国際司法裁判所 国際連合の主要司法機関に関する質問と解答 国際連合国際司法裁判所 国際連合広報局発行 注記:本書の情報は2000年5月現在のものである。 Copyright (c) United Nations, 2000 The International Court of Justice Tenth Edition United Nations publication Sales No. E.99.I.25 ISBN 92-1-100822-0 Published by the United Nations Department of Public Information New York, NY 10017 UN Web site: http://www.un.org ICJ Web site: http://www.icj-cij.org 目次 第1章 国際司法裁判所とは何ですか ......1 第2章 国際司法裁判所の裁判官になるのは誰ですか ......11 第3章 国際司法裁判所はどのように機能しますか ......21 第4章 訴訟手続 ......25 第5章 勧告的意見の手続 ......41 第6章 国際司法裁判所の活動 ......47 第7章 国際司法裁判所の今後 ......65 第8章 詳しい情報の入手方法 ......69 質問の索引 ......71 写真の索引 ......78  ************************************************************ 1 国際司法裁判所とは何ですか 「…徳望が高い者のうちから、国籍のいかんを問わず、選ばれる独立の裁判官の一団…」である。 国際司法裁判所規程、1945年 国際司法裁判所(ICJ)は、国際連合(国連)の主要な司法機関です。同裁判所は1945年6月26日、サンフランシスコで署名された国連憲章により、「平和を破壊するに至るおそれのある国際的な紛争または事態の調整または解決を平和的手段によって、かつ、正義および国際法の原則に従って実現する」という国連の主要目的のひとつを追求するものとして設立されました。裁判所は、国連憲章の一部を構成する国際司法裁判所規程と、独自の規則に基づいて運営されます。その活動は1946年、国際連盟によって1920年に設立された常設国際司法裁判所(PCIJ)に代わるものとして開始されたのです。  裁判所はハーグ(オランダ)の平和宮に置かれており、国連の6主要機関の中では唯一、ニューヨークに本部を置いていません。その他5つの国連主要機関とは総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会および事務局です。  国際司法裁判所は、各国から提起された訴訟を国際法に従って解決することと、正当な権限を与えられた国連機関および専門機関から諮問された法律問題について勧告的意見を与えることという2つの役割を持ちます。  裁判所は15名の裁判官から構成され、事務局の役割を果たす書記局の補佐を受けます。公用語は英語とフランス語です。 ●法に基づいて国際紛争を解決するという考え方はいつ生まれましたか。  国際司法裁判所の創設は、国際紛争の平和的解決のための方策を徐々に育んできた長い過程が結実したものと言えます。  交渉、仲介および調停のほか、このような解決を法に基づいて裁定を下す中立的機関に委ねようとする考え方は、すでに古代から存在していました。これが仲裁裁判として知られるものです。  仲裁裁判の近代史は一般的に、1794年に米英間で結ばれたジェイ条約に始まるとされています。この友好通商航海条約は、いくつかの未解決の問題を解決するため、同数の両国民からなる混合委員会の創設を定めていました。これら混合委員会の作業は、19世紀における仲裁裁判の発展へとつながったのでした。  もうひとつの決定的な契機となったのは、1872年のアラバマ号事件に関する仲裁裁判でした。米英両国は、南北戦争の際に英国が中立義務に違反したとして米国が要求した仲裁裁判に付託しました。両当事国およびその他3カ国が任命した代表裁判官からなる仲裁裁判所は、英国に損害賠償の支払いを命じました。英国が判決に従うという範を示したことは、仲裁裁判が重大な紛争の解決に効果を有することを如実に物語る結果となりました。 ※仲裁裁判は古代のインドとギリシャ、初期のイスラム世界および中世のヨーロッパでも知られていた ●仲裁裁判の成功は新たな機関の創設を促進したのですか。  はい。促進しました。この成功を受け、各国は常設的な裁判所(紛争の平和的解決を担当する)の設立により、各々の紛争を仲裁する特別(アドホック)の法廷を設立する手間を省こうと考えるようになりました。  ロシア皇帝ニコライ2世の提唱によって1899年と1907年に開催されたハーグ平和会議では、平和と軍縮の問題が話し合われ、この提案が具体化し始めました。第1回会議に代表を送った26カ国は、紛争の平和的処理に関する条約に署名し、この種のものとしては初の多国間機関となる常設仲裁裁判所(PCA)を設立しました。  1902年に活動を開始した同裁判所は、現在も存在しています。この裁判所はその他いずれの国際機関からも独立しており、条約締約国は2000年の時点で90カ国となっています。同裁判所は書記局に相当する国際事務局をハーグに有していま すが、本来の意味での常設的な裁判所でも仲裁機関でもありません。仲裁裁判所は裁判官名簿(各締約国は最高4人まで自国民裁判官を任命し、それがいわゆる「国別裁判官団」を構成する。)を常備し、紛争が起こった場合、当事国はこの中から仲裁裁判部の裁判官を選任できるようになっています。 ●常設仲裁裁判所(PCA)の活動はどのように発展しましたか。  国際司法裁判所の隣、同じく平和宮にある常設仲裁裁判所は、国家間の紛争以外の問題も扱うようになっています。長年を経て、仲裁裁判所の活動範囲は大幅に拡大しました。  仲裁裁判所は現在、国家はもとより、それ以外の当事者(国際機関、民間主体あるいは個人など)にも、幅広い紛争解決手続(事実認定、調停および各種の仲裁)を提供していま す。その結果、仲裁裁判所は商業・金融関係の紛争への関与を強めています。裁判所の国際事務局はまた、さまざまな仲裁(1999年に結審したエリトリア・イエメン間の紅海の島々に対する領有権をめぐる仲裁など)の書記局の役割も果たすほか、仲裁裁判所の枠外で設立された仲裁裁判部(1979年のテヘランにおける米国大使館占拠事件での米国国民52名の拘留から生じた危機を受け、米国国民のイランに対する、また、イラン国民の米国に対する賠償請求を取り扱うために両国が設置した、イラン・米国請求裁判所など)に対しても、技術的あるいは事務的支援を提供しています。  仲裁裁判所の仕組みは全面的に当事国の同意に依存しており、当事国がさまざまな実務的事項および手続(仲裁に付すべき問題の文言、仲裁担当者の指名など)に合意しない限り、仲裁を始めることができません。  このことが主な理由となり、1907年の第2回ハーグ平和会議では早くも数カ国が、仲裁よりも大きな強制要素を有する司法手続を適用することによって紛争を解決する常設的な国際裁判所の設立を求めていました。 しかし、裁判官選任方法に関する見解の相違により、1907年平和会議の各国代表団は、1899年条約の改正と、仲裁手続を律する規則の改善のみを達成したに過ぎませんでした。 ※創設以来1世紀で、常設仲裁裁判所(PCA)はおよそ30件の事件を取り扱った。 常設仲裁裁判所(PCA)と国際司法裁判所(ICJ):性格を異にする隣人 仲裁裁判所(PCA) ・ 当事者が仲裁者を任命。 ・ 当事者が訴訟手続に合意。 ・ 当事者が公用語を選択。 ・ 訴訟手続は非公開。 ・ 費用は当事者が全額負担。 司法裁判所(ICJ) ・ 裁判官は選任済み。 ・ 訴訟手続はあらかじめ裁判所規程・規則で規定。 ・ 公用語は英語とフランス語。 ・ 訴訟手続は原則公開。 ・ 裁判所の費用は国連が負担。 ●国際司法裁判所(ICJ)は司法的解決方法を適用した最初の国際裁判所ですか。  違います。歴史上、紛争の平和的処理を最初に行った国際的な司法裁判所は、国際連盟規約に基づいて1920年に設立された常設国際司法裁判所(PCIJ)であり、国際司法裁判所(ICJ)は1945年にこれを継承しました。  第1次世界大戦後の国際連盟の誕生は、それまで解決不可能な障害となっていた裁判官の選任に関し、受け入れ可能で機能的な話合いの場を提供しました。 ●常設国際司法裁判所(PCIJ)はどのような点で画期的だったのですか。  常設仲裁裁判所(PCA)と同じく、常設国際司法裁判所(PCIJ)の管轄権は、これに紛争を付託するという当事国の意志に依存していましたが、各国が同様の宣言を行っている国との間で将来に生じうる紛争について、裁判所の強制管轄権を承認することを前もって宣言できたことは、画期的な点と言えます。したがって、このような国は、当事国間に当該事件に関する事前の合意がなくても、一方的に事件を裁判所に提訴し、他方の当事国を出廷させることができたのです。  その他にもPCIJには画期的な点がありました。この裁判所は、国際連盟の理事会と総会によって選出された、世界の主要な法体系を代表する常任の裁判官から構成されていました。同裁判所は、予め設定され、これに事件を付託した当事国を拘束する独自の規程と手続規則の適用を受け、国際連盟理事会あるいは総会から付託された法的問題について勧告的意見を与える権限をもち、かつ、その司法手続は原則的に公開されました。  平和宮に所在したPCIJは、国際連盟によって創設され、資金を提供されていたものの、連盟の一部ではなく、また、その規程が連盟規約の一部を形成したことはありませんでした。国際連盟の加盟国が自動的にPCIJ規程の締約国となるわけでもありませんでした。それでも、PCIJの強制管轄権を認めた国は多くありました。紛争が発生した場合にPCIJに管轄権を付与する数百件に及ぶ条約が署名されました。  常設国際司法裁判所(PCIJ)は顕著な成功例となりました。1922年から1940年にかけ、同裁判所は国家間の紛争29件に判決を下し、27件の勧告的意見を与えましたが、事実上、そのすべてが履行されました。PCIJはまた、国際法の発達にも大きく貢献しました。  常設国際司法裁判所(PCIJ)は、第2次世界大戦によってその活動を中断し、国際連盟とともに1946年に解散しました。 ※国際連盟によって設立された常設国際司法裁判所(PCIJ)は、第1次世界大戦から生じた多くの紛争を処理した。 ●なぜ国連の下で新たな裁判所(国際司法裁判所)が設立されたのですか。 国連と国際司法裁判所(ICJ)を誕生させた1945年のサンフランシスコ会議に参加した国々は、いくつかの理由を掲げましたが、その中には以下のようなものがありました。  ・ 国際司法裁判所(ICJ)は国連の主要な司法機関となる予定であり、かつ、国連の全加盟国は同裁判所規程の当事国となる予定であったことから、当時、解散目前であった国際連盟と関連付けられていたPCIJがこの役割を担うことは不適当だと感じられました。  ・ PCIJ規程の当事国の中には、サンフランシスコ会議に代表を送っていない国も数カ国あった一方で、同会議参加国の中には、(米国とソ連を含め)PCIJ規程の当事国でなかったものも多くありました。  ・ PCIJは旧来のヨーロッパ中心の秩序の一部を形成しており、新たな裁判所を創設すれば、普遍性が高まるだろうとの認識がありました。 しかし、PCIJとICJの間には多分に継続性が維持されました。国際司法裁判所(ICJ)の規程と規則は、PCIJのそれと事実上、何ら変わりがなかったですが、ICJは1978年、司法手続の簡素化と迅速化を目的として、一連の改正規則を採択しました。 ●常設国際司法裁判所(PCIJ)から国際司法裁判所(ICJ)への権限の移転はどのように行なわれたのですか。  1945年10月、PCIJは最後の法廷において、その公文書と財産を同じくハーグの平和宮に所在地を置くこととなったICJに移転することに決定しました。1946年1月31日、常設国際司法裁判所(PCIJ)の裁判官は辞任し、1946年2月5日、国連総会と安全保障理事会は国際司法裁判所(ICJ)初の裁判官を選出しました。  1946年4月、PCIJは正式に解散され、ICJは最初の会合で、PCIJの最後の裁判所長であったホセ・グスタボ・ゲレロ裁判官(エルサルバドル)を裁判所長に選出しました。  書記局職員(大半はPCIJの旧職員から)を任命したICJは1946年4月18日、最初の公開会合を開きました。最初の事件は1947年5月に付託されたコルフ海峡事件(英国対アルバニア)でした。 ●国際司法裁判所(ICJ)はある種の国際裁判所に対する権限を持っていますか。  持っていません。国際司法裁判所(ICJ)は特定の権限(国家間の紛争解決および国連機関と専門機関に対する勧告的意見の付与)を与えられた民事裁判所であり、補助機関は存在しません。  しかし、1946年以来、地域的裁判所や専門的裁判所が多く創設されたことから、混乱が生じるようになりました。  国際司法裁判所(ICJ)には刑事裁判権がないため、個人(戦犯など)を裁くことはできません。