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海洋環境の保全出典「国連の基礎知識」

沿海部や海域は地球の表面積のおよそ70パーセントを占め、地球の生命維持システムにとって不可欠である。海洋環境を保護することが国連の主要関心事項の1つである。UNEPは世界の注意を海洋や海域へ向けさせる多様な活動を行ってきた。

ほとんどの水質汚染は産業廃棄物、工業、農業活動、車からの排出に起因する。これらの形の汚染のいくつかは何千キロもの内陸部で発生する。「陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画(Global Programme of Action for the Protection for the Marine Environment from Land-based Activities)(www.gpa.unep.org)は1995年にUNEPが採択した行動計画で、そうした汚染から海洋、河口、沿岸水域を保護する国際的努力において画期的な出来事だとみなされている。

地域海計画(Regional Seas Programme)(www.unep.org/regionalseas)のもとに、UNEPは、海洋・沿岸環境の持続可能な管理と利用を通して悪化を増す世界の海洋・沿岸地域の環境問題に取り組む。現在、140カ国以上がその対象となっている。同計画は13の条約もしくは行動計画を通して共有の海洋・水資源を保護する。UNEPの主導のもとに始まった地域プログラムは黒海、東アジア海、東アフリカ、湾岸海洋環境保護機構(ROPME)海域、地中海、北東太平洋、北西太平洋、紅海とアデン湾、南アジア海、太平洋、南東太平洋、西アフリカ、広域カリブ圏を対象としている。

世界の海運業は劇的に拡大したにもかかわらず、船舶からの油濁汚染は1980年代にはおよそ60パーセントも削減され、その後も減少し続けた。これは、一部、廃棄物の処分管理の方法が改善されたことや、一部、各種条約による規制が厳しくなったことによる(http://oils.gpa.unep.org)。国際海事機関(International Maritime Organization: IMO)(www.imo.org)は、船舶に起因する海洋汚染を防止し、国際海運の安全を向上させる国連の専門機関である。先駆者的な存在の「油による海水の油濁防止に関する国際条約(International Convention for the Prevention of Pollution of the Sea by Oil)」は1954年に採択され、5年後の1959年にIMOがその責任を受け継いだ。1960年代後半、多くの大型タンカーの事故が発生し、さらなる行動がとられることになった。それ以来、IMOは数多くの対策を講じ、海上での事故と石油の漏出を防止し、その影響を最小限にくい止め、また陸上での活動から生じた廃棄物の海洋投棄による汚染も含め、海洋汚染と闘ってきた。

主な条約に、1969年の「油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約(International Convention Relating to Intervention on the High Seas in Cases of Oil Pollution Casualties)」、1972年の「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(Convention on the Prevention of Marine Pollution by Dumping of Wastes and Other Matters: LC)」、1990年の「油による汚染に係わる準備、対応及び協力に関する国際条約(International Convention on Oil Pollution Preparedness, Response and Cooperation: OPRC)」がある。

IMOはまた、石油タンクの清掃やエンジン室の廃棄物の処理のような日常の作業による環境への脅威の問題とも取り組んできた。これは、トン数から見ると事故よりも大きな脅威である。こうした措置でもっとも重要なのが、1978年の議定書(MARPOL 73/78)によって改正された1973年の「船舶による汚染の防止のための国際条約(International Convention for the Prevention of Pollution from Ships)」である。この条約は事故および作業による油による汚染ばかりでなく、化学物質、包装された貨物、下水や食物のごみによる汚染もその対象としている。そして、1997年に採択された新たな付属文書は、船舶による大気汚染防止の問題を取り上げている。1992年に条約の改正が採択され、二重船体構造もしくは衝突または座礁の際に貨物を同等に保護する設計を取り入れることをすべての新規タンカーに義務付けた。規則は、一重船体構造のタンカーを2010年までに段階的に廃止し、例外的にある種のタンカーは2015年までとした。

IMOの2つの条約――1969年の「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(International Convention on Civil Liabilities for Oil Pollution Damage: CLC)」と1971年の「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(International Convention on the Establishment of an International Fund for Oil Pollution Damage: FUND)」――は汚染の結果財政的な損害を被った人に補償する制度を確立している。2つの条約はそれぞれ1969年と1971年に採択され、1992年に改正された。これによって油による汚染の被害者が以前よりも簡単に、かつ迅速に補償を受け取れるようになった。