持活動の設置が検討される場合にとりわけ次の要因が考慮されるべきであると考える。  ―その継続が国際の平和と安全を危うくするか、もしくは脅かす可能性が高い状況が存在するか否か。  ―存在する地域的なまたは小地域的な機関および取り決めがその状況の解決を手助けする用意があり、かつ可能か否か。  ―停戦が存在するか否かと、当事者が政治的解決に達することを目指した和平過程に確約したか否か。  ―明確な政治目標が存在するか否かと、それが使命に反映されうるか否か。  ―国連活動の厳密な使命が作成されうるか否か。  ―国連要員の安全が合理的に保証されうるか否かと、特に、合理的な保証が国連要員の安全に関する主要当事者または党派から得られるか否か。これに関連して、1993年3月31日の声明4と1993年9月29日の決議868(1993年)を再確認する。  安全保障理事会はまた、活動の始動段階(当初90日間)および当初6カ月間の推計費用、ならびに国連平和維持経費の推計年間費用の見積書を提出されるべきであり、新規活動のための資源の利用可能性を知らされるべきである。  安全保障理事会は、平和維持活動の使命の実施における関係当事者の十分な協力の必要性と、安全保障理事会の関連決定を強調する。 ・活動の前進的検討  安全保障理事会は、平和維持活動自体と平和維持活動を求める提案を生じさせる可能性が高い状況の数と複雑さの増大が、理事会の意思決定を支援するために利用可能な情報の流れの質と速度を高める措置を必要とするかもしれないことに留意する。安全保障理事会はこの問題を検討し続けるであろう。  安全保障理事会は、理事会に情報を提供する事務局の努力の増大を歓迎し、特別な関心事に関する理事会メンバーへのブリーフィングを一層改善する重要性を強調する。 ・安全保障理事会の非メンバー(部隊提供国を含む)とのコミュニケーション  安全保障理事会は、平和維持活動に関する決定が国連加盟国と特に部隊提供国にとって持つ重要性を認識する。  安全保障理事会は、理事会のメンバーと非メンバーとの間のコミュニケーションの深まりを歓迎し、安全保障理事会議長と加盟国の権限を有するグループとの間の理事会の作業計画(平和維持活動に関連した事項を含む)に関する毎月定例の協議が継続されるべきであると考える。  安全保障理事会は、特に活動の使命の大幅な拡大が予想される場合に、平和維持活動の立案、管理および調整に関する部隊提供国との情報の協議および交換を増大する必要性を認識する。そのような協議は様々な形をとり、加盟国、部隊提供国、安全保障理事会メンバーおよび事務局を関与させる。  安全保障理事会は、使命を変更または拡大する決定など、平和維持活動に関する重大な出来事が起こる場合、理事会の議長またはメンバーと部隊提供国との間の非公式なコミュニケーションなど、理事会メンバーが部隊提供国と意見を交換しようとする必要性が特にあると考える。  適切ならば理事会メンバーが出席して部隊提供国の会議を開くという事務局の最近の慣行は歓迎されるものであり、発展すべきである。理事会はまた、事務総長の特別代表または軍司令官からの報告を聞くために、また適切ならば、頻繁に定期的間隔で平和維持活動に関する状況報告が可能であるようにするため、事務局が部隊提供国および理事会メンバーの定期会議を開くよう奨励する。  安全保障理事会は、理事会の非メンバーとのコミュニケーションについての取り決めを検討し続けるであろう。 ・待機制度  安全保障理事会は、国連が平和維持活動の迅速な展開と強化の必要性を満たす能力を高めることに大きな重要性を与える。  これに関連して、安全保障理事会は、1994年3月14日の事務総長の報告書における予備的な取り決めおよび能力に関する勧告を歓迎する。安全保障理事会は、加盟国が国連平和維持活動への可能な拠出として合意された準備度に保ちうる待機制度または能力を事務総長が考案する意向があることに留意する。  安全保障理事会は、加盟国がこのイニシアチブに肯定的に対応するよう求める事務総長の要請を歓迎し、加盟国が可能なかぎりそうするよう奨励する。  安全保障理事会は、事務総長がこの待機制度の立案イニシアチブに警察官など文民要員を含める努力を続けるよう奨励する。  安全保障理事会は、待機制度管理部(Stand-by Arrangement Management Unit)が部隊・資源リストの定期的改訂といった作業を行うように事務総長が取り計らうことも奨励する。  安全保障理事会は、事務総長がこのイニシアチブの進捗について1994年6月30日までに報告し、その後は少なくとも年1回報告するよう要請する。  理事会は、これに関して必要な勧告または決定を行うために、この事柄を検討し続けるであろう。 ・文民要員  安全保障理事会は、文民警察官など文民要員に関して事務総長がその報告書で示した所見を歓迎し、国連平和維持活動に対しそのような要員を提供するようにという要求に加盟国が肯定的に対応するよう要請する。  安全保障理事会は、特に多面的な平和維持活動の軍事構成要素と文民構成要素の間の十分な調整に重要性を与える。この調整は、国連本部と現地の両方で、活動の立案と実施全体に拡大されるべきである。 ・訓練  安全保障理事会は、平和維持活動要員の訓練は基本的に加盟国の責任であると認識するが、しかし事務局が基本的な指針および実績標準の作成を続け、説明資料を提供するよう要請する。  安全保障理事会は、平和維持活動特別委員会の平和維持要員に関する勧告に留意する。