国際連合の改革と刷新 コフィー・アナン事務総長の 報告書および関連資料 1997年7月 これは非公式訳である 国際連合広報センター ●目次 本冊子の刊行によせて................................1 事務総長の総会演説(7月16日)  ―「国連の静かなる革命」を公約....................3 事務総長報告のハイライト............................9 事務総長報告より―「第1部:概観」の抜粋............12 背景情報(事務総長報道官室配信)...................32 総会議長の総会演説(7月16日)  ―「国連改革は、全ての政府と人民に裨益すべし」...42 事務総長国連改革案に関する16ヵ国首脳声明  ―記事資料および声明文全文.......................43 ●本冊子の刊行によせて 国連広報センター所長J.P.カバナー  アナン事務総長が1997年7月16日に総会に提出した「国連の再生:改革に向けたプログラム」は、極めて大きな意味のある報告書です。  この報告書には、事務総長が自らの権限において実施できる「トラック1」措置とともに、加盟国の行動によってのみ実施に移すことのできる「トラック2」改革も含まれています。  事務総長報告は、全体として、9月16日にニューヨークで始まる第52回総会で取り上げられることになっています。同会期冒頭数週間の一般討議に参加する国家元首、政府首脳および外相は、事務総長自身の改革努力に支持を表明することが期待されています。  また、加盟国も、自らの権限に入る改革課題について、1997年12月の国連総会による1998/99年度予算採択に間に合うように、早急に必要な歩み寄りを図ることが期待されています。  世界の至る所で、メディア、NGO、学界、私人を含めた市民社会が、事務総長の国連改革に関する包括的報告を検討するということには大きな意味があります。そうすれば、市民は、自らの政府と生産的な対話を行って、来る総会会期での加盟国の作業を強化することができるのです。  このような配慮から、国際連合広報センターは、この日本語版冊子を制作することになりました。冊子の刊行にあたっては、日本の外務省からも貴重なご支援をいただきました。  この冊子は、以下の6つの部分から成っています。 第1部は、事務総長が1997年7月16日に満席の国連総会議場で行った演説です。  事務総長は、この場で報告書を紹介し、自らの目標と報告書の内容を説明しています。 第2部は、事務総長報告に含まれる行動および特定的勧告の項目別要旨(ハイライト)です。 第3部は、事務総長報告(2部構成)のなかの第1部の抜粋で、事務総長の改革に対するアプローチがさらに詳しく示されています。これには「概観」というタイトルが付けられています。 第4部は、事務総長報告に関する背景説明で、(a)直面する課題、(b)事務総長のイニシアチブ、および、(c)加盟国の支援と承認によって可能となる改革が、様々な項目の下に体系的に示されています。 第5部は、第51回総会議長を務めるラザリ・イスマイル大使(マレーシア)が1997年7月16日、事務総長報告を受けて行った声明です。 第6部は、1997年8月11日、オーストラリア、ブラジル、カナダ、コートジボアール、チェコ共和国、エジプト、インド、インドネシア、アイルランド、ジャマイカ、日本、韓国、メキシコ、オランダ、南アフリカおよびスウェーデンの16ヵ国の国家元首および政府首脳を代表して、スウェーデンのカールソン元首相が発表した声明です。事務総長の改革努力に対する支援を表明し、特に7月16日の報告書を歓迎しています。  国連広報センターは、この冊子が、アナン事務総長就任一年目にして大きなはずみを得つつある、これまでにない改革プロセスについての議論を刺激し、その理解を深めることに役立つものと願っております。  改革の目的は、国連という世界機関の希望と実績との間に長年存在してきた格差を大きく縮めることにあります。国連の目標を信じていらっしゃる皆様に、この改革プロセスに活発に参加していただければ幸いです。 ●事務総長の総会演説(7月16日) ・国連の「静かなる革命」を公約  アナン事務総長は1997年7月16日、国連本部で開催された改革に関する総会の特別会合で、以下の演説を行った。  私は、「国連の再生:改革に向けたプログラム」という私の報告書を皆様に提出することができ、うれしく思います。  私の提案している改革は、国連の52年間の歴史において最も包括的で、大胆なものとなっています。  改革のねらいは単純です。それは、国連を変容させること、すなわち、目的の統一性、努力の一貫性、および、ますます活発で複雑な世界への対応力を高めることです。  国連の創設は、極めて洞察力と創造力に富む行為でした。国連の創設者たちは、第二次大戦の直後、非植民地化時代の幕開けにおいて、人類の歴史に例を見ない、共通の進歩の手段を考案したのです。  その後の50年間に、国連はその価値を十二分に証明しました。国連の会議場には、事実上すべての国家および民族が集い、共通の議題を話し合って、共通の問題を解決しています。侵略と圧政の犠牲者たちは、国連を訪れ、正義と是正と救済を求めています。  これまでに大きな成果が達成されました。植民地主義とアパルトヘイトは終わりを告げました。私達は、地球の隅々で平和の醸成、回復および建設を図ってきました。私たちはまた、より大きな自由のなかでの社会的進歩の促進と生活水準の向上に向けて、決定的な前進を遂げています。  私達は、国家間の平和的関係の柱として、民主主義と国際法を推進してきました。航空交通規制から海洋法まで、化学兵器の使用から戦争犯罪裁判まで、私達は、国際協力の明確な規範と慣行の確立を図ってきました。  基本的人権に対する支持は、これまで以上に高まっています。私達は、女性の地位向上を主張し、難民に救援物資と避難所を提供しています。私達はまた、世界中の人々のなかで最も弱い立場にある子どものニーズが最優先されるよう闘ってきました。  今日、世界は、立証された実績と、恒久的な効力を持つ憲章に支えられた国連を活用することができるのです。  地球全体に奉仕する共通の手段の必要性も、これまでになく高まっています。地球的な課題がこれほど多岐にわたっていたり、急を要していたり、複雑になっていたことはかつてありません。加盟国は、前例のない幅広い脅威と挑戦に新たにさらされています。その多くは国境を越え、一国家では対応不可能なものとなっています。  ですから、国連は、これまでにない需要と機会に直面していると言えます。効果的で効率的な国連、すなわち、焦点の定まった、一貫性と対応力を持つ、費用有効的な国連が、より一層必要とされているのも、このためなのです。加盟国が私達に働きかける時、具体的には、惨禍の軽減と平和の確保を国連に求める時、私達にはその準備ができていなければなりません。  しかしながら、国連はその果たすべき機能を果たしていません。地政学的な現実における変革を反映する上で、国連は後れを取っているのです。  柔軟性と適応力が要求される場合に、国連は官僚的であることがあまりにも多くなっています。  部門的・制度的境界を超越すべき場合でも、私達は、厳格な役割分担にこだわり、調整をほどんどあるいは全く欠いた、孤立状態で活動を行ってきました。  また、管理者に権限を委譲すべき場合であっても、私達は、人的にも財政的にも、自らの資源を最大限に活用してきませんでした。  さらに、職員にその潜在能力をいかんなく発揮させるべき場合にも、私達は、官僚主義の束縛を解かなかったのです。私達は、国連職員の技能と能力を解き放たなければなりません。  今こそが改革のときです。国連はこれを必要としています。国連加盟国もこれを必要としています。実際、加盟国は、その慣行を再考し、その政策を適応させるとともに、新たな効率と金銭に代わる価値を模索することで、国連改革の方途を示しているのです。  本部およびフィールドにおける行政・人事、平和維持等、国連での30年間の職務経験を経て、私は、事務総長に選任されるという名誉を与えられました。  私の経験から何か一つ得られたことがあるとすれば、それは、十分な資金と適切な構造が与えられれば、国連には、世界の人民と政府のために、その任務を遂行する可能性と意思があるということです。  事務総長就任以来、私は、国連のなかに改革の気風を持ち込もうと懸命に努めてきました。  きょう、私達は、大きな一歩を踏み出します。皆様のお手元には、国連を改革・再生するための措置および勧告の完全なプログラムが置かれています。そこには、私が就任以来6ヵ月の間に発案した改革に関する措置および提案がすべて含まれています。また、この中には、多くの新しい方向性も示されています。ここでその概略をご紹介しましょう。  国連が中核的目標を追求するために、すなわち、私達が委任された任務を遂行するために、私達はまず国連の指導力と管理体制を改善しなければなりません。  このため、内閣のような役割を果たし、変革プロセスを指導する、上級管理グループが設置されます。  事務総長室には、戦略的計画策定ユニットが設置され、新たに生じる地球的な問題と動向を明らかにすることになっています。  私が1月に設立した4つの執行委員会は、国連の主要活動領域を指導すべく、強化されます。  私はまた、総会に対し、副事務総長のポストの設立も提案する予定です。副事務総長は、事務総長が国連本部に不在の際にその代理を務めるとともに、開発のための資金調達努力を指揮することになっています。副事務総長はまた、国連の部門横断的活動の一貫性も確保します。  国連にはスリム化も必要です。私の改革は、次のようないくつかの方法でこれを達成します。 −ゼロ成長予算案。国連の予算が実質ベースでマイナス成長となるのは、ここ20〜30年ではじめてのことです。 −1,000名の職員ポストの削減。10年前に比べて職員数は25%減となります。 −行政コストの33%削減。この節約部分は開発に振り向けられます。 −文書の削減。今年末までに、紙の使用を30%削減します。  私はまた、国連があまりにも長い間抱えている慢性的な財政破綻状態の終焉を望んでいます。分担金を全額、期限内に、かつ、前提条件なしに支払うという国連憲章上の義務を果たさない加盟国が、あまりにも多くなっています。  これに対し、私は、加盟国による回転信用基金の設立を提案しています。信用基金は、自発的拠出金、あるいは、加盟国が望みうるその他いずれかの手段を通じ、当初10億ドルを上限として設立されることになります。 ここで明らかにしておきたいのは、国連の財政的に存続できるという保証は、改革に不可欠な要素であるばかりでなく、改革自体を成功させるための条件でもあるということです。  改革は、開発を促進し、貧困と紛争の根本原因に対処する私達の能力を向上させるものでなければなりません。開発に関わる国連の基金および計画を国連開発グループとしてまとめることで、それぞれの特殊性あるいはアイデンティティーを損なうことなしに、その強化と協力を発展させることができるでしょう。  この考え方はフィールド・レベルにも取り入れられ、すべての国連機関は、単一の「国連ハウス」の中で「一つの旗」の下に活動することになります。私はここに、この改革が今すぐ南アフリカでの国連プレゼンスに適用されることを、胸を張って発表したいと思います。  