刑事裁判は各国の司法機関、国連が設置した旧ユーゴスラビアに関する国際刑事裁判所(ICTY)およびルワンダに関する国際刑事裁判所(ICTR)などのアドホックな刑事裁判所や国際刑事裁判所(ICC)の管轄となっています。  ICJはまた、欧州連合の問題に関連する事件だけを取り扱う欧州司法裁判所(所在地はルクセンブルク)、ならびに、設立の根拠となっている人権条約違反の訴えを審査する欧州人権裁判所(所在地はフランスのストラスブール)および米州人権裁判所(所在地はコスタリカのサンホセ)とも区別されなければなりません。この3つの裁判所は、個人が(国あるいはその他の被告に対して)提訴した訴訟を取り扱うことができますが、国際司法裁判所(ICJ)にはこれが認められていません。  国際司法裁判所(ICJ)は、国際海洋法裁判所(ITLOS)などの専門的な国際裁判所とも異なっています。  ICJはさらに、国内の司法機関が控訴できる最高裁判所でもなければ、個人に最終的な訴えの手段を提供するものでもなく、また、いずれの国際裁判所の控訴審ともなりません。しかし、自らが管轄権を有する事件について、仲裁判断の有効性に関して判決を行なう権限はあります。 ※国際司法裁判所(ICJ)は戦犯を裁かない。 ●ICJと平和維持を託されたその他の国連機関との関係はどうなっていますか。  国連憲章は国際の平和と安全の維持の主要な責任を安全保障理事会に与えています。紛争が発生した場合、安全保障理事会は、一般原則として、法律紛争については当事国が国際司法裁判所(ICJ)に付託すべきことを念頭におきながら、これを調査し、その調整のための措置を勧告することができます。  一方、国連総会は国際の平和と安全の維持に関連する問題を討議し、勧告を行うことができます。  安全保障理事会も総会も、その任務を遂行する上で、いずれの法律問題に関しても、国際司法裁判所(ICJ)に勧告的意見を求めることができます。  裁判所はさらに、付託された国際の平和と安全の維持に関する紛争について、それが安全保障理事会あるいは総会で取り扱われている場合でも、判決を言い渡すことができます。裁判所はこれら紛争の法律的側面を取り扱うだけですが、それによって国際の平和と安全の維持に独自の貢献を行っているのです。 ●平和宮:国際司法裁判所(ICJ)の所在地  平和宮は、米国の実業家で慈善家でもあったアンドリュー・カーネギーからの贈与により、常設仲裁裁判所(PCA)のために1907年から1913年にかけて建設された。所在地はハーグ中心部の7ヘクタールの公園地内。  花崗岩、砂岩および赤レンガで作られ、灰色がかった威厳のあるスレート製の屋根を備えたこの建物は、フランス人の建築家、ルイ・コルドニエの設計によるもので、ロマネスク様式とビザンチン様式の折衷型である。芝生に面した建物正面には、平和宮の目的を彷彿とさせる一連の彫像が配されている。左手には、高さ80メートルの鐘つきの時計台がある。建物内部には、木細工やステンドグラス窓、モザイク画、つづれ織、美術品など、2度のハーグ和平会議に参加した国々から提供された品々が並び、世界文化の多様性を反映している。  1946年以来、国際司法裁判所(ICJ)はその前身である常設司法裁判所(PCA)と同様、平和宮を所有、管理するオランダ・カーネギー財団から提供された建物を利用している。1978年に 平和宮の裏側に建てられた新館には、裁判官の執務室と裁判所の評議室が設けられている。この新館は1977年、特に増員された特別選任裁判官(いわゆるアドホック裁判官)を収容すべく拡張された。同年には、平和宮の屋根裏部屋も改装され、裁判所書記局職員の新しい執務室となった。 平和宮は、世界最大の国際公法図書館のひとつ(平和宮図書館は国際司法裁判所図書館とは異なり一般利用が可能)の所在地であるほか、ハーグ国際法アカデミー夏季コースの開催場所ともなっており、平日には見学もできる。詳しい情報は、カーネギー財団(電話:+31703024137)まで。  1999年5月には、コフィー・アナン国連事務総長と当時の裁判所長であったスティーブン・M.シュベーベル裁判官が、国際司法裁判所(ICJ)および平和宮にあるその他の機関の歴史と活動に関する博物館の開館式を行った。この博物館は平和宮の南別館にある。 2 国際司法裁判所の裁判官になるのは誰ですか 「裁判官は世界の各地…、異なる文化、そして大事なことに、極めて異なる主要法系の出身である。素人からはいつも、このような状況で、どのように一貫性のある有意義な審議が保たれるのかという質問がなされる…。その答えは実際には、問題はほとんど生じない、という点に求められる…国際法は言語、文化、人種および宗教を超越した言葉である。」 ロバート・ジェニングス 卿国際司法裁判所長(1991〜1994年) 1992年10月の国連総会における演説  国際司法裁判所の15名の裁判官は、9年の任期で選ばれるが、再選も可能です。書記局は裁判所の常設の行政機関で、裁判所の任務遂行を補助しています。 ●裁判官は誰によって、どのように選ばれますか。  国際司法裁判所は国連の主要な司法機関であるため、裁判官の選挙は国連が行います。  裁判官は総会(その際には、国連加盟国ではありませんが、裁判所規程の当事国である国―現在はスイス―も参加します)および安全保障理事会(裁判官の選挙については拒否権が認められません)によって選ばれます。これら2つの機関の投票は同時に、しかし個別に行われます。裁判官として選ばれるためには、候補者は総会と安全保障理事会の両方において過半数の票を得なければなりません。このため、しばしば何度も票決が行われる必要があります。  裁判官の構成にある程度の継続性を保つため、15名の裁判官すべての任期が同時に終了しないように3年ごとに3分の1ずつの改選が行われます。 3年に1度の選挙(通常は秋に開催)で選出された裁判官は、翌年の2月6日に就任しますが、この日付は最初の国際司法裁判所裁判官が1946年に就任した日に当たります。 裁判官がその任期中に死亡あるいは辞任した場合、未満了の任期について裁判官を補充するため、できる限り速やかに特別選挙が行われることになっています。 ※選挙はニューヨークで通常、秋に行われる。 ●裁判官候補者の指名とそのやり方  国際司法裁判所規程の全当事国は、裁判官候補を指名する権利を有する。  候補者指名の過程に政治的な考慮が働かないようにするため、候補者は直接、政府が指名するのではなく、常設仲裁裁判所(PCA)の裁判官グループ(「国別裁判官団」)、あるいは、PCAに参加しない国々の場合、同じやり方で構成される裁判官団によって指名される。  各国の裁判官団はそれぞれ4名までの候補者を指名できるが、そのうち自国民は2名までに限られている。残りはその他どこの国の出身者でも差し支えない。 ●裁判官はどのような条件を満たさなければなりませんか。  裁判所規程によれば、国際司法裁判所は、「各自の国で最高の司法官に任ぜられるのに必要な資格を有する者、あるいは、国際法に有能であると認識されている法律家のうちから徳望が高く、国籍のいかんを問わず、選挙される独立の裁判官の一団」で構成されることになっています。  実際には、選出されるまでに、自国の外務省の法律顧問や国際法の教授、大使あるいは最高裁判所裁判官を務めていた裁判官が多数を占めています。 ●裁判所の構成に地理的な均衡はありますか。  あります。同一国から複数の裁判官を選出することはできません。また、裁判所は全体として、主たる文明の形態と、世界の主要法系を代表するものでなくてはなりません。  この原則は、裁判官の数が世界の主要地域に以下のように配分されていることにも反映されています:アフリカから3名、ラテンアメリカから2名、アジアから3名、西欧その他(カナダ、米国、オーストラリアおよびニュージーランドを含む)から5名、および、東欧(ロシアを含む)から2名。この配分は安全保障理事会の構成に対応しています。  自動的に裁判官を出すことを認められている国はありませんが、国際司法裁判所の裁判官には常に、安全保障理事会の常任理事国出身の裁判官が含まれてきました。ただし、中国については、1967年から1984年にかけ、中国の国別裁判官団は中国人候補者を指名しませんでした。 ●裁判官は本当に独立した存在ですか。          国際司法裁判所の裁判官は選出と同時に、自国の政府もその他いずれの権威も代表しなくなります。裁判官は独立した裁判官で、その第一の任務は、公開の法廷においてその職権を「公平に」行使する旨を厳粛に宣言することです。自国が係争国となった場合でも、裁判官がその国の立場に反する判断を示すことも例外ではありません。 ●裁判官による厳粛な宣言  新任の裁判官はそれぞれ、自らの出席する最初の法廷において、以下の宣言を行う。  「私は名誉にかけて、誠実に、公平に、かつ良心に従い、裁判官としての自己の職務を遂行し、職権を行使することを厳粛に宣言します。」 ●裁判所長と裁判所次長はどのように指名されますか。  国際司法裁判所の裁判所長と裁判所次長は3年ごとに、15名の裁判官による秘密投票によって選出されます。絶対的過半数の票が必要ですが、国籍についての条件はありません。    裁判所長は、すべて裁判官から構成される予算行政委員会およびその他さまざまな委員会の補佐を受けながら、裁判所の業務を指揮し、その司法事務を監督します。  裁判所長が不在の場合やその職務能力を失った場合、あるいは、裁判所長が欠席の場合、裁判所次長が所長の職務を遂行します。 ●裁判所には席次規則がありますか。  あります。裁判所長と裁判所次長に次ぐ裁判官の席次は、その就任日に従って決まります。  2名の裁判官が同じ日に就任した場合、より年長の裁判官が上席となります。  裁判所長と裁判所次長に次ぐ席次を占める裁判官は「上席裁判官」と呼ばれます。裁判所が公開の法廷を開く際は、もっとも在職期間の長い裁判官が裁判所長と裁判所次長の隣に座ります。選出されてからもっとも日が浅い裁判官はどちらかの端に座ります。  それでも、その任務の遂行(裁判所の判決が起草される場合など)において、すべての裁判官は年齢、選挙の年度または在職期間の長さに関係なく、同等の地位を有します。 ※2000年に在職中の裁判官の平均年齢は66歳であった。 ※もっとも在職期間が長いのはポーランドのマンフレッド・ラックス裁判官の26年、逆にもっとも短いのは米国のリチャード・バクスター裁判官の19ヵ月である。 ●裁判官はハーグに居住しなければなりませんか。  ハーグ居住を義務付けられるのは裁判所長のみです。その他の裁判官は常に出廷できるよう要求されているだけです。しかし、実際には、裁判官のほとんどがハーグに住んでいます。 ●裁判官は裁判所の職務以外に一定の職業活動を続けることができますか。  裁判所の裁判官は、政治上または行政上のいかなる職務を行なうことも、職業的性質を持つ他のいかなる業務に従事することもできません。したがって、いかなる場合にも代理人、補佐人あるいは弁護人を務めることができないばかりか、以前に何らかの資格で関与したことのあるいかなる事件の裁判にも参与することができません。  しかし、裁判所に対する義務に見合っている限り、裁判官は司法裁判所に付託することのできない事件において仲裁を担当したり、学会の活動に参加したり、不定期の講演を行ったりすることができます。 ●裁判官には外交特権がありますか。  裁判官は裁判所の事務に従事する間、外交官の特権、免除および便宜を受けます。  オランダでは、裁判所長が外交使節団の最年長者を含め、同国に駐在するあらゆる大使よりも高い地位にあります。外交使節団の最年長者がその次に位置し、その後に裁判所次長が来ますが、それより下位の席次については、外交使節団と裁判官が交互に位置しています。 ●ICJ裁判官の所得はどのくらいですか。  国際司法裁判所の裁判官は、16万ドル(2000年時点)の年俸を受け取ります。裁判所長には特別の追加手当が支給されます。  退職する裁判官は年金を受け取りますが、その額は在職期間9年の裁判官につき、俸給の半額となります。在職期間が18年以上の裁判官は、俸給の3分の2に当たる年金を受け取ることができます。  裁判官の俸給や諸手当は国連総会が定め、課税の対象とはなりません。 ●特別選任裁判官とは何ですか。  裁判所が取り扱う事件の当事国で、自国の国籍を所有する裁判官を持たない国は、当該の事件について特別選任裁判官を選定することができます。しかし、そうする義務はありません。特別選任裁判官はこれを指名する国の国籍を持っている必要がありませんし、実際にそうでない場合も多くあります。  職務をとる前に、特別選任裁判官は通常の裁判官と同じ厳粛な宣言を行い、その同僚と完全に平等な条件で当該事件に関するいかなる裁判にも参与し、投票権をもっています。また、特別選任裁判官は、その職務をとる各日について、裁判所から補償を受けます。  裁判所の裁判官と同様、特別選任裁判官は常に出廷できるようにすること、および、自らが参与する事件について開かれるすべての会合に出席することを義務付けられています。 ※特別選任裁判官の中にはその後、国際司法裁判所裁判官に選出された者もいる。 ●特別選任裁判官の任務は何ですか。  特別選任裁判官は、国際司法裁判所の機能を律する基本的原則のひとつ、すなわち、当事国の厳格な平等を体現しています。  