また、加盟国がこのための便宜の提供において協力し合うよう要請する。 ・指揮と管理  安全保障理事会は、主導原則として、国連平和維持活動が国連の作戦管理下におかれなければならないことを強調する。  安全保障理事会は、事務総長は安全保障理事会メンバー、部隊提供国およびその他の関係加盟国と協力して指揮と管理の問題について速やかに措置を講じるようにという総会の要請(決議48/43)を歓迎し、1994年3月14日の事務総長の報告書に記された意見に留意し、この事柄に関する一層の報告書を期待する。 ・財政・行政問題  憲章第17条に基づく総会の責任を念頭において、安全保障理事会は、1994年3月14日の事務総長の報告書における平和維持活動に関連した予算問題についての彼の所見と勧告に留意し、また、彼の報告書がその検討を総会に付託したことに留意する。  安全保障理事会は、理事会が財政責任を負って行動できるようにするため、使命または拡大に関する決定が下される前に、平和維持活動の財政見積りが事務局から要求されることを確認する。 ・結論  安全保障理事会は、事務総長の報告書に記された勧告を今後も検討し続けるであろう。  1 S/26450  2 安全保障理事会公式記録、第47年、1992年1月、2月および3月の補遺、文書S/24111  3 S/25859;安全保障理事会公式記録、第47年、1993年の安全保障理事会の決議および決定、49頁参照  4 S/25493;安全保障理事会公式記録、第47年、1993年の安全保障理事会の決議および決定、47頁参照 【安全保障理事会議長による声明】 S/PRST/1994/36、1994年7月27日  安全保障理事会は、1994年5月3日の安全保障理事会議長による声明2の後に提出された、平和維持の予備的な取り決めに関する1994年6月30日の事務総長の報告書1を検討した。  安全保障理事会は、平和維持活動の迅速な展開と強化についての国連の能力の向上に付与する重要性をここで繰り返す。国連平和維持活動の最近の変遷は、そのような努力が不可欠であることを実証している。  これに関連して、安全保障理事会は予備的な取り決めに関して事務総長が行った努力に感謝し、現在までの加盟国からの対応を歓迎する。また、事務総長がこれらの申し出の技術的詳細など、なされた申し出の総合的データベースを維持する意向があることを歓迎する。  安全保障理事会は、国連平和維持活動のための部隊のタイムリーな展開の主な制限因子は容易に利用可能な装備の欠如であることに留意する。また、待機制度に関連しても、より広範にも、装備の利用可能性の問題に速やかに取り組む重要性を強調する。  安全保障理事会は、現在までになされた確約は将来の平和維持活動を準備し遂行するのに必要な資源を十分に賄わないという事務総長の意見に留意する。これに関連して、この取り決めにまだ参加していない加盟国がそうするよう求める事務総長の要請を歓迎する。  安全保障理事会は、待機制度のイニシアチブの進捗に関する今後のより総合的な報告書を期待する。  1 S/1994/777  2 S/PRST/1994/22 【安全保障理事会議長による声明】 S/PRST/1994/62、1994年11月4日  安全保障理事会は、1994年5月3日の理事会議長による声明1において取り上げられた、理事会のメンバーと非メンバー、特に部隊提供国とのコミュニケーションの問題をさらに検討した。理事会は、平和維持活動に関する決定が部隊提供国にとって持つ重要性を認識し続けている。そのような活動の数と複雑さの増大を重視して、部隊提供国との協議および情報交換を一層強化する必要性があると考える。  このために、安全保障理事会はこの声明に述べられた手続きに将来従うことを決定した。 (a)当然ながら、特定の平和維持活動の使命の拡大または終了または大幅な変更に関する決定を理事会が下す前に、適切な時期に情報と意見が交換されるようにするため、理事会メンバー、部隊提供国および事務局の会議が開かれるべきである。 (b)そのような会議は、理事会議長と事務総長に指名された事務局代表によって共同で主催されるであろう。 (c)加盟国が利用可能な理事会の作業の月例の試験的予測は将来、当月のそのような会議の予定スケジュールの提示を含めるであろう。 (d)試験的予測の検討に再関連して、理事会のメンバーはこのスケジュールを検討して、会議の時期に関する提言された変更または提案を事務局に伝えるであろう。 (e)安全保障理事会議長と事務総長に指名された事務局代表が共同で主催する特別会議は、理事会による行動を必要とする特定の平和維持活動における予期せぬ展開が見られた場合に開くことができる。 (f)部隊提供国が事務総長の特別代表または軍司令官と会うための、もしくは理事会メンバーも招請される、特定の平和維持活動に関する活動問題を論じるための、事務局単独で主催する会議も開かれるであろう。 (g)カバーされる主題を含み、関連の背景文書に注意を喚起する非公式な文書が、上述の様々な会議に十分先立って、事務局により参加者に配布されるであろう。 (h)理事会メンバーおよび平和維持活動への部隊提供国の会議の日時と場所は、可能ならば、国際連合ジャーナルに事前に掲載されるべきである。 (i)理事会議長は、理事会メンバーの非公式な協議中に、部隊提供国との会議に参加者が表明した意見を要約する。  