さて、開発のための資金調達の問題に移りましょう。簡単に言えば、国連は、民間、政府を問わず、より多くの資金源を必要としています。よって、私は、開発融資のための部局を創設しているところです。開発資金の調達には、協調的な努力が常時必要となります。  私の報告では、行政管理から経済・社会活動へと資金をシフトさせるための「開発の配当」も提案されています。私達の予測によれば、この配当金は、2002年までに少なくとも2億ドルに達するものと見られます。しかし、私は、本会計年度に達成される節約により、1998年1月に前払金の積立を提案しています。  皆様のお手元にある改革プログラムは、事実上、国連のあらゆる部局およびあらゆる活動に影響するものです。  改革プログラムには、平和維持およびその他の活動の展開迅速化に関する提案が含まれています。  改革プログラムは、平和建設、軍縮の前進、および、国連活動の環境側面の強化に重点を置いています。  改革プログラムは、「非市民的社会」の権化とも言える、犯罪者、麻薬密売人およびテロリストと闘う方策をも提示しています。  改革プログラムは、世界の人民が国連の目標、役割および活動領域をよりよく理解できるようにするため、広報活動の方向性を転換します。  改革プログラムは、簡素化された行政手続きと、人的資源に関する政策および慣行の完全な洗い直しを求めています。  改革プログラムは、経済・社会問題、人権および人道問題等、いくつかの分野での大がかりな再編を主張しています。人権の推進は、国連のあらゆる主要活動およびプログラムに統合される必要があります。私達は、複雑な人道的緊急事態への対処をより効果的なものにしなければなりません。このため、人道問題局に代わり、緊急援助調整官事務所が新設されます。  これら提案に当然に付随するものとして、加盟国だけが着手できる、より根本的性質を持つ変革もあります。  これらの変革のいくつかは、総会に関連するものです。  私は、総会が最優先課題に作業を再び集中し、その会期を短縮することを提案しました。  また、私は、新たな機構あるいは多額の資金コミットメントの絡むイニシアチブについて、総会が「終焉規定」(特定的期限)を制定することを提案しています。  おそらく最も重大な提案として、私は、今次総会に対し、インプット配分から「結果指向予算」へのシフトを遂げる、新しい予算作成システムを採用するよう求めます。すでに多くの加盟国も国内では採用しているこのアプローチは、厳格な責任を保つ一方で、事務局の柔軟性を向上させることにもなります。  最後に、私は、加盟国に対し、国連システム全体、すなわち、国連という家族の不可欠な構成員である専門機関の根本的変革の必要性を検討する委員会を設置するよう勧告しましています。  大雑把ではありますが、以上が皆様に検討していただきたい私の改革計画です。私は、その健全性に自信を持ち、その必要性を確信しながら、その実施に尽力する所存です。  私達は、国連の新たな出発点に立っています。  新世紀に備え、新たな世界に対応し、かつ、国連創設者たちの永続的な願望の実現を約束する私達は、地球的な機会の時代を迎えているのです。国連は、この時代の潜在的可能性を捉え、その力を万人の福祉に用いるよう、準備体制を整えなければなりません。  きょう私が提案した改革により、国連は、さらに多くのことを、よりよく実行することができましょう。これらの改革はまた、私達が地球的な機会の時代を捉え、国連を真に人類の最も崇高な目標の表現物とすることを可能にするでしょう。  この改革計画に対する私達の希望は、単純に、かつ、即座に、私たちの提供するサービスの概念、質および実施を変容させることにあります。皆様と世界が私たちに望んでいるのはこのことであり、私達自身もこれを求めているのです。  私が皆様と世界に公約できることは、きょうから、私達は国連の静かなる革命を開始するということです。  これと引換えに、私は、皆様、そして世界に対して、私達が提案する合理化のための措置あるいは機構の変革だけで、国連を判断しないようお願いしたいと思います。私達を判断する時には、国連の奉仕の対象となる人々、すなわち、貧しい人々、飢えた人々、病に冒された人々、および、脅威に苦しむ人々に対し、私達が提供する援助と避難所によって、是非とも正当な評価を行ってください。  アフリカのある諺は、「地球は私達のものでない」と教えています。「地球は、将来の世代のために私達が授かった宝」なのです。今日、私達は、その信頼を全うし、国連を再びこの責任達成の手段とすることを確保しなければなりません。私達は、平和、進歩および開発のための新たな基盤を築く可能性と意思を持っています。  今まさに国連の時代が到来したのです。  イデオロギー的紛争から開放され、科学技術と地球的繁栄に力を得た私達は、これまでにも増して、自分たちの崇高な目標の実現を思い描くことができるようになっています。これからの世代に対する義務として、私達は、この希望の瞬間を、あらゆる国家と民族にとって、同様に新たな始まりを意味するものとしなければなりません。  今世紀の暗く危険なトンネルの出口に、光が差し込んでいます。そしてこの光は、世界中の人々の希望と夢によって、さらに明るくなっています。国連は、こうした夢を運ぶ、唯一真正で普遍的な船なのです。活力と組織と誓約を新たにした国連は、この夢を来る千年期へと運び、これを実現することができるのです ●事務総長報告のハイライト  本報告に示された措置及び提案は、国連事務総長が就任以来これまでの6ヵ月間に着手した改革プログラムを包含するものである。同改革プログラムは、目的の統一性、活動の一貫性および対応の柔軟性を強化するための重大かつ根本的な改革への道に国連を確実に導くことになる一連の包括的な変革を構成している。その中には、すでに実施済のものもあれば、さらに時間を要するものもある。また、多くは加盟国による決定を必要とするものである。すなわち、改革は継続的なプロセスであり、単なる一つの出来事ではない。  改革のための行動と勧告は、主として次の優先分野を中心とするものである。 ◆以下を通じて、事務総長が指導力を発揮し、国連の必要とする責任性を確保する能力を強化するような、新たな指揮・管理機構を確立すること。 −副事務総長のポスト創設 −「上級管理グループ」の設立 −1997年1月に事務総長が設立した、国連のあらゆる部局、基金及び計画を含む部門別グループ執行委員会の一層の発展と強化 −各国レベルでの意思決定の分散化と「一つの旗」の下での国連プレゼンスの強化 −戦略計画ユニットの設立 ◆10億ドルまでの「回転信用基金」設立によって財政的支払能力を確保すること。同基金は、国連の財政危機に恒久的解決策がもたらされるまで、自発的拠出金、あるいは、加盟国が提案しうるその他の手段によって資金調達が行われる。 ◆12の事務局部局を5つに統合すること、および、提案に従い、5つの政府間機関を2つに統合すること。 ◆管理・効率化措置とともに、管理構造を変革すること。これにより、少なくとも1,000名のスタッフが削減され、行政コストが三分の一低下し、業績が改善されるとともに、最終的には、人員およびコスト面でさらに節約が生まれることになる。 ◆人的資源に関する政策および慣行の抜本的刷新を制度化することにより、すべてのスタッフが必要な技能を有し、かつ、効果的サービスのための必要条件を備えられるようにすること。 ◆以下を通じ、国連の中心的優先課題として、持続的かつ持続可能な開発を推進すること。 −開発活動を行う国連の基金および計画を「国連開発グループ」として統合すること。これにより、各々の特性あるいはアイデンティティーを損なわずに、これら基金及び計画間の連携および協力を促進する。 −行政から開発活動へ資金をシフトするため、「開発の配当」を提案すること。 −新たに「開発資金調達室」を設立し、開発のために新たな資金を動員するための革新的手段の発案について、副事務総長に指導的役割を与えること。 −国連開発活動への資金調達のための、交渉および任意による多年度拠出誓約を通じ、負担を共有し、予測可能性を改善する提案を行うこと。 −国連活動の環境的側面、特にUNEPを強化すること。 ◆統合的な経済・社会問題部門別グループの設置により、事務局の規範的、政策的および知識関連機能、ならびに、国連政府間機関に奉仕するその能力を高めるとともに、これに集中的に取り組むこと。 ◆国連の即時対応能力強化を含め、平和維持およびその他のフィールド活動の展開を迅速化する国連の能力を改善すること。 ◆国連の紛争後平和建設能力を強化するとともに、政治問題局にこのための中心的部局としての役割を担わせること。 ◆ウィーンにおける国連の計画および活動を「薬物統制・犯罪防止室」に統合することにより、薬物、麻薬およびテロと闘う国際的努力を推進すること。 ◆人権事務局の改組・再編、ならびに、あらゆる主要な国連の活動および計画への人権の組み入れにより、人権活動を拡充すること。 ◆備および大量破壊兵器の削減、ならびに、軍備規制を担当する「軍縮・軍備規制局」を設置することにより、軍縮への取り組みを前進させること。 ◆人道問題局に代わり、緊急援助調整室を新たに設置するとともに、複雑な緊急事態により効果的に対応する能力を重視することで、人道的ニーズへの対応を強化すること。 ◆国連の広報および通信に関する戦略および機能を大幅に変革し、国連のニーズの変化に対応すること。 ◆加盟国に対して以下の検討を求める事務総長の勧告を通じ、より根本的な変革の必要性に取り組むこと。 −総会の作業の焦点を再び最優先課題へと集中させ、総会の会期を短縮すること。 −閣僚級委員会を設立し、国連憲章、および、国連専門機関設立の法的根拠となっている文書の見直しを通じた、根本的変革の必要性を検討させること。 −2000年に開催予定の総会を「千年期総会」("a Millennium Assembly")とし、21世紀における国際社会の主要課題とニーズへの国連の対応を中心的に話し合うとともに、これと並行して「人々の総会」("Peoples'Assembly")を開催すること。 ●事務総長報告より―「第1部:概観」の抜粋 I.序論  1. 国際連合は、崇高なる人類協力の実験である。世界が多種多様な利害と属性によって分裂を続けるなか、国連は、諸国家の共同体、諸民族共通の人間性、そしてただ一つのかけがえのない地球という、包括的な理想像を標榜しつづけている。事実、国連の歴史的な使命は、諸国家間に存在する共通の理解に従って活動することだけでなく、その範囲を拡大することにもある。それはすなわち、空間的にはより多くの人々と接触してその生活を改善することであり、時間的には我々が譲り受けた物質的・文化的遺産を将来の世代に伝えることである。未だ記憶に新しい歴史上最も悲惨な2つの戦争の苦い経験から生まれた国連憲章は、このようなあらゆる希望を盛り込むとともに、その実現に向けた制度的手段を提供するものであった。  2. 国連憲章の調印から52年を経た現在、世界は様々な点で進歩を遂げてきたが、そのなかで国連が果たした役割は大きい。非植民地化は、国連がほぼ創設当初から取り組んだ問題であり、現在でもその最大の成果の一つとなっている。世界人権宣言は、まもなく採択50周年を迎える。また、国連の平和維持要員は、地域紛争の安定化に貢献したばかりでなく、その人道援助活動は世界中の惨禍を軽減している。開発途上国が直面する課題については、国連の経済活動においても中心的に取り組みが行われている。  