一方の当事国の国籍を有する裁判官が審理を行う権利を有するのであれば、他方の当事国(同国の国籍を有する裁判官がいない場合)に特別選任裁判官として審理に参加する者を選ぶ権利がなければ、不公平が生じるでしょう。  ある当事国の国籍を有する裁判官も、特別選任裁判官も、法廷に出席することによって、ある事件の当事国の立場を裁判所によりよく理解させることができます。 ●書記局とは何ですか。それはどのような作業を行うのですか。   書記局は国際司法裁判所の常設事務機関で、同裁判所のみに対して説明責任を負います。書記局の長は裁判所書記で、これを補佐する裁判所書記補は、書記が不在の際にその代理を務めます。  裁判所書記は国連事務次長補と同格で裁判所書記補とともに、7年の任期で裁判所によって選出されます。再選も可能です。 書記局職員には法務官、翻訳・通訳者、公文書担当者、印刷員、図書館司書・広報担当官、会計官、コンピュータ専門家、事務補助員、タイピスト、メッセンジャー、電話交換手、警備員などがあります。  裁判所は司法裁判所であるのと同時に、国際機関でもあるため、書記局の職務は行政面だけでなく、司法と外交の面にも及びます。  とくに、裁判所の裁判官は事務員も法律補佐官も持たず、秘書の補佐を受けるだけですので、書記局の職務の大部分は法律的な性格を有しています。言語面での職務も重要です。というのは、裁判所では英語とフランス語の2つの公用語があるため、広範かつ良質の翻訳が必要とされるからです。 ※書記局には約70名の職員がいる。 ●裁判所書記はどのような責任をもっていますか。  裁判所書記はハーグに住むことを義務付けられており、書記局の活動を指揮し、その部署すべてについて責任を負います。  裁判所書記は裁判所が受領し、発送する通信の窓口となるほか、裁判所と各国、国際機関および国連との関係維持を援助します。裁判所書記は全ての事件の総件名簿を保管し、裁判所の会議に出席し、かつ会議の調書を作成し、また裁判所の判決に署名し、その紋章と印章を保管します。  裁判所書記は裁判所の公文書の保管と刊行物に責任をもち、その予算案を作成するとともに、裁判所とその活動に関する問合せも処理することになっています。 ●裁判所の紋章  国際司法裁判所の紋章は、裁判所の正式な判決を認証するものであり、その刊行物にも印刷されている。そのデザインは、昇る日の光が、片手に天秤を持ち、もう一方の手にしゅろの葉を握る前面の正義の女神像を照らし出すものとなっている。この正義の女神像は、世界を象徴する両面球上方の石造台座に座っている。 下半分には、ICJが主たる司法機関を務める国連の紋章を想起とさせる月桂樹の葉が配されている。この紋章は当初、ICJの前身である常設国際司法裁判所(PCIJ)のもので、オランダの彫刻家、W.C.ビーネッケが1922年にデザインした。 ●書記局職員は特別な地位を享受していますか。  書記局職員は全員、恒久職員もしくは期限付き職員であり、ほとんど国連の職員規程と規則に準拠して作成された職員規程に従うことになっています。  その雇用条件、俸給および年金受給権は、相当する職種および等級の国連職員に対応しています。書記局職員はハーグ駐在の同等の外交使節団員と同じ特権免除を享受しています。 ●裁判所の予算はどうなっていますか。  裁判所の年間予算は国連総会によって採択されますが、これは国連予算全体の1%弱に過ぎません。 2000‐2001年度の予算額は1年あたりおよそ1,100万米ドルとなっています。 3 国際司法裁判所はどのように機能しますか 「私は、国際司法裁判所が国連のもっとも重要な機関だと主張するつもりはない。しかし、いずれの場合にも、これより重要な機関は存在しないと言うことはできよう。おそらく、総会はより多数の参加があり、安全保障理事会はより華々しい活躍をするであろう…。国際司法裁判所の活動はさほど目立たないかもしれない。しかし、私は、この裁判所がきわめて特殊な重要性を備えているものと確信している。」 ポール・アンリ・スパーク 第1回国連総会議長 1946年国際司法裁判所第一回公開法廷 ●裁判所は年間どのくらい法廷を開いていますか。  ICJは常に法廷を開いています。定められた休廷期間はありませんが、慣習として、夏季の一時期と年末年始は休廷します。  目立つ活動である公判のほかにも、裁判官は評議、判決草案の読会、運営会議や委員会会合など、数多くの多種多様な内部会合に参加します。 ●裁判所の活動は常に裁判官全員の出席のもとに行なわれるのですか。  いいえ、ちがいます。裁判所は通常、裁判官(定足数は特別選任裁判官を除く裁判官9名)は全員が出席してその任務を遂行します。しかし、常設あるいは臨時(特別)の裁判部を設けることができます。  裁判所規程によれば、裁判所は毎年、事務を迅速に処理する遂行のために、5人の裁判官(裁判所長と裁判所次長を含む)を指名し、簡易手続部を設けるとされています。裁判所はまた、特定の部類の事件を処理するため、3人以上の裁判官からなる裁判部を設けることもできます。これに従い、裁判所は1993年以降、7人の裁判官からなる環境問題裁判部を設けています。これらは常設の裁判部です。  裁判所規程はさらに、裁判所は当事者と裁判官の数および氏名に関する協議を行った上で、特定の事件を審理する特別裁判部を設けることができると定めています。選ばれた裁判官は、途中で裁判所の裁判官ではなくなったとしても、当該事件が完結するまで、あらゆる段階の審理に加わることになります。この条項が最初に利用されたのは1982年のカナダ・米国間における「メイン湾海域境界画定」に関する事件でした。この条項はその後、3件の事件で適用されています。 全体会合は定足数(9名)が満たされれば開くことができる。  裁判部による判決は裁判所自体の判決と見なされます。 ●裁判所の構成は事件によって変えられますか。  できます。第1に、裁判官は以前に何らかの資格(補佐人など)で参加したことのある事件の裁判には参与することはできません。  同様に、何らかの特別な理由(家族関係など)によって、ある事件の裁判に参与すべきでないと考える裁判官は、その旨を裁判所長に通知しなければなりません。裁判所には代理裁判官がいないことから、不参与の裁判官の補充は行いません。したがって、事件によっては、審理する裁判官の数が15名に達しないこともあります。逆に、特別選任裁判官が指名された場合は、その数は15名を超えることがあります。  しかし、ある事件のある段階(先決的抗弁あるいは本案)について、裁判所の構成が確定し、これについての審理が開始されれば、その段階に関する判決が出されるまで、裁判所の構成は変更されません。辞任あるいは死亡した裁判官がいたとしても、その段階については補充が行われません。原則的に、病気になった裁判官はある事件のある段階について、当該手続の死活的重要性を有する側面の裁判に欠席していなかった場合にのみ、再びこれに参与することができます。ある事件のある段階について審理が開始した後に裁判官選挙が行われた場合、任期を終えた裁判官は判決が行なわれるまで、当該事件の審理を継続します。 ※1995年、ロザリン・ヒギンス(英国)は女性で最初の国際司法裁判所裁判官となった。 ●裁判所は鑑定人を任命できますか。  裁判所は自らが選定した個人あるいは団体に対して、調査または鑑定意見の提示を委託することができるほか、紛争地を訪問することもできます。 ●裁判所長はある事件について裁判長を務めないことができますか。  裁判所規則によれば、裁判所長は、事件の当事者の一つの国民である場合、当該事件について裁判所長の職務権限を裁判所次長に委ねるものとされています。  さらに、裁判所長は他のいずれの裁判官とも異なり、特別の理由を根拠に特定の事件の裁判に参与しないよう要請することができます。何らかの疑義あるいは意見の不一致がある場合は、裁判所の裁判で解決を図ります。 ●「総件名簿」とは何ですか。  裁判所の総件名簿とは、付託された事件を書記局が受け取った日時順に記載した登録簿(訴訟事件の一覧表)のことです。  この名簿には、事件名、当事者の名称、事件が付託された日付、書面手続に関して定められた期限、弁論期日、場合によっては付随手続、および、事件の処理状況などが記載されています。 ●係争中の事件とは何ですか。  ある事件について裁判所が審理中で、まだ終結裁判が行われていない場合、この事件を「係争中」であると言います。 ●裁判所が適用する法源は何ですか。 裁判所が適用する法源は裁判所規程第38条に次のように定められています。  ・ 一般又は特別の国際条約  ・ 国際慣習  ・ 文明国が認めた法の一般原則  ・ 過去の判決、およびもっとも優秀な国際法学者の学説また、当事者の合意があるときは、裁判所は「衡平および善」に基づいて、既存の国際法の原則にとらわれることなく判決を言い渡すことができます。 4 訴訟手続 「裁判所に係属する事件はこの惑星の広大な領域に関連してきた。裁判所は真に地球的なものとなった…。(それと同時に)裁判所はおびただしい数の男女の生活と福祉に関連する事件を処理しなければならなくなった。」 シャブタイ・ロセンネ 『国際裁判所の法と慣行』、1997年 訴訟手続とは、国際司法裁判所が各国から付託された法律的紛争を審理することです。 ●誰が事件を付託できるのですか。  裁判所規程第34条によれば、裁判所に係属する事件の当事者の訴訟当事者となれるのは国のみです。したがって、事件を付託できるのも国のみとなります。  このため、裁判所はある国と国際機関あるいは2つの国際機関間の紛争を処理することもできなければ、いかに有意義あるいは感動的なものであっても、民間の主体(企業あるいは非政府組織など)や個人から書記局が受け取る多くの書面あるいは口頭による申立てを処理することもできません。 ●裁判所に事件を付託できる国  ・ 国連憲章を批准してその義務を受け入れることによって、自動的にこれと不可分の一体をなす裁判所規程の当事国となったすべての国連加盟国  ・ 国連加盟国ではないが、裁判所規程の当事国となった国(スイス)  ・ 国連加盟国でも裁判所規程当事国でもないが、書記局に対し、裁判所の管轄権を受け入れると安全保障理事会が定めた要件を満たす宣言を寄託し、裁判所の判決に誠実に従うことを約束したその他の国々(国連加盟国となる以前にこのような状況にあった国が多かった。) ●各国は事前に裁判所の管轄権を受け入れていなければならないのですか。 特別の合意、管轄権条項および一方的宣言とは何ですか。 選択条項の制度はどのように機能するのですか。  裁判所が事件を処理することができるのは、関係国が何らかの形で、裁判所の司法手続の当事者となることに同意している場合のみです(当事者同意の原則)。これは国際紛争の解決を律する基本原則であり、各国はその紛争を解決する手段を選ぶ主権と自由を有しています。 各国はその同意を次の3つの方法で明示することができます。  ・ 特別の合意:特定の問題を争っている複数の国々は、これを共同で裁判所に付託すること、および、その旨の特別の合意を結ぶことに合意できます。  ・ 条約の条項:数百件に及ぶ条約は、締約国が予め、将来別の締約国との間で、当該条約の解釈あるいは適用に関する紛争が生じた場合、裁判所の管轄権を受け入れることを約束する旨の条項(管轄権条項という)を含んでいます。  ・ 一方的宣言:裁判所規程当事国は、同じ義務を受け入れている他の国家との関係において、裁判所の義務的管轄権を認める一方的宣言を行うことを選択できます。このいわゆる「選択条項」制度により、お互いの間に将来、生じうる紛争を解決する上で、裁判所に管轄権を付与した国家集団が生まれています。この集団に属する各国は原則として、集団内のある国あるいは複数の国を相手取り、裁判所に訴訟を提起する権利をもっています。この宣言は期限付きであったり、あるいは、留保を含んでいたり一定の種類の紛争を除外していたりすることがあります。宣言は国連事務総長に寄託されます。留意しなければならないことは、安全保障理事会の常任理事国5カ国のうち、現在でも有効な宣言を行っている国は1カ国(英国)だけだという事実です。フランスと米国は以前、このような宣言を行っていましたが、これを撤回しました。他方、中国とロシアは一度もこのような宣言を行ったことがありません。 ●裁判所の管轄権を受け入れながら、訴えられるとそれに異議を申立てる国があるのはなぜですか。  裁判所の管轄権を受け入れた国は、他の国から出廷を求められた場合、当該国との間で紛争があるとは考えていないこと、対象となる紛争は法律的性格を持たないこと、あるいは、義務的管轄権を認める同意は当該紛争には適用されないことを理由として、かかる管轄権を適用できないと主張することがあります。  ある当事者がある紛争について、裁判所の管轄権あるい請求の受理可能性に抗弁を行なった場合に、裁判所はこの問題を先決的な判決で決定します。 ※国連加盟国の約3分の1(2000年時点で62カ国)は、国際司法裁判所の管轄を義務的であると認める現在でも有効な一方的宣言を行っている。 ●訴訟手続きはどのように行われますか。「特別の合意」と「請求」にはどのような相異がありますか。 訴訟手続きは次のいずれかの方法で行なわれます。  ・ 特別の合意の通告によるもの:特別の合意は双方的性格を有し、ある紛争を共同で裁判所に付託することを望む国が締結するもので、両者が付託に合意した問題に関する単一の文言からなっています。