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教育出典「国連の基礎知識」

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UN Photo/Shareef Sarhan

近年、教育の分野では長足の進歩があり、就学児童の数は大幅に増加した。それにもかかわらず、2010年、5,900万人の子どもたちは初等教育就学年齢に達していたにもかかわらず非就学の状態であった。いくつかの国では内戦、テロ行為、暴動のために就学が妨げられた。識字能力を高める膨大な努力にかかわらず、7億7500万人の成人は最低限の読み書きもできない。そのうちのおよそ3分の2は女性である。

調査によると、教育へのアクセスと改善された社会指数との間に密接な関係があることが分かる。学校教育はとくに女性に対して特別の相乗効果を持っている。たとえば、教育を受けた女性は典型的により健康であり、子どもの数が少なく、家計収入を増やす機会を多く持つ。そうした女性の子どもは死亡率が低く、栄養状態も良く、おおむね他と比べて健康である。少女や女性が国連全体で多くの教育計画の対象となっているのは、こうした理由からである。教育にはさまざまな要素が絡み合っていることから、国連システムの多くの機関は多種多様な教育・訓練計画の資金援助や開発を行っている。それは伝統的な基礎教育から行政、農業、保健サービスのような領域における人材育成のための技術訓練や人々にHIV/エイズ、薬物の乱用、人権、家族計画、その他多くの問題について教育する一般市民啓発キャンペーンにまで及ぶ。たとえば、ユニセフは、年間事業費の20パーセントを女子の教育を中心とした教育事業に振り向けている。

教育の領域での先導機関は国連教育科学文化機関(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization: ユネスコ)(www.unesco.org)である。ユネスコは他のパートナー機関と共に、すべての子どもが子どもにやさしく、良質の教育を行うように訓練された教師のいる学校で学ぶことができるようにすることを目指している。ユネスコは、2015年までに普遍的な、良質の初等教育を達成するというもっとも野心的な国連の機関間キャンペーンの事務局を務めている。このキャンペーンの目標は、2000年にセネガルのダカールで開かれた世界教育フォーラムで160カ国以上の国が採択した「行動の枠組み」に基づくもので、その年の9月に採択された「ミレニアム宣言」の中でも世界の指導者が再確認した。

ユネスコの教育部門は、あらゆるレベルで、すべての人に教育を提供すること、特別のニーズと社会の主流から取り残された人々の成功、教師の養成、労働人口の能力の育成、教育による成功、非公式生涯教育の機会確保、教育および学習を向上させる技術の利用、教育の機会の拡大に焦点を当てている。こうした活動は、「2000年ダカール行動枠組み」、「国連持続可能な開発のための教育の10年、2005-2014年」、「教育・エイズに関する世界イニシアチブ」との関連で進められている。また、ミレニアム開発目標の達成にも努め、すべての少年、少女が初等教育を終えられるようにすること、できれば2015年までに、初等教育や中等教育における格差を解消することを目指している。

第2のミレニアム開発目標である初等教育の完全普及を宣言したことに加え、国連は教育の分野で数多くのイニシアチブを進めてきた。「国連サイバースクールバス(UN Cyberschoolbus)」は、受賞歴のあるウェッブサイト(ホームページ)で、小学生や中学生が国際連合の起源、目的、機構について学ぶことができる。また、加盟国についての情報を入手し、国連の課題とは何かについて知ることもできる。教師はこうした問題について教えるための授業計画を参考にすることができる。サイバースクールバスは200以上の国や地域からアクセスでき、英語、スペイン語、フランス語、ロシア語で利用できる。

毎年、何百回という模擬国連が小学校から大学までのさまざまな教育レベルで、様々な形で開かれる。模擬国連世界大会(Global Model United Nations Conference)もその1つである。こうしたプログラムを通して、学生は外交官として行動し、国連総会や他の国連システム機関模擬会期に参加する。

国連アカデミック・インパクト(United Nations Academic Impact: UNAI)(www.academicimpact.org)は、人権、識字、持続可能性、紛争解決などの領域で普遍的に受け入れられた10の原則を支持して、国連と高等教育機関とを結ぶグローバルなイニシアチブである。経済社会開発と同様に、世界平和も促進する高等教育の潜在能力を認めている。参加するカレッジや大学は、アカデミック・インパクト計画の原則を正式に承認し、UNAIはこれらの教育機関に対して毎年少なくとも原則の1つに対する支持を行動で示すよう求める。