3. 国際取引のスムーズな流れは、国連およびその機関が考案した規則によって可能となっている。また、国連機関が主要な課題として取りくんできた病気の撲滅、栄養水準の改善、農業開発の促進、識字キャンペーン、ならびに、女性と子どもの権利擁護により、世界の人々の健康は改善され、より長く生産的な生活を送れるようになっている。さらに、環境、社会開発問題、ならびに、麻薬取引、国際的犯罪ネットワークおよびテロリズムといった国際社会における非民事的側面を含め、新たな政策課題を発掘し、これに対処するための行動計画を策定する上でも、国連は、他の国際機関に類を見ない存在となっている。  4. それでも、期待と現実のあいだには、相変わらず大きな開きがある。技術の進歩と、生産・金融のグローバライゼーションは、多くの国々にかつてない繁栄をもたらしてはいるものの、政府も、国連も、さらには民間セクターも、人類の大半を襲っている執拗な貧困状態を解消する鍵を見いだしていない。事実、今日における世界経済の不均衡は、将来の国際的安定に対する深刻な課題を投げかけている。すなわち、不均等な富の分配、経済的な統合に向かう力と政治的な分裂に向かう力の相剋、地球の生命維持システムに対して人類が及ぼす影響とその能力との間の乖離がそれである。  5. さらに、分裂をもたらす諸勢力は、不平等と不寛容によってさらに力を得て、諸国家および諸民族の間の溝を深めつづけている一方、偏見、窮乏、さらには全くの無政府状態のなかで、激しい紛争が国境と国際的規範の双方を脅かしている。こうした不安定な状況は、さらに多くの殺傷兵器の拡散と人道的危機の増大を招いている。大規模な人権侵害が続発しているほか、その出身民族あるいは信条という理由だけで殺される人々の数も依然として多い。難民や避難民は、ほとんどが歴史的規模の政治動乱に巻き込まれた罪のない犠牲者であり、その数は2500万人以上にまで膨らんでいる。  6. 今次の改革努力の基本的な目標は、期待と現実との間のギャップを狭めることにある。この目標は、目的の統一性、努力の一貫性、および、国際社会の緊急のニーズへの対応力の改善につながる、新しい指導原理と管理構造を国連に確立することによって達成しようとするものである。国連の機構改革は、各国政府が国連を利用する意思に代わるものでもなければ、それだけで加盟国の間に存在するまさに現実的な利害と力の差異を埋めるものでもない。改革によって達成できるのは、国連の制度的効果を極大化することにより、委任された活動の遂行を改善するとともに、最終的には、世界の諸国家および諸民族にとって一様の進歩的変革をもたらす機関としてのより大きな任務を、信頼性をもって主張・実施することである。  7. この努力には、国連の主要な制度的長所と短所を率直に評価するとともに、今後国連が活動を行う制度的枠組みを明確に理解することが必要となる。 ・制度的な長所と短所  8. 国連が享受する力の最も重要な源泉は、加盟国の普遍性とその任務の包括性である。そして、この力が最も大きく発揮されるのは、規範的な領域においてである。普遍的な規範は、諸国家の共同体における慣行を評価・指導する原則的基盤となるものである。かかる規範は、道義的な意味を持つだけでなく、権利と義務に関する期待、法の支配によって可能となる相互の行動予見性、ベスト・プラクティスの特定、日常的国際取引の実行に不可欠な数限りない基準等、国際社会における日常生活の制度的基盤を提供するものでもある。  9. その普遍的な性格および包括的な任務故に、国連は、各国政府が新たな地球的課題を明らかにし、これに対する共通のアプローチを討議・確認するとともに、合意された行動実施のためにエネルギーと資源を動員する上で、唯一かつ不可欠な話し合いの場となっている。貿易と開発、環境、人権、国際法の斬新的な発展と法典化、男女平等、人口、ならびに、平和と安全保障および軍縮等、様々な分野において、国連の会議招集能力は、顕著な成果をもたらしている。 国連改革  10. さらに、開発協力等いくつかの重要な分野において、国連の規範的能力は、各国の政策に対する援助に直接的に結びついているほか、国連自身の活動によってもさらに支持されている。社会的、経済的、政治的側面を含め、開発問題全般を事実上カバーする専門知識を有しているのは、国連をおいて他にない。また、人道援助あるいは平和維持から開発活動に至るまでのあらゆる段階において、支援を提供する能力を備えているのも、国連だけである。  11. しかし、国連の活動能力と野心的計画だけで、その広範な議題に完全な対応を行うことはできない。場合によっては、国連の活動任務が、加盟国によって提供される資金を大幅に超過し、ニーズおよび期待と現実の活動との間に埋めることのできないギャップが生じている。また、国連が単に活動の実施主体として適していない場合もある。  12. 国連の制度的欠点の大きな原因は、この半世紀の間にその機構が細分化、重複、硬直化し、分野によって実効性を失ったり、過剰になったりしていることに見出せる。冷戦と、その結果として生じた東西のブロック的政治体制により、特に平和と安全保障の分野で、憲章に描かれた多くの役割を実行することは国連にとって極めて困難となり、場合によっては不可能となった。事実、このような事態は、プログラムの優先度から組織的形式、人事管理に至るまで、国連全体の機能に悪影響を与えたのである。  13. 冷戦時代の好ましからぬ状況のなかでも、国連は、多くの新たなイニシアチブに着手することができたが、このようなイニシアチブは、単にそれまでの活動に上塗りされることがあまりにも多かったため、その活動に効果的に統合されたり、不必要となった任務に完全にとって代わることはなかった。これまでの国連の機能改革に向けた努力も、この同じ諸力によって制約を受けた。よって、改革努力は、効果的管理機構を制度化するよりも、並行的なメカニズムをつくり出したり、調整のための追加的機関を創設したりすることのほうが多かったのである。  14. 冷戦終結後、国連は、そのサービスに対する需要の急激な増大への対応に迫られ、これを急いだ。国連は、民主制への移行、国民的和解および市場改革への援助を開始した。また、これまでにない規模の人道援助の要請も突きつけられた。国連の平和維持メカニズムは、一時、守るべき平和が存在しない場合でさえも、国際社会の緊急出動隊となり、消防団となり、憲兵隊となり、さらには軍事的抑止力ともなったのである。その過程で過ちも生じたが、多くの場合、これは、国連に与えられた手段が必要性と釣り合わないことによるものであった。  15. 冷戦終結直後の混乱が過ぎ去った現在、国連は、一歩下がって、持続的な目標実現のために最も効果的手段は何であるかを検討しなおす可能性と義務を併せ持っている。根本的な課題は、国連の活動の焦点、一貫性、対応力および費用効果の改善をもたらすようなリーダーシップと管理機構を作り上げることにある。 制度的枠組み  16. 国連の活動にとっての地政学的環境は、大きな変革の最中にある。次世代においては、世界で最も急速な経済発展を遂げる国々の大半は、現在の開発途上地域に所在することになり、現在までの着実な動きが一気に加速することになろう。しかし同時に、特にサハラ以南の後発開発途上国の多くは、この経済的拡大および変革のプロセスから取り残される危険性があり、外国からの援助の増大および多様化を必要としている。国連は、かかる変革パターンから生じる多様なニーズと課題に対応すべく、完全な備えを行わなければならない。  17. 国連の機能に影響を与えているもう一つの長期的な変化として、政策課題が、部門横断的あるいは部門超越的性格を持つものとなったり、このような考え方によってよりよく理解できるようになっていることがあげられる。伝統的な部門別パターンに体系的な疑問を投げかけることになった最初の重要な政策分野は開発であり、環境がこれに続いた。国連にとって、この変化は幅広い影響を及ぼしている。持続可能な開発、紛争後の平和建設、緊急援助活動、人道援助と開発協力の間の連携等、国連の新たな政策課題の多くは、部門的・制度的領域の両方を超越するものとなっている。  18. この変化が国連にとって持つ意味合いは明らかである。すなわち、今後の成功は、国連の様々な部局、基金および計画の間に目的の統一性を達成し、一貫した活動と戦略的な資源の展開を可能にするかにかかっている。さらに、専門機関およびその他の機関との協力およびパートナーシップも、通常の組織的活動の一部とならなければならない。  19. これに加えて、変化のペースも早まっている。科学的な進歩は、試験場から、工場や農場、さらには家庭や病院へと、これまでにないスピードで伝播している。運用資金の規模の増大と資本の移動性拡大は、歴史的に例を見ない速さで経済地図を塗り替えている。殺到する情報技術革新の波によって、最新型の製品や技術も、比較的短い間に時代遅れとなっている。24時間ニュースやインターネットは、リアルタイムで地球的関心を喚起している。また、一般的な知識革命の結果として、政策担当者および関係者は、現在の作為あるいは不作為が将来にどのような影響を及ぼしうるかについて、より多くを知るようになっており、政策上は、現在と未来の間の境界線自体が幾分ぼやけている。このように、政策決定の時間的文脈が大きく変容しているため、その中で活動するいかなる組織についても、小回りと柔軟性が一層重要となっている。国連もその例外でない。  20. 最後に、あらゆる国際機関が活動している制度的枠組みには、公共、民間を問わず、その他の国際的主体がより密接に関与するようになっている。国連について言えば、1946年に原加盟国51ヵ国がレイク・サクセスで初めて総会を開いた時、ブレトン・ウッズ機関はほとんど機能していなかった。関税貿易に関する一般協定もまだ存在していなかった。地域機関もほとんど設立されていなかった。大半の政府は、外為規制と貿易制限を行っていたため、国際的な経済取引の流れは最小限に抑えられていた。国際赤十字等顕著な例外を除き、国際的非政府機関は、各国の専門的な協会の上部機構にすぎないことが多かった。  21. 今日、国連の加盟国は185ヵ国を数え、あらゆるレベルで数千の政府間機関が存在している。これらの機関のなかには、国連よりもはるかに多くの資金を持ち合わせているものもある。さらに、拡大を続ける非政府機関の超国家的ネットワークは、環境や人権から小規模貸付に至るまで、事実上あらゆる公的関心事に関与し、村落から地球的サミットに至るまで、社会組織のあらゆるレベルで活発に活動している。また、民間セクターは超国家的拡大を続けている。国際的な資金の流れは、世界貿易の60倍にも及んでいるが、その貿易でさえも、世界の国内総生産を毎年5%程度上回る成長を続けているのである。開発途上国に対する民間の対外投資は急成長を遂げ、現在では、着実に低下傾向にある対途上国公的移転額を年間2000億ドル程度上回っている。  22. こうした動向は、国連にとって二重の意味を持っている。第一に、今後の成功のために、国連は、憲章に基づく任務全体のなかで、他者に対して比較優位を持つ活動あるいは活動側面に焦点を置かなければならない。第二に、これも成功のために、国連は、市民社会のその他の国際機関と協力する効果的な手段を考案することにより、その道義的、制度的、物質的資源のインパクトを増幅しなければならない。  23. 