関係国のいずれかは、この合意を書記局に通告することによって、訴訟を開始することが出来ます。  ・ 請求によるもの:訴訟の請求は一方的性格を有し、ある条約の管轄権条項あるいは選択条項に従った宣言に基づき、ある国が他国を相手に行ないます。  文書には当該国の外務大臣あるいはそのハーグ駐在大使からの書簡を添え、紛争の正確な主題およびその当事者の氏名を示さなければいけません。  請求の場合、特別の合意よりも詳細な文書が必要となります。上記の要素に加え、請求国は、どのような根拠で裁判所に管轄権があると考えるかを示さなければならないほか、根拠となる事実と理由の簡単な陳述とともにその請求の正確な性質を、はっきりと特定しなければなりません。  裁判所書記は受領した特別の合意あるいは請求を即座に他方の当事者および裁判官、ならびに、国連事務総長および裁判所で裁判を受けることのできるすべての国に送付し、当該事件を裁判所の総件名簿に記載し、報道機関にこれを通知します。 ※訴訟事件の75%は一方的請求によって提起されている。 ●原告と被告は誰ですか。  請求を提出した国が原告、他方の当事者が被告と呼ばれます。事件の正式な名称を示す際には、両当事者の間に「対(原語では「対」を意味するラテン語の略字であるv.)」という語を挟みます。例えば、カメルーン対ナイジェリアというようになります。  特別の合意の場合には、「原告」も「被告」も存在しません。従って、両当事者の氏名はインドネシア/マレーシアのように斜線で区切られます。 ●誰が当事者を代表するのですか。    裁判所に常駐代表を置いている国はありません。自国が関係する事件が裁判所に付託された場合、当事者は代理人によって代表されます。  政府の代理人はその駐オランダ大使であったり、外務大臣の法律顧問などの政府高官であったりします。代理人は裁判所書記から当該事件に関する通知を受け取る一方で、訴答書面を裁判所書記に提出します。公判では、代理人が弁論を開始し、最終申立を提出します。代理人は政府の代弁を行い、また政府に代わって誓約を行うことができます。  代理人は共同代理人および代理人代理の補佐を受けることもありますが、訴答書面の作成および口頭弁論を補助する補佐人あるいは弁護人は常に付いています。代理人、補佐人および弁護人には、職務の独立した遂行に必要な特権および免除が認められています。 ●誰が裁判所で弁論できるのですか。  裁判所には法廷弁護士団なるものは存在しないため、補佐人あるいは弁護人が裁判所で弁論を行うために満たさなければならない条件はありません。ただし、そのためには事件当事国によって任命されている必要があります。  補佐人は自らが弁護する国の国籍を持っている必要がありません(実際に持っていない場合も多くあります)。補佐人は、訴訟当事国がもっとも有能と考える弁護士、国際法教授および法学者の中から選ばれます。 ●手続はどのように進められますか。  裁判所規程は、手続が書面と口頭の2つの部分から成ると規定しています。  書面の段階は、争われている問題の詳しい陳述を含む訴答書面を裁判所へ提出することからなります。一方の当事者が作成する訴答書面はいずれも、他方の当事国に送付されます。  書面の段階の期間は、事件の複雑性、訴答書面の数と規模、当事者が要求する書面の提出期限に応じて、2〜3ヵ月から数年にも及びます。  裁判所の公用語はフランス語と英語であるため、これらいずれかの言語で提出された訴答書面は、書記局がもう一つの言語に翻訳しなければなりません。  訴答書面は一般的に、審理の開始まで公表されません。審理は最後の訴答書面の提出から数ヵ月後に行われ、これによって口頭手続が始まります。 ※訴訟手続は書面、口頭の順に行われる。 ●申述書、答弁書、抗弁書および再抗弁書  これらは訴訟当事者が提出する訴答書面に付けられた名前である。  原告の国は訴訟の申述書を提出し、これに対して被告の国が答弁書を提出する。両当事者が要請する場合、あるいは裁判所が必要と考える場合、2回目の訴答書面の提出が行われる。その上で、原告の国は抗弁書を提出し、これに対して被告の国は再抗弁書を提出する。  特別の合意によって事件が裁判所に付託された場合、原告と被告は存在しないため、各々の当事国は申述書と答弁書、および、必要であれば抗弁書と再抗弁書を提出する。 ●弁論は公開されますか。  公開されます。ただし、両当事者が手続を公開しないことを要求した場合、または、裁判所が非公開の決定をした場合には、この限りではありません。審理は平和宮の大ホールで、報道機関、外交使節団、法曹および裁判所の活動に関心を有するその他の人々を傍聴人として開かれます。入廷許可証は審理の当日、身分証明書の提示によって平和宮の入口玄関で支給されます。  裁判官は白いレースのひだ飾りのついた黒いガウンを着用し、裁判官と同席する書記は白い垂れ襟のついた黒いガウンを着用します。それに対面する当事者の代表は、自国の慣習に従った服装をします。  請求による訴訟手続において、原告国は裁判所長の左側に、被告国は右側に座ります。特別の合意による訴訟手続においては、アルファベット順に左側から座ります。  当事者は、その訴答書面を提出した順に、あるいは、特別の合意による事件の場合、裁判所が定めた順に弁論を行います。口頭弁論は紛争中の問題のみを取り上げます。通常、双方の当事者は2度の弁論を行います。  発言はフランス語あるいは英語で行い、もう一方の言語については同時通訳が提供されます。審理は通常、2週間から6週間にわたって行われます。 ●当事者は証人を召喚できますか。  できます。いずれかの当事国が招請した証人の尋問を行う上で、裁判所は一般的に英米法(コモン・ロー)の国々の手続に従ってきました。すなわち、まず証人を招請した当事者が主尋問を行い、次いで他方の当事者が反対尋問を行い、前者が再尋問を行った上で、裁判官から質問がある場合には、これに対する答弁が行われます。  裁判所自体も証人を招請することができます。 ●ある事件の中で付随手続が生じることがありますか。    あります。裁判所にかけられる事件は、国内裁判所の場合と同様、付随手続を引き起こすこともあります。  もっとも一般的な付随手続は先決的抗弁と仮保全措置の2つです。 ●裁判所の裁判費用  裁判の当事者は、手数料も事務費用や言語関連費用も支払う必要がない。こうした費用は国連が負担する。裁判所における裁判の当事者が負担する唯一の費用は、その補佐人と弁護人の費用である。  しかし、これによって財政困難となるような国は、1989年に国連事務総長が設立した信託基金に融資を申請できる。国連加盟国からの贈与を資金源とするこの基金の目的は、特別の合意によって裁判所に付託された紛争、あるいは、かかる合意の結果として生じる裁判所判決の執行に関連して生じる費用を、貧困国が支払えるように援助することである。  例えば、信託基金の資金は、1980年代のブルキナファソ・マリ間の事件で判決された国境線の画定を行う際に利用された。 ●先決的抗弁とは何ですか。 先決的抗弁とは、裁判所が当該事件の本案審理(紛争の実体)について判決を下す能力についてを争うものです。例えば、以下のような主張がなされることがあります。  ・ 裁判所には管轄権がない:被告となった国は、原告の国がその請求の根拠とした条約あるいは宣言が無効であるか、すでに失効していること、紛争は該当する条約あるいは宣言が適用される時期よりも前に発生していること、あるいは、該当する条約あるいは宣言に付された留保により、当該紛争はその適用を除外されていることを主張することがあります。  ・ 請求は受理不可能である:被告の国は、裁判所規程あるいは裁判所規則の本質的条項が順守されていないこと、紛争が存在しないか、法律的性質を持ってないこと、国内的救済が尽くされていないこと、あるいは、原告の国が訴えを提起する能力を欠いていることを主張することがあります。  いずれかの当事者が先決的抗弁を行えば、本案手続は停止され、当該事件については、これも書面手続と口頭手続からなる別の段階が生じることになります。  裁判所は公開の法廷で朗読される判決の形でそれについての決定を行います。その際、裁判所は抗弁を認容するか(この場合、訴えが却下されます)、抗弁を却下するか(この場合、本案手続は停止された時点から再開されます)、または抗弁は本案手続の中で決定されなければならない、と宣言します。 ※先決的抗弁は、紛争の本案手続を停止させる。 ●裁判所はどのような場合に仮保全措置を指示できますか。  裁判所は、いずれかの当事者からの要請により、あるいは、後に下されるべき判決の対象となる権利が即座の危険にさらされていると判断する場合には自発的に、仮保全措置を指示することができます。  仮保全措置(一種の暫定的な差止命令)は一般的に、当該紛争に関する裁判所の最終判決が下されるまでの間、状況を凍結させる目的をもっています。  裁判所が必要と判断する場合には、緊急審理が行われます。裁判所は1日から4週間のうちに決定を下しますが、この決定は、公開の法廷で朗読される命令の形式で行われます。 ●他にどのような付随手続がありますか。 その他、4つの付随手続が生じる可能性があります。  ・ 不出廷:一方の当事者が出廷しなくても、事件の手続の進行が妨げられるわけではありません。この場合、他方の当事者は自己の請求に有利に裁判するように裁判所に要請することができます。裁判所はその前に、当該事件について管轄権を有することのみならず、原告の請求に十分な根拠があることを確認しなければなりません。 ※裁判所は一方の当事者が欠席しても事件の裁判は妨げられない。  ・ 訴訟参加:当該事件に法律的性質の利害関係を有すると考える第三国は、訴訟参加の許可を要請することができます。この要請についての決定を行うのは裁判所です。紛争が、事件に関係する国以外の国も当事国となっている条約の解釈に関するものである場合、かかる当事国は手続に参加する権利をもっています。  ・ 反訴:反訴は被告の答弁書の中で提出されます。反訴は他方の当事者の請求の主題に直接に関係し、かつ、裁判所の管轄権に属するものでなければなりません。反訴の目的は通常、紛争の当初の主題を拡大することにあります(例えば、他の国から条約違反で起訴された国は、相手方も同様の違反を行ったと主張する場合です)。  ・ 手続の併合:裁判所は、別個の手続の当事者が同じ相手方に対し、同一の問題に関連する同一の弁論と申し立てを行っていると判断する場合、手続の併合を命じることができます。これにより、請求内容を共通とする当事者は両国共同の1名の特別選任裁判官を任命することを許されることになり、また共同の訴答と口頭弁論を行うことになります。判決も一つにまとめられて言い渡されます。 ●評議はどのように行われますか。  弁論が終了すると、裁判所は判決のための作業に入ります。  裁判所の評議は非公開で行われます。裁判官はまず、予備的な意見交換を行いますが、この際、裁判所長は裁判所による検討と判決が必要と考える問題の概略を示します。  各裁判官はその上で、当該事件に関する自らの見解を示す書面ノートを作成しますが、これは予備的な判決案とも呼べるものです。この書面は翻訳された上で、その他の裁判官にも配布されるので、裁判官はどのような意見が大勢を占めているかを把握することができます。  2〜3週間後に2回目の全体評議が開催され、各裁判官が表明した意見に基づき、裁判所は、大勢と見られる意見をもっとも正確に反映している裁判官2名と、その意見が少数派に属すると見られない限り裁判所長を含めた3名からなる起草委員会を設置します。起草委員会は判決草案を作成し、それを裁判官全員に配布します。各裁判官は書面で修正を提出することができます。  起草委員会はこれらの修正案を検討した上で、新たな草案を作成します。草案は裁判所による第1読の後、さらに修正されることがあります。その上で第2読が行われます。  最終評決は、第2読で判決主文が採択された後に行われます。裁判官は先任順位と逆の順序で、口頭で「賛成」あるいは「反対」を表明します。棄権は認められません。票数が同数に分かれた場合、裁判長が決定投票権を持ちます。判決が分離可能な問題に関連するものである場合、問題ごとに別個の評決を行うことができます。それを望む裁判官は、自己の立場を述べた宣言、または、その投票の理由を説明する個別意見あるいは反対意見を判決に添えることができます。  裁判所の意思決定過程は、一貫した調整の取れたプロセスであり、その手続きの集団的な性格に重点が置かれています。このアプローチに従い、個別あるいは反対の意見を付す裁判官も討議に全面的に参加し、裁判所の判決内容に影響を与え続けることになり、判決はあらゆる意味で裁判所全体のものとなります。 ※裁判所の評議は非公開であるが、判決は公開廷で言い渡される。 ●裁判所が終結判決を下すまでどれだけ時間がかかりますか。  一般的に、終結判決は事件の複雑性、あるいは、より緊急な作業が発生するかどうかによって、審理終了から3〜6ヵ月後に言い渡されます。  判決は平和宮大ホールで開かれる公開の法廷で、裁判官全員の出席の下に、裁判所長(あるいは裁判所長の代理を務める裁判所次長)によって朗読されます。 ●極めて長い時間を要する事件があるのはなぜですか。  