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貿易と開発出典「国連の基礎知識」

すべての国をグローバルな貿易に参加させることが国連貿易開発会議(United Nations Conference on Trade and Development: UNCTAD)(www.unctad.org)の任務である。UNCTADは貿易、金融、技術、投資、持続可能な開発の分野で開発関連の問題を取り上げる国連の中心機関として、開発途上国の貿易、投資、開発の機会が最大になるように努める。また、これらの国が経済のグローバル化から生じる問題に対処できるように支援し、かつ世界経済に公平に参加できるようにする。UNCTADは調査や政策分析、政府間の審議、技術協力、市民社会や企業セクターとの相互作用などを通してこれらの目標を達成する。とくにUNCTADは以下の事を行う。

  • グローバル経済の動向を調べ、それが開発に与える影響を評価する。
  • 開発途上国、とくに後発開発途上国が世界の貿易体制に参加し、国際貿易交渉に積極的に関与できるように支援する。
  • 世界の対外直接投資の動向とそれが貿易、技術、開発に及ぼす影響を調べる。
  • 開発途上国が投資を誘致できるようにする。
  • 開発途上国が企業と企業家精神を育成できるように支援する。
  • 開発途上国と移行経済諸国が自国の貿易支援サービスの効率を改善できるようにする。

UNCTADの活動は、経済動向を明らかにし、グローバル化との関連で貿易と開発に関する思考と政策を形成するのを支援する。また、それによって、開発途上国が財貨、サービス、商品の国際貿易に効果的に参加できるようにする。UNCTADは、開発途上国に特別かつ異なる待遇を提供する概念を進め、同時にその概念が「関税と貿易に関する一般協定」およびその後の「世界貿易機関」のなかに組み込まれるようにする重要な機関の1つである。また、国連システムの中にあって貿易に関して後方支援を行う中心的な機関でもある。取引コストを削減し、輸送接続性を強化するために組織的、法律的、運用上の解決を行って、開発途上国が世界の市場に参加できるようにする。

UNCTADは、通常の政府間討議や技術協力を通して、とくに中小企業を中心に、企業開発を促進する。UNCTADの技術協力活動は100カ国以上の国の300件近くのプロジェクトに及び、そのための年間予算はおよそ3,100万ドルである。そのうちの37パーセントが後発途上国に向けられる。以下はそうした活動のいくつかの例である。

  • 税関データの自動化システム(Automated System for Customs Data)(www.asycuda.org)最新の科学技術を利用して、政府が税関手続きと管理を近代化できるようにする。2010年現在、このシステムは89カ国以上の国で利用され、急速に税関自動化の国際基準になりつつある。また、経済ガバナンスを改善する道具でもある。
  • エンプレテック計画(EMPRETEC Programme)(www.unctadxi.org/templates/Startpage__7428.aspx)は、中小企業の開発を促進する。情報ネットワークによって企業家がビジネス・データベースを利用できるようにする。

UNCTAD/WTO国際貿易センター(International Trade Centre UNCTAD/WTO: ITC)」(www.intracen.org)は、貿易振興のために開発途上国と技術協力を進める国連システムの中心的な機関である。開発途上国および移行経済諸国とともに貿易振興計画を作成し、これらの国の輸出拡大と輸入業務の改善を図る。

ITCはミレニアム開発目標(MDGs)に関するプログラムの不可分の機関としてその目標達成に力を貸してきた。ITCは貧困を削減し、貧しい社会の企業が世界的な価値連鎖に統合されてその競争力を高めるように努力する。MDGsはそうした努力の成果を図るための基準である。ITCは以下の6つの重要な領域で活動する。すなわち、商品とマーケット開発、貿易支援サービスの開発、貿易情報、人的資源開発、国際購買と供給管理、貿易振興のためのニーズ評価とプログラム策定である。

貿易振興のための技術協力プロジェクトは、ITC専門家が現地の貿易担当官との緊密な連絡のもとに実施される。国家プロジェクトは、同国の輸出拡大と輸入業務の改善という幅広いパッケージの形を取ることが多い。

公平な貿易の促進

UNCTADのもとに行われる政府間交渉、調査研究、技術援助によって以下のような措置が生まれた。

  • 一般特恵関税制度に関する協定(Agreement on a Generalized Systems of Preferences)――1968年にUNCTADによって採択。開発先進国は開発途上国からの輸出品に対して条件の良い市場アクセスを与える。
  • 開発途上国間における「グローバル特恵貿易制度に関する協定(Agreement on a Global System of Trade Preferences)」――1989年に発効。その加入国間で関税もしくは非関税の特恵を与える。
  • 国際商品協定――ココア、コーヒー、砂糖、天然ゴム、ジュートおよびジュート製品、熱帯木材、スズ、オリーブ油、小麦など、開発途上国にとって重要な輸出商品の価格を安定させることを目的とする。
  • 一次産品共通基金――これは政府間の金融機関で、一次産品に依存する開発途上国が一次産品の生産と貿易を改善かつ多様化できるように支援する。
  • 総会は1980年、唯一の普遍的に適用される、任意の競争規範を採択。「制限的商慣行規制のための多国間による一連の衡平な原則と規則の国連セット」で、「競争に関する原則と規則国連セット」としても知られる。5年ごとに運用の検討が行われる。
  • 2007年、東アフリカ有機農産物基準(East African Organic Standard: EAOS)」を創設。EAOSは、欧州連合に続く世界で2番目の有機農産物基準となる。
  • 貿易分析と情報システム(Trade Analysis and Information System: TRAINS)。貿易、関税、非関税措置に関する国際データベース。詳細については世界統合貿易解決(World Integrated Trade Solution; WITS)のウェッブサイトを参照。