要するに、国連を取り巻く外部環境によって最も求められている組織的特性は、資源の戦略的展開、目的の統一性、努力の一貫性、敏捷性および柔軟性等、いくつかの側面において、最も不足している要素である。現在の改革努力は、この不均衡を是正し、21世紀に向けて国連の再活性化を図ることを目的としている。 改革プログラム  24. 本報告書に慨略する制度的改革は、3つのタイプの措置から成っている。第1のグループは、事務総長が自らのイニシアチブによって取ることのできる措置であり、主として事務局の計画および基金の組織・管理に関連するものである。第2のグループは、加盟国の管轄領域に入る補完的措置であり、この中には、加盟国の承認を必要とする政府間機関の機構および機能に関するものも含まれている。最後に、より長期的な意味で真剣に検討され、可能であれば行動に移されるべきいくつかのより根本的な提案が行われている。  25. 改革は一回きりの出来事ではなく、一つのプロセスである。そして、このプロセスは本報告を以て終わるものではない。よって、ここに含まれる提案は、より大きな力と弾力性と柔軟性を備えた国連をつくり出す方策を明らかにしているという点だけでなく、これら方策の実施が将来の国連の発展に一般的な方向性を与えるという点でも重要である。21世紀は、さらに深く急激な世界的変革の時代となると見られている。国連はこれに備えなければならない。 II.変革への着手  26. 制度的改革に向けた努力は、事務局の部局から政府間作業部会に至るまで、事実上国連のあらゆる構成部門において進んでいる。本報告で提示する提案は、これらの努力に基づくものである。しかし、ここでの視点は異なっている。すなわち、本報告のイニシアチブは、国連全体の機構および機能、特に、その全体としての行動能力に関するものである。それだけでなく、国連事務局に関するかぎり、本報告のイニシアチブは、既存の機構図を出発点とはせず、一般的にも、国連の実質的活動領域のそれぞれにおいても、是正が必要とされる主要な制度的問題をその出発点としている。 A.新たな指導・管理構造  27. 国連の行政担当責任者として、事務総長は、加盟国の政策および指示が、効率的かつ効果的に実行に移されることを確保しなければならない。事務総長は、国際社会が直面する重大な問題に関し、アイデアとガイダンスの提供を期待されている。究極的には、国連創設準備委員会が50年以上前に指摘したとおり、「事務総長は、他の誰よりも、国連全体を代表する立場にある。世界の目から見て、事務総長は、国連が遂行しようとする憲章の原則および理想を体現していなければならない。」現在の制度的改革努力を実施する上で、事務総長は、このような課題に立ち向かおうとしているのである。  28. 1997年1月、事務総長は、平和と安全保障、経済・社会問題、開発協力、人道問題および人権という、国連の中心的任務を形成する5つの分野を核として、事務局の作業プログラムを再編することで、改革への第一歩を踏み出した。このプロセスは、国連のすべての部局、計画および基金を対象とした。その後、最初の4つの分野について執行委員会が設置され、人権については、部門横断的分野として、4つの委員会すべてで取り上げられることとなった。あらゆる国連機関は、一つあるいは複数の中核分野を担当することとなった。  29. 執行委員会設置のねらいは、努力の重複を削減し、補完性と一貫性を改善することにより、各ユニットによる国連の目的全般に対する貢献を先鋭化することにあった。よって、執行委員会は、政策策定、意思決定および管理の手段として意図されている。国連の各機関の長は、作業計画、および、実質的・行政的なその他の共通の関心事項について相互に協議を行い、資金およびサービスをプールする方策を探ることによって、計画のインパクトの極大化と行政コストの極小化を図るとともに、より一般的な意味で、共同の戦略計画策定および意思決定を促進している。  30. 執行委員会の作業は、既に実際的な成果を生み出している。例えば、開発協力に関する執行委員会は、国別の政策計画協力のための枠組みの創設に向けた活動を行っているが、この枠組みは、各国レベルにおいて、国連のあらゆる開発基金、計画、および、最終的には期待として専門機関のプログラム活動のための共通の出発点となるものである。  31. 1997年3月、事務総長はさらに一連の行財政改革措置を発表した。3つの経済・社会関連部局は一つに統合され、この分野における国連の多面的努力は合理化されることになった。これと同時に、国連の立法機関および会議の作業に対する支援を改善すべく、政府間フォーラムにサービスを提供する3つの事務局の部局も一つに統合されている。さらに、国連事務局全体において、管理職が一連の効率化プロジェクトに着手している。約550件に及ぶこれらプロジェクトのうち、1997年6月までに265件が完了している。かかるプロジェクトは、プログラム実施における費用効果の改善を目的としている。  32. 上記およびその他の節約の結果、1998−99年度事務総長プログラム予算案は、マイナス成長となっている。予算案には、事務局職員ポストの1,000名削減(1984−85年度の最大12,000名に比し25%減)も盛り込まれている。この2つの動きは、以下に示すとおりである。 ●表が入る  これらの目標は、与えられた任務を犠牲にすることではなく、それをより費用効果的に遂行することによって達成されたものである。しかも、本報告書に示された改革プログラムは、このような成果をさらに促進・支援するものとなっている。  33. かかるイニシアチブにより、制度的慣行において大幅な進歩とプラスの変化が生じており、その結果今日では、これを強化し、さらに積み上げることが可能となっている。よって、事務総長は、加盟国に補完的な勧告を行う一方で、事務局の組織を再編するためにさらに一連の行動を実施する予定である。 事務局の指導能力強化  34. 最初の課題は、事務総長および上級管理職の能力を強化し、基金および計画を含め、国連全体における目的の統一性、努力の一貫性、敏捷性および対応力を改善することである。以下に掲げる措置および提案は、戦略的焦点がほとんどない、ばらばらなユニットの寄せ集めであるとの指摘がなされている従来の事務局の組織をより一貫性のある、水平的な、より戦略的で小回りのきく組織に変容させることを意図している。この新たな管理機構は、「変革のための枠組み」と題する付図に示されている ●上級管理グループ  35. 事務総長は、「上級管理グループ」の設置に取り組んでいる。メンバーには、4つの執行委員会の召集役に加えて、事務総長が選任する上級管理職が数名含まれることになっている。事務総長が議長を務める上級管理グループは、変革プロセスを指導し、国連全体における健全な管理を徹底させる上で、事務総長を補助することを第一の任務とする。  36. 執行委員会は、本報告の成果を反映すべく、構成および機能の変革を行いながら、活動を続けることになる。その新しい責任事項の一つとして、本報告第2部に詳細を示す多くの勧告の実行があげられる。事務総長はまた、すべての部局、計画および基金の長との間で、定期的会合を継続する。 ●副事務総長  37. 事務総長の任務が多岐にわたっていることは、同人の力の大きな源泉となっているが、その一方で、事務総長が国連に対して継続した知的・組織的リーダーシップを発揮することに傾倒できる能力を制限している。同様に、国連の実質的プログラムが広範に及んでいることも、国連の制度面での潜在的能力の大きな源泉である。複雑な緊急事態、あるいは、平和維持から紛争後の平和建設、さらにはより長期的開発課題への移行等、国際社会あるいは各加盟国のニーズが活動部門を超越している場合、そのことは特に重要となる。しかし、国連は常にこうした力を活用することができるわけではない。  38. よって、事務総長は、総会に対して、副事務総長のポスト設立の勧告を行う予定である。事務総長の要請に応じて責任を果たす副事務総長は、機能的部門および事務局ユニットを超越する活動およびプログラムの成功を保証する上で特別な役割を果たすことになっており、これによって、部門横断的・機関横断的一貫性の達成について、事務総長がフルにその職権を発揮できるようになる。 ●戦略的計画策定ユニット  39. 急速かつ複雑な変革の時代に、事務総長が効果的に国連を指揮する能力は、最善の政策関連情報・研究に同人がアクセスし、これを利用できるかどうかにもかかっている。よって、この点で事務総長をサポートするため、小規模な戦略的計画策定ユニットが設置される予定である。同ユニットは、生じつつある地球的な課題および動向を明らかにし、国連の役割および作業方法にとってのその意味合いを分析するとともに、事務総長および上級管理グループに対して政策を提言する任務を有する。 ・総会による戦略的指令の強化  40. 総会は、国連の機関のなかでも、憲章の普遍性および民主性をもっとも良く体現している機関である。総会は、国連活動の全般的な枠組みを定めている。世界が新たな課題と複雑な問題を抱えながら新世紀を迎えようとするなかで、総会と事務総長は、共通の理解と目標に基づき、密接で補完的な関係を築き上げなければならない。よって、事務局内の概念的・制度的一貫性を強化する努力と並行して、政府間レベルでも同様の努力が行われれば、これは極めて有意義なことと言える。この目標は、次のようないくつかの手段によって実現できよう。 ●集中的な立法審議  41. 総会および経済社会理事会(ECOSOC)のプログラムに、国連会議の主要な要素を組み入れることが好ましいと言える。これは、総会に対して、1週間の特別高級レベル協議の対象となる議題について、たとえばその2年前に決定を行わせることによって達成できよう。この場合、協議の準備はECOSOCあるいはその他適当な機関の責任となるが、これらの機関は、国連会議の準備のために開発された技術および方式の多くを活用できることになる。総会が合意すれば、最初の議題を「開発のための国際金融」とするのも一案である。  42. 総会がその主要委員会の各々に対してテーマ別に作業を集中させるよう手筈を整えることも有益と言える。このようなテーマ別の討議は、各総会会期において、現在特に懸案となっている限られた分野について突っ込んだ対応を行うための集団的努力の一環となろう。 ●議題の絞り込み  43. 事務局の作業は、総会あるいはその他の立法機関から受ける指示から直接的に派生するものである。これらの指示をすべて実施するのは事務総長の責任である。加盟国は、総会の議題について深く掘り下げた見直しを行うことにより、国連全体の実効性を向上させるとともに、事務総長が事務局の資源を最優先分野に集中させることを可能にできる。長年の間、重要性が低下したり、対処すべき状況が変わっているにもかかわらず、依然として議題に上りつづけている事項も多くなっている。見直しを行うことによって、削除できる優先度の低い議題を明らかにするとともに、今後の優先分野を反映するように議題を変化させるようなプロセスを確立することが可能になろう。また、これによって、総会が迅速に討議を完了できるとも考えられる。 ●終焉規定  44. これに加えて、事務総長は、総会に対し、新たな機構の設置や、多額の資金のコミットメントが絡むイニシアチブについて、総会の明確な行為によってこれを再検討・更新できる特定の期限を設けることを提案する。 ●結果指向の予算作成  45. いずれの組織においても、予算編成プロセスは、その戦略的機能および方向性に最も大きな影響を及ぼす制度的メカニズムの一つである。よって、加盟国が資金の利用について最大限の透明性を望むのも当然である。同時に、プログラム管理官は、各国政府がより大きな政策指導力を発揮しようとして義務づける人員のレベルおよびタイプ等、非常に詳細でしばしば柔軟性を欠くインプットにしばしば対処しなければならない。この過程で、指示された成果をどうすれば最も良く達成できるかという根本的な問題がややもすればないがしろにされている。  46. 従って、国連のプログラム予算をインプット処理システムから結果指向のシステムへとシフトさせることを目的に、加盟国と事務総長との間の対話を提案する。加盟国の多くが国内レベルで既に採用しているこの新しいアプローチにより、総会は、その関連委員会を通じて、国連がその予算の範囲内で実現をすべき成果を明確に示すことになる。事務局は、特定された成果がどの程度達成されたかについて責任を負い、また、これによって評価される。同時に、事務総長は、かかる成果を最も効果的に達成するためのインプットの配合を正確に決定する責任を担うことになる。 ●憲章に基づく分業の回復  47. 憲章およびその準備資料には、総会と事務総長の間に明確な分業が存在すべきであるという意図が明確に示されている。いずれか一方による他方の権限の侵害は、国連の効率的・効果的活動を損なうものである。長年にわたって、総会は、高級レベルの職員任命を含め、事務総長の事務局運営能力を制約する決議および慣行を採択・確立してきた。また、一方で、総会は、プログラムの目標および実施について、十分なガイダンスを提供しないこともあった。  48. 事務総長は、国連創設時に考えられていたバランスの回復に向けて、総会がこの2つの機関の間の役割および責任の分担を見直すことを提案する。この点について、事務総長に総会への具体的提案を行う機会が与えられれば幸いである。 ・各国レベルでの統一的活動  49. 国連は、政府および非政府機関と協力しながら、開発の促進、難民の救済、子どもの予防接種、人道援助の実施等、国別レベルで様々な活動を行っている。しかし、これらの活動に関与する各種の国連機関は、他の機関のプレゼンスを考慮したり、これから利益を得たりすることなしに、別個に自らの活動を行うことがあまりにも多くなっている。戦略的管理イニシアチブが本部レベルで達成することになる目的の統一性と行動の一貫性の改善は、フィールド・レベルでも反映されなければならない。 ●プログラムの一貫性と補完性  50. 下記に述べる国連開発グループ(United Nations Development Group)の国連本部への設置と並行して、事務総長は、これに参加する基金および計画に対して、各国レベルでこれに対応する協議・協力の手筈を整えるよう要請している。さらに、国連の各計画および基金が提供する国別レベルの援助は、「国連開発援助枠組み」(United Nations Development AssistanceFramework)に統合されることになっている。 ●国連ハウス  51. 国別レベルで任務を実施中の国連機関はすべて、「国連ハウス」(UN House)と呼ばれる共通の建物の中で、単一の国連旗の下に活動することになる。駐在調整官がいる国については、すべての基金・計画および国連広報センターが、駐在調整官を長とする単一の国連事務所の一部となって活動する。 ・行政の効果および効率の改善  52. 需要が増大する一方で資金が制約を受ける中で、国連の管理システムを強化しなければならない。加盟国によって指示された委任事項の達成をよりよく支援するためには、より実効的な管理が必要である。 ●人材面  53. 現行の人的資源管理政策および慣行は、国連の任務を忠実に遂行するために、大きく改善する必要がある。総会の支持を受けた、事務総長の人的資源管理戦略に加えて、さらに努力を重ね、国連職員大半の才能および献身的作業を最適化しなければならない。総会からの要請を受けて、事務総長は、第53回国連総会に対し、現在までの上記戦略実施進捗状況に関する包括的報告書とともに、新たな提案を提出する予定である。また、事務総長は、第52回総会に対し、行動綱領案を提出することになっているが、これは、国連職員が最高水準の独立性と誠実性を充足することを確保するためのものである。  54. これに加えて、実質的技能およびその他の技能を改善するための管理職を含む職員訓練への投資、改革措置によって影響を受ける職員の再訓練、ならびに、規則の簡素化、採用・行政慣行の合理化およびより効果的なキャリア開発等、数多くのイニシアチブが実施に移されている。権限の分散および委任は、完全な答責性とともに、成功への鍵を握る要素である。さらに、事務総長は、職員の地理・性別構成のバランスをとるという国連の目標を完全に実現する決意を固めている。 ●任務遂行の強化  55. 事務局の各部局および各室は、加盟国へのサービスを強化しながら、可能な限り費用効果的に目標を達成する能力を向上すべく、管理上の見直しを実施している。情報技術と調達の合理化が行われているほか、ニューヨーク、ジュネーブ、ウィーンおよびナイロビには、共通のサービス施設が設立される。 ●国連の電子化  56. 国連は、すべての常駐代表部、非政府機関、および、あらゆる国々の一般の人々に対して、国連の資料、刊行物およびその他の情報への電子アクセスを提供している。1997年6月30日時点で、すべてのニューヨーク常駐代表部は、インターネットを通じ、国連のウェブ・サイトおよび光ディスク・システムに接続されている。 ・開発のための配当の捻出  57. 改革は、コストあるいは人員の削減を行うことを本来の目的としない。そのねらいは、加盟国から国連に委託された資源が、国別レベルを含め、与えられた任務の最も効果的・効率的な遂行に用いられるようにすることにある。事務総長は、来る2年間の会計年度において、非プログラム・コストを通常予算の38%から25%に削減し、この節約額を「開発のための配当」に回すという公約を行っている。 ●開発勘定  58. 事務総長は、総会が開発勘定の設立に同意することを提案する。開発勘定の資金は、非プログラム・コストの削減およびその他の管理効率化による節約から調達される。事務総長は、2002年1月1日に始まる2年間の予算年度について、開発勘定に少なくとも2億ドルを見込んでおり、1996−1997年度の通常予算で使用されない資金が生じれば、これを開発勘定設立のための「前払金」として利用する考えである。 ●表が入る 表の注釈 *1996−97年度通常予算で節約が生じた場合、これを開発勘定設立の「前払金」に当てることが提案されている。 ・市民社会とのつながり  59. 国際舞台で大きな勢力となっている市民社会は、その重要性をさらに増している。近年、国連は、経済・社会開発、人道問題、公衆衛生、人権推進等分野を問わず、特に国別レベルにおいて、その活動の多くに非政府機関およびグループが密接に関わり、多大な貢献を行っていることを承知している。同様に、ここ10年間における民間の国際経済取引のフローが大幅に増大していることにより、民間セクターは、国際的な経済変革の重大な推進力ともなっている。このように、世界的な市民社会がこれまでになく活発化していることがますます明らかになっているにもかかわらず、現在のところ、国連には、市民社会を取り込んでその作業の真のパートナーとする能力が十分に備わっていない。  60. このため、事務総長は、すべての国連機関が、各々の分野で活発な活動を行う市民社会組織に門戸を開き、これとより密接に協力するとともに、国連とかかる機関との間の協議および協力を増大させるよう、手筈を整えているところである。 ・コミュニケーション文化の浸透  61. 事務総長は、3月に発表したイニシアチブの一環として、国連広報活動の方向転換に関するタスクフォースを任命した。このタスクフォースが提出した包括的な報告書には、極めて根本的な結論および勧告がいくつか含まれている。とりわけ、報告書は、国連の戦略的管理の中心にコミュニケーション機能を置くことを促している。報告書の結論によれば、国連の成功は、効果的にそのメッセージを伝える能力と密接に関連しており、そのため新たなコミュニケーション文化を国連に浸透させなければならない。事務総長は、報告書のこのような中心的主張を支持し、実施計画を策定中である。 B.中核的活動  62. 前節で述べた新しい指導・管理構造のねらいは、国連の指導者に対して、目的の統一性、努力の一貫性および国連の対応力を改善するための道具を提供することにある。国連の実質的作業計画の策定も、このねらいを持って進められなければならない。国連全体の上級管理者が、お互いを分離させうる予算項目あるいは制度的境界ではなく、共通の実質的目的に基づいて活動することを学ぶ必要性は増している。本報告書の第2部に含まれている詳細な行動および勧告は、この点に関する事務総長の提案を、その理論的根拠とともに示すものである。以下では、主要な課題および提案について取りまとめる。 ・平和と安全保障  63. 冷戦後の時期における劇的な動向は、国際の平和と安全を育成・維持するという国連の役割に挑戦を投げかけた。平和維持は国連にとって依然として欠かせない手段であり、その効果を改善するための努力が行われているところである。同様に、予防外交および紛争後の平和建設のための制度的能力も強化されている。  64. 平和維持の分野では、加盟国との間で、平和維持活動のために合意された待機状態に置くことのできる要員および機材に関し、正確な了解を取り付ける上での大きな進展が見られた。事務総長は、加盟国に対し、国連が平和維持活動を迅速に準備・展開できるような取極に合意するとともに、このための手段を提供するよう促すものである。  65. 予防外交に関し、国連は、安全保障理事会の努力を支援することを目的に、国際の平和と安全に対する潜在的な脅威を察知すべく、地球的な監視を続けている。この早期警戒システムは継続的に改善されており、安全保障理事会およびその他の関連機関は、時宜にかなった助言を受け、これに基づいて予防行動を実施できるようになっている。  66. 事務総長は、政治問題局を、紛争後の平和建設に関する国連の中心的主体に指定した。これはすなわち、危機から立ち直りつつある国々における国連の努力が、完全に統合され、かつ、安全保障理事会および事務総長の特定する任務目標を忠実に反映するようにするためのメカニズムである。政治問題局は、この資格において、平和と安全保障に関する執行委員会の召集役を務める。  67. 大量破壊兵器、通常兵器を問わず、兵器の拡散は、国際的な安定を脅かしている。国連軍縮センターは、軍縮・軍備管理局(Department for Disarmament and Arms Regulation)として再編中である。同局の最優先課題には、あらゆる種類の兵器拡散を防止するための戦略および政策の開発、ならびに、紛争地帯への通常兵器の流出規制が含まれることになる。 ・経済・社会問題  68. 経済的・社会的進歩の促進は、憲章に盛り込まれた国連の主要目標のうちの一つである。貧困の軽減、および、拡大する世界経済へのより多くの国々によるより積極的な参加の促進等、長期にわたって未解決のいくつかの問題は、引き続き深刻な課題を提示している。