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保護する責任出典「国連の基礎知識」

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UN Photo/UNHCR/R LeMoyne

人権がはなはだしく、しかも組織的かつ広範に侵害されている国に対して国際社会は介入すべきであろうか。この問題は1998年にコフィー・アナン事務総長によって提起され、幅広い討論が行われた。中央アフリカ、バルカン諸国、その他で集団殺害、人道に対する罪、戦争犯罪が発生したことを受けて、事務総長は、国際法の枠組みの中で、大量かつ組織的な人権侵害から一般市民を守るための正統かつ普遍的な原則に国際社会は合意すべきである、と主張した。それ以来、問題はもはやすべきか否かの問題ではなく、こうした犯罪から一般市民を保護するためにいつ、どのような形で国際社会は介入すべきか、の問題になってきた。

2005年世界サミットに集まった世界の指導者は、その包括的な「成果文書」のなかで「保護する責任」について発言し、以下のように宣言した。

「各々の国家は、集団殺害、戦争犯罪、民族浄化および人道に対する罪からその国の人々を保護する責任を負う。この責任は、適切かつ必要な手段を通じ、扇動を含むこのような犯罪を予防することを伴う。われわれはこの責任を受け入れ、それに則って行動する。」

さらに以下のように明確に述べている。「国際社会もまた、国連を通じ、(これらの犯罪から)人々を保護することを助けるために、憲章第6章および8章にしたがって、適切な外交的、人道的およびその他の平和的手段を用いる責任を負う。」

「この文脈で、われわれは、仮に平和的手段が不十分であり、国家当局が集団殺害、戦争犯罪、民族浄化および人道に対する罪から自国民を保護することに明らかに失敗している場合は、適切な時期に断固とした方法で、安全保障理事会を通じ、第7章を含む国連憲章に則り、個々の状況に応じ、かつ適切であれば関係する地域機関とも協力しつつ、集団的行動をとる用意がある。」

彼らはまた、国家がこうした犯罪から人々を保護する能力を構築できるように支援し、また危機や紛争が勃発する緊張にさらされている国家を支援する必要も強調した。(総会決議60/1および63/308、並びに戦時における文民の保護を取り上げ、これらの原則を支持した安全保障理事会決議1674(2006)および1894(2009)を参照。)

2009年、藩基文事務総長は「保護する責任の実施」と題する報告書を発表し、その責任を実施する際の関連原則を概説した。事務総長が2008年に任命した保護する責任について概念的、政治的、制度的発展に責任を持つ特別顧問は、2004年に設置された集団殺害防止に関する特別顧問室との緊密な協力のもとに作業を進めている。