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国連の70年

ブトロス・ブトロス=ガーリ

過去70年間の国連の成果を紹介するためには、何冊もの本が必要です。そして、今後70年間に私が国連に望むことを書き記すためには、さらに多くの本が必要となりそうです。

しかし、国連の誇るべき歴史の中で、特筆すべき出来事が2つあると思います。1つ目は平和維持活動の発案です。現在私たちは当然のものとして考えていますが、これは国際関係の歴史においては極めて独創的な仕組みであり、これを通じて国連が真の意味で国際平和を育てることが出来るのです。私が事務総長に就任した頃、安全保障理事会で初の各国首脳によるサミット会合が開かれましたが、そのとき私に対して、次世代型の平和維持活動を展開せよという明確な任務が示されたのです。この任務から生まれたのが「平和への課題」です。私たちは今でも、この提案のメッセージに耳を傾けるべきだと思います。

国連のもう一つの大きな出来事は、その歴史の起点となった人権宣言と、1993年にウィーンで開催された「世界人権会議」でした。ウィーンの前にも後にも、世界的な議題や目標を設定した会議は数多くありましたが、世界が結集して人権を定義し、その達成に向けたグローバルな決意を明言したことは、歴史的に重要な出来事でした。

では、将来に向けて私が望むことは何でしょうか。それは私たちが過去の成果を土台にして、今日の世界に合うような形でこれを更新してゆくことです。国連が平和維持活動を発案したときのように、私たちは今、この活動の実践を改め、安全保障理事会が国際平和と安全を推進するために用いるこの手段の使い方も改める必要があります。私たちには新たな「平和への課題」が必要なのです。

また、人権を求める大きな動きを土台としながら、その普遍的な実現の確保に協力することも必要です。これら原則の普遍性を人権宣言とウィーン会議で明言した時と同じ勇気をもって、生存の権利という最も基本的な人権に対する新たな攻撃に立ち向かわねばなりません。さらに、テロリズムという災いに対して、勇気と洞察力をもってグローバルな合意に基づく定義を築き、この悪と闘うために世界的な決意を固める必要があります。

私たちが「より大きな自由のなかで」暮らすという宣言の目標を達成できるよう、私たちの国連が今後も、先頭に立って刷新を進めてゆくことを、私は確信しています。

著者について

ブトロス・ブトロス=ガーリ氏は、1992年から1996年まで国連事務総長を務めました。