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人間居住出典「国連の基礎知識」

1950年、ニューヨーク市は1,000万以上の人口を抱える唯一の都市であり、都市に住んでいたのは世界人口のわずか30パーセントに過ぎなかった。2010年までには、そうした「巨大都市」の数は25に増えた。6都市を除くすべてが開発途上国もしくは移行経済国の都市である。そして、69億人の世界人口のうちの半数が町や都市に住んでいる。10億人近くの人々はスラム街に住んでいる。実に開発途上国では都市人口の3人に1人はスラム街に住んでいる。

国連人間居住計画(United Nations Human Settlements Programme = UNHABITAT)(www.unhabitat.org)は、こうした状況と取り組む国連システム内の先導機関である。任務は総会によって与えられ、すべての人に適切な住居を提供することを目標に、社会的に、環境的に持続可能な町や都市の建設を促進することである。そのために幅広い国において数十件の技術的なプログラムやプロジェクトを実施している。そのほとんどの国が後発開発途上国である。1996年、ハビタットIIとして知られる第2回国連人間居住会議は「ハビタット・アジェンダ」を採択した。これはグローバルな行動計画で、その中で各国政府は、すべての人に適切な住居を提供し、かつ持続可能な都市開発を進めると公約した。UN-HABITATはその「アジェンダ」を実施し、その進捗状態を評価し、グローバルな傾向や状態を監視するための中心となる機関である。

UN-HABITATは現在2つの大きなグローバルなキャンペーンを進めている。「都市統治のためのグローバル・キャンペーン」と「安定した土地保有のためのグローバル・キャンペーン」である。

  • 都市統治のためのグローバル・キャンペーン(Global Campaign on Urban Governance)。多くの都市では不十分な統治や不適切な政策が都市環境の劣化、貧困層の増加、経済成長の低迷、社会的疎外を招いている。このキャンペーンは、適切な都市統治を進めることができるように地方行政の能力を高めることを目的としたもので、民主的に選ばれ、説明責任を持つ地方自治体が、市民社会とのパートナーシップのもとに、都市問題に効率よく、かつ効果的に対応できるようにする。
  • 安定した土地保有のためのグローバル・キャンペーン(GlobalCampaign for Secure Tenure)。このキャンペーンは、安定した土地の保有は持続可能な居住戦略と住宅の権利の促進に不可欠であることを明らかにしている。したがって、貧しい人々の権利や利益、とくに女性の権利と居住政策実施における役割を促進する居住戦略を先頭に立って進める。

各種の措置を通して、UN-HABITATは広範な問題と取り組み、特別のプロジェクトの実施を支援している。世界銀行とともに、「都市同盟(Cities Alliance)」(www.citiesalliance.org)として知られるスラム街の改善イニシチアチブを開始した。その他、紛争後の土地管理と戦争もしくは自然災害によって荒廃した国々の再建を目的とした計画を実施し、また、女性の権利とジェンダーの問題が都市開発管理政策の中に反映されるようにする事業も進めている。さらに、農村と都市との結びつきの強化を図り、インフラ整備や公共サービスの充実を支援する。

その他、UN-HABITATが進めている活動計画は以下の通りである。

  • 最善の慣行と地方リーダーシップ計画(Best Practice and Local LeadershipProgramme)。政府機関、地方自治体、市民社会組織のグローバルなネットワークで、生活環境を改善するための最善の慣行を明らかにして、その普及を図り、学んだ教訓を政策開発や人材育成計画に反映させる。
  • 居住の権利計画(Housing Rights Programme)UN-HABITATと国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の合同のイニシアチブで、国家や他の利害関係者がハビタット・アジェンダで行われたコミットメントの実施を助け、国際文書に規定される適切な居住の権利を完全かつ漸進的に実現できるようにする。
  • 世界都市観測(Global Urban Observatory)ハビタット・アジェンダの実施のグローバルな進捗状況を監視、また、都市の現状や傾向を観測、評価する。政府、地方自治体、市民社会が政策指向の都市指標や統計、その他の都市に関する情報を開発、適用できるように世界の都市知識基盤を改善することを目的とする。
  • 持続可能な都市計画(Sustainable Cities Programme)。UN-HABITATと国連環境計画(UNEP)の合同のイニシアチブで、各界の参加型方式を利用することによって、都市環境プランニングと管理の能力を向上させる。その姉妹計画、「アジェンダ21のローカル化」とともに、現在、世界の30都市で活動を進めている。
  • アジェンダ21のローカル化(Localizing Agenda 21)。1992年の「地球サミット」で採択された持続可能な開発のためのグローバルな行動計画(アジェンダ21)を促進する。そのため、人間居住に関する部分を地方レベルの行動に移し、特定の中規模都市における共同事業を奨励する。
  • 安全な都市計画(Safer Cities Programme)アフリカ諸国の市長の要請を受けて1996年に開始した計画で、都市犯罪と暴力に適切に対処し、究極的には防止するために、都市レベルでの戦略を促進する。
  • 都市管理計画(Urban Management Programme)UN-HABITATと国連開発計画(UNDP)、その他の支援機関との合同活動。40を越す支援・パートナー機関をもつこのネットワークは、58カ国の140都市をカバーし、開発途上国の都市や町村が経済成長、社会開発、貧困撲滅のために行う貢献を強化する。
  • 水・衛生計画(Water and Sanitation Programme)安全な飲料水の利用を改善し、何百万人もの低所得都市住民へ適切な衛生施設を提供し、その影響を測定する。また、「安全な飲料水を継続的に利用できない人々の割合を2015年までに半減する」とのミレニアム開発目標、「基本的な衛生施設を利用できない人々の割合を2015年までに半減する」との2002年の世界持続可能な開発に関する開発サミットの目標の達成を支援する。