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政府開発援助出典「国連の基礎知識」

その政策や融資を通して、国連システムの融資機関は、総体的に、開発途上国の経済に大きな影響力を持っている。このことがとくに言えるのは、後発開発途上国(LDC)の場合である。これらの国は49カ国に達し、極度の貧困と膨大な債務のためにグローバルな成長と開発から取り残されてしまった。そのうちの33カ国はアフリカにあり、いくつかの国連援助計画では優先的援助の対象となっている。

小島嶼開発途上国、内陸開発途上国、移行経済諸国もまた、国際社会の特別の注意を必要とする危機的な問題を抱えている。これらの国々もまた、国連システムの援助計画や加盟国の政府開発援助(ODA)で優先的に扱われている。世界の33カ国が内陸開発途上国であるが、そのうちの16カ国が後発開発途上国である。また、38カ国の小島嶼開発途上国のうち、12カ国が後発開発途上国である。

1970年、総会は政府開発援助の目標を国民総生産(GNP)の0.7パーセントと定めた。現在は国民総所得(GNI)として言及されている。(GDPとは1年間に国の国境線内で生産された最終財・サービスの総額の市場価格で、GNIとはGDPに他の国々からの第一次所得の純受取りを加えたものである。)その後、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)――現在、先進工業33カ国で構成――の集中的な努力によって、間発援助は目標のおよそ半分のレベルになった。

1990年代、ODAは急激に減った。しかし、全体では減少はしたものの、基礎的社会サービスに対してはより多くの援助が向けられ、1995年のODAの4パーセントから、2000年までには14パーセント(およそ40億ドル)となった。そして、5分の4以上が、援助国で物資やサービスを購入する必要のない、いわゆるひも付きでない援助であった。

新しい世紀に入ってODAのレベルが回復し始めた。DAC加盟国の間では、ODA総額は2009年年にはGNI合計額の0.30パーセントに上昇し、1,196億ドルとなった。これまで、ODA目標の0.7パーセントを達成し、維持している国は、デンマーク、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの5カ国だけである。他方、2010年現在で金額から見た最大の援助国はアメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、日本であった。

2002年にメキシコのモンテレーで開かれた国連開発資金国際会議は、第一歩として1990年代に減少したODAを今後増加させるとのコミットメントを主要援助国から引き出した。会議はまた、そうした援助の重点を貧困削減、教育、保健へ振り向けることを求めた。

国連の開発援助は2つの資金源から供与される。1つは国連の専門機関や各種基金、計画からの無償資金援助で、もう1つは世界銀行や国際農業開発基金(IFAD)のような、国連システム内の融資機関による支援である。

世界銀行は2009年会計年度に588億ドルの支援を約束した。2008年度に比べ54パーセントの増加で、これまでの最高額である。1978年から2010年にかけてIFADはプロジェクトや事業計画に対して115億ドルを投資した。これによって農村の3億5,000万人が恩恵を受けた。受益国の政府や金融機関が101億ドルの拠出を行い、さらに多国間、2国間、その他の援助機関が協調融資としておよそ82億ドルを提供した。

2009年、国連の人道的援助も含めた支援活動に対する拠出総額は215億ドルから220億ドルであると推定された。これらの拠出額のおよそ65パーセントが開発関連で、残りの35パーセントが人道的援助のためであったと推定された。国連の諸機関、基金、計画からの開発援助は、必要とする多くの国を対象に広く行われている。

開発資金国際会議www.un.org/esa/ffd

開発資金国際会議は、2002年にメキシコのモンテレーで開かれた。開発資金や開発の問題に関するこの国連主催の会議には、50人の国家元首もしくは政府首脳、200人以上の閣僚、それに民間部門、市民社会、主要な政府間金融、貿易、経済、通貨機関のリーダーが参加した。

会議は、政府、市民社会、ビジネス界、グローバルな経済問題に関する機関のステークホルダーの4者による最初の意見交換の場であった。会議の討論は12の個別のラウンドテーブルに分かれ、800人以上が参加した。政府首脳、世界銀行総裁、国際通貨基金専務理事、世界貿易機関事務局長、地域開発銀行総裁、それに財務相や貿易相、外相などが共同議長を勤めた。会議の成果は、「モンテレー・コンセンサス」として知られ、開発資金に対する新しいグローバルなアプローチを提供した。

ついで、国連総会は、2003年から始まる奇数年に会議のフォローアップを行うことに決定した。会議の結果の実施や国際通貨、金融、貿易機関による開発支援の一貫性について、政策討論を行う。

開発資金国際会議フォローアップ会合が2008年にカタールのドーハで開かれ、「ドーハ宣言」が採択された。2010年3月、総会は開発資金に関する第4回ハイレベル対話を開催した。9月に、総会は、「モンテレー・コンセンサス」と「ドーハ宣言」を再確認し、ミレニアム開発目標(MDGs)達成のためのコミットメントを履行するよう開発先進国に訴えた。

アフリカ――国連の優先課題

国連は、国際社会の懸念を受けて、アフリカの危機的経済社会状態を国連の優先的な関心事項としている。 アフリカの開発を支援する決意を確認するにあたって、国連はアフリカのために特別の計画を策定した。対外債務と返済問題を恒久的に解決し、海外からの直接投資を増大させ、国の能力育成を向上させ、開発のための国内資源不足の問題に対処し、アフリカ諸国を国際貿易に参入させ、そしてエイズと闘うことができるようにする計画である。

1996年、国連総会は「アフリカに関する国連システム特別イニシアチブ(Special Initiative on Africa: UNSIA)」を発足させた。数十億ドル相当の具体的な行動計画で、アフリカの指導者たちが明らかにした開発の優先順位から生まれた。このイニシアチブは総会の見直しの結果2002年に終了した。それに代わって「アフリカの開発のための新パートナーシップ(New Partnership for Africa's Development: NEPAD)」(www.nepad.org)が採択された。これはアフリカ自身が発案し、主導するイニシアチブで、アフリカの開発のための国際援助の枠組みとして2001年にアフリカ統一機構(現在のアフリカ連合)が発足させたものである。2008年、総会は、アフリカの開発ニーズに関するハイレベル会合で政治宣言を採択し、NEPADに対する支持とともに、アフリカの開発に関する各種のコミットメントの実施を再確認した。

国連は、「国連開発援助枠組み(UNDAF)」の活動やアフリカ経済委員会の事業計画を通して、国、地域、グローバルのレベルで参加している。これは小地域および地域のレベルで調整や協力を強化するための枠組みである。アフリカ特別顧問室(Office of the Special Adviser on Africa:OSAA)(www.un.org/africa/osaa)は、国連システムや国際社会が行った支援を報告し、「新パートナーシップ」を支援するグローバルな活動を調整する。OSAA、NEPAD、OECDは緊密なパートナーシップのもとに作業を続けている。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、アフリカでHIV/エイズと闘うキャンペーンを強化した。キャンペーンのベースをできるだけ幅広いものにするため、UNAIDSは「アフリカのエイズと闘う国際パートナーシップ」として知られる傘下グループのもとに、政府、地域機関、開発機関、非政府組織、それに薬品会社を含む企業セクターと協同で活動を続けている。

事務総長と国連諸機関はアフリカの経済的障害を取り除くよう先進工業国に要請し、重債務の救済を図り、アフリカの輸出を不利にする関税を引き下げ、政府開発援助を増大させるよう訴えた。国連は、アフリカ開発会議(TICAD)、重債務貧困国債務イニシアチブ、アフリカ工業化同盟など、その他の開発事業との提携も進めている。