安全保障理事会は、ここに述べた取り決めが網羅的でないことを想起する。協議は様々な形をとり、理事会の議長またはメンバーおよび部隊提供国と、適切ならば他の特に影響を受ける国、例えば当該地域の国との非公式なコミュニケーションなどである。  安全保障理事会は、部隊提供国との情報および意見の交換についての取り決めを検討し続け、経験に照らして取り決めを改善するための一層の措置を考える用意がある。  安全保障理事会はまた、1994年5月3日の声明に記された結論を念頭において、理事会の意思決定を手助けするために利用可能な情報の流れの質と速度を高める取り決めを検討し続けるであろう。  1 S/PRST/1994/22 UNITED NATIONS PUBLICATIONS OF RELATED INTEREST THE FOLLOWING UN PUBLICATIONS MAY BE OBTAINED FROM THE ADDRESSES INDICATED BELOW, OR AT YOUR LOCAL DISTRIBUTOR; An Agenda for Development BY BOUTROS BOURTROS-GHALI, SECRETARY-GENERAL OF THE UNITED NATIONS E.95.I.16 92-1-100556-6 132pp. Building Peace and Development, 1994 ANNUAL REPORT OF THE WORK OF THE ORGANIZATION BY BOUTROS BOUTROS-GHALI, SECRETARY-GENERAL OF THE UNITED NATIONS E.95.I.3 92-1-100541-8 299pp. New Dimensions of Arms Regulations and Disarmament in the Post-Cold War Era BY BOUTROS BOUTROS-GHALI, SECRETARY-GENERAL OF THE UNITED NATIONS E.93.IX.8 92-1-142192-6 53pp. $9.95 Basic Facts About the United Nations E.93.I.2 92-1-100499-3 290pp. $5.00 Demographic Yearbook, Vol.44 B.94.XIII.1 92-1-051083-6 1992 823pp. $125.00 Disarmament─New Realities: Disarmament, Peace-Building and Global Security E.93.IX.14 92-1-142199-3 397pp. $35.00 United Nations Disarmament Yearbook, Vol.18 E.94.IX.1 92-1-142204-3 1993 419pp. $50.00 Satistical Yearbook, 39th Edition B.94.XVII.1 H 92-1-061159-4 1992/93 1,174pp. $110.00 Women: Challenges to the Year 2000 E.91.I.21 92-1-100458-6 96pp. $12.95 World Economic and Social Survey 1994 E.94.II.C.1 92-1-109128-4 308pp. $55.00 World Investment Report 1994─Transnational Corporations, Employment and the Work Place E.94.II.A.14 92-1-104435-9 446pp. $45.00 Yearbook of the United Nations, Vol.46 E.93.I.1 0-7923-2583-4 1992 1277pp. $150.00 *** THE UNITED NATIONS BLUE BOOKS SERIES The United Nations and Apartheid, 1948-1994 E.95.I.7 92-1-100546-9 565pp. $29.95 The United Nations and Cambodia, 1991-1995 E.95.I.9 92-1-100548-5 360pp. $29.95 FORTHCOMING: The United Nations and the Nuclear Non-Proliferation Treaty The United Nations and El Salvador, 1990-1995 The United Nations and Mozambique, 1992-1995 UNITED NATIONS PUBLICATIONS 2 UNITED NATIONS PLAZA, ROOM DC2-853 NEW YORK, NY 10017 UNITED STATES OF AMERICA UNITED NATIONS PUBLICATIONS SALES OFFICE AND BOOKSHOP CH-1211 GENEVA 10 SWITZERLAND 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