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生物の多様性、汚染、過剰漁業出典「国連の基礎知識」

生物の多様性――植物や動物の種のまばゆいほどの多様性――は、人類の生存に不可欠である。動植物の種の多様性およびその生息地を保護かつ保存することが1992年の「国連生物の多様性に関する条約(United Nations Convention on Biological Diversity)(www.cbd.int)の目的である。192カ国と欧州連合が加入している。条約は生物の多様性を保存し、その持続可能な開発を確保し、遺伝資源の利用がもたらす恩恵を公正かつ公平に共有することを締約国に義務付けている。その「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(Cartagena Protocol on Biosafety)」が、2003年に発効した。これは、遺伝子改変による有機物を安全に利用させることを目的とした議定書である。締約国は166カ国である。

絶滅の危機にさらされている種の保護は、1973年の「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species)」(www.cites.org)にも規定されている。条約の運営はUNEPが行っている。締約178カ国は定期的に会合し、割当て制もしくは全面禁止によって保護すべき動植物や象牙のような商品のリストを更新している。1979年の「移動性の野生動物種の保護に関するボン条約(Bonn Convention on the Conservation of Migratory Species of Wild Animals)」とそれに関連する一連の協定は、陸生動物類、海洋動物類、鳥類の移動性動物種とその生息地を保護することを目的としている(www.cms.int)。条約には119カ国が加入している。ユネスコの「人間と生物圏計画(Man and the Biosphere Progamme)」(www.unesco.org/mab)は、生物学的多様性の持続可能な利用と保存を進め、人間と環境との関係改善に努める。また、自然科学と社会科学、経済と教育の一体化を図ることによって生活を改善し、自然の生態系を守る。同時に、社会的に、文化的に健全で、かつ環境的に持続可能である経済開発への革新的なアプローチを促進する。

酸性雨(Acid rain)

工業の製造過程で排出される二酸化硫黄が原因で、1979年の「長距離越境大気汚染条約(Convention on Long-Range Transboundary Air Pollution)」(www.unece.org/env/lrtap)のお陰で、ヨーロッパの多くの国や北米で大巾に減った。条約には50カ国と欧州連合が加入しており、国連ヨーロッパ経済委員会が運営に当たっている。その適用範囲は8件の議定書によって拡大され、地上レベルのオゾン、残留性有機汚染物質、重金属、硫黄排出量の一層の削減、揮発性有機化合物、窒素酸化物のような問題を取り上げている。

有害廃棄物と化学物質

毎年国境を越える何百万トンもの有害廃棄物を規制するために、加盟国は1989年に「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約(Basel Convention on the Control of Transboundary Movements of Hazardous Wastes and their Disposal)」(www.basel.int)について交渉した。UNEPが運営するこの条約には、179カ国と欧州連合が加入している。1995年に強化され、安全な処分技術を持たないことの多い開発途上国へ有害廃棄物の輸出が禁じられた。1999年、「バーゼル損害賠償責任議定書(Basel Protocol on Liability and Compensation)」が採択された。これは、有害廃棄物の違法な投棄もしくは事故による漏出に対して誰が財政的な責任を有するかを扱ったものである。

公海漁業

商業的に価値のある漁業資源の多くの種は乱獲のために枯渇寸前である。また公海上で違法な、規制を受けない、未報告の漁業が多発している。こうしたことから、広い海域を回遊し、または1カ国以上の排他的経済水域を回遊する魚種を保存し、持続可能な規制を行うための措置が求められるようになった。1995年の「分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源(ストラドリング魚類資源)及び高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関する1982年12月10日の海洋法に関する国際連合条約の規定の実施のための協定(略称:国連公海漁業協定)(1995 Agreement for the Implementation of the Provisionsns of the United Nations Convention on the Law of the Sea of 10 December 1982 relating to the Conservation and Management of Straddling Fish Stocks and Highly Migratory Fish Stocks)」は、長期的な保存と持続可能な利用を確保することを目的に、これらの魚類を保存、管理するためのレジームについて規定している。2001年に発効し、締約国は欧州連合も含めて79カ国である。