裁判所の手続きの遅さ(これについては多くの国内法廷も同じですが)は時折、批判の対象になります。  仮保全措置が命じられたり、勧告的意見の緊急な提示が必要とされたりする場合を除き、裁判所はその根本的な性質により、迅速に行動できない状態にあります。その手続は、英米法(コモン・ロー)と大陸法の異なる手法を折衷させたもので、最高レベルの専門的知識が必要とされる事件を取り扱えるように定められているほか、その過程には15名以上の裁判官が参与するからです。また、訴訟の当事者は主権国家であるため、裁判所が手続を迅速化できる範囲も限定されています。  訴訟手続が長引いている主たる理由は、訴答書面の数と規模が拡大していることにあります。また、裁判所は「事件中の事件」、すなわち、付随手続を含む事件に対処しなければならない場合が多くなってきています。  書記局の能力(法律、言語および運営面)は極めて限られており、予算上の制約もこのような遅れをさらに助長しています。  しかし、裁判所は事件の処理を迅速化し、生産性を向上させるべく、可能な限りの措置を講じています。 ※裁判所による事件処理期間は平均で4年である。 ●判決か命令か  判決は原則的に、管轄権および事件の実体、賠償の要請、以前の判決の再審あるいは解釈の要請など、裁判所のもっとも重要な決定に限って下される。参加の要請の中にも、判決で取り上げられているものもある。  判決は裁判所あるいはいずれかの裁判部によって言い渡される。  命令は伝統的に、訴訟手続の進め方を律するために発される(例えば、訴答書面の提出期限を設定あるいは延長するため)。  命令の中には、より本質的な性格を帯び、付随手続の決定(仮保全措置など)あるいは事件の終結(総件名簿からの事件の削除)のために用いられるものもある。  命令は裁判所全体によって発されるが、場合によっては(単純な手続事項など)裁判所長が単独で発することもある。 ●判決はどのような体裁をしていますか。  判決は英語版とフランス語版が片側ずつのページに掲載される2カ国語文書で、長さは通常、各言語とも50ページ程度です。 各々の判決文には裁判所長(あるいは裁判所長の代理を務める裁判所次長)と、裁判所の書記が署名し、裁判所の紋章が捺印されます。公開の法廷における判決の朗読の際には、両当事者の代理人にそれぞれ判決の謄本が1通手渡されます。もう1通は裁判所の記録に保管されます。判決は3つの主要部分から成っています。 ・序論:裁判官と当事者の氏名が記され、手続の概要と当事者の申し立てをのせています。 ・裁判所判決の根拠:事件の重要な事実をまとめ、裁判所の判決の根本的根拠を示しています。 ・判決の主文:裁判所が実際に下した判決内容を述べ、裁判官の評決状況を示します。この主文はいくつかの項目に分かれていることがあります。 ●判決に拘束力がありますか。  裁判所の判決は関係各国を拘束します。この原則は、裁判官全員による法廷によるものか裁判部によるものかを問わず、すべての判決に適用されます。  国連憲章第94条は、「各国際連合加盟国は、自国が当事者であるいかなる事件においても、国際司法裁判所の裁判に従うことを約束する」と規定しています。 ●上訴は認められますか。  すべての判決は終結とし、上訴は許されません。いずれかの当事者が判決の意義または範囲に関して異議がある場合、残された唯一の可能性は、判決の解釈あるいは再審を要請することです。 しかし、後者の場合、裁判所および再審要求当事者にそれまで知られておらず、かつ、それが判決において決定的要素となったであろう事実が明らかとなることが条件となります。 ●裁判所の判決に従わない場合はどうなりますか。  国連憲章第94条によれば、国連加盟国であると否にかかわらず、相手方の当事者が裁判所の判決を順守していないと考える国は、この問題を安全保障理事会に訴えることができます。安保理は必要と判断する場合、判決を執行させるために講じるべき措置について勧告あるいは決定を行うことができます。 ●勝訴した当事者は賠償を請求できますか。  できます。これにより、本案に関する訴訟手続の場合と同様、書面手続と口頭手続からなる紛争解決の追加的な段階が生じます。 ●訴訟手続は常に判決で終結しますか。  しません。場合によっては、手続の最中に当事者間の和解が成立することもあります。  また、原告が裁判所に対して、訴えの取り下げを通告したり、双方の当事者が事件を取り下げることを宣言したりすることもあります。  いずれの場合でも、裁判所あるいは裁判所長は、総件名簿からの当該事件の削除を命じます。 5 勧告的意見の手続 「勧告的意見は、(国連)の機構制度の規制に貢献するもっとも確実な手段のひとつである。」 ブトロス・ブトロス=ガーリ 国連事務総長(1992〜1996年)  一定の公的国際機関(すなわち国連機関と専門機関)が利用できる勧告的意見の手続は、これらの機関に対し、法律問題に関して裁判所の勧告的意見を要請することができるようにしています。 ●裁判所に勧告的意見を要請できるのは、どの国連機関と専門機関ですか。  5つの国連主要機関と国連ファミリーに属する16の専門機関が、勧告的意見を要請できます。  国連総会と安全保障理事会は国際司法裁判所に関し、国際連盟規約が以前、常設国際司法裁判所の連盟総会と理事会に付与していた権限を継承しています。その他、経済社会理事会を含む3つの国連機関も、総会によって勧告的意見の要請を認められています。  16の専門機関については、総会により、その国連との関係を律する協定に従って、これが認められています。  総会と安全保障理事会は「いかなる法律問題についても」勧告的意見を要請できるのに対し、その他の国連機関と専門機関は「その活動範囲内で生ずる法律問題について」要請が認められます。 ●例外的な状況においては、国家も勧告的意見を要請できますか。  できません。要請がある加盟国あるいは加盟国グループのイニシアティブの結果として行われるとしても、勧告的意見の要請は常に、国際機関によって提出されなければならなりません。 ※勧告的意見の要請に関する事件は裁判所に付託される事件の約5分の1を占める。 ●勧告的意見の手続は訴訟手続と大きく異なりますか。  勧告的意見の手続は、裁判所の勧告機能の特殊な性質と目的からはっきりと異なる特徴を有しているものの、訴訟手続に適用される原則に基づいていることに変わりはありません。  勧告的意見の要請を受けた場合、裁判所は関連情報を提供できると見られる国と機関のリストを作成します。しかし、このリストにのせられた国々は、訴訟手続の当事者と同じ立場に置かれることもなければ、勧告的意見の手続に対するその何らかの参加により、これらの国々に対して裁判所の意見の拘束力が生まれることもありません。  勧告的意見の手続は国家間の事件よりも迅速に処理されます。書面による陳述は要請を行った国連機関あるいは専門機関、希望する国々から提出されますが、これらの機関および国家はすべて、提出された陳述に意見を述べることができます。その後に公開の審理が行われます。 ●勧告的意見を要請できる機関  国連機関  総会  安全保障理事会  経済社会理事会  信託統治理事会  総会中間委員会  国連ファミリーの専門機関  国際労働機関(ILO)  国連食糧農業機関(FAO)  国連教育科学文化機関(UNESCO)  世界保健機関(WHO)  国際復興開発銀行(IBRD)  国際金融公社(IFC)  国際開発協会(IDA)  国際通貨基金(IMF)  国際民間航空機関(ICAO)  国際電気通信連合(ITU)  世界気象機関(WMO)  国際海事機関(IMO)  世界知的所有権機関(WIPO)  国際農業開発基金(IFAD)  国連工業開発機関(UNIDO)  国際原子力機関(IAEA) ●協議を受けない機関あるいは国家が協議を要請できますか。 非政府組織(NGO)についてはどうですか。  協議を受けていない機関あるいは国家は協議を要請できますが、このような要請については裁判所が決定を下します。非政府組織がその見解の提示を認められたことはほとんどありません。  「法廷助言者」による書簡(事件に参加しない個人あるいは機関が、通常であれば考慮されない可能性がある点について裁判所の注意を喚起するために提出するもの)は受理されません。 ●裁判所は勧告的意見の付与を拒否できますか。  できます。勧告的意見の付与がその司法的特性、あるいは、裁判所としての活動を導く本質的原則に反するような場合、あるいは、要請が当該機関の権限を逸脱する場合、裁判所はこれを拒否することができます。  裁判所が管轄権を持つのか、裁判所に向けられた質問が正当なものであるのか、あるいは、裁判所が意見を述べることが望ましくないとする何らかの特性がそのテーマに関して過去に存在したかどうか、という点を裁判所自身の判断あるいは国家の要請で検討せざるを得ないことが幾度かありました。 ●勧告的意見はどのような体裁をしていますか。  勧告的意見は、訴訟手続の場合と同様、非公開の評議の後に作成され、手続の概要、裁判所の論拠および実効的主文に分かれています。 裁判所が与えた勧告的意見のおよそ60%は国連総会からの要請によるものである。  平均して、勧告的意見はやや短く、各言語で約30ページです。宣言および個別意見もしくは反対意見が添えられることもあります。勧告的意見は平和宮の大ホールで開かれる公開の法廷で朗読されます。  各々の意見には署名と捺印が行われ、その1通は裁判所の記録に保管され、もう1通が国連事務総長に送付されます。要請がその他の主体からなされたものである場合、3通目に署名と捺印が行われ、当該機関の部長あるいは事務局長に送付されます。 ●勧告的意見に拘束力はありますか。  判決の場合と異なり、裁判所の勧告的意見には拘束力はありません。要請を行った国連機関あるいは専門機関は、勧告的意見を執行するか否かを自由に選択できます。  一部の特殊な事件においては、勧告的意見が拘束力を有するものとされています(例えば、「国際連合の特権および免除に関する条約」および国連・米国間の国連本部協定に関するものです)。  同時に、勧告的意見およびその中に含まれる判断には、裁判所の権威が伴っています。裁判所の勧告的意見が実際に、国際機関や諸国家によって考慮されているという事実は、国際法の発達にも寄与しています。 ※拘束力はないものの、勧告的意見は国際法の明確化と発達に貢献している。 6 国際司法裁判所の活動 「法の支配がなければ、人類は文明社会発展の継続を可能にする平和、自由および安全を達成できない。」 ディオゴ・フレイタス・ド・アマラル 第50回国連総会議長 国際司法裁判所創設50周年記念、1996年  1946年の創設以来、国際司法裁判所は120件を超える事件を取り扱ってきましたが、その内訳は国家間の訴訟が8割、国連機関あるいは専門機関からの勧告的意見の要請が2割となっています。本章では、裁判所の判例法を手短に概略します。 ●裁判所(ICJ)に対する要請は多いですか。  裁判所は活動が活発な時期と、そうでない時期があります。  1985年以降、裁判所に持ち込まれる事件の数は増大し、事件リストには年間12件以上の事件が掲げられています(1999年には25件に急増)。この数はそれほど多くないように聞こえるかもしれませんが、国内裁判所に比べて潜在的な訴訟件数がはるかに少ない(裁判所に事件を付託できるのは210カ国と国際機関のみ)ため、事件の数は必然的に国内の訴訟件数と比べものにならないことに留意すべきです。  歴史を見ると、国際的な緊張状態が高い時期よりも、緊張緩和の時期により頻繁に司法的解決が求められることが分かります。したがって、とくに各国が「法習慣」を身につけつつあると見られる中で、裁判所に対する付託件数が増大し続けることは容易に想像できます。つまり、裁判所に対する紛争の付託が増えれば、各国はそれだけ、将来にも同じ手段に訴える可能性が高くなるのです。  同時に、事件が世界の各所から付託されるようになっていることから、裁判所の普遍性もさらに高まっています。 ●各国はどのような紛争を裁判所に付託するのですか。  訴訟事件の半数以上は領土と国境の紛争に関するものです。また、領海紛争や海洋法問題に関連する事件も多くあります。さらに、国家の管轄権や外交・領事法の問題に関連する事件もあります。重要な事件の中には、不法な武力行使の訴えを取り扱ったものもありました。裁判所は時には、商業的性格を帯びた、あるいは、ある国が他国に対して民間の利益を守るために提訴することに関して判断するよう求められたこともありました。 ※裁判所の事件リストには年間12件以上の事件が掲げられている。 ●これほど多くの領土紛争や領海紛争が取り扱われるのはなぜですか。  何世紀にもわたり、国家はその政治的影響力と経済力を維持あるいは拡大しようとしてきました。つまり、領土、エネルギー資源、海洋へのアクセス、都市の支配などを求めて戦ってきたのです。裁判所が検討する紛争のうち、領土と領海に関する問題がもっとも多いとしても不思議ではありません。  とくに、アフリカの非植民地化により、多くの事件が裁判所に付託されるようになりました。というのは、新興国家はその境界線の安定を重要視するからです。 ●裁判所はこの点で成果を収めてきましたか。  はい、成果はありました。