また、ここ数十年間には、持続可能な開発、男女平等、様々な側面におけるグローバライゼーション、ならびに、犯罪、テロおよび麻薬取引の超国家的ネットワークの広がりといった、新たな課題も生じてきている。これらの分野で国連の機能を向上させるため、一連の措置が提案されている。  69. 経済・社会分野の3つの部局は、新設される経済・社会問題局(Department of Economicand Social Affairs)に統合されつつあるが、これによって合理化と効率化がさらに進むことになる。これに加えて、事務総長は、加盟国に対し、経済社会理事会を強化する方策を提案している。提案の中には、特にマクロ経済政策の分野での専門家からのサポートに対する経社理のアクセス拡大、および、そのいくつかの補助機関の統廃合が含まれている。  70. ウィーンは、国連による犯罪、麻薬およびテロ対策努力の統合本部となる。新設される国連麻薬統制・国際犯罪防止事務所(United Nations Office for Drug Control and International CrimePrevention)は、この分野における国連の活動を統合・強化するための重要な機関である。  71. 事務総長はまた、環境、持続可能な開発および人間居住の問題に最も直接的に関与している国連の2つの機関、国連環境計画と人間居住センターを強化し、可能であればこれを再編する道を探っている。 ・開発協力  72. 開発協力の分野では、開発活動に従事する国連基金・計画はそれぞれがもつ特殊性と焦点が明確で、対象となる国々および人々は極めて重大な利益を享受しており、それによって国連の全般的任務にも大きく貢献している。しかし、開発活動が最大限の効果をあげるには、国連にとって、現在よりもさらに統合された協力的なアプローチが必要である。事務総長は、かかる2つの懸案事項を調和させるべく、大がかりなイニシアチブをいくつか提案している。  73. 現在設立中の国連開発グループ(United Nations Development Group)は、主要な国連開発計画・基金、ならびに、部局およびその他の関連機関から構成されることになっている。開発グループの目的は、共同の計画策定および意思決定を促進すること、プログラム協力を奨励すること、ならびに、管理効率を改善することにある。国連本部におけるこの変革は、地域・国別レベルにも反映され、すべての国連プログラムは国連開発協力枠組み(U nited NationsDevelopment Assistance Framework)の中で統合される。  74. 開発グループに参加する基金および計画は、それぞれ現在の特殊性および責任体制を維持することになるが、事務総長は、加盟国に対し、変革に対応して、例えば各機関の管理理事会の合同委員会や連続的会合を開くことにより、より統合的な監督を促進する方法を探るよう求めている。  75. 最後に、事務総長は、世界銀行と国連との間の協力を強化し、より大きな合理性と協調性を達成するために、世銀総裁との協議を開始した。 ・人道問題  76. 国連の人道上の任務は、自然災害およびその他の緊急事態の犠牲者を援助することである。近年、人道的緊急事態は、内戦を含む複雑な政治的・軍事的環境で発生することが多くなっているが、このような場合、救援要員自らが危険にさらされかねない。これは総会も認めていることであるが、経験によれば、今日の人道援助活動は、救援の枠をはるかに越え、早期警戒、予防、唱道および復旧、ならびに、より長期的な開発への移行をも包含するものとなっている。また、国連の人道的な対応の調整および早期展開に改善が必要なことも明らかである。  77. このため、事務総長は、人道援助調整を担当する事務局機構の大幅な再編を図っている。現在の人道問題局の活動責任は、現地で援助を提供するその他の適切な機関に移転される。同局の調整および主張擁護の役割は、強化された上で、緊急援助調整官が遂行する。さらに、機関間の調整、フィールド・レベルでの調整および資源動員を強化するために、運営委員会が設置される。 ・人権  78. 人権は、平和と安全保障、経済的繁栄および社会的衡平の促進と不可分の一体を成すものである。世界的機関としての存在期間を通じ、国連は、国民的・文化的多様性を認識しながらも、人権を積極的に推進・擁護し、国際協定の遵守を監視する手段を考案してきた。このため、人権問題は、事務局作業計画の4つの実質的分野(平和と安全保障、経済・社会問題、開発協力および人道問題)のすべてに関わるものとされている。  79. 従って、人権プログラムを拡充し、これを国連の活動に幅広く完全に統合することは、国連にとって重大な任務と言える。既に顕著な変革がいくつか実施されているほか、事務総長は、人権高等弁務官事務所と人権センターを単一の人権高等弁務官事務所に統合しているところである。よって、新任の人権高等弁務官は、人権分野について、国連の任務を指導するための強固な制度的基盤を持つことになる。 C.今後の道のり  80. 前節で求められた変革が実施されれば、国連は、本報告の冒頭に定められた目標、すなわち、国連が得意とする分野でより多くの成果をあげることに向けて大きな一歩を踏み出すことになろう。事務総長が取るべき措置のほとんどは、すぐにでも実行可能であり、これらについては即座に実施に移される。加盟国による討議および合意が当然に必要となる変革の実施については、これより時間がかかることは避けられないが、いずれの変革についても、1999年末までには実施できるものと見られる。  81. しかしながら、望まれる変革はこの他にもたくさんある。その中には、根本的性質を持っているため、現在のところ政治的コンセンサスが存在しえないものもあれば、国連憲章が規定する総会および事務総長の権限を越えているために、憲章の修正を必要とするものもある。しかし、国連が21世紀に求められるサービスを提供できるようになるためには、これら一層広範な課題への対処を今から始めるプロセスを設置することが重要である。本節では、本報告書で提案されている改革措置の結果として生じるこれらの問題のうちのいくつかを明らかにする。このような課題は、国連の多くの主要機関、国連とその機関との間の関係、21世紀に法の支配を大幅に強化することになる新たな司法機関の創設、および、市民社会との関係に関連するものである。 ●国連の資金調達  82. 国連の不安定な財政状況は、一部の加盟国による分担金の迅速かつ完全な支払いに関する条約義務の不履行と直接的に関係している。国連財政が修復されなければ、現在の改革努力は最適な成果を達成できない。事務総長は、加盟国に対し、速やかに、善意を以て財政危機を解決するよう要請する。  83. 加盟国は、相互に、その財政的義務を果たす責任を負っている。しかしながら、国連の財政危機が最終的に解決されるまでの暫定措置として、事務総長は、自発的拠出、あるいは、加盟国の望みうるその他の手段を通じ、当初10億ドルの資金をもつ、回転信用基金(RevolvingCredit Fund)を加盟国が設立することを提案する。 ●信託統治の新概念  84. 国連は、第一に加盟国に対して奉仕する機関として設立されたものの、世界中の男女および子どもの最も崇高な願望を表明する機関にもなっている。事実、国連憲章の冒頭では、「われら連合国の人民」が、平和で公正な世界秩序を達成する決意が表明されている。国連と市民社会組織との間の関係は、国連のあらゆる重要な課題分野において、大きな発展を遂げている。こうしたセクター・制度間の交流が最も進んでいる政策分野が、地球的共有領域である。  85. 加盟国は、信託統治理事会の維持を決意したものと見られる。よって、事務総長は、地球環境、および、海洋、大気圏、宇宙等の共有領域の全一性を守るために加盟国が集団的信託統治権を行使する話し合いの場として、同理事会を再構築することを提案する。同時に、信託統治理事会は、公共、民間およびボランティア・セクターの積極的貢献を必要とするこれらの地球的懸案事項に取り組む上で、国連と市民社会を結び付ける役割を果たさなければならない。 ●国連システム  86. 憲章の規定によれば、国連の作業は、分散化された専門機関システムに基づくべきものとされている。これらの専門機関は、それぞれ個別の政府間条約によって設立され、各々の管理機関に直接に責任を負っている。憲章によれば、その政策および活動に対する国連の権限は、その「調整」のための「勧告」を行うことに限られている。本改革努力によって提案された諸措置は、国連自体、すなわち、国連の事務局、計画および基金に焦点を置いている。しかし、国連の目標を完全に実現するためには、システム全体における意思および行動の協調性を大きく改善する必要がある。  87. 事務総長は、自らが議長を務める行政調整委員会を通じて、国連システム全機関の長との間で、より密接な協力を行い、国連システム全体を新たに直面する課題に適応させる同委員会の能力を強化していく所存である。これによって、現行の国連システム機構の内部における分業合理化が促進されよう。  88. 同時に、既存の構造には、各国政府の注意を喚起すべきギャップが存在することも事実である。例えば、エネルギー部門、科学技術、あるいは、多くの国で生じている国営企業の民営化といった問題については、現在のところ包括的な対応の柱となる機関が存在しない。このような空白領域は、再編・活性化されるUNIDOの任務に含むこともできるが、同機関の将来は、最近実施された顕著な改革およびコスト削減にもかかわらず、依然として不透明である。事務総長は、UNIDOの将来の問題が、この幅広い文脈から再検討されるものと信じており、このための仲介を行っていく所存である。  89. さらに、分散システムの利点を維持しながら、その欠点を是正する最善の方策についても、検討を行う必要がある。このため、事務総長は、加盟国が閣僚級の特別委員会の設置を検討し、国連憲章、および、専門機関の活動根拠となっている条約を修正する必要性いかんを審査することを提案している。これにより、システムとしての国連が21世紀の国際社会によりよく奉仕できる能力は、大幅に改善されることになろう。 ●国際刑事裁判所  90. 国連の存在期間に匹敵するほぼ半世紀にわたり、総会は、集団殺害、人道に反する犯罪および戦争犯罪等の罪を犯した者を起訴・処罰するために、国際刑事裁判所を設立する必要性を認めている。最近の過酷な人類の悲劇は、これを一層急務にしている。1998年6月には、同裁判所を設立する条約を最終化・採択するための国際会議が開催されることになっている。事務総長はこの努力を強く支持するものである。 ●千年期総会  91. 新たな世紀と千年期の到来は、国連にとって、本節で取り上げられた課題および提案についての、進捗状況を検討し、将来の方向性を定める絶好の機会である。西暦2000年の国連総会を「千年期特別総会」("Millennium Assembly")とし、この中でサミット会議を開催するならば、各国政府首脳は、新たな千年期に向けた期待と課題を表明するとともに、国連の役割の根本的見直しのためのプロセスに合意することができよう。さらに、これとは別の並行的行事として、市民社会の代表に対し、「人々による千年期総会」("People's Millennium Assembly")の開催を呼びかけるのも一案である。 III.新世紀のための新しい国連  92. 