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国連事務総長が訪日: G7に対し、持続可能な開発目標(SDGs)、気候対策、国連人道対応に向けた取り組みの支援を呼びかけ

2016年06月13日

G7サミットのアウトリーチ会合に出席するため訪日した潘基文(パン・ギムン)事務総長 ©Photo: OSSG

2016年5月27日 – 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、日本で開催されているG7サミットのアウトリーチ会合に出席し、世界のリーダーに対して気候変動、人道対策、難民と移住者、グローバルな保健、持続可能な開発目標(SDGs)といった国連と世界の重要な優先課題への集中的な取り組みを続けるよう、強く訴えました。

トルコのイスタンブールで26日まで開催されていた初の世界人道サミットを終え、名古屋に到着した潘事務総長は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相のサミット参加に謝意を表明するとともに、世界が直面する課題の拡大と、それによって生じている人道対応費用の増加に鑑み、「人道危機に関する私たちの集団的な考え方と行動を大きく前進」させるものとして、同サミットを評価しました。

事務総長は、同様のニーズに対応するための費用が15年前には年間約20万ドルであったことを指摘。「現在はこれが約250億ドルと、12倍に増えています。国連システムには、これだけの必要性に対応できる能力がありません」事務総長はこのように述べるとともに、世界人道サミットに参加した9,000人を超える代表が、177カ国以上の政府代表ととともに、事務総長の「人道への課題」に含まれる各要素に「大きな支持」を表明したことを報告しました。

事実、事務総長は、危機下の教育のための新規資金や、主要機関による援助提供の効率化に関するものを含め、サミットで多くの誓約がなされたことを指摘しています。「私は、豊かな大国(G7諸国を含む)が、メルケル首相に倣い、私の『人道への課題』を支持することを頼りにしています。また、2015年の仙台防災枠組に沿った形での[…]]紛争予防とレジリエンス構築への投資増額にも期待しています」事務総長はこのように強調しました。

気候変動に関し、事務総長は先月、ニューヨークで約175カ国がパリ協定に署名したこと、そして、世界のリーダーたちが全体として、気候変動に対処するという並々ならぬ決意を表明したことを想起するとともに、すでに17カ国が、この画期的な協定を批准していることも指摘しました。

潘事務総長は「現時点では、2016年12月31日までに、全世界の温室効果ガス排出量の55%以上を占める55カ国の批准を確保することが目標となっています。私は年末までに、排出量の49%を占める42カ国が批准を予定していると理解しています」と述べるとともに、すべてのG7諸国と、欧州連合(EU)加盟国のすべてのリーダーに対し「できる限り早期の批准に向け全力を尽くし」、実施に向けた勢いを維持するよう強く訴えました。

事務総長はさらに、難民と移住者の問題についても触れ、多くの国々のリーダーが、紛争や気候変動の影響を受ける地域から流入する数百万の人々への対応に苦慮していると述べました。「グローバルな手法を採用すれば、各国がこの課題にもっと効果的に対応することに役立つでしょう」事務総長はこのように語り、国連が9月19日、移住に関するグローバル・サミットを開催することを明らかにしました。

グローバルな保健に関し、潘事務総長は、数人のリーダーと世界銀行が本日、最近のエボラ禍をはじめ、健康危機に対する世界各国の寛大な対応について話し合ったことを指摘しました。こうした貢献は高く評価されています。国連はエボラ対策への斬新な貢献として、国連としては初の公衆衛生ミッションという例外的な取り決めを実施しています。

潘事務総長は「私は2015年、ジャカヤ・キクウェテ元タンザニア大統領を議長とするハイレベル・パネルを設置しました。ハイレベル・パネルは2016年1月、27項目に上る有意義な提言を出し、その作業を完了しました。そのほとんどが実施予定となっており、現時点で実行不可能な提言はごくわずかです」と述べ、その中には、現在流行中のジカ熱への対応にも応用できるものがあるため、提言の実施進捗状況を監視し、その効果を検証するための取決めを立ち上げているところであることを明らかにしました。

事務総長は最後に、安倍晋三総理大臣が、日本政府全体で持続可能な開発目標SDGsを推進する拠点を自らの直属機関として設置したことを称賛しました。

「私はすべてのリーダーが持続可能な開発のための2030アジェンダの当事者として、これを推進することを期待しています。また、これらリーダーに対し、政府全体でのSDGs実施を監督する小型のハイレベル機関の設置を促したいと思います」事務総長はこのように述べたうえで、多くの政府からは、2030アジェンダを投資全体に反映させるつもりであり、そのために民間金融も活用するための誘因を策定中だという話を聞いていると付け加えました。

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