裁判所は、領土の取得と境界画定を律する法原則の体系的発展に貢献しただけでなく、その過程において、国家間の数多くの紛争も解決しました。  例えば、裁判所は1962年、クメール人の巡礼と礼拝の地であり、1954年以来タイの支配下におかれていた「プレア・ビヘア寺院」が実際はカンボジアの領土であり、このため、タイはその警察と軍隊を撤退させ、寺院から持ち去った器物があれば、それを返還しなければならないとの判決を行いました。タイは裁判所の判決に従いました。  1986年、ブルキナファソとマリの間の「国境紛争」に関する事件においては、裁判所が設置した特別裁判部によって決定された国境線が、両当事者によって完全に受け入れられました。 裁判所は領土・領海紛争を中心的に取り扱い、大きな成果を収めた。  1992年、裁判所が設置した別の裁判部は、エルサルバドル・ホンジュラス間の90年来の「陸上、島および海洋境界紛争」に終止符を打つことができました。1969年には、この紛争に関して潜在的緊張が高まっていたため、両国間のワールドカップ・サッカーの試合を契機として、短期間ではあるが陰惨な「サッカー戦争」が勃発していました。  さらに最近、裁判所はリビア・チャド間のいわゆるアウゾウ地帯に関する「領土紛争」も解決しました。これはサハラ砂漠に位置する面積12万5,000平方キロの地帯で、この場所をめぐって、両国の間には何年もの間、武力衝突が繰り返し発生していました。1994年、裁判所はチャドに有利な判決を下しましたが、その後2〜3ヵ月で、同地帯を占領していたリビア兵はすべて、国連安保理事会が派遣した監視団が見守る中で撤退しました。  裁判所はまた、1999年12月、チョベ川に位置する3.5平方キロの島をめぐるボツワナ・ナミビア間の微妙な国境紛争も解決しました。判決はカシキリ/セドゥドゥ島がボツワナに帰属するとし、ナミビアはこの判決に従うことを明らかにしました。 ●裁判所初の事件の主題は何でしたか。  1946年に「コルフ海峡」のアルバニア領海を航行中の英国戦艦が機雷によって受けた人命損失と被害に関するものでした。この事件では、海洋法と国家責任に関する問題が争点となりました。  裁判所は1949年の判決で、機雷はアルバニアの知らないうちに敷設されたとは考えられず、アルバニアにはその責任があり、賠償金を支払わなければならないとしました。 裁判所は、無害通航権が平時に国際海峡を通過する戦艦についても存在するため、英国はその戦艦の通過によってアルバニアの主権を侵害したわけではないとの判断を示しました。しかし、その後の同海峡における掃海作業が、アルバニアの同意なしに行われたため、アルバニアの主権は侵害されたとしました。  この紛争が最終的に決着したのは1992年になってからのことで、アルバニアは英国に対する賠償金の支払いに応じる一方で、英国は第2次世界大戦以降、イングランド銀行の地下室に保管されていたアルバニアの金を返還することを約束しました。 ※コルフ海峡事件はこれまでのところ、裁判所の判決に至るまでに管轄権、法案審理および賠償の3段階を完全に経た唯一の事件である。 ●領海紛争では何が争われますか。  一般的にそれは漁場、あるいは、いわゆる経済水域で係争中の海域(大陸棚、領海など)に位置する石油、天然ガスなどのエネルギー資源を含むと考えられるものです。その経済的利益はしばしば、関係国にとって死活的な重要性を有しています。  しかし、紛争の中には、公海と国際海峡の自由、旗国の権利、航行・探査権など、その他の問題に関するものもあります。 ●裁判所は海洋法の形成に貢献しましたか。  貢献しました。裁判所の判例は、1958年の「領海および接続水域に関する条約」と1982年の「国連海洋法条約」の起草者たちに着想を与えました。裁判所がその存在を確認した無害通航権と沿岸国の義務に関する原則は、これらの条約に組み込まれています。  裁判所はまた、大陸棚の概念の発展に貢献し、その境界を画定する方法を定めました。  1969年にドイツとデンマークおよびドイツとオランダからそれぞれ付託された「北海大陸棚」に関する2つの事件で、裁判所は大陸棚が「(ある国家の)陸地から海中および海底への自然の延長」を構成しており、その画定は「衡平の原則に従って、関連するすべての状況を考慮した合意により」行われるものと判決しました。その後の判決でも、裁判所はこれら衡52平の原則のいくつかを示しています。  裁判所はさらに、チュニジア/リビアおよびリビア/マルタ(「大陸棚」、1982年および1985年)、カナダ/米国(「メイン湾海域境界の画定」、1985年)、ならびに、デンマーク対ノルウェー(「ヤンマイエン海域海境画定」、1993年)など、数件の事件について大陸棚の画定を行いました。 ●国家の管轄権に関する事件とはどのようなものですか。  ある国家による自国領域内の外国人に対する、あるいは、外国領域内の自国民に対する権限の行使に関連した事件です。こうした事件には一般に国籍、庇護権あるいは免除の問題が絡んできます。  もっともよく知られた例のひとつとして、1950年代のビクトル・ラウル・アヤ・デラ・トーレに関する事件があげられます。同人はペルーの政治家でしたが、同国政府に対する軍事クーデターを図ったとして起訴され、リマのコロンビア大使館に庇護されていました。1950年11月の判決で、裁判所は、庇護を与える国としてのコロンビアに亡命者が犯した犯罪の性質(政治犯か普通犯か)を決定する権利はないとしました。したがって、裁判所はこの場合の庇護が違法に与えられたとして、ペルーにはアヤ・デラ・トーレ氏が同国を離れる上で安全を確保する義務がないと判断しました。  しかし、その後それに続く事件について8ヵ月後に下された判決で、裁判所は、コロンビアには亡命者をペルーに引き渡す義務はないと結論付けました。この紛争の最終局な処理は交渉によって図られ、アヤ・デラ・トーレ氏は1953年、コロンビア大使館に5年間滞在した末、ペルーから出国しました。 ●裁判所は外交・領事関係法に関連する事件を取り扱ったことがありますか。  あります。米国は1979年、イラン国王の体制が覆され、ホ メイニ師が同国の指導者となった後に発生したテヘランの同国大使館占拠事件とその「テヘランにおける外交官および領事官」の拘禁に関する事件を裁判所に付託しました。  1980年5月の判決で裁判所は、イランには人質を解放し、米国大使館の建物を返還し、損害賠償を行う義務があるとしました。両国はその後、1981年に「アルジェ協定」を締結し、米国人の人質が最終的に解放されたため、裁判所は賠償金の額を定めませんでした。 ●国家が民間の利益あるいは商業利益を守るために裁判所に提訴したことはありますか。  そのような事件は十数件あります。  1950年代には、リヒテンシュタインが元ドイツ人で1939年にリヒテンシュタインの国籍を取得したフリードリヒ・ノッテボームの利益を代理し、グアテマラに対する提訴を行いました。  しかし、1955年4月の判決で裁判所は、ノッテボーム氏の帰化が、戦時中に中立国の国籍を取得することを目的としており、同氏の国籍はそれ以前のリヒテンシュタインとの実質的なつながりに基づいていないことから、この訴えを受理不能としました。  その10年後、ベルギーはスペインを相手取り、1948年のスペインの一部機関による「バルセロナ・トラクション電力会社」の破産に関する司法的判断に関連する提訴を行いました。バルセロナ・トラクション会社はカナダの会社でしたが、その株主の大半はベルギー人でした。ベルギー政府は自国民の被った損害に対する賠償を求めましたが、1970年の判決で裁判所は、同国にはこれを行う法的根拠がないと判断しました。  1987年、米国はイタリアを相手取り、裁判所が設置した特別裁判部に対して、「シシリー電力会社(ELSI)」の徴用および破産に関連してイタリア当局が取った一定の行動を理由とする提訴を行いました。同社はイタリアの電力部品メーカーで、レイセオンを含む米国の2会社が所有していました。1989年、特別裁判部は、イタリアが1948年にローマで署名された米国との「友好通商航海条約」に違反していないと判断を示しました。  さらに最近では、ギニアが1998年にコンゴ民主共和国を相手取り、同国があるギニア人の財産を取り上げたことを理由とする提訴を行いました。 ※バルセロナ・トラクション事件における訴答書面は6万776ページにも及び、裁判所史上最長となった。 ●ある国の他国への内政干渉と武力行使にいて、裁判所はどのような判断を示していますか。  1986年、ニカラグア(当時のサンディニスタ政権)が国内の反政府組織コントラに対する米国からの支援をめぐり、同国を提訴した事件(「ニカラグアに対する軍事的活動事件」)において、裁判所は米国が、こうした軍事組織を支援し、ニカラグアの港湾外部に機雷を敷設したこと(裁判所は米国がこの行為を集団的自衛権によって正当化できないとした)により、他国の内政に干渉しないこと、他国に武力を行使しないこと、他国の主権を侵害しないこと、および、平和的な海上交易を妨害しないことという国際法の義務に違反したと判断しました。よって裁判所は、米国に賠償金の支払いを命じる判決を下しました。しかし、ニカラグアは賠償金の額が決定される前に、この事件を取り下げました。  1999年4月、コソボ危機が最高潮に達する中、ユーゴスラビアは裁判所に対し、NATO加盟10カ国によるユーゴスラビアの爆撃を停止させる仮保全措置を指示するよう要請しました。しかし、裁判所は自らにこのような措置を命じる権限はないと判断しました。 ●裁判所はこれまでに戦争を防止あるいは停止したことがありますか。    裁判所には国家の武力行使を防ぐ能力はありません。しかし、裁判所は国連の主要な司法機関として、国際的な平和促進かつ平和維持機構の重要な歯車となっています。 裁判所は数度にわたり、不安定な状況を打開し、国家間の関係正常化に貢献し、行き詰まっていた交渉プロセスを再開させたりしてきました。  今日、裁判所はもはや、紛争解決における最終的手段としてのみ考えられているわけではありません。各国は裁判所に提訴しながら、その他の紛争解決方法を探りますが、これは、そうした行動が2国間交渉はもとより、安全保障理事会や総会の作業を補完しうるものとして評価されているからに他なりません。  この混合型の紛争解決過程において、司法的手段は、紛争当事国がその立場を明確にする助けとなってきました。当事国は、行き過ぎることもある政治的な主張を和らげ、これを事実に基づく法的主張へと変えようとするからです。その結果、場合によっては、裁判所の判決が出る前に、政治的交渉が再開され、成功を収めています。また、裁判所の判決が当事国に対し、その後の交渉と紛争解決の根拠として援用できる法的な結論を提供することもあります。 ※裁判所は予防外交に重要な役割を演じている。 ●ある種の目立った紛争に裁判所が関与していないのはなぜですか。  メディアが戦争の光景を「生」で伝えているとき、裁判所はその現場に不在であるために、かえって注目されるように思われる時もあります。  ひとつの理由は、裁判所が自発的に事件を取り上げる権限を持たないことにあります。裁判所規程は、自らの意志で主権国家の行為を調査して司法的判断を下したり、その国内問題を取り扱ったりする権限を裁判所に与えていません。裁判所は世界における法の支配の番犬ではなく、起訴を行うことができる検察官も持っていません。  裁判所は、関係国の要請と同意があってはじめて、事件を検討できるのです。 ●裁判所に対する提訴が抑止効果を生むことはありますか。  とくに、大々的に報道された「核実験」の事件などに、そのような効果を認めうる場合があります。  1973年、オーストラリアとニュージーランドはそれぞれ、フランスによる南太平洋での大気圏核実験の計画に関し、同国を提訴しました。フランスは裁判所の管轄権を認めず、手続にも参加しませんでした。しかし、裁判所が仮保全措置を指示すると、フランスは1974年の一連の実験終了後、それ以上の大気圏核実験は行わないとの意向を公表しました。これにより、裁判所は1974年12月の判決で、オーストラリアとニュージーランドの訴えはもはや目的を持たず、判決を下すべき事件は存在しないとの判断を示しました。 ●裁判所の管轄権に異議が申し立てられることは多いですか。  多いです。1946年以来、裁判所が下した判決のおよそ40%が管轄権あるいは受理可能性の問題を取り扱っていることから見てもそれは明らかです。  ある国が一方的に提訴した事件のほとんどでは、相手国が裁判所の管轄権に異議を申し立てています。疑義あるいは意見の不一致がある場合、この問題の決定は裁判所が行います。  裁判所がこのような問題について判決を下す場合、事件のおよそ65%について管轄権ありとの判断が行われています。 ※裁判所の判決のおよそ40%は管轄権の問題に関するものである。 ●一部の事件が示談で解決するのは、裁判所にとって遺憾ではないですか。  そのようなことはありません。裁判所の主要な役割のひとつは、国際の平和維持に貢献することです。付託された紛争が平和的に解決されることは、たとえそれが裁判所の枠外で達成されたとしても、裁判所にとっては歓迎できることなのです。 ●裁判所の判決前に解決されたのはどのような紛争ですか。  フィンランドは1991年、国際海峡であるグレート・ベルトへの固定式つり橋の建設をめぐり、デンマークを提訴していましたが、後にこの訴えを取り下げました。