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気象、気候、水出典「国連の基礎知識」

気象の予測から気候変動の調査研究、自然災害の予報まで、世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)(www.wmo.int)は、地球の大気の状態と行動、その海洋との相互作用、それが作り出す気候、その結果である水資源の分布などに関して正確な情報を適時提供するグローバルナな科学的な活動を調整する。国連の枠組みの中にあって、WMOは、気象観測、水文観測、その他の観測を行う観測網を確立し、運営するための国際協力を進め、かつそれを容易にする。気象情報の迅速な交換、気象観測の標準化、観測結果や統計の統一発表を促進する。また、 航空、海運、農業、その他気象に左右される経済社会活動に気象学を応用させる活動も推進し、水利資源の開発を促進する。さらに研究や研修を奨励する。

WMO活動の根幹をなすのが「世界気象計画(World Weather Watch)」で、分単位で最新の世界の気象情報を提供する。これは、加盟国が人工衛星、航空機、地上観測所、船舶観測所、そして自動観測装置を持った停泊ブイや漂流ブイを利用して行う観測システムと電気通信網を通して行われる。得られたデータ、分析、予報は毎日、自由かつ制限を受けることなく、WMOセンターと各国の気象台との間で交換される。その結果、20年前には信頼できる予報は2日までであったが、今日では5日まででも可能である。

WMOは気象の標準化、規則、観測法、通信に関する複雑な国際協定の成立を促した。「熱帯低気圧計画(Tropical Cyclone Programme)」は、熱帯サイクロンの影響を受ける国々が予報と警報システム、防災態勢を改善することによって、破壊と生命の損失を最小限に食い止めることができるように支援する。WMOの「自然災害防止と軽減計画(Natural Disaster Prevention and Mitigation Programme)」は、WMOの各種の活動がこの領域に統合されるようにし、とくに、リスク評価、早期警報システム、能力育成に関して、民間防衛機関も含め、国際、地域、国の機関が行う関連活動の調整をはかる。また、災害時の救援活動に必要な科学技術支援も提供する。

世界気候計画(World Climate Programme)」は気候に関するデータを収集して保存し、加盟国政府が変動する気候に対応できるように支援する。そうした情報は、経済社会計画の策定にも役立つ。また、差し迫った気候の変化(たとえば、エルニーニョやラニーナのような現象)や数カ月後の影響について、また人間の活動に影響をおよぼす自然、人為を問わず、変化を探知し、政府に警告する。気候の変動に関する入手可能なすべての情報を評価できるように、WHOとUNEPは1988年に「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)」を設置した(www.ipcc.ch)。

大気研究・環境計画(Atmospheric Research and Environment Programme)」は大気の構造と成分、雲の物理と化学、気象調節、熱帯気象学、天気予報に関する研究活動を調整する。また、加盟国が研究プロジェクトを実施し、科学情報を普及させ、研究成果を予報やその他の技術に応用できるように支援する。とくに、「地球大気観測(Global Atmospheric Watch)」のもとに、グローバルおよび地域の観測所や人工衛星のネットワークが、大気中の温室効果ガスの水準、オゾン層、放射性同位元素、その他の大気中のガスや粒子を評価している。

気象学応用計画(Applications of Meteorology Programme)」は、国が気象学を応用して生命と財産を守り、社会経済開発を進めるのを支援する。また、公共の気象サービスの改善、海および空の旅の安全強化、砂漠化の影響緩和、農業と水、エネルギー、その他の資源の管理の改善にも力を貸す。たとえば、農業の場合、気象に関する即座の助言によって、干ばつや害虫、病気による損失をかなり減らすことができる。

水文・水資源計画(Hydrology and Water Resources Programme)」は、地球上の水資源を評価、管理、保存するのを助ける。また、水資源を評価し、水文に関するネットワークとサービスを発展させるための国際協力を促進する。これには、データの収集と処理、水文予報と警報、計画立案のための気象データと水文データの供給などが含まれる。たとえば、この計画の実施によって、いくつかの国が共有する河川流域内での協力が可能となり、また洪水になりがちな地帯では特別の予報を受けることによって人命や財産を守ることができる。

WMOの「宇宙計画(Space Programme)」は、「世界気象観測」計画の「グローバル観測システム」やその他のWMO支援のプログラムや関連観測システムを支援する。「教育訓練計画(Education and Training Programme)」と「技術協力計画(Technical Cooperation Programme)」は、科学知識の交換、技術的専門知識の開発、技術の移転を奨励している。