20世紀の歴史は、多国間主義の有用性を決定的に示している。戦間期において、世界の国々は、経済面では排他的な貿易・金融ブロックに基づき、政治面では競争的な二国間同盟に基づき、国際関係の運営を組織しようと試みた。その結果、国際社会、さらには、これに資するはずの国際連盟の骨組みは、極めて脆弱なものとなったため、まず経済的紛争へ、さらには軍事的災禍へと世界を突き動かした隔世遺伝的勢力を抑えることができなかった。第2次世界大戦後に国際秩序を再構築した指導者の世代は、この教訓を深く心に刻んでいた。それ以降、国連はこれらの人々の理想を体現するものとなっている。  93. 歴史はまた、普遍的な原則、権利および合法性の共有意識によって教唆・抑制されない、権力の誇示のみに基づく国際関係の秩序は、永続的基盤を持たないことも示している。このような国際秩序は、自らを生成・維持している物質的能力の不均衡とともに崩れ去る運命にある。国連の創設者は、この教訓をもしっかり把握しながら、その政治的現実主義によって、普遍的原則を、その実現に最も大きく貢献できる者の特別な役割および責任と調和させたのである。  94. 最後に、20世紀の歴史は、国際社会が、多角的原則および規範に基づく大きな対応能力を持つことを示している。特に20世紀後半には、植民地帝国の終焉、冷戦の勃発と終結、過去にない速さでの新興経済勢力の出現、諸国家が対処を迫られる政策課題の急速な拡大等、激しい変化が続発している。それまで、国家システムにおける根本的な変化は、システム全体をまきこむ紛争と結びついていることが多かった。第2次世界大戦後に設立された多国間機関は、世界的レベルでも地域的レベルでも、地政学的・経済的変革の安定化に貢献しており、これら機関を創設した世代の期待に大きく応えている。  95. 人口の動向にせよ、地球的生産構造のシフトにせよ、金融統合の継続にせよ、相対的経済成長率にせよ、予想される生活圏の変化にせよ、今後約四半世紀について知られていることはすべて、少なくともこれまでと同程度の変革が続くことを示している。よって、国際社会は、自らに対しても、後の世代に対しても、かかる変化がもたらしうる相互利益を十分に活用する一方で、その有害な帰結を抑制する義務を負っていると言える。本報告で提案された改革により、国連は、この課題に立ち向かう上で、自らの役割を果たすための装備を改善できることになろう。 ●背景情報(事務総長報道官室配信) ●指導力と戦略的管理の強化 ・課題  国連の議題に上ろうとしている問題は多い。しかし、国連は、地球的な問題すべてを議題にのせることはできない。よって、戦略的優先事項に重点を置き、公共、民間を問わず、変わりゆく世界の各主体と新たなパートナーシップを形成することが必要である。現在まで、国連システムは、戦略的な焦点あるいは一貫性をほとんど持たない、一連の個別ユニットとして特徴付けられてきた。ここでの課題は、意思決定をサポートし、協力を促進し、戦略的優先課題をより重視し、複雑な緊急事態および問題に対応できるような、一貫性のある、戦略的で小回りのきく機構を確立することにある。 ・事務総長のイニシアチブ  ●事務局の指揮系統および作業計画を、平和と安全保障、経済・社会問題、開発活動、人道問題という、国連の重要戦略領域を反映する4つの主要部門に再編し、人権を部門横断的事項とする。  ●各部門について執行委員会を設置することで、国連のすべての部局、計画および基金を国連の中核的任務に結集させるとともに、改革のための枠組みを提示する。  ●事務総長に助言を行う上級管理グループを設立し、基金および計画を含め、国連全体における目的および指示の統一性を達成できるように、事務総長を補佐させる。上級管理グループは、事務総長を議長とし、4つの執行委員会の召集役と、事務総長が選任する数名の上級管理職によって構成される。  ●開発活動を行う国連の基金および計画を対象に、国連開発グループを設立する。  ●紛争後の平和建設努力の効果改善を支援するため、政治問題局を紛争後の平和建設に関する中心部局として指定し、関連執行委員会とともに、紛争後の平和建設に係る効果的イニシアチブの策定・実施に当たらせる。  ●国連が最善の政策関連情報・研究にアクセスできるようにする戦略的計画策定ユニットを設置し、事務総長および上級管理グループを支援する。同ユニットは、新たに発生する地球的な問題および動向への対処、それらが国連の役割および作業方式に及ぼす影響について評価かつ、国連大学および研究機関との連絡維持を担当する。  ●世界銀行と国連の間の協力および調整を強化するため、世銀総裁と協議を継続する。 加盟国の支持と承認によって可能となる改革  ●副事務総長のポストを創設する:副事務総長は、事務総長の要請によって責任事項を担当し、事務総長が本部に不在の際にこれを代理し、複雑な緊急事態や、平和維持から紛争後の平和創造への移行等、機能的部門およびユニットを超越する問題において特別な役割を果たす。  ●例えば、定期的に重要問題を掘り下げて検討したり、主要委員会の作業に定期的焦点を与える手筈を整えたりすることにより、国連の戦略的方向性および焦点を定める上での総会の役割を強化する方途を探る。その結果、限られた数の重大懸案事項に全体的努力を集中することも可能になる。 ●効果改善のための機構の合理化 ・課題  国連は、行動の実施と成果の達成のために一体となった努力を行うべく、細分化を抑え、重複を排除し、その機構を合理化しなければならない。 ・事務総長のイニシアチブ  ●経済・社会関連3部局を経済・社会問題局に統合することにより、経済協力および持続可能な開発における努力をより効果的に管理し、行政コストを削減する。  ●国連の立法機関および会議の作業を支援する事務局部局を総会・会議サービス局に統合する。  ●人権高等弁務官事務所と人権センターを単一の人権高等弁務官事務所に統合する。  ●人道問題局を緊急援助調整官事務所に置き換え、その活動機能を現地で実際のサービスを提供するその他の主体に移管する。  ●国連の犯罪、麻薬およびテロ対策を強化する。国連の犯罪、麻薬およびテロ対策の努力を結集させるため、麻薬統制・犯罪防止事務所を設置する。ウィーンをこうした努力の中心拠点とする。  ●その他の機関と協力して、行政調整委員会を強化し、国連システム全体の改革プロセスの指導に当たらせる。 加盟国の支持と承認によって可能となる改革  ●その他の地域・サブ地域政府間機関との関係で、改革後の国連における地域委員会の役割を再検討する。  ●人権委員会の議題を合理化する。  ●経済社会理事会の補助機関の統廃合提案を支持し、経済、社会および関連分野における国連の再活性化と、新たに発生する問題に関する経社理の協調的マクロ経済対話の促進能力の向上を図る。  ●国連システムが、一つのシステムとして21世紀の国際社会によりよく奉仕できる能力を大幅に改善するように、国連憲章、および、専門機関の活動根拠となる条約を修正する可能性を審議する、閣僚級特別委員会の設置を検討する。 ●準備体制の改善 ・課題  これまでの経験によれば、平和を維持する上で、活動を迅速に展開する能力は、武力紛争の一層の激化を防ぐことができ、人道的危機の場合には、速やかな対応によって、惨禍や悲劇を防止することができる。いずれの場合にも、早期警戒と効果的な備えが不可欠である。自然災害や政治的危機が発生した場合、国連には、加盟国の要請に応じ、迅速かつ効果的に行動する用意がなければならない。 ・事務総長のイニシアチブ  ●緊急援助調整官の役割を強化し、政策の開発および調整、安全保障理事会およびその他の政治的機関との人道問題に関する主張擁護、ならびに、国連システムの人道的緊急事態に対する効果的な対応を確保するための調整に重点を置く。  ●国連と非政府機関で構成される機関間運営委員会(Inter‐Agency Steering Committee)を強化し、人道的緊急事態への対応の迅速性、敏捷性および協調性を高める。  ●平和維持に関し、国連が突発的緊急事態に対応する能力を改善すべく、平和維持活動の軍事・文民要員の訓練を含め、実務的革新を追求する。その第1段階として、兵站基地には、非軍事要員の迅速な展開に備える出動機材が配備されている。  ●食糧備蓄の配置、待機サービス・パッケージ、および、緊急事態への対応改善のために提案中の地球的供給施設網(Global Supply Chain)等、国連人道活動プログラムの緊急対応メカニズムを拡充する。  ●政治的緊急事態を予見するため、、人道早期警報システムを強化する。 加盟国の支持と承認によって可能となる改革  ●各加盟国による、特定地域での平和維持貢献の事前コミットメント等、兵員および装備のコミットメントおよび迅速な派遣について、より信頼できる、予見可能な取極を開発する。  ●緊急展開の可能な軍事/文民派遣団本部設置のための取極を開発し、平和維持活動を当初から効率的かつ効果的に実施する。  ●平和維持活動が設置される際に、受入国政府との間で部隊地位協定(SOFA)を締結する期限を設け、派遣団の迅速な出動を促進する。 ●国別レベルでの国連活動の統一 ・課題  国連は、各国政府および非政府機関と協力し、子どもの予防接種、難民への食糧提供、選挙の監視等、その活動のほとんどを国別レベルで行っている。しかし、それぞれ国連の旗を掲げていても、各々の主体はその他の主体とほとんど関係なく個別の目標を追求しているために、国連はばらばらな主体の寄せ集めとして捉えられることがある。各開発機関の特殊性および能力を維持・拡大しながら、国別レベルでの一貫性を向上できれば、各国における国連のプレゼンスおよびプログラムの効果は増大し、国連主体間の重複は減少し、プログラム資源の利用はより費用効果的となり、政府およびその他の機関との協力は促進されることになろう。 ・事務総長のイニシアチブ  ●国連本部に国連開発グループが設置されるのと並行して、国連構成機関の間の協力および 一貫性向上を支援するために、すべての基金・計画および国連広報センターを、現地駐在調整官を長とする単一の国連事務所に結集させる。  ●南アフリカを皮切りに、国別レベルで国連機関共通の建物「国連ハウス」を設置するとともに、全世界における共通の建物およびサービスをさらに合理化する。  ●国別レベルにおける国連の援助プログラムの一貫性を向上させるため、各国政府との密接な協議により、共通の目標と時間的枠組みを有する「国連開発援助枠組み」を開発・実施する。先行プロジェクトは1997年中に開始する。  ●これまでの進展に加え、国連開発グループ内で、プログラム・予算枠組み、および、実績評価を調和させる。加盟国の支持と承認によって可能となる改革  ●例えば、UNDP/UNFPAおよびUNICEFの管理理事会の合同委員会および連続的会合を開催することで、加盟国による監視をさらに一体化し、各国政府の基金および計画に対する管理を強化する。 ●管理の効果および効率の改善 ・課題  需要が増大し、資源が縮小するなかで、国連の管理システムを強化しなければならない。加盟国が設定する任務の実施をよりよく支援する管理が必要である。また、国連に委託された資源が最も効果的かつ効率的に利用されること、ならびに、国連の最も貴重な資源である職員が、その作業を遂行し、より低コストでより大きな成果を実現するために必要な支援と権限を得られるようにすべきである。 ・事務総長のイニシアチブ  ●通常予算の総経費を三分の一削減し、ここから生じる「配当」を開発に配分する。  ●国連の管理者および職員による管理の見直しを拡充することで、委任されたプログラムの実施を強化し、加盟国に対するサービスを改善し、非プログラム・コストを削減する。このため、1997年12月までに、600件の効率化プロジェクトのうち少なくとも400件を完了する。  ●1997年6月30日現在、すべてのニューヨーク常駐代表部がインターネットを通じて国連のウェブ・サイトおよび光ディスク・システムに接続されているが、さらに、あらゆる国の代表部、非政府機関および一般大衆の国連資料に対するアクセスを改善するために「電子版国連」を創設する。  ●まず人的資源、調達、ならびに、フィールド活動に関する規則および手続きを重点として、権限と責任を管理職に委託し、プロセス、手続きおよび規則を簡素化することにより、事務局の中央行政を合理化する。  ●情報技術、調達等の支援サービスを強化するとともに、ニューヨーク、ジュネーブおよびウィーンの本部に一つあるいは複数の共通サービス施設を設置することで、国連主体に費用効果的で良質のサービスを提供する。  ●職員の育成・訓練のための資源を増大するとともに、改革措置の影響を受ける職員を対象とする今回限りの訓練・再配置プログラムのために、1500万ドルを上限とする予算を割り当てる。  ●1999年までに全ての加盟国の職員を事務局に迎えるとともに、国連における男女平等の目標達成に向けて大きな進展を遂げることを確保する。加盟国の支持と承認によって可能となる改革  ●国連の計画、予算および実績報告制度における「結果指向予算」へのシフト、すなわち、インプットの配分に基づく制度から結果に対する答責性を特徴とする制度への移行を検討する。このアプローチにより、総会は、特定された予算上の制約の枠内で国連に達成を期待する成果を定めることになる。事務局は、定められた成果の達成程度について責任を負うとともに、これによって評価を受ける。同時に、総会は、最も効果的に成果を達成する方法に関し、事務総長により大きな権限を委任する。 ●開発のための配当捻出 ・課題  改革は単にコストとスタッフの削減を意味するものではなく、加盟国によって国連に委託された資源が、与えられた任務を最も効果的かつ効率的に遂行するために用いられることを確保するための行為である。 ・事務総長のイニシアチブ  ●国連事務局の行政コストおよびその他の総経費の削減から通常予算に生じる節約により、2002年に始まる2年間の会計年度について、少なくとも2億ドルを開発活動に利用できるようにする。  ●1996−1997年度通常予算で何らかの節約が達成されれば、これを開発勘定設立のための「前払金」として利用する。 ●表が入る 表の注釈 *1996−97年度通常予算で節約が生じた場合、これを開発勘定設立の 「前払金」に当てることが提案されている。 ・加盟国の支持と承認によって可能となる改革  ●開発勘定を設立するとともに、行政コストおよびその他の総経費削減から生じる節約額の利用目的を特定する。  ●開発勘定提案との関連で、事務局の管理改革を支持し、不必要な会合および資料を削減する等の措置を講ずることにより、事務局と協力して「開発のための配当」の実現を図る。 ・・・各国レベルで一つの国連 ・・・戦略的指導構造 ・・・開発のための配当 ●横に表が入る ・・・安定的財政基盤の必要性 ●横に表が入る ●横に表が入る コスト削減・・・ ●横に表が入る 人員削減・・・ ●横に表が入る 書類削減・・・ ●総会議長の総会演説(7月16日) ●―「国連改革は、全ての政府と人民に裨益すべし」  ラザリ・イスマイル総会議長(マレーシア)は1997年7月16日、事務総長が「国連の再生:改革に向けたプログラム」と題する報告を提出したのを受け、総会で以下の声明を行った。  国連総会議長として、私は、事務総長に対し、報告書「国連の再生:改革に向けたプログラム」の提出に感謝の意を表します。報告書には、国連を今後の課題に対応できるようにするための、質的側面での広範な改革措置および提案が含まれています。  私はまた、事務総長とそのスタッフ、および、改革担当執行調整官に対し、新事務総長就任後わずか6ヵ月でこの報告書を作成・提出したことについて、お祝いを述べさせていただきたいと思います。  事務総長が就任した時、私達は、加盟国と事務局の間の恒久的なパートナーシップの構築を検討していました。この関連で、私達は、国連が引き続き世界の人民のニーズに応えられるよう、密接な協力を行うことを話し合っていたのです。  きょう、事務総長は、目的の統一性、一貫性および実行能力の改善を柱とする特定の改革案を国連に提示しました。また、事務総長は、共に国連の再活性をはかり、憲章の目的を達成できるよう、応分の役割を果たすように加盟国に要請しました。  私は、この機会に、加盟国に対し、これら提案を真摯に検討するよう求めたいと思います。そうすれば、私達は、来る千年期の課題に対応する上で、完全な装備と準備体制を備えた国連を確保することができましょう。事務総長提案を検討する際、私は、加盟国がこだわりを捨てることを期待します。周知のとおり、批判を行うことは簡単でも、建設的な態度をとるのは難しいことが多いものです。私は、これらの重要な提案が、ステレオタイプ化されたプロセスの犠牲とならないよう期待します。  特に、一部のグループに利益をもたらそうとする闘争に、これらの提案を巻き込んではなりません。国連は変革を遂げる必要がありますが、この変革は、単に一部の政府グループでなく、憲章に約束されているとおり、万人、すなわち、すべての国の政府とすべての人々に裨益するものでなくてはなりません。このような変革を以てはじめて、私達はすべて、自らの集団的ニーズに奉仕するとともに、国連が真に普遍的な家であることを強調できるのです ●16ヵ国首脳が事務総長の改革案に支持を表明  1997年8月10日、ストックホルム滞在中の事務総長に対して、16カ国が改革報告書への支持を表明した。以下は、この声明に関する記事資料である。  ストックホルム発、8月11日――8月10日(日曜)、スウェーデンのヨーラン・パーション首相が16カ国からの正式な支持声明を提示したことにより、アナン事務総長は、改革努力に対する非常に重要な支持を得た。この16カ国のグループの議長を務めるのはペルソン首相の前任者で、国連創立50周年であった1995年に、国連改革を促進するためにこのグループを創設したイングヴァール・カールソン元首相である。  16カ国の首脳は、「時宜にかなっている」として事務総長が7月に発表した改革案を歓迎し、この案は加盟各国の「全面的支持」を受けるにふさわしい、と述べた。声明は、「現実に実質的な前進を遂げるチャンスがある」と述べ、「その機会を逃すべきではない」としている。  「いまこそ、言葉を実行に移すべき時である」と声明は結ばれている。「団体行動を通じて、21世紀の地球的な課題に立ち向かう権限を国連に与えようではないか」。事務総長はペルソン首相の声明に感謝し、この声明は、総長の提案に対する各国の支持が高まっていることのしるしであると思われる、と述べた。事務総長は8月11日にカールソン元首相と会見する。  この16カ国とは、オーストラリア、ブラジル、カナダ、コート・ジボワール、チェコ共和国、エジプト、インド、インドネシア、アイルランド、ジャマイカ、日本、韓国、メキシコ、オランダ、南アフリカ、スウェーデンである。  16カ国の首脳による声明は付属文書として添付されている。 ●事務総長国連改革案に関する16ヵ国首脳声明 1997年8月10日  我々、全世界16ヵ国の国家元首および政府首脳は、1995年以来、国連の改革および強化に積極的な関与を行ってきた。  まず、我々は、スウェーデンのイングバール・カールソン元首相の発案により、1995年10月、国連創設50周年の際に会合を行った。この時に採択した地球的協力を支持する声明において、我々は、国連システム改革の重要性を強調した。それ以来、我々の個人代表は、定期的に会合を開き、継続中の改革プロセスの評価を行ってきた。  一致団結した行動の必要性は、事実上、あらゆる人間の活動分野で高まっている。グローバライゼーションという言葉自体も、民主主義、平和と安全保障、貧困の解消、持続可能な開発、人権、組織犯罪、テロリズム、麻薬、人道的緊急事態、難民問題、核軍縮、および、その他多くの地球的課題に取り組む上で、諸国家および社会が共同で行動すれば、最も大きな効果が得られることを示している。独力でこれらの課題に対処できる国家はない。この観点から、相互利益と連帯責任に基づき、諸国家間のパートナーシップを強化する必要がある。  外交の場では、すべての国家の見解を尊重する必要がある。国際的な問題および危機には、国際社会全体で取り組みを行わなければならず、国連システムはこのための主要な話合いの場と言える。  国連事務総長は、就任当初から、国連改革を積極的に主張してきた。3月の第1次改革パッケージに続き、事務総長は、7月16日、さらに国連の改革・強化を目指す一連の包括的行動および勧告を提示した。これらの提案は、国連が現在直面する多種多様な課題に取り組むものである。その中には、組織的詳細を対象とするものもあれば、今日の最も緊急なニーズに取り組むものもある。全体として、これら提案は、時宜にかなった、歓迎すべきイニシアチブである。  国連がその中心的役割を回復するためには、改革とコミットメントの両方が必要である。我々は、国連に健全かつ存続可能な財政基盤を確保することが、改革努力と不可分の一体を成すと信じている。このため、我々は、全加盟国による分担金全額の遅滞ない無条件の支払いが重要であることを強調する。国連をより強力で、より効果的・効率的で、かつ、加盟国全体が設定した優先課題に見合うものとすることが必要なのである。  国連内部の改革プロセスはこれまでなかなか進展しなかった。しかし、現在、実質的で大幅な前進を遂げる機会が訪れている。この機会を逃すべきでない。  我々16ヵ国グループは、多国間協力の強化・再生に向けて努力するという、強いコミットメントを共有している。我々は、事務総長およびその努力が、現時点で我々の完全な支援を受けるべきであると信じ、事務総長提案を慎重に検討していく所存である。我々は、改革プロセスが、可及的速やかな具体的成果と、我々がすべて信ずるところの強力で活発な国連をもたらすものと期待する。我々はまた、事務総長のイニシアチブにより、国連の包括的改革達成へ向けて一層のはずみがつくものと期待している。  よって、我々は、同胞である全国連加盟国の首脳に対し、事務総長が次回総会での討議向けに提出した提案に正当な注意を払うよう促すものである。言葉を実行に移すのは今であり、加盟国は、現実の改革に関する決定を下し、実際的な実施措置を確保すべきなのである。我々は、集団的行動を通じ、21世紀の地球的課題に対処する力を国連に与えることを呼びかける。  16ヵ国グループは、オーストラリア、ブラジル、カナダ、コートジボアール、チェコ共和国、エジプト、インド、インドネシア、アイルランド、ジャマイカ、日本、韓国、メキシコ、オランダ、南アフリカおよびスウェーデンの国家元首あるいは政府首脳から構成される。 1997年8月 国際連合広報センター 東京都渋谷区神宮前5丁目53−70国連大学ビル8階 〒150電話(03)5467‐4451〜2 UN home page http://www.un.org