このつり橋が建設されると、高さ65メートルを超える船舶はバルト海から北海へと抜けられなくなり、フィンランド製の掘削船や石油削井装置に影響が及ぶとされていましたが、両国はこの紛争を友好的に解決し、ヨーロッパ最長のつり橋となったこの橋は1998年に開通しました。  1993年には、太平洋の島国ナウルが以前の信託統治国であったオーストラリアを訴えた事件が、両当事国が合意に達したことを受けて、リストから削除されました。この合意によれば、オーストラリアは同島の「一定のリン鉱地」開発とその自然生息地破壊に係る賠償金をナウルに支払うことを約束しました。裁判所はその前年に、この紛争について管轄権があることを明らかにしていました。 ●訴訟手続における裁判所の成果はどうですか。  プラスの成果をあげています。一定の付随手続(仮保全措置など)の実施が困難である場合があることを除けば、ごく一部の顕著な例外はあるものの、各国は1946年以来、裁判所の判決を順守し、その内容を誠実に履行していることを指摘することができます。 ※小国の中には、その他の手段を用いたと仮定した場合よりも、裁判所を通じて多くを得たものが多い。 ●判決の不履行に関し、国家が安全保障理事会に苦情を申し立てたことはありますか。  一度だけあります。1986年、ニカラグアは安全保障理事会に対し、裁判所が下した米国に対する勝訴判決を米国に実施するようするよう要請しました(「ニカラグアに対する軍事的活動事件」)。  ニカラグアが安全保障理事会に提出した決議案は、米国の拒否権のために採択されませんでしたが、1991年の選挙でニカラグアの政権が交代してから、両国間の交渉により合意が成立し、この事件はリストから削除されました。 ●仮保全措置の効果はありますか。  裁判所が命じた仮保全措置(終結判決があるまで状況を凍結するための措置)の履行は主として、各国の意志に依存しています。  仮保全措置(1946年以来32件)の順守状況はまちまちです。  仮保全措置命令を拒否あるいは無視したケースも多くあります。  1993年にボスニア・ヘルツェゴビナがユーゴスラビアを相手に訴えを起した「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約の適用」に関する事件において、裁判所は激しい戦闘が続く5ヵ月のうちに2度にわたって仮保全措置を指示しました。1回目の命令において、裁判所は両当事国に対し、いかなる集団殺害行為も即刻に停止し、紛争を激化あるいは長引かせかねない行動を取らないよう求めました。2回目の命令で裁判所は、それ以前の決定および国連安全保障理事会の決議にもかかわらず、「人類の良心を揺るがし、道徳法をあからさまに踏みにじる状況において、ボスニア・ヘルツェゴビナ国民は大きな苦痛と人命の損失を被っている」ことを正式に留意しました。裁判所は、「この危険な状況において必要なのは、(新たな)仮保全措置の指示ではなく…」すでに指示された仮保全措置の「即刻かつ実効的な履行」であるとの判断を示しました。  他方、1985年のブルキナファソ・マリ間の「国境紛争」に関する事件においては、両当事者が、停戦の厳密な順守を求める裁判所の命令に従いました。 ●裁判所の判例:どのような影響があるか。  裁判所はその任務を遂行することで、国際関係における国際法の役割を強化しているほか、国際法の発達にも貢献している。  裁判所は立法機関のように新たな法律を作り出すことはできないが、現状を視野に入れながら、国際法の原則を明確化、洗練および解釈することができる。裁判所はまた、法律の欠陥に注意を喚起し、新たな動きが生まれていることを指摘することもできる。  裁判所の判決(その「判例法」)は法的効力(少なくとも特定の紛争の当事者に対し)を備えており、かつ、国際法の権威ある解釈となっていることから、各国および国際機関はこれを考慮しなければならない。裁判所の判決はその国際的行動の指針となるのである。さらに、国際法の法典化と漸近的発生を委任されている機関(国連の国際法委員会など)は、新たな条約案の作成に際し、裁判所の判決を頻繁に参照している。  海洋法はこの点で典型的な例といえる。国際法のこの広大で死活的に重要な領域において、裁判所の判決は、これを統一・法典化するために国連が設置した会議に顕著な影響を及ぼした。 ●勧告的意見を求める事件の主要な主題は何ですか。  勧告的意見を求める事件の多くは、国際機関の法と機能に 関するものです。しかし、非植民地化や核兵器による威嚇と その使用の違法性など、その他の顕著な問題に関するものも あります。 ●裁判所の勧告的意見はどのように国際機関を助けていますか。  勧告的意見は、これらの機関が法的に機能したり、不従順な加盟国に対してその権限を強化したりする方法を明確にすることができます。 ●最初に勧告的意見を要請したのは誰ですか。  国連総会で、1947年に最初に裁判所の勧告的意見を要請しました。  この事件は、国連の創設以来、12カ国の加盟申請が認められなかったという事実に関連するものでした。安全保障理事会はさまざまな根拠でこれらの申請を拒否していました。裁判所は1948年、国連憲章第4条に定める条件を満たしている国連加盟申請国について、安全保障理事会は総会に前向きな勧告を行うべきであると宣言しました。 ●裁判所はしばしば国連憲章の解釈を行っていますか。  行っています。加えて、国連の特権免除に関する条約などの関連法律文書の解釈も行っています。裁判所はその勧告的意見を通じ、国連憲章の最高位の解釈者となっているほか、国連憲章による各国の法的義務についても、権威ある解釈者となっています。  裁判所はその他の側面でも、国連の権威と存続可能性を維持してきました。それが如実に現れたのが「国際連合の任務遂行中に被った損害の賠償に関する事件」について、1949年に与えられた勧告的意見です。1948年9月、国連のパレスチナ調停官であったスウェーデンのフォルケ・ベルナドッテ伯が暗殺されたことを受けて、総会は裁判所に対し、国連がその任務遂行中に受けた被害について賠償を請求できるかどうか意見を求めました。裁判所はその勧告的意見の中で、国連が国際法人格と国際的請求を行う能力を備えていることを確認しました。この意見では、国連はその任務を果たす上で不可欠な黙示的権限を有するとされました。 ※国連の権限と存続可能性は裁判所によって維持されてきた。 ●その他、国連にとって影響を及ぼした事件は何でしたか。  国連加盟国がその経費を分担する義務や、国連専門家の特権免除、国連とその専門機関の傘下に設置された行政裁判所の権限に関する勧告的意見は、国連の活動に大きな影響を与えています。 ●裁判所はその勧告的意見によって、非植民地化にどのように貢献しましたか。  裁判所は1950年、南アフリカが「南西アフリカ」(現在のナミビア)の地域を吸併合することは、第1次大戦後に南アフリカに与えられた、同国がこの地域を国際連盟に代わって、その住民の利益となるように統治する旨の国際連盟の委任統治義務に反しており、これによってその国際的地位を一方的に変更することはできないとしました。  1971年、裁判所はさらに一歩進んで、ナミビア独立への道を開きました。南アフリカの委任統治期間は終了したとする総会の決定を受け、安全保障理事会の要請によって与えられた勧告的意見では、ナミビアにおける南アフリカのプレゼンス継続は違法であり、これをできる限り速やかに終了しなければならないとしました。  裁判所はまた、「西サハラ」に関する問題についても、勧告的意見を与えています。この非自治地域については、スペインによる植民地支配終了後、モロッコとモーリタニアの双方が領有権を主張していました。1975年、裁判所は、1884年に始まったスペイン植民地時代において、西サハラは誰にも帰属しない土地(無主地)ではなく、モロッコおよびモーリタニアとの法的結びつきがあったとしても、こうした結びつきはこの地域の非植民地化に関する総会決議の適用に影響しうる性格のものではないとの意見を示しました。裁判所はこれにより、国連傘下で西サハラの自決に関する住民投票を実施するための基盤を整備したのでした。 ※1990年のナミビア独立は、裁判所の活動の結果でもあった。 ●核兵器使用の合法性について、裁判所はどのような見解を示していますか。  総会の要請により1996年7月に出された勧告的意見において、裁判所は、国際慣習法も国際条約も、核兵器による威嚇あるいはその使用を何ら特定的に認可してもいなければ、(他方で)かかる威嚇あるいは使用を何ら包括的かつ全面的に禁止してもいないことを明らかにしました。  それでも裁判所は、核兵器による威嚇あるいはその使用が一般的に、武力紛争に適用される国際人道法の原則に反するであろうとの判断を示しました。しかし、核兵器による威嚇あるいはその使用が、ある国家の存続自体がかかっているような極限的自衛の状況において合法であるか違法であるかについては、最終的な結論を出すことができませんでした。 ●裁判所は人権に関連する問題を取り上げることがありますか。  現在使われている言葉の意味では、裁判所は人権裁判所ではありません。個人が人権侵害を理由に国家を訴えることはできないからです。  しかし、重要な人権問題を提起した事件は多く、これについて裁判所は画期的な判決を行っています。  そうした判決においては民族自決権がしばしば強調されていることに加え、裁判所は1970年2月の「バルセロナ・トラクション」事件の判決において、「侵略および集団殺害行為の違法化」ならびに「奴隷制および人種差別からの保護を含む人間の基本的権利に関する原則と規則」の実施など、国家が国際社会全体に対して負う義務があることを認めました(対世的義務)。換言すれば、ある国がこれらの義務に違反した場合、その他いかなる国もこれら基本的人権を守るために訴えを起し、その侵害に対して抗議できることになります。  「ナミビアにおける南アフリカのプレゼンス継続の各国に対する法的効果」に関する事件(1971年)において、裁判所は、国連憲章の人権に関する規定が人種、性、言語または宗教による差別なく、すべての人の人権と基本的自由の普遍的尊重を促進するという国際法上の拘束力をもつ義務を生むという判断を示し、アパルトヘイトはこれらの義務に矛盾するとしました。  その勧告的意見により、裁判所はまた、国連人権委員会の監視体制強化に貢献しました。つまり、委員会の特別報告者は公務による派遣中の専門家であるため、その任務の独立した遂行を可能にする相応の特権免除を享受するものであることを認めました。1999年、名誉毀損の罪で自国において起訴されたマレーシア人の特別報告者、ダト・パラム・クマラスワミー氏に関する勧告的意見において、裁判所は、派遣中の専門家を含め、国連要員がその任務の範囲内で行動したかどうかを評価し、かつ、妥当と結論する場合、その免除を主張することでその要員を保護する一義的責任と権限は国連事務総長にあることを確認しました。 ●裁判所は環境問題にも関与していますか。  裁判所が取り上げた事件の中には、「核実験」と「リン鉱地」に関する事件、それにドナウ川の水力発電用ダム体系の建設に関連するハンガリー・スロバキア間の「ガプチコボ=ナジマロシュ・プロジェクト」事件をはじめとして、生態系および天然資源保護に関連する問題を提起するものもありました。  1993年、裁判所は7名のメンバーからなる環境問題裁判部を設置し、環境問題の法律分野における事件を取り扱う用意があることを示しました。 7 国際司法裁判所の今後 「法が世界に君臨する日が来るであろう。」 モンテスキュー(1689〜1755年) 国際司法裁判所は現在、かつてない活力を示しています。第3千年紀の幕開けに当たり、その活動をさらに強化する方法が模索されています。 ●国際社会をより幅広く代表するために、裁判官を増員すべきですか。  1946年以来、国連加盟国の数が3倍以上に増える一方で、裁判所裁判官の数(15名)は変わっていません。一部には、15名という裁判官はもはや、国際社会を十分に代表する数とは考えられないという主張もあります。このため、裁判官を20名以上に増員すべきとの勧告もなされています。  しかし、一方では、そのような措置が裁判所の性質と作業方式に悪影響を与えるのではないかと危惧する向きもあります。このような増員に伴って生じると見られる実務的な困難(特に評議において)により、裁判所は数名の裁判官からなる裁判部を増やすことになりかねません。しかし、最近の裁判所の歴史を見ると、各国は紛争を裁判官全てが出席する法廷に付託するほうを望んでいます。  裁判官の数の問題とは別に、候補者擁立の手続と裁判官の選出過程もまた、改革案の対象となっています。とくに、裁判官の任期を1期限りとする一方で、その任期を延長(例えば15年)する案が出されています。 ●裁判所は国際関係における新たな主体にも門戸を開放すべきですか。その権限は拡大すべきですか。  1945年に制定された裁判所規程によれば、訴訟を提起できるのは国家のみ、勧告的意見を要請できるのは国連機関と専門機関のみとされています。  国家はもはや国際関係の唯一の主役ではなくなっていることから、裁判所に対するアクセス拡大を提案する向きもあります。訴訟手続は国際的な政府間機関、さらには非政府組織、企業あるいは個人(これには大きな困難が伴うが)など、国家以外の当事者にも利用を広げることができるでしょう。同様に、勧告的意見の手続も、国際連盟傘下の常設国際司法裁判所の時代に実際そうであったように、国家にも開放することができるでしょう。  国連事務総長は事務局が勧告的意見を要請することができるよう、その権限を与えることを提案しています(事務局はこれまで、国連の主要機関の中で裁判所の勧告的意見を要請できない唯一の存在です)。  また、国連の枠組み外で設立された国際機関(米州機構(OAS)やアフリカ統一機構(OAU)などの地域的機関)、および、世界貿易機関(WTO)などのさまざまな専門的な国際機関にも、かかる意見を要請する権利を認めようとする提案もあります。  裁判所の権限については、とくに訴訟手続において、裁判所の管轄権が事件当事者の同意に依存するという制約により、これを大きく拡大することは困難と思われます。しかし、法学者の中には、裁判所を、今後その数が増大すると見られる国際的な裁判所(海洋法裁判所や国際刑事裁判所など)、さらには、国内裁判所の控訴審とすることを主張する向きもあります。  このような革新を行うためには、裁判所規程の改正が必要となります。裁判所規程は国連憲章と不可分の一体をなすことから、これは憲章の改正に等しい意味を有することになります。  裁判所自体は、これらの提案のいずれについても、立場を固めていません。 ●裁判所規程を改正するために国連憲章を改正することは困難ですか。  困難です。国連憲章の改正には、総会の構成国の3分の2による承認と、国連加盟国の3分の2による批准が必要です。さらに、批准国には安全保障理事会の5常任理事国が含まれていなければなりません。  1945年以来、改正された憲章の条項は4つ(うち1つは2度)だけです。これらの修正は安全保障理事会と経済社会理事会の理事国数の増大と、安全保障理事会の多数決に必要な票数に関するものでした。 ※裁判所規程の改正には国連加盟国3分の2の批准が必要となる。 ●裁判所の将来は究極的に、各国の意志に委ねられているのですか。  そのとおりです。裁判所は諸国家が構想したものです。1945年に裁判所を設立したのも、裁判所規程の改正を批准する権限を有するのも国家です。さらに、裁判所の義務的管轄権を受諾することにより、その権威と活動に貢献するのも国家なのです。  実際のところ、裁判所の将来は、各国がどれだけ事件を付託するかにかかっています。 8 詳しい情報の入手方法 ●裁判所はインターネット上にサイトを開設していますか。  開設しています。このサイトには判決、命令および勧告的意見の全文が即日、掲載されます。  サイトはまた、裁判所と書記局に関する一般情報、裁判官の経歴、過去および係争中の事件に関する文書、訴答書面、審理の逐語記録、近年に発表されたすべてのプレスリリース、裁判所規程及び規則、管轄権の根拠に関するデータ、刊行物のカタログおよび視聴覚資料も提供しています。  加えて、サイトでは、無料電子メール送信サービスに登録することで、裁判所が発行する新しいプレスリリースを受け取ることも可能です。  サイトのアドレスは以下のとおりです。     http://www.icj-cij.org ●裁判所の広報課に問い合わせるにはどうしたらよいですか。 裁判所の広報課には以下の住所で問合せができます。 ・Press and Information Department,International Court of Justice,Peace Palace,2517 KJ The  Hague,Netherlands  電話:(31)70 302 23 36/37 ;ファックス:(31)70 302 23 38 ;  電子メール:information@icj‐ cij.org ●裁判所の刊行物を発注するにはどうしたらよいですか。 発注は以下で受け付けています。 ・UN Publications,Room DC2‐ 853,United Nations,2 UN Plaza,New York,NY 10017,United States of America  電話:(1)(212)963‐ 8302 ;ファックス:(1)(212)963‐3489 ;  電子メール:publications@un.org ・Distribution and Sales Section,Room C‐ 116,UN Office at Geneva,Palais des Nations,8‐ 14 avenue de  la Paix, CH‐ 1211 Geneva 10,Switzerland  電話:(41)22 917 26 14 ;ファックス:(41)22 917 00 27 ;電子メール:unpubli@unog.ch 質問の索引 第1章 国際司法裁判所とは何ですか  2 法に基づいて国際紛争を解決するという考え方はいつ生まれましたか。  3 仲裁裁判の成功は新たな機関の創設を促進したのですか。  4 常設仲裁裁判所(PCA)の活動はどのように発展しましたか。  5 常設仲裁裁判所と国際司法裁判所:性格を異にする隣人  5 国際司法裁判所は(ICJ)司法的解決方法を適用した最初の国際裁判所ですか。  5 常設国際司法裁判所(PCIJ)はどのような点で画期的だったのですか。  7 なぜ国連の下で新たな裁判所(国際司法裁判所)が設立されたのですか。  7 常設国際司法裁判所から国際司法裁判所への権限の移転はどのように行なわれたのですか。  8 国際司法裁判所はある種の国際裁判所に対する権限を持っていますか。9国際司法裁判所と平和維持を託されたその他の国連機関との関係はどうなっていますか。  10 平和宮、国際司法裁判所の所在地 第2章 国際司法裁判所の裁判官になるのは誰ですか  12 裁判官は誰によって、どのように選ばれますか。  12 裁判官候補者の指名とそのやり方  13 裁判官はどのような条件を満たさなければなりませんか。  13 裁判所の構成に地理的な均衡はありますか。  14 裁判官は本当に独立した存在ですか。  14 裁判官による厳粛な宣言  14 裁判所長と裁判所次長はどのように指名されますか。  15 裁判所には席次規則がありますか。  15 裁判官はハーグに居住しなければなりませんか。  15 裁判官は裁判所の職務以外に一定の職業活動を続けることができますか。  16 裁判官に外交特権がありますか。  16 ICJ裁判官の所得はどのくらいですか。  16 特別選任裁判官とは何ですか。  17 特別選任裁判官の任務は何ですか。  17 書記局とは何ですか。それはどのような作業を行うのですか。  18 裁判所書記はどのような責任をもっていますか。  19 裁判所の紋章  19 書記局職員は特別な地位を享受していますか。  19 裁判所の予算はどうなっていますか。 第3章 国際司法裁判所はどのように機能しますか  22 裁判所は年間どのくらい法廷を開いていますか。  22 裁判所の活動は常に裁判官全員の出席のもとに行われるのですか。  23 裁判所の構成は事件によって変えられますか。  23 裁判所は鑑定人を任命できますか。  24 裁判所長はある事件について裁判長を務めないことができますか。  24 「総件名簿」とは何ですか。  24 係争中の事件とは何ですか。  24 裁判所が適用する法源は何ですか。 第4章 訴訟手続  26 誰が事件を付託できるのですか。  26 裁判所に事件を付託できる国  27 各国は事前に裁判所の管轄権を受け入れていなければ74ならないのですか。特別の合意、管轄権条項および一方的宣言とは何ですか。選択条項の制度はどのように機能するのですか。  28 裁判所の管轄権を受け入れながら、訴えられるとそれに異議を申立てる国があるのはなぜですか。  28 訴訟手続きはどのように行われますか。「特別の合意」と「請求」にはどのような相異がありますか。  29 原告と被告は誰ですか。  29 誰が当事者を代表するのですか。  30 誰が裁判所で弁論できるのですか。  30 手続はどのように進められますか。  31 申述書、答弁書、抗弁書および再抗弁書  31 弁論は公開されますか。  32 当事者は証人を招喚できますか。  32 ある事件の中で付随手続が生じることがありますか。  33 裁判所の裁判費用  33 先決的抗弁とは何ですか。  34 裁判所はどのような場合に仮保全措置を指示できますか。  34 他にどのような付随手続がありますか。  35 評議はどのように行われますか。  36 裁判所が終結判決を下すまでどれだけ時間がかかりますか。  37 極めて長い時間を要する事件があるのはなぜですか。  37 判決か命令か  38 判決はどのような体裁をしていますか。  39 判決に拘束力がありますか。  39 上訴は認められますか。  39 裁判所の判決に従わない場合はどうなりますか。  39 勝訴した当事者は賠償を請求できますか。  40 訴訟手続は常に判決で終結しますか。 第5章 勧告的意見の手続  42 裁判所に勧告的意見を要請できるのは、どの国連機関と専門機関ですか。  42 例外的な状況においては、国家も勧告的意見を要請できますか。  43 勧告的意見の手続は訴訟手続と大きく異なりますか。  44 勧告的意見を要請できる機関  45 協議を受けない機関あるいは国家が協議を要請できますか。非政府組織(NGO)についてはどうですか。  45 裁判所は勧告的意見の付与を拒否できますか。  45 勧告的意見はどのような体裁をしていますか。  46 勧告的意見に拘束力はありますか。 第6章 国際司法裁判所の活動  48 裁判所(ICJ)に対する要請は多いですか。  48 各国はどのような紛争を裁判所に付託するのですか。  49 これほど多くの領土紛争や領海紛争が取り扱われるのはなぜですか。  49 裁判所はこの点で成果を収めてきましたか。  50 裁判所初の事件の主題は何でしたか。  51 領海紛争では何が争われますか。  51 裁判所は海洋法の形成に貢献しましたか。  52 国家の管轄権に関する事件とはどのようなものですか。  53 裁判所は外交・領事関係法に関連する事件を取り扱ったことがありますか。  53 国家が民間の利益あるいは商業利益を守るために裁判所に提訴したことはありますか。  54 ある国の他国への内政干渉と武力行使について、裁判所はどのような判断を示していますか。  55 裁判所はこれまでに戦争を防止あるいは停止したことがありますか。  55 ある種の目立った紛争に裁判所が関与していないのはなぜですか。  56 裁判所に対する提訴が抑止効果を生むことはありますか。  56 裁判所の管轄権に異議が申し立てられることは多いですか。  57 一部の事件が示談で解決するのは、裁判所にとって遺憾ではないですか。  57 裁判所の判決前に解決されたのはどのような紛争ですか。  58 訴訟手続における裁判所の成果はどうですか。  58 判決の不履行に関し、国家が安全保障理事会に苦情を申し立てたことはありますか。  58 仮保全措置の効果はありますか。  59 裁判所の判例:どのような影響があるか。  60 勧告的意見を求める事件の主要な主題は何ですか。  60 裁判所の勧告的意見はどのように国際機関を助けていますか。  60 最初に勧告的意見を要請したのは誰ですか。  61 裁判所はしばしば国連憲章の解釈を行っていますか。  61 その他、国連にとって影響を及ぼした事件は何でしたか。  61 裁判所はその勧告的意見によって、非植民地化にどのように貢献しましたか。  62 核兵器使用の合法性について、裁判所はどのような見解を示していますか。  63 裁判所は人権に関連する問題を取り上げることがありますか。  64 裁判所は環境問題にも関与していますか。 第7章 国際司法裁判所の今後  66 国際社会をより幅広く代表するために、裁判官を増員すべきですか。  66 裁判所は国際関係における新たな主体にも門戸を開放すべきですか。その権限は拡大すべきですか。  68 裁判所規程を改正するために国連憲章を改正することは困難ですか。  68 裁判所の将来は究極的に、各国の意志に委ねられているのですか。 第8章 詳しい情報の入手方法  70 裁判所はインターネット上にサイトを開設していますか。  70 裁判所の広報局に問い合わせるにはどうしたらよいですか。  70 裁判所の刊行物を発注するにはどうしたらよいですか。 写真の索引 第1章  2 裁判所の紋章  6 裁判所が所在する平和宮  第2章  13 裁判所の15人の裁判官  16 大ホールにおける公開の法廷  18 法廷廷吏の鎖 第3章  22 裁判所の評議室 第4章  29 起訴状  32 口頭弁論を行う国家代表  38 裁判所の判決文 第5章  43 大ホールの木製演壇の細部 第6章  51 弁論を聞く裁判官  52 裁判所の刊行物  54 裁判官の職服 第7章  67 裁判長用の槌 Published by the UN Department of Public Information DPI/2065 - July 2000 ISBN 92-1-100822-0 